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2016年11月15日 (火曜日)

インプラント型の生体脳・コンピュータ間インタフェイス

下記の記事が出ている。

 First at-home brain implant lets “locked in” woman talk, venture outdoors
 ars technica: November 14, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/11/first-at-home-brain-implant-lets-locked-in-woman-talk-venture-outdoors/

既に実験報告が幾つか出ているので,レベルを限定したものであれば実用段階に入っていると考えられる。

今回の実験は,機能に障害のある人間を助けるものなので,社会的にも承認されやすいだろうと思う。

しかし,コンピュータの側が自律的な人工知能に変化した場合にはどのようなことが起きるかということを考えなければならない。

この問題は,一般的な問題に置き換えてみると,12日に開催された情報ネットワーク法学会の講演で説明した「robotiks」の集合と「human」の集合の重なる部分という問題領域に属する。

 http://cyberlaw.la.coocan.jp/Documents/InLawConference2016.pdf

このような仕組みが社会内に普及した場合,例えば,インプラントされたインタフェイスに対して強力な出力で電波を放射しただけで脳を焼損したり機能喪失させたりするような物理攻撃が可能となる。電波の混信や通信品質の劣化による混乱も考えなければならない。そして,更には,このインタフェイスを介した外部からの思考操作の可能性を検討しなければならない。

法学との関連では,「自由意思」の存在を証明することが哲学的にも数学的にも不可能な状況となってきているので,法学者としては,「意思理論」なしで法規範というものを説明できるように法哲学及び法解釈学全体のつくりなおしをするという課題と直面していることになる。

「制御可能」という想定が成立しない状況を前提とした場合,何を考えなければならないかという観点から,真剣に熟考しなければならない。

安全性の確保は,設計段階で考慮されなければならないことなので,実装できないのであれば断念するというのが正しい政策論だ。

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