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2016年1月 4日 (月曜日)

Jai Galliot, Military Robots - Mapping the Moral Landscape

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Jai Galliot
 Military Robots - Mapping the Moral Landscape
 Ashgate (2015)
 ISBN-13: 978-1472426628

軍事技術の解説書ではなく,軍用ドローンの運用と関連する法的・倫理的な責任,その運用を正当化(合法化)する論理について論じたものだ。

この種の書籍を何冊か読んだのだけれども,誰でも考えることのできる一般論を述べるだけのものが比較的多い。

本書では,やや深い考察が見られる。また,本書の特徴として,人間がリモートでドローンを運用する場合(完全に自律的なドローンではない場合),それは,単純に操縦しているという環境ではなく,仮想技術を駆使した仮想空間で操縦していることになるとの趣旨の認識を前提にして,非常に興味深い考察をめぐらせている。

法律論としては,このような場合の「故意」をどのように考えるべきかが問題となる。

従来は,生体脳の中での錯乱のようなものとしてのみ考察されてきた。しかし,仮想現実世界が実在する現実ではないが,脳内には存在し,しかも自己の能力の拡張(延長)の一部として存在している。従来の法学上の故意論では,このような問題について一切考えてこなかった。閉じた空間としての生態脳だけを理解してきたのだ。

しかし,リモートで操作されるドローンの問題を考える場合,このような仮想空間と合成された脳内には現実に存在する「事実」のようなものを前提にものごとを考えなければならない。

ここでは,古典的な意味での錯誤論は全く通用しなくなるだろう。別のタイプのアプローチが必要となる。

私見は既にあるが,ブログで不完全なかたちで書くと誤解を招くので,いずれ論説で正式に公表しようと思う。

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