けや木の平団地遺跡出土の人体文付深鉢形土器
文化庁編『発掘された日本列島2015』(共同通信社)が届いたので読んでみたら,12頁にけや木の平団地遺跡(旧岩手県滝沢村湯舟沢)出土の人体文付深鉢形土器の写真が掲載されていた。
この土器の写真は,下記の場所にもある。
縄文の精神知る資料に 足形付土版、人体文付深鉢 滝沢村有形文化財に2点指定
盛岡タイムズ:2013年8月8日
http://www.morioka-times.com/news/2013/1308/08/13080801.htm
滝沢村指定文化財検討資料(2)
http://www.city.takizawa.iwate.jp/var/rev0/0052/2397/kentousiryou2.pdf
人物の右手には輪が握られ,蛇の図案がある。
「ゴネストロップの大釜」の内側に彫られた鹿角神と基本的には同じものと考えるべきだろう。
つまり,ケルト文化そのものだ。
日本の「縄文時代」には蛇がつきもので,民俗学者等による論考が多数ある。
複数の流れが分かれたり再合流したりして,長い年月をかけて醸成された概念という部分もあるけれども,最もマクロな視点で考察すると,ケルト文化が底流にあると理解するのが妥当だと考えるようになった。
このケルト文化は,南方経由でかなり変容したものと北方経由(おそらく,樺太~千島経由)で比較的原型を保ったままのものとが日本列島で再合流したものかもしれない。
(余談)
この人物は,ギリシア神話でいえばヘラクレスのような大男を示すもので,ヘドロトス『歴史』が伝えるスキタイの起源神話とも関連するものかもしれない。
心理学的に考えると,当時の「大王」のイメージとして「極めて強い大男」という固定観念があったということを想定することもできる。事実,中央アジアにおける広い意味でのスキタイ系墳墓から出土した「王」とみられる人物にはかなり長身の者が結構多く,2メートルと記録されているものもある。
中華思想の中で,「皇帝は偉大で大きな身体をもつ」という固定観念のようなものがあり,現代においても毛沢東が成功したのは巨漢だったからだとの見解がある。
このような固定観念は,同じルーツをもつものと考える。
日本神話では素戔嗚神がこれに該当するかもしれない。
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