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2016年2月 4日 (木曜日)

鵜飼保雄・大澤良編『品種改良の日本史-作物と日本人の歴史物語』

下記の書籍を読んだ。

 鵜飼保雄・大澤良編
 品種改良の日本史-作物と日本人の歴史物語
 悠書館 (2013/5/1)
 ISBN-13: 978-4903487717

本書は,原種からいかにして現在の作物へと改良されてきたのかについて,イネ,コムギ,トウモロコシ,ダイズ,サツマイモ,トマト,イチゴ,ハクサイ,タマネギ,ネギ,ダイコン,ブドウ,柑橘,リンゴ,ナシ,カキを中心にして,丁寧にわかりやすく説明している。

良書と評価できると思う。広く推奨したい。

(余談)

果樹について,これまで中国の古い書籍を徹底的に読んできた。そこに書かれていることを併せて考えてみると,少なくとも栽培植物については「原種」というものが消滅してしまっているのだろうと思う。また,現在では「原種」と認識され,希少種として保護されているものも,実は,古代の交配品種の生き残りと推定したほうが妥当なのではないかと考える。

果樹や野菜などの栽培植物については,このような推論が受け入れられやすいだろうと想像する。

しかし,私見によれば,栽培植物だけではなく,現在では野生植物として扱われている植物の中にも,かなり多数の人工交配品の子孫が紛れていると推定している。

今後の植物分類学は,従来の見解では「野生植物」として扱われてきたものを真に受けるのではなく,頭から疑問をもち,人工交配品の子孫という可能性を仮説としてもちながら,様々な角度から検討するというものに変更されるべきだろうと思う。

そして,人工交配品の子孫だと確定的に判断できるときは,環境省所管の植物ではなく農水省所管の植物ということになるから,所定のジーンバンク施設で遺伝子保存を行うべきだろうと思う。

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