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2016年4月 6日 (水曜日)

欧州の洞窟壁画などに見られる動物の多くは絶滅種か?

下記の記事が出ている。

 Resurrecting the auroch: Scientists are breeding cattle that resemble the extinct beasts seen in ancient cave paintings
 Daily Mail: 5 April, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3524158/Resurrecting-auroch-Breeding-programme-creating-cattle-resembling-extinct-beats-inspired-cave-paintings.html

立派な枝角の鹿のモチーフがケルト~スキタイ系文化に長く伝えられ,その残滓が日本の春日大社の鹿にまでつながっている。古代には,狩猟用のシカの仲間を囲い込んでおく風習ないし狩猟方法のようなものがあったのだろう。このほかにも,日本の古習の中には,スキタイ系(オルドス系)の伝統を比較的正確に承継するものが少なくない。日本人がそのように思わない(または,思いたくない)だけではないかと思う。この文化は,朝鮮半島を通過して日本に到達し,朝鮮半島では消えてしまったが,日本には残った。

さて,ケルト~スキタイ系の遺跡から出土する金細工等にはとても立派な角をしかシカのような動物が描かれていることが少なくない。ヘラジカの仲間,トナカイの仲間,シフゾウの仲間など様々な推定がなされているけれども,細かいところを丁寧に観察すると若干問題があり,確定できない。

おそらく,全部食べられてしまい,モチーフだけ残ったというのが真相なのではなかろうか。

このことは,軒丸瓦や家紋などに用いられる植物の花紋様も同じで,なかなか難しい問題がある。特に日本には決して自生しない植物が日本の家紋として用いられている場合,これをどう考えるべきか・・・研究題材は山ほどある。

しかし,人生の時間は短い。大勢の人々が考え始めれば意外と短期間で解明できることなのかもしれないが,けれども,大半の人々は教科書で教わったことが「正しい」と信じて疑わない。だから,どうにもならない。

教科書で教わったことの大半が「嘘」または「確たる根拠はない」ということを冷静に認識・理解すべきだと思う。世界とは,それくらい不確かなものなのだ。

ピュロン(Pyrrho)の懐疑主義ではないが,根拠のあるものとないものとを峻別することだけは必要なことだと思う。そうすると,人工知能が基礎として用いている「知識」なるものも実は「大半が単なる符号に過ぎず,真理または事実だという保証は何もない」ということを理解することができる。保障のない符号をいくら積み重ねても,そこから得られる推論に対する信頼性はない。ゼロを何倍でもゼロのままだからだ。

(余談)

ガンダーラの仏教美術がギリシアに由来するヘレニズムそのものだということについてあまり異論はないだろう。

仏教思想それ自体についても,実は古代のギリシア哲学の一種だという見解が古くからあり,その中でも特にピュロンと関連付けて論ずる見解がある。

最近,何冊か読んでいる。

おそらく,宗教や美術だけではなく,薬草や医学に関する知識や技術もヘレニズムの一種としてとらえられるべき部分がある。

ただし,より正確には,ヘレニズムではなく,もともと古代ケルトの文化の一部としてユーラシアに広く存在したものがあることは確実で,それらをヘレニズムの中に混ぜてしまうことができるかどうかについて更に慎重な検討を要すると思われる。ケルトが先かギリシアが先か・・・なかなか難しい。

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