« 橋口達也『弥生時代の戦い-戦いの実態と権力機構の生成』 | トップページ | 米国:Yahooメールを自動的にスキャンし非会員に対しても商業宣伝広告付電子メール送信をすることが違法とするクラスアクションにおいて和解が成立したらしい »

2016年1月15日 (金曜日)

桜井俊彰『消えたイングランド王国』

下記の書籍を読んだ。新書版なので,比較的短時間で読み切ることができる。

 桜井俊彰
 消えたイングランド王国
 集英社新書 (2015/12/22)
 ISBN-13: 978-4087208146

内容は,アングロサクソンの王国が栄え,そして,ノルマン人(フランス人)の征服により消滅する経緯についてわかりやすく説明したものだ。

一般には,文学的な要素を中心として,ロマンチックな騎士物語等を述べる書籍が多いのだが,本書では,比較的即物的に政治プロセスとしての王国の歴史を述べている。

特にノルマン人(フランス人)によってアングロサクソンの王侯貴族が征服され消滅してしまったいきさつについての考察を読むと,きっと日本の古代にも同じようなことがあったのだろうとの類推を可能とするもので,非常に興味深い。例えば,壬申の乱と呼ばれている出来事の実相について,考えてみると良い。

どんなにすごい武人王であっても,所詮は一人の人間であり,それを頼り支持する大勢の貴族層やその命令に従う兵士が存在しなければほぼ無力に近い。それらの支持層が,日和見や打算で曖昧な行動をとるとどういう結果となるかということが平易に述べられている。

このような初等政治力学のようなものは現代の普通の国家においても普遍的に存在するもので,人類は本当に何も進歩していないと痛感する。要するに,自分だけしか愛せないのだ。

|

« 橋口達也『弥生時代の戦い-戦いの実態と権力機構の生成』 | トップページ | 米国:Yahooメールを自動的にスキャンし非会員に対しても商業宣伝広告付電子メール送信をすることが違法とするクラスアクションにおいて和解が成立したらしい »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 橋口達也『弥生時代の戦い-戦いの実態と権力機構の生成』 | トップページ | 米国:Yahooメールを自動的にスキャンし非会員に対しても商業宣伝広告付電子メール送信をすることが違法とするクラスアクションにおいて和解が成立したらしい »