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2016年11月 7日 (月曜日)

AI(人工知能)はまだ存在していない?

下記の記事が出ている。

 #BHEU: Why AI Doesn’t Exist and Why Machine Learning is Only as Good as the Human
 infoSecurity: 4 November, 2016
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/bheu-why-ai-doesnt-exist/

この問いは,問題設定が誤っている可能性がある。

それは,「知能」をきちんと定義していないからだ。

もしダンゴムシ程度の情報処理能力があれば「知能」があるといえるのだとすれば,人工知能は既に存在している。

暗算の能力を「知能」の一種ではないと考える人は少ないだろう。ところが,暗算の能力は,普通のコンピュータのほうが人間よりもはるかに優れている。つまり,いわゆるAIの技術を用いなくても,既にコンピュータは人間をはるかに超えていることになる。

では,どのように考えたらよいのか?

人工知能は,サイバネティクスの機能の一部に過ぎないので,サイバネティクス全体の定義をきちんと踏まえて考えれば,自ずと結論は出てくる。

ヒューマノイドのようなものだけをロボットだと勝手に決めつけて考察するから間違ってしまうのだ。

また,特定の人工知能理論が正しいという前提で,その実装・運用ができているかできていないかを判断基準にするような考え方は愚考の極みでもある。人工知能でさえ,そのようには考えないだろう(笑)

私が思うには,世界中の人工知能関連科学者のアプローチの多くが誤っている。それは,自分が依拠する基本理論の健全性を検証しないで妄信しているからだ。

私のこれまでの経験によると,基本理論の大半が間違っている。それは,ノイマン型コンピュータまたはチューリングのモデルに従うシステムに実装し運用するという制約条件から逃れようとしないからだ。

しかし,従来の基本理論の全てが誤っているという前提で,基本理論を自分自身で構築するのでなければ,成功は難しい。

ちなみに,前にも書いたが,誰からみても人工知能だと言えるようなシステムを構築するためには,従来のコンピュータアーキテクチャを完全に捨てて,データ駆動型のシステムを構築する必要がある。その環境では,人工知能理論それ自体があまり意味をもたなくなるかもしれない。なぜなら,そのシステムは,自分で学習し,自己再編成を常に繰り返し続けるので,特定の理論による拘束を受けないからだ。換言すると,そのようなシステムでは,人間がつくったプログラムによる制御ができない。

人間が制御可能な対象として「人工知能」というものを考える限り,いわゆる「馬鹿の壁」を乗り越えることは不可能なことだろう。

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