Eric Hilgendorf und Jan-Philipp Günther, Robotik und Gesetzgebung
下記の書籍を読んだ。正確には,かなり繁忙な状況下にあるため,必要な部分だけ拾い読みした。
Eric Hilgendorf und Jan-Philipp Günther (Hrsg.)
Robotik und Gesetzgebung
Nomos (2013)
ISBN 978-3-8329-7705-4
私は,司法プロセス及び立法プロセスのシステム化に関して,かつて従事していたSHIPプロジェクトにおいて多角的な検討を行い,その結果報告はPDFにして公開しているし,研究組織の事業継続性を考慮してサイバー法研究会及び法情報学研究会を母体として情報ネットワーク法学会を設立し,これらの研究会を発展的に解散ということにした。
他方で,司法プロセスそれ自体のシステム化という課題については,桐蔭大学の笠原教授を中心とする研究成果がある。
最近では,司法プロセスのロボット化または人工知能技術の応用ということが話題となる機会が増え,その関連の論説も徐々に増えている。
正確には,司法プロセスのシステム化と関連する分野に関しては,かつて第5世代コンピュータの研究の一部として明治学院大学の吉野元教授らによって行われていた法的推論の研究が最初のものだろうと思う。ただ,当時は,ハードウェアの性能が著しく低く,理論どおりの結果を得ることが非常に難しかった。必要なデータの蓄積が乏しいということから,実証実験をするためのデータにも事欠く始末だったというのが偽らざる真実だ。
だからこそ,私は,SHIPプロジェクトにおいてデータの蓄積にも力を入れたのだが,その蓄積したデータに基づく実証的な研究成果を十分に出せないままに研究予算の打ち切りによって研究継続ができなくなったことから,蓄積・加工し,XMLとして再加工する前の状態で準備していたデータを名古屋大学の研究チームへと手渡すことにした。当時は若かったので,眠らずに何でもできたが,現在では体力的に無理だ。若い世代に任せようと思う。
さて,そのような流れの中で,「どれどれ」と思って最近の論文を読むようにしている。感心する論文もあるし,刺激を受ける論文もある。しかし,「これは盗作の一種だ」と判断できるものもある。ネット上での文献検索が以前と比較すると非常に容易になっているので,自動翻訳と自動要旨作成を組み合わせた盗作自動判定(デッドコピーではない巧妙な盗作の場合を含む。)のシステムが登場するのは,そう遠い将来のことではないだろう。
そのような盗作的な論文の中には,この「Robotik und Gesetzgebung」からのものも含まれる。
一般に,当該学術の世界において一般的に承認されている公正な方法に従う限り,引用や参照であれば別に問題はないし,他の学説の紹介だけでも全く問題はないと思うのだが,そうでない場合が問題となり得る。ロボット及びロボット法の分野に関しては,内外に類例が多数あるので,そのような実質的な意味での盗作関連のことを研究するだけで立派な著書を1冊書けそうな気がする(笑)。
そういう中で,苦心を重ねて研究を続け,その検討結果の結晶としてオリジナルの考えを構成し,それを世に問うことのできる研究者は,その見解それ自体に対する賛否を全く別として,とても立派だと思う。
自分もそうありたい。
それゆえ,私としては,内容のよしあしは一応別として,誰によっても決して盗作とは判定できないオリジナルのものばかり書くようにしてきた。
ロボット及びロボット法の関連でも少し書き,法と情報雑誌の脚注の中で私見を披露してきたほか,改めてまとまった論文を書いてみた。来年春には刊行されることになるだろう。
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