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2016年1月17日 (日曜日)

佐藤信夫『新アルメニア史-人類の再生と滅亡の地』

図書館にあったので,下記の書籍を借りて読んだ。

 佐藤信夫
 新アルメニア史-人類の再生と滅亡の地
 泰流社 (1989/3/23)
 ISBN-13: 978-4884706678

本書の出版は1989年なので,アルメニアが旧ソヴィエト連邦から独立した1991年以前の情報を基礎としている。しかし,当時としては極めて画期的な書籍だったと思われ,現時点でも1991年以前のアルメニアの歴史(特に古代史)に関しては,日本語の書籍の中では,本書を超える内容の書籍が存在しないのではないかと思う。

通読してみて,スキタイなどコーカサスの文化との共通点,ケルト人の文化との関連性,ソーマ(ハオマ)と月神との関係,さらには日本の仏教寺院でおこなわれる祭祀等との類似性等を理解することができた。私見では,ソーマ(ハオマ)は大麻草または芥子と関係するものではないかと推定している。

聖書考古学に関してある程度の分量の書籍を読んだ経験を有しないと「とんでも本」のように見えるような部分があるけれども,私は極めて精緻な調査研究と考察に基づく研究業績だと思う。その賛否は別として,本書に書かれている見解を踏まえて考古学上の発見を見直してみると,「なるほど」と感ずる部分がとても多い。

アルメニアの通史なので,いわゆる虐殺問題を含め,アルメニアの現代史に属する部分についても述べられている。ただ,1989年の書籍なので,世界で最も危険とされるメツァモール原子力発電所(Metsamor Nuclear Power Plant)の問題等の現代の問題についての記述はもちろんない。しかし,本書のサブタイトルの「人類の再生と滅亡の地」は,すこぶる意味深なものだと理解することができる。

更に関連書籍を探して読んでみようと思う。

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