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2016年3月31日 (木曜日)

佐川英治『中国古代都城の設計と思想-円丘祭祀の歴史的展開』

Amazonに注文していた下記の書籍が届いたので,早速読んでみた。

 佐川英治
 中国古代都城の設計と思想-円丘祭祀の歴史的展開
 勉誠出版(2016/2/26)
 ISBN-13: 978-4585221432

本書に書かれていることの半分以上は,中国や日本で刊行された関連書籍で既に読み理解していたことなので,喫緊に必要性のない部分はとりあえずざっと読み通し,目下考えていることと関連する部分を中心に精読した。

「継体の君」に関しては,他にも論説等があると思うけれども,書籍として刊行され現在流通しているものの中で,基本原理と歴史理解とをきちんと整理して解説してあるものはあまりないのではないかと思う。じっくりと読んでみて,なるほどと思うことが多々あった。「継体天皇」の命名それ自体が漢籍に由来するもので,固有名詞ではなかった可能性が高い。すなわち,「継体の君である天皇」という敬称・尊称の一種と考えることができる。実名は別途検討しなければならないけれども,この尊称から,日本国において君主(帝)という概念が確立されたのは,継体天皇が最初と考えるのが妥当ではなかろうか。

また,「北魏平城の鹿苑」に関する部分も精読した。類書はある。しかし,本書の非常に地味な部分で示唆されている見解には学ぶことが多く,大いに刺激になった。日本国における古代の庭園の思想や春日大社における鹿の問題等を考える上でも非常に貴重な論考ではないかと思う。

日本の「平城京遷都」の詔書の由来と思想の構造に関する部分では,貴重な見解が示されている。

良書だと思う。

時間をみつけて残りの部分も精読したいと思う。

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