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2016年1月 1日 (金曜日)

穂積裕昌『古墳時代の喪葬と祭祀』

下記の書籍を読んだ。

 穂積裕昌
 古墳時代の喪葬と祭祀
 雄山閣 (2012/5/30)
 ISBN-13: 978-4639022220

素晴らしい研究成果だと思う。

古代の水辺を中心とする祭祀に関しては他の類書でも触れられているところなのだが,本書では,「井泉」を中心とする祭祀について,詳細な検討がなされている。類似遺構を大量観察して共通点を見出すという手法がとられており,私も大いに賛同できる部分が多い。

更に,埴輪群像のような場合を含め,1セットの祭祀遺構等について多角的に検討を加え,そのような考古学上の発見から出発して文献資料の意味付けや価値評価を試みるている。私が特に着目したのは,本書183~191頁あたりで述べられている考察結果で,とても勉強になった。ここで引用されている『令義解』巻四十・養老喪葬令親王一品条等を丁寧に読んで考えてみようと思う。おそらく、ここに書かれているものは,古墳時代の葬礼から変化したものだろうと推定される。

他方で,日本の古代における「庭園」というものについて,実に納得度の高い解釈が重厚に述べられている。基本的に賛成だ。無論,中国から輸入された中華様式の庭園があったことも事実だ。本書で述べられているのはそういうことではない。私の直観的な理解としては,現在でも存在している寺院の石庭等につながるものがあるのではないかと思う。

考える素材が満載なので,何度も読み直しながら自分なりに考えてみようと思う。

[このブログ何の関連記事]

 大阪府立近つ飛鳥博物館編『埴輪群像の考古学』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-cc39.html

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