甘粛省文物考古研究所編『西戎遺珍-馬家塬戦国墓地出土文物』
昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。
甘粛省文物考古研究所編
西戎遺珍-馬家塬戦国墓地出土文物
文物出版社(2014/11)
ISBN: 9787501041497
遺跡は,張家川馬家塬戦国墓は,現在の甘粛省天水市張家川回族自治県にあり,戦国時代の戎族の墓群とされている。当時の戦車が多数発掘されたことで有名となった。
古代戎族の車両部品が多数出土 甘粛の馬家原戦国墓地で
中華通信社:2008年10月21日
http://www.china-news.co.jp/node/2871
「北周史君墓」も甘粛省にあるので,甘粛省のある地域は,原始時代から相当遅い時期まで「漢人」の地ではなかったと考えるべきだろう。
本書は,その墓群から発掘された出土物の図録で,解説部分は非常に短く,綺麗なカラー写真とその説明の頁が圧倒的多数を占めている。
最初のほうに墓所の図面があるので,どのようなプランで造営された墓所なのかを知ることができる。墓群は,山の斜面を利用して造営されており,何となく日本の阿武山にある墓群を彷彿とさせる部分がある。
写真の頁の最初のほうに発掘された戦車の写真とその復元図面がある。何とも豪華なものなのだが実戦向きとは到底言えないものなので,王が閲兵用・儀式用に用いたものではなかろうか。
33頁以下にある金銀器の写真には圧倒される。
これは,スキタイのものだと言われたら「そうかもしれない」と思ってしまうようなものばかりだ。無論,断定することはできないが,とにかくそういうもののばかりで,驚愕するしかない。
その王は,金髪・碧眼だったのではないかと想像する。
ちなみに,秦の始皇帝が中国全体を征服するまでは,現在の甘粛省天水市張家川回族自治県にある秦邑を主な中心地としていた。
どの大学図書館にも1冊は備えておくべきだろうと思う。
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