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2016年1月 4日 (月曜日)

西安市文物保護考古研究院編・楊軍凱著『北周史君墓』

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。2015年中に読んだ中国の発掘記録の中では最も感銘を受けたものと言える。

 西安市文物保護考古研究院編・楊軍凱著
 北周史君墓
 文物出版社(2014/1)
 ISBN13:9787501038909

図版と写真はとても鮮明で,考察する上で非常に助かる。

解説も正確かつ丁寧で勉強になることばかりだった。

謎の多いソグド人のことについて,この遺跡とその出土物は非常に多くのことを語っている。そして,その妻として陪葬されている石氏出身の女性のことも。

私は,発掘された墓誌がエジプトのロゼッタ石に匹敵する学術上の価値の極めて高いものだと考える。

今後,この墓誌から出発して,様々な研究が展開されることになるだろう。

他方,墓所の石彫は,まさに多国籍の様相を示しており,その中には日本の古代史と直結するものが多数含まれている。時代としても北魏~北周の時代であり,日本では蘇我氏の時代に相当する。

発掘品は,美術史という側面からも興味深いことがいっぱいある。

とにかくすごい墓が発見されたものだと思う。

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