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2016年1月24日 (日曜日)

ボリス・ピオトロフスキー(加藤九祚訳)『埋もれた古代王国の謎-幻の国ウラルトゥを探る』

下記の書籍を読んだ。

 ボリス・ピオトロフスキー(加藤九祚訳)
 埋もれた古代王国の謎-幻の国ウラルトゥを探る 
 岩波書店 (1981/9/10)

現在のアルメニアにあった古代の王国で,スキタイ(ケルト)とほぼ同じような民族だったのではないかと考えられる。

とんがり帽子の埴輪のルーツを探しながら,やっとここまでたどり着いた。

本書の内容は,遺跡発掘結果に基づくウラルトゥ王国の文化に関する概説で,非常に面白い。翻訳の正確性を検証する能力は全くないけれども,翻訳文を読む限り,とてもわかりやすい。

本書の79頁にある土偶の図の示す三角帽子の男性像は,古代ケルトの戦士と推定されているヒルシュランデン出土の石人とよく似ている。この石人は,三角帽子をかぶっている。

本書の105頁にあるシヴィニ神の図の示す両腕を上に掲げて器物を支える姿は,ホッホドルフの青銅寝台を支える人物像や曾侯乙墓出土の楽器の支柱となっている人物像と基本的なモチーフが一緒なのではないかと思う。

本書の140頁にある神像の鬚と髪の形状は,芝山古墳の埴輪と酷似している。

本書の148頁と151頁にある兜はまさにとんがり帽子だ。きっと地位の高い者ほど高く尖った兜を装着したのだろうと思う。

後代のアッティラの兜も尖ったものとして描かれることが多く,プロイセンの鉄兜も尖っているが,ここらへんになると関連性は不明だ。

更に散策は続く。

[このブログ内の関連記事]

 とんがり帽子の埴輪
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-d916.html

 芳賀日出男『ヨーロッパ古層の異人たち-祝祭と信仰』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-5fcf.html

 佐藤信夫『新アルメニア史-人類の再生と滅亡の地』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-408b.html

 林俊雄『ユーラシアの石人』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-0811.html

 16世紀ロシアのイワン雷帝軍所属将校のものとみられるとんがり帽子型兜
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/16-d40c.html

 リトルトン,マルカー(辺見葉子・吉田瑞穂訳)『アーサー王伝説の起源―スキタイからキャメロットへ』
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