邪馬台国=沖縄説は成立しないのではないか?
邪馬台国の所在地については九州説と畿内説とがあることは周知のとおりだ。
これとは別に沖縄説というものもある。
仮にその説が正しいとすれば考古学上の発見によっても裏付けられ得るものでなければならない。
そこで何か本はないかと探していたのだが,やっと下記の書籍と出逢うことができた。不勉強のため,最近までこの書籍があるということを知らなかった。
木村栄美編(佐藤洋一郎監修)
ユーラシア農耕史4 さまざまな栽培植物と農耕文化
臨川書店(2009/10/10)
ISBN-13: 978-4653040446
http://www.rinsen.com/linkbooks/ISBN978-4-653-04044-6.htm
本書の25~47頁を読む限り,奄美・沖縄における本格的な農耕の開始は10~12世紀以降のことと考えざるを得ない。そして,本書では,その農耕の開始は,北方からの移住により突然開始されたものだとされている。要するに,そのころに屯田がなされたのだろうと思われる。
現代まで残されている琉球の文化の大部分は,そのころに形成されたものが徐々に変化しつつ伝承されたものだと言える。また,琉球に残る伝承等の中で日本神話と共通の部分は,もっと古い時代に江南経由で伝えられた南方倭族の文化の残滓であるか,または,朝廷によって移植された神道が,その後の対中国情勢の変動等に対応して変化したものと考えざるを得ないことになる。
いずれにしても,邪馬台国=沖縄説を維持するのは,かなり難しそうだと思った。
すると,本流というか,九州説対畿内説の争いだけが残るということになる。
(余談)
本書で示されているフローテション法という手法による解析はすごいものだと思った。
(余談2)
南方系・温帯系の農作物に関する限り,朝鮮半島経由の伝来は皆無とは言わないがほぼ皆無であり,中国大陸南部から直接に日本に伝来したと推定するのが妥当そうだ。
今後,植物のDNA解析等が更に進められることを期待したい。
なお,北方系の植物の伝来等と関連して,本書の14頁と18頁に非常に興味深い記述がある。
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