脳神経科学で用いられる解析用ソフトウェアの信頼性に対する疑問
下記の記事が出ている。
Software faults raise questions about the validity of brain studies
ars technica: July 2, 2016
http://arstechnica.com/science/2016/07/algorithms-used-to-study-brain-activity-may-be-exaggerating-results/
(余談)
現在の人工知能技術の中には大脳生理学や脳神経科学の分野における研究成果に依拠して形成されている部分が決して少なくない。しかし,その前提に疑問があるとすれば,いったいどういうことになるのか,よく考えてみる必要がある。
他方,人工知能技術の中核部分は,ある種の言語学や哲学の類に依拠している部分がある。これらが「真理」であるとの保証は全くない。このこともよく考えてみる必要がある。
少しでも疑問があるときは,自分自身で検証してみることだ。世間は意外とインチキだらけだということにすぐに気づくことができる。そのような自己検証能力が十分にないという場合には,人工知能の分野の研究者としては全くもって不適格だと考えている。キャパシティが不足しているのだ。
(余談2)
科学論文の多くは,他の科学論文の示すデータや解析結果等に依拠して形成されている場合が多い。その依拠関係を自動的に解析して図示するようなシステムを構築することは非常に容易なことだ。このようなシステムに全データが記録されている場合,もし,ほぼ共通に依拠している「あるデータ」に捏造や誤謬等が含まれていることが後に判明した際には,依拠関係を自動的にトレースし,その依拠が当該論文の核心部分に影響を与えるものかどうかを自動的に判別することができるようにすることは簡単にできることだと思う。そして,そのような自動判定に基づいて警告を発するような仕組みを世界的な規模で構築しないと,世界中の関連論文は全滅的に「紙くず」になってしまう危険性を避けることができない。
私が論文を読んで自分の論文で引用・参照する場合,「一応読んだ上で考察した」ということを示すために記載しているだけで,信用しているわけでも依拠しているわけでもないことがしばしばある。そのような場合には,引用・参照の仕方(表現方法)を微妙に変化させ,それを知っている人にはちゃんとわかるように工夫をしている。
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