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2016年2月27日 (土曜日)

宋錫範『済州島古代文化の謎』

古書店に注文していた下記の書籍が届いたので,早速読んだ。

 宋錫範
 済州島古代文化の謎
 成甲書房(1984/10/20)

古い書籍なので、学説としては既に否定されている部分を含むが、出版当時には画期的な書籍だったかもしれないと思う。内容的には現在でも十分に参考になることが多数含まれている。現在の済州島では開発によって文化資源の多くが破壊されたりしてしまっているため,その意味でもとても貴重な書籍なのではないかと思う。

この書籍を読む前に中央アジアの古代史(特にケルト~スキタイ文化)について徹底的に調べていると、この書籍に収録されている古代の遺跡や文化等がケルト~スキタイのものだということにすぐに気づくことができる。済州島は中国の元の時代に蒙古人によって占領・支配されているのでその文化も混じっているかもしれないが、そのように考える場合でも、済州島を占領・支配した「蒙古人」なるものの文化が実はケルト~スキタイの系統に属するものだったと考えるしかなくなるので,どちらの場合でも非常に興味深い題材を提供していることになる。

とりわけ,石人は重要で,帽子の形は尖っていないけれどもあきらかにスキタイ~白匈奴風,手の組み方は非常に古いケルト風,そして,手には杯をもっていないという特徴を有する。林俊雄『ユーラシアの石人』(雄山閣)を先にしっかり熟読しておいてよかったと思う。

古代史をめぐる諸説の中には耽羅国が日本の支配階級の祖であるとする見解がある。仮にこの見解が正しいとすれば,ケルト~スキタイ系の文化圏にある騎馬民に属する人々が日本の支配階級だったということにならざるを得ないだろう。

実は,百濟國も同じような文化だったのではないかと思っている。現在の韓国の文化との間には相当巨大な断絶があるという事実を否定することはできない。

ちなみに,エドヴァルド・ルトヴェラゼ(加藤九祚訳)『考古学が語るシルクロード史』(平凡社、2011)の中にはコーリア(高句麗など)に対するスキタイ文化の影響に関して述べているところがある。サマルカンドの遺跡にある壁画に描かれた双羽の帽子を被った人物は『北史』の「百濟傳」等にある「双羽」のことを指すと思われ,これが本当の百濟人の姿を示すものなのだろうと思う(通説的な見解によると,百濟國においては,支配階級の言語と庶民の言語とが異なっていたとされている。)。きっと耽羅国の支配階級も同じようなものだったのだろうと思う。

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