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2016年4月 6日 (水曜日)

矢嶋美都子「『懐風藻』に見る『文選』の影響-「桜」の考察を中心に-」

下記の論文を読んだ。

 矢嶋美都子
 『懐風藻』に見る『文選』の影響-「桜」の考察を中心に- 
 立命館文学598号795~805頁

非常によく文献を調べてある丁寧な論文だと思う。

好感をもつことができる。

ただ,「櫻」が本当にサクラなのかどうか,それが問題だ。

この論文では,サクラではなくシナミザクラを中心とした考察を進めている。

シナミザクラとは,要するにサクランボの一種だ。ただし,現代においてサクランボとして扱われているセイヨウミザクラとは異なり,酸味が強い。それゆえ,現代人は「食用にしなかったのではないか?」と考えがちだ。しかし,それは間違っている。当時としては,十分に甘く美味しかったのだろうと思う。

私は,アンズやスモモの類を想定しながら考察を進めている。

シナミザクラが当時の日本に輸入されていたかどうかはよくわからないけれども,おそらく輸入されており,薬用として利用されたものだと思う。

いずれにしても,サクラではない。

『懐風藻』にしろ『万葉集』にしろ,安易に,現代の社会で普通にみられる植物を想定して解釈するのは危険なことだということになるのだろう。

更に勉強を重ねることにする。

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