清原倫子「斉明天皇の筑紫西下の意義と行程に関する一考察-熟田津の船出を中心に」
下記の論文を読んだ。
清原倫子
斉明天皇の筑紫西下の意義と行程に関する一考察-熟田津の船出を中心に
交通史研究80号25~51頁
非常に面白い。
無論,前提とする『日本書紀』の記述及びその解釈が誤っていれば前提が崩れてしまうのだが,それにしても,現実に船で航行して対唐戦に向かおうとすればどのような工程が必須になるかをより客観的に理解することができるという意味では非常に価値の高い論文なのではないかと思う。
何となく「遠い」とか「近い」とはではなく,より実験考古学に近いかたちでシミュレーションをしてみる努力が積み重ねられるべきだろう。
そうした努力の中から,客観的・物理的に「あり得ない」事柄があぶり出されてくる。そういうものを排除していけば,『日本書紀』の読解がより正確なものとなり得るのではないかと思う。
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