JIPDECのEU一般個人データ保護規則仮訳
JIPDECのサイトで,下記の仮訳が公表されている。
EU一般データ保護規則(仮訳)について
http://www.jipdec.or.jp/library/archives/gdpr.html
ざっと見たところ未完成品である一方で,原文には存在しない目次を付加してあるので,どうかと思うのだが・・・ミスタイプ等については,私の書くものにも結構あるので,とりあえず不問とする(笑)。
それはさておき,訳語にかなり問題がある。例えば,「processor」を「取扱者」と訳している。しかし,「processor」は,個人データの取扱事業者(取扱者・EUの法制では管理者(controller))から委託を受けて個人データの処理業務をする受託者のことを意味する。個人データの取扱事業者(取扱者)ではない。
おそらく,用語の法的意味、社会的機能及び日本法との対応関係を逐一検討しながら翻訳したものではないと推定できる。
個人データの管理は、データ処理を行う管理者がその責任で負うというのがEUの法制の基本となっている。そのことが,「自己情報コントロール権」なる説における根本的な誤りの重大な発生源になっていることは,既に私の「意見書」で説明したとおりだ。
加えて,リスボン条約以降におけるEUの統治機構及び法制度の変化をあまり意識していない仮訳のように思われる。
その他いろいろある。
評価としては、100点満点で20点未満の成績しかつけることができない。
この仮訳は,社会に混乱と誤解を与えるだけなので,即座に掲示を停止した上で,その全体について,真の専門家による徹底した見直しを実行し,ほぼ全体を根本から書き直した上で再度掲示すべきであろう。
この仮訳に監修者として名前を連ねている人々は,それなりに見識のあるはずの人々なのだが,一体何をやっているのだろうか?
ところで,このEUの一般データ保護規則については,私も全文の翻訳(私訳)を試みている。従前の例にならい,古い訳語(「取扱者」など)を用いて訳しはじめた。しかし,訳している間に,訳語で悩むことが多くなった。そこで,丁寧に調べ,再考し,従来の訳語を排除して別の訳語を採用した点がかなり多数ある。そのようなタイプの訳語の不統一を調製・修正しつつ,更に翻訳を進めている。
既に前文の部分の全部を訳し終え,条文の部分も実質で半分くらい訳し終えた。
あくまでも私訳なので,9月末頃までには,ごく少数部だけ限定して発行する同人誌のような雑誌で公表したいと考えている。某図書館員が同人誌を蔑視するような態度をとり続けていることから,私に対し,東洋の古典的な礼法に従って深く陳謝の意を表するまでは,この同人誌のような雑誌上において私にとって可能な最高レベルの内容を含む論説等を公表し続けようと思っている。
100点満点で少なくとも60点以上の評価を獲得できるよう,頑張っている。
デジタルでの公表は,(特に依頼を受けて特別の契約を締結するような場合を除き)全く考えていない。関連する指令等について既に公表したものについても同じだ。
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