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2016年1月31日 (日曜日)

多胡郡正倉跡の発掘

下記の記事が出ている。

 高崎市教委 多胡碑の南に法倉跡 碑文裏付け 県内初の瓦ぶき /群馬
 毎日新聞:2016年1月29日
 http://mainichi.jp/articles/20160129/ddl/k10/040/142000c

 多胡郡正倉跡に巨大な法倉
 高崎新聞:2016年1月29日
 http://www.takasakiweb.jp/news_cat/news/1471/

なお,下記のような記事も出ている。

 「東国文化の中心地」証明?! 群馬県の古墳調査 1万2000基で東日本トップ級アピール
 産経ニュース:2016年1月30日
 http://www.sankei.com/life/news/160130/lif1601300001-n1.html

多胡碑のあるあたりは,どうやら東国の中心地だったらしい。

『魏書』の「倭人伝」にある「鬼奴国」だろうか?

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縄文時代には既に火葬があった?

下記の記事が出ている。

 林中原II遺跡(長野原町)縄文人人骨 事業団調査で県内最古
 東京新聞:2016年1月31日
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201601/CK2016013102000176.html

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Microsoft Word, Excel, Powerpoint等のファイルを介したマルウェア感染

下記の記事が出ている。

 BlackEnergy APT Group Spreading Malware via Tainted Word Docs
 Threat Post: January 28, 2016
 https://threatpost.com/blackenergy-apt-group-spreading-malware-via-tainted-word-docs/116043/

 BlackEnergy malware deployed using malicious Word docs
 SC Magazine: January 28, 2016
 http://www.scmagazine.com/researchers-spot-blackenergy-malware-being-spread-via-infected-word-docs/article/469208/

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邪馬台国=沖縄説は成立しないのではないか?

邪馬台国の所在地については九州説と畿内説とがあることは周知のとおりだ。

これとは別に沖縄説というものもある。

仮にその説が正しいとすれば考古学上の発見によっても裏付けられ得るものでなければならない。

そこで何か本はないかと探していたのだが,やっと下記の書籍と出逢うことができた。不勉強のため,最近までこの書籍があるということを知らなかった。

 木村栄美編(佐藤洋一郎監修)
 ユーラシア農耕史4 さまざまな栽培植物と農耕文化
 臨川書店(2009/10/10)
 ISBN-13: 978-4653040446
 http://www.rinsen.com/linkbooks/ISBN978-4-653-04044-6.htm

本書の25~47頁を読む限り,奄美・沖縄における本格的な農耕の開始は10~12世紀以降のことと考えざるを得ない。そして,本書では,その農耕の開始は,北方からの移住により突然開始されたものだとされている。要するに,そのころに屯田がなされたのだろうと思われる。

現代まで残されている琉球の文化の大部分は,そのころに形成されたものが徐々に変化しつつ伝承されたものだと言える。また,琉球に残る伝承等の中で日本神話と共通の部分は,もっと古い時代に江南経由で伝えられた南方倭族の文化の残滓であるか,または,朝廷によって移植された神道が,その後の対中国情勢の変動等に対応して変化したものと考えざるを得ないことになる。

いずれにしても,邪馬台国=沖縄説を維持するのは,かなり難しそうだと思った。

すると,本流というか,九州説対畿内説の争いだけが残るということになる。

(余談)

本書で示されているフローテション法という手法による解析はすごいものだと思った。

(余談2)

南方系・温帯系の農作物に関する限り,朝鮮半島経由の伝来は皆無とは言わないがほぼ皆無であり,中国大陸南部から直接に日本に伝来したと推定するのが妥当そうだ。

今後,植物のDNA解析等が更に進められることを期待したい。

なお,北方系の植物の伝来等と関連して,本書の14頁と18頁に非常に興味深い記述がある。

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殺虫剤に対して超耐性を有する小動物が増加?

下記の記事が出ている。

 Rise of the SUPER PESTS: Bed bugs are becoming resistant to common insecticides
 Daily Mail: 28 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3420972/Rise-SUPER-PESTS-Bed-bugs-resistant-common-insecticides.html

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CiscoがRV220Wの脆弱性にパッチ

下記の記事が出ている。

 Cisco patches authentication, denial-of-service, NTP flaws in many products
 CIO: January 29, 2016
 http://www.cio.com/article/3028032/security/cisco-patches-authentication-denial-of-service-ntp-flaws-in-many-products.html

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Hedge Fund Standards Board (HFSB)のサイバー攻撃シミュレーションレポート

下記の記事が出ている。

 Hedge Fund Standards Board Publishes Findings From First Cyber-Attack Simulation
 National Law Review: January 29, 2016
 http://www.natlawreview.com/article/hedge-fund-standards-board-publishes-findings-first-cyber-attack-simulation

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小野友道『いれずみの文化誌』

下記の書籍を読んだ。

 小野友道
 いれずみの文化誌
 河出書房新社(2010/9/30)
 ISBN-13: 978-4309245249
 http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309245249/

本書は,大塚薬報に連載されたエッセイ30話を1冊の書籍にまとめたものだそうだ。

1つの話題についてそれぞれ6頁程度で,簡潔にまとめられている。より詳しい情報源については巻末に詳細な参考文献一覧がある。それを頼りにして,より詳しく調べることができる。

一般向け書籍としても読みやすく,勉強になる本だと思う。

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電波チップの身体インプラントの未来

下記の記事が出ている。

 Traveler implants chip for airport check-in
 WND: January 21, 2016
 http://www.wnd.com/2016/01/dutch-traveler-implants-chip-for-airport-check-in/

 US presidential candidate gets RFID/NFC chip implanted in his hand
 Wareable: September 25, 2016
 http://www.wareable.com/wearable-tech/us-presidential-candidate-gets-rfidnfc-chip-implanted-in-his-hand-1732

 DARPA Challenges Researchers to Link Human Brains With Computers
 Tech News World: January 26, 2016
 http://www.technewsworld.com/story/83029.html

 米大手放送局「2017年までに全アメリカ人にマイクロチップが埋め込まれる」 “遠隔殺人機能”も!?
 トカナ:2016年1月25日
 http://tocana.jp/2016/01/post_8663_entry.html

ちなみに,例によって,バカげたインプラントも更に進んでいるようだ。

 You can now watch grinders implant LEDs into their hands 
 Wareable: January 20, 2016
 https://www.wareable.com/wearable-tech/watch-grinders-implant-leds-into-hands-2195

本論に戻り,チップに青酸カリが入れられているかどうかは知らないが,脳の思考に干渉する電波を出すことはできる。少なくとも脳の直接電磁波で働きかけ気力を喪失させるような方法は既に技術的に確立されており,あとは実行するかどうかだけという段階に入っている。

ところで,このようなチップが識別チップとして機能するためには,識別コードが必要となる。マイナンバーは,そのためにも準備されているものなので,いずれ日本国民は(私を含め)全員,奴婢サイボーグ化されることになるだろう。

ところが,先進国以外では,このような状況は発生しない。

すると,先進国ではない国にとっては,チップを遠隔操作するサーバをハックして混乱させるだけで先進国を実質的に破壊することが可能となる。

世間では「影の政府」云々と噂されることがあるが,本当は,国際テロリストまたは米国に対抗する国家等が米国の連邦政府と軍を騙してこのようなことを推進しているのではないかと疑いたくなる。

もし私がテロリストであれば,チップを埋め込んだSP等のデータをハックし,SPの行動をリアルタイムに観察しながら,非常に効果的に,世界的巨大企業の企業経営者・有力株主や有力政治家等を暗殺することができるかもしれないと考えることだろう。

リスク管理としては,このようなチップを物理的に製造している工場が地理的にどこに所在しているのか,チップを保護するためのソフトウェアを製造しているのはどの企業なのかを正確に理解することだと思う。ちなみに,PC用のチップ等を製造するIntelの工場は中国・大連にもある。また,機密性の高いソフトウェアの製造をするエンジニアの中には,非常に優秀なロシア系,中国系,インド系,アラブ系等の人々が多数存在している。

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TalkTalkに対するサイバー攻撃の共犯者との容疑で,コールセンターに勤務する者がインドで逮捕されたらしい

下記の記事が出ている。

 TalkTalk cyber attack: Call centre workers arrested in India as part of hacking probe
 Independent: 28 January, 2016
 http://www.independent.co.uk/life-style/gadgets-and-tech/news/talktalk-call-centre-workers-arrested-in-india-in-cyber-hacking-probe-a6838381.html

[このブログ内の関連記事]

 英国:TalkTalkがまたまたハックされ,大量の個人データが奪われたらしい
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/talktalk-a1c3.html

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イスラエル:イランがサイバー軍備を拡張しているとして非難

下記の記事が出ている。

 Israeli generals said among 1,600 global targets of Iran cyber-attack
 Times of Israel: January 28, 2016
 http://www.timesofisrael.com/israeli-generals-said-among-1600-global-targets-of-iran-cyber-attack/

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工場やインフラの制御システムに対するサイバー攻撃が増加か?

下記の記事が出ている。

 Industrial control systems a growing target for cyber attack
 Computer Weekly: 29 January, 2016
 http://www.computerweekly.com/news/4500272123/Industrial-control-systems-a-growing-target-for-cyber-attack

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ドイツ:2015年に長期間にわたり連邦議会に対してなされたサイバー攻撃はロシア政府によるもの?

下記の記事が出ている。

 Report: Germany Blames Russia For Parliament Cyberattack
 Radio Free Europe: January 30, 2016
 http://www.rferl.org/content/russia-germany-blame-parliament-cyberattack/27520670.html

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FacebookにXSS攻撃を発生させるバグ?

下記の記事が出ている。

 This Facebook bug could have allowed hackers to take over your account
 Naked Security: 29 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/29/this-facebook-bug-could-have-allowed-hackers-to-take-over-your-account/

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2016年1月30日 (土曜日)

米田該典『正倉院の香薬-材質調査から保存へ』

下記の書籍を読んだ。

 米田該典
 正倉院の香薬-材質調査から保存へ
 思文閣出版 (2015/10/22)
 ISBN-13: 978-4784218219

非常に勉強になった。

理解を容易にするために表などが効果的に用いられており,とても助かる。

通読して,奈良時代~平安時代における「香」の文化のアウトラインを理解できたように思う。

そして,従来の通説が考えているような貴族の「香」=「藤袴」=「フジバカマ(Eupatorium fortunei (旧説ではEupatorium japonicum))」という図式は,他に物的証拠が存在しない限り成立せず,文学者の観念的な空想にとどまるものと思われる。

万葉集を含め,日本文学は根本的なところで全面的な見直しを求められていると考える。

私見によれば,自然科学上の知見と矛盾しないように文学上の解釈を構成する実証的文学論という手法へと移行すべきだと思う。

(余談)

仮説の段階にとどまるが,フジバカマ説は,主として江戸時代に形成されたものだと考える。

当時の中国から高級香料としてフジバカマの類が大量に輸入され,その販売促進のために『源氏物語』や『万葉集』の版本が出版され,その講釈が普及したものだろうと思う。

(余談2)

本書の中には何度か毒草イケマの話題が出てくる。

特別の薬草として,他の香木等とは別の器に入れて保管されてきたものらしい。

本書では,その使用目的を謎としている。

私は,高貴な人物を暗殺する必要が生じたときに毒薬として用いるために保管されてきたものだと推定する。

なお,トリカブトの可能性も留保したまま更に研究を深めようと思う。

いずれにしても,『養老令』の実質を考察する場合,更に詳しく植物学と関連する探究を続けなければならないことだけは明らかだろうと思う。考古学上の発見が続いているので,それらと結合し,より合理的な推論を構築することが可能かどうか考察を進めたいと思う。

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Social Network for Enabling the Physical Sharing of Documents (US Patent No.9240000)

下記の記事が出ている。

 What's stupid this month: Xerox patents sharing documents online
 ars technica: January 30, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/whats-stupid-this-month-xerox-patents-sharing-documents-online/

 Stupid Patent of the Month: Sharing Your Hard Copy Documents, but on a Social Network
 EFF: January 29, 2016
 https://www.eff.org/deeplinks/2016/01/stupid-patent-month-sharing-your-hard-copy-documents-social-network

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米国:Blackshadesマルウェア製造の共犯者について,5年間の保護観察(プロベーション)の宣告

下記の記事が出ている。

 Blackshades malware co-creator gets five years of probation
 REUTERS: January 29, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-usa-cyber-blackshades-idUSKCN0V728L

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阿迪力・阿布力孜編『新疆古代服飾芸術』

下記の書籍を読んだ。

 阿迪力・阿布力孜編
 新疆古代服飾芸術
 新疆美術出版社(2008/12)
 ISBN-13: 978-7807445203

新疆ウイグル自治区で発掘された衣服等を総合的に検討した書籍だ。白黒だが写真も多数収録されている。

私が入手したものは2009年11月に重版となったものだ。この種の書籍としては異例と言っても過言でないほど売れている書籍ということなのだろう。

本書の1~7頁には,帽子について解説がある。千葉県の芝山古墳等から出土したとんがり帽子埴輪と同じような「つば」のあるとんがり帽子の実物が多数発掘されているようだ。つまり,芝山古墳の埴輪の帽子は,胡人のものとほぼ断定してよいと思われる。

本書に示されているのと同じような「つば」のあるとんがり帽子は,アジア考古学四学会編『アジアの王墓』(高志書院,2014)の284頁に図CとしてSpindlerの著書から引用するかたちで示されているから,古いケルトの帽子と同じものと推定することができる。要するに,ケルト人(スキタイ人)の中には,フェルト製のとんがり帽子をかぶっていた種族が含まれると考えることができ,その一派が中国にも及んでいたと推定することができる。早速,Spindlerの原書を注文した。到着したらしっかりと読んでみようと思う。

本書(『新疆古代服飾芸術』)の8~21頁には髪型に関する記述がある。角髪(みずら)と推定されるものもあり,また,スキタイの女性特有のものではないかと思われる高く棒のように結い上げた髪型もある。特に注目したいのは,本書11頁にあるホータン(和田)地区砂漠で発見されたという石像で,これは,エジプトの女性像だと言われても「そうか」と思ってしまうくらい見事にエジプト的なものだ。エジプト人の集団が中国に移動していたことは疑いがないだろうと思う。私見では,古代のエジプト人の技術者がピラミッド型の巨大王墓(秦や前漢の王墓)をつくったのではないかと思う。

本書の22~30頁には,顔の化粧について書いてある。日本の埴輪にも朱で化粧したものがあり,『魏書』の倭人伝等にもそのような記述がある。また,古代ケルトのピクト人は化粧または刺青をしていたと推定されることから,ケルト系(スキタイ系)種族に広くこのような習俗が存在していたと推定される。南回りで移動した古代ケルトの人々は,東南アジアや中国の江南でも豊富な植物性顔料や鉱物性顔料を用いて化粧の技術を多彩に開花させたのだろうと思う。

以上のほか,どの頁をひらいても勉強になることが多かった。もっと早くこの書籍と出逢いたかった。

本書は,日本の埴輪に興味をもつ人を含め,古代に興味をもつ人全てに是非ともお勧めの一冊と言える。カラー写真による日本語版が出版されることを期待したい。

(余談)

芝山古墳に限らず,日本の古墳にある埴輪の中には,とても日本で発生したものとは思われないものが多々あり,このブログでもときどき書いてきた。

巫女とされる埴輪で頭に板状のものをつけているものがあるが,これは,「冕冠(べんかん)」だろうという推定でほぼ間違いないと考えている。同様の結論を示す見解が既にあるようなので,目下,関連書籍を探索中。

芝山古墳の埴輪のとんがり帽子は,きっと古代ケルト(スキタイ)に比較的普遍的に存在したものだろうと考える。

要するに,日本の古墳の主とされる王の中には,ユーラシア大陸から移動してきた馬を使う一族(高度な武器で武装した集団)のものが少なからず含まれている。それを「騎馬民族」と呼ぶかどうかは趣味の問題に属するかもしれない。大事なことは,「そのような文化が日本で独自に発生し得るものかどうか」という一点に帰着する。この大事なポイントを重視せず,些末なことにこだわって悪あがきしているような書籍や論文等を多数読んだが,ほぼ無意味な努力ではないかと考えている。誹謗中傷と受け止めらると困るので,専門外のものについては,しっかりと読んでいてもブログでは触れないようにしている。

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リーガルマルウェア

下記の論説を読んだ。

 高橋郁夫
 リーガルマルウェアの法律問題
 infoCom Review vol.66 (2016) pp.88-103

論旨は理解できるが,アプローチが間違っていると思う。全く賛成できない。

法制度全体の構成要素を見誤っており,根本から再考すべきだと考える。

私見をブログで書いても仕方ないので,論文としてまとめ,公表しようと思う。

なお,Legal Malwareの概念については,下記の論説(Web上で読めるもの)がある。

 What Is Wrong With 'Legal Malware'?
 Forbes: December 22, 2014
 http://www.forbes.com/sites/eugenekaspersky/2014/12/22/what-is-wrong-with-legal-malware/

 合法マルウェアとサイバー傭兵
 Kaspersky: 2014年10月17日
 https://blog.kaspersky.co.jp/legal-malware-counteraction/5099/

 Malware Attribute Enumeration and Characterization
 Ivan Kirillov, Penny Chase, Desiree Beck & Robert Martin
 https://maec.mitre.org/about/docs/Introduction_to_MAEC_white_paper.pdf

 Technical, legal and ethical dilemmas: distinguishing risks arising from malware and cyber-attack tools in the ‘cloud’— a forensic computing perspective
 Vlasti Broucek, Paul Turner
 Journal of Computer Virology and Hacking Techniques
 February 2013, Volume 9, Issue 1, pp 27-33
 First online: 30 September 2012
 http://link.springer.com/article/10.1007/s11416-012-0173-0

 How governments are using spyware to attack free speech
 Amnesty International: 20 August, 2015
 https://www.amnesty.org/en/latest/campaigns/2015/08/how-governments-are-using-spyware-to-attack-free-speech/

[このブログ内の関連記事]

 BoeingとHacking Teamが共同で,マルウェアを散布するドローン(無人航空機)を開発?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/boeinghacking-t.html

 Hacking TeamはAndroid用のスパイウェアを提供している?-Malware-as-a-Service(MaaS)
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/hacking-teamand.html

 Hacking Teamの通信傍受用ソフトウェアには著作権侵害となるコードが含まれている?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/hacking-team-dc.html

 wifi無線通信傍受用ドローン(無人航空機)
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/wifi-d5e5.html

 傍受ツールの製造会社Hacking Teamがハックされ,諜報機関の諜報活動を示す情報がリークされたらしい
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/hacking-team-3b.html

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cPanelがハックされたらしい

下記の記事が出ている。

 Hackers launch cyberattack against cPanel systems
 ZDNet: January 28, 2016
 http://www.zdnet.com/article/hackers-launch-cyberattack-against-cpanel-systems/

 Website admin cPanel hacked, loses a bunch of folks' contact details
 Register: 27 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/27/cpanel_security_breach/

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警察庁:「ストーカー総合対策」の取組状況について

警察庁のサイトで,下記のとおり公示されている。

 「ストーカー総合対策」取組状況(概要)
 ストーカー総合対策関係省庁会議:平成28年1月28日
 https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/stalker/sougoutaisaku/torikumigaiyou-stalkersougoutaisaku.pdf

 ストーカー総合対策施策一覧
 https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/stalker/sougoutaisaku/torikumiitirann-stalkersougoutaisaku.pdf

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人間が何を考えているのかを即時に読み取るコンピュータシステムは開発可能?

下記の記事が出ている。

 Mind-reading computer INSTANTLY knows what you're thinking about
 Daily Mail: 29 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3423290/Mind-reading-computer-INSTANTLY-knows-thinking-about.html

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HSBCのオンラインバンキングシステムがサイバー攻撃を受けたらしい

下記の記事が出ている。

 HSBC online banking is 'attacked'
 BBC: 29 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/business-35438159

 HSBC cyber attack causes disruption for online banking customers
 BT: 29 January, 2016
 http://home.bt.com/news/uk-news/hsbc-personal-banking-website-hit-by-cyber-attack-11364036877711

 HSBC fights off denial of service attack on its internet banking systems
 ZDNet: January 29, 2016
 http://www.zdnet.com/article/hsbc-fights-off-denial-of-service-attack-on-its-internet-banking-systems/

 HSBC online services still offline following 'attack' on bank
 Register: 29 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/29/oh_no_hsbc_online_service_out_again/

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NSAとGCHQはイスラエルのドローン(無人航空機)ハッキングを用いた諜報活動のためにオープンソースのソフトウェアを使用している?

下記の記事が出ている。

 NSA, GCHQ used open source software to spy on Israeli, Syrian drones
 ars technica: January 30, 2016
 http://arstechnica.com/information-technology/2016/01/nsa-gchq-used-open-source-software-to-spy-on-israeli-syrian-drones/

 Israeli drones and jet signals slurped by UK and US SIGINT teams
 Register: 29 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/29/israeli_drones_and_jet_signals_slurped_by_uk_
and_us_sigint_teams/

 GCHQ and the NSA spied on Israeli drone video feeds
 Verge: January 29, 2016
 http://www.theverge.com/2016/1/29/10872860/gchq-nsa-drone-spy-snowden

 Spies in the Sky - Israeli Drone Feeds Hacked By British and American Intelligence
 Intercept: Jan. 29 2016
 https://theintercept.com/2016/01/28/israeli-drone-feeds-hacked-by-british-and-american-intelligence/

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2016年1月29日 (金曜日)

方勤・呉宏堂主編『穆穆曾侯-棗陽郭家廟曾国墓地』

下記の書籍を読んだ。正確には,図録なので,写真を見てその説明文を読んだ。

 方勤・呉宏堂主編
 長江文明館・湖北省博物館・湖北省文物考古研究所・棗陽博物館編
 穆穆曾侯-棗陽郭家廟曾国墓地
 文物出版社(2015/11)
 ISBN13:9787501044306

全体としてみると,ケルト的というしかない。現時点ではあまり賛同を得られないと思うが,ほぼ間違いない。ケルト文化が東アジアで発生し,西に伝播した・・・という学説は聞かないが,検討の余地がある。

また,玉器や金属製装飾具には何となくスキタイ的な特徴があるようにも見える。

あれこれ写真を見ている間に,比較検討のための参考として収録されている写真に目がとまった。それは,「方座」と呼ばれる青銅器の器物だ(59頁)。

巴紋を4つ組み合わせている。

何度も見ている間に,あることに気づいた。図と地の関係でいうと,巴の紋を図とし,それ以外の部分を字とすると,巴は陽でありそれ以外の部分は陰となる。陽の部分だけ見ていると,巴が4個あるようにしか見えない。しかし,陰の部分を見ていると,これは,明らかに卍紋を示している。要するに,日本で言えば,神社の巴は陽であり,寺の卍は陰ではあるけれども,同一のものの観点の相違に過ぎないということになりそうだ。

日本風に言えば,「巴」は「ハレ」の祭祀を意味し,「卍」は「ケ」の祭祀を意味するが,実は表裏一体ということになりそうだ。私見では,「もともと神仏習合説」なので,私見(ヒンヅー教またはバラモン教渡来説)とも一致する。

4tomoe_3
更によく見てみると,この図柄は,道鏡によくある「太陽+黒鳥(烏)」の図柄のルーツになっているように思う。

4陰+4陽=8となるから,まさに「八咫の烏」だ。

面白い。

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テレビ局を狙ったサイバー攻撃の脅威が高まっている?

下記の記事が出ている。

 Word up: BlackEnergy SCADA hackers change tactics
 Register: 28 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/28/blackenergy_tv_station_attack/

 BlackEnergy APT Group Spreading Malware via Tainted Word Docs
 Threat Post: January 28, 2016
 https://threatpost.com/blackenergy-apt-group-spreading-malware-via-tainted-word-docs/116043/

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米国:米国政府が本人の同意なくEU域内者の個人データを開示した場合に当該本人が米国内で米国政府に対して訴訟を提起することを認める法案が連邦議会上院で可決されたらしい

下記の記事が出ている。

 Senate panel approves bill to boost protections for Europeans' data privacy
 USA Today: January 28, 2016
 http://www.usatoday.com/story/news/2016/01/28/senate-panel-approves-bill-boost-protections-europeans-data-privacy/79461184/

日本でも同様の法令が存在しない場合,EUと日本との間で,個人データ保護の法制に関してコンパチブルになっていないと評価される可能性はある。

民間レベルでの民事訴訟に関しては,従前の民事訴訟法改正等により一応そこそこ対応しているように思うが,まだ改善の余地がある。なぜなら,コンパチブルになっているのは労働関係訴訟と消費者保護関係訴訟だけであり,それらの範疇に含まれない類型のものについては法解釈に任されているからだ。

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Apple製品の電源コードのプラグに脆弱性があるためリコール

下記の記事が出ている。

 Apple plug recall over safety concerns
 BBC: 28 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35432682

[追記:2016年1月30日]

関連記事を追加する。

 Apple、 2芯AC電源プラグをリコール。「ごくまれ」に感電の恐れ
 Tech Crunch Japan: 2016年1月29日
 http://jp.techcrunch.com/2016/01/29/20160128apple-recalls-two-prong-plugs-over-very-rare-shock-risk/

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米国:ハックしてリモートで操作可能なWebカメラの製造販売木御油に対して消費者保護監督官庁による調査が開始されるようだ

下記の記事が出ている。

 US parents warned on hacked baby webcams
 BBC: 28 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35427586

実際にはセキュリティのレベルが低いため,権限のない第三者が外部から容易にハックしリモートで操作可能な製品なのに,「安心して使用できます」等と表示してその製品を販売した場合,日本国の法令では景品表示法違反(優良誤認)となる可能性があると考えられる。

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JIPDECがAPEC越境プライバシールールシステムにおける認証団体に認定

下記のとおり公示されている。

 APEC域内の国境を越える個人情報の保護に認証が与えられるようになります
 ~我が国初のAPEC越境プライバシールールシステムの認証団体が認定されました~ 
 経済産業省:2016年1月25日
 http://www.meti.go.jp/press/2015/01/20160125005/20160125005.html

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LG製スマートフォンに重大な脆弱性?

下記の記事が出ている。

 Millions of LG phones at risk, Israeli team discovers
 Times of Israel: January 28, 2016
 http://www.timesofisrael.com/millions-of-lg-phones-at-risk-israeli-team-discovers/

 LG closes data-theft hole affecting millions of G3 smartphones
 ars technica: January 28, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/lg-closes-data-theft-hole-affecting-millions-of-g3-smartphones/

[追記:2016年1月31日]

関連記事を追加する。

 Clever LG Droid Bug Can Attack You Through Birthday Notifications
 DARK Reading: January 29, 2016
 http://www.darkreading.com/endpoint/clever-lg-droid-bug-can-attack-you-through-birthday-notifications-/d/d-id/1324101

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OpenSSLのバグ

下記の記事が出ている。

 OpenSSL Project Patches Two Security Bugs, One Labeled Critical
 Softpedia: 28 January, 2016
 http://news.softpedia.com/news/openssl-project-patches-two-security-bugs-one-labeled-critical-499579.shtml

 High-severity bug in OpenSSL allows attackers to decrypt HTTPS traffic
 ars technica: January 29, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/high-severity-bug-in-openssl-allows-attackers-to-decrypt-https-traffic/

[追記:2016年1月30日]

関連記事を追加する。

 OpenSSL patch quashes rare HTTPS nasty, shores up crypto chops
 Register: 29 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/29/openssl_patch_quashes_rare_https_nasty_
shores_up_crypto_chops/

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米国:カリフォルニア州バークレー市のモバイルからの電磁波放射規制条例が発効する見込み

下記の記事が出ている。

 Berkeley’s cell phone radiation warning law can go into effect, judge rules
 ars technica: January 29, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/berkeleys-cell-phone-radiation-warning-law-can-go-into-effect-judge-rules/

可視光線ではない電波は普通の人の目には見えない。もし電波を肉眼で見えるような機能をもつ特殊なメガネをつくって装着すると,恐怖によって1歩も歩けなくなってしまうのではないだろうか?

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アジア考古学四学会編『アジアの考古学2 アジアの王墓』

下記の書籍を読んだ。

 アジア考古学四学会編
 アジアの考古学2 アジアの王墓
 高志書院(2014/11/15)
 ISBN-13: 978-4862151414

非常に良い書籍だと思う。お勧めできる。

本書は,学術書なので,どの部分もしっかりとした検討を踏まえて手堅く書いてあるし,必要事項は全部書いてある。しかし,単なる知識の羅列ではなく,一般の人が読んでも違和感なく受けとめることができるよう,平易な文章につよめ理解しやすくする工夫が凝らされている。本書の著者は,いずれも非常に明晰な頭脳をお持ちなのだろうと思う。

内容的には,1冊の書籍でユーラシア全体の応募比較検討をするという趣旨からして,網羅的ではあり得ないのだが,主要な王墓には全部触れており,その全体像を理解するための日本語で書かれた書籍としては,現時点でベストだと判断する。より詳しい情報については,各章の末尾にある参考文献を手掛かりに専門論文等を順に追っていけば十分だろう。こういうあたりは学術書の良いところだと思う。参照・引用の典拠(出典)を明記しないようなタイプの一般書とは異なるちゃんとした学術書の最大の利点だと考える。

加えて,本書では,日本ではあまり知ることのできない地域の考古学上の発見についても丁寧に解説されており,とても参考になる。

本書の編者であるアジア考古学四学会では,旺盛な研究活動を続けている。今後ますますもって有用な研究成果が明らかにされることを期待したい。

(余談)

本書の284頁には,つばの広いとんがり帽子をかぶったケルトの石像の図(図C)が示されている。

おそらく実物はフェルトの帽子で,つばのない金属製兜は実戦用ということなのだろう。

芝山古墳埴輪のとんがり帽子とかなり似ていると思う。

ただ,本書では,出土地等の記載がなく,外国語文献が引用されているだけなので,早速,海外の古書店から引用されている書籍を購入することにした。

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2016年1月28日 (木曜日)

蕭聖中『曽侯乙墓竹簡-釈文補正暨車馬制度研究』

下記の書籍を読んだ。

 蕭聖中
 曽侯乙墓竹簡-釈文補正暨車馬制度研究
 科学出版社(2011/7)
 ISBN: 9787030300058

中郷湖北省随県にある曽侯乙墓からは大量の竹簡が出土している。

本書は,出土した竹簡を整理・解読した上で,主として馬及び戦車に関する竹簡文書の解釈を提供するものだ。

私の研究テーマと直接に関係する竹簡文書の解読も多数含まれていて,驚いた。

本書の後半部分では,戦国時代の戦車を構成する各部品の名前,異なる様式の戦車の名前,馬の名前等を『淮南子』,『周禮』,『詩經』等の古典漢籍にある名前と対照して整理してあり,とても参考になる。従来は「よくわからない名詞の一種」として想像のみで解釈されてきたことが実物でもって対照できるようになったと言える。おそらく,『淮南子』,『周禮』,『詩經』等の解釈にも重大な影響を及ぼすものではないかと思う。

馬の名前をみていて,今も昔も同じような名前をつけるものだと感心した。あるいは,当時の命名法がそのまま日本に渡来して定着してしまったものかもしれない。

優れた資料だと思う。

(余談)

竹簡に記載されている文字を,古代のアッシリア語やエラム等で読めるかどうか試してみると,意外と面白い結果が出るのではないかと思う。

(余談2)

諫早直人『海を渡った騎馬文化-馬具からみた古代東北アジア』(風響社,2010)を読んで疑問に思っていた部分が少し解決できたように思う。

あくまでも一般論に過ぎないが,ある時代のある国における馬具や武器等が全て同一規格になっていなければならないということは全くない。日本の戦国時代でも,自分の力量を誇示しようとする武将がそれぞれ自分流の甲冑を身に着けていたのだが,だからといって,それぞれの武将が全部異なる民族・種族や文化に属していたなどと馬鹿げたことを考える者はいないだろう。古代でもきっと同じだったろうと思う。

それゆえ,ミクロ的な考察の重要性を全面的に肯定した上で,おおまかなマクロ的な感性も重視すべきだと思う。ただし,後者の能力は,芸術的才能の一種なので,神に選ばれた者にのみ宿るものだろうと推定している。

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Apple iPhoneのSafariブラウザがクラッシュする問題

下記の記事が出ている。

 Apple iPhone users angered by Safari browser crash – but here's how to fix it
 Guardian: 27 January, 2016
 http://www.theguardian.com/technology/2016/jan/27/apple-iphone-users-angered-safari-browser-crash-how-to-fix-it

 SafariをクラッシュさせるバグをAppleが修復、少なくともOS Xでは
 Tech Crunch Japan: 2016年1月28日
 http://jp.techcrunch.com/2016/01/28/20160127apple-has-fixed-bug-that-was-crashing-safari-at-least-on-os-x/

 iPhone/iPad/Macの「Safari」で強制終了のバグが発生中、回避方法はコレ
 GIGAZINE: 2016年1月28日
 http://gigazine.net/news/20160128-how-to-fix-safari-crashing/

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警察庁:平成27年の特殊詐欺認知・検挙状況等について

警察庁のサイトで,下記の統計結果が公表されている。

 平成27年の特殊詐欺認知・検挙状況等について
 警察庁:2016年1月28日
 https://www.npa.go.jp/sousa/souni/hurikomesagi_toukei2015.pdf

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経済産業省:生コン会社のJIS認証取消し

下記のとおり公示されている。

 竜ケ崎生コン株式会社のJIS認証を取消しました
 経済産業省:2016年1月25日
 http://www.meti.go.jp/press/2015/01/20160125006/20160125006.pdf

比較的珍しいタイプの事例ではないかと思う。

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黒川直秀「主権者教育をめぐる状況」

下記の論説が出ている。

 主権者教育をめぐる状況
 調査と情報889号(2016年1月26日)
 国立国会図書館調査及び立法考査局文教科学技術課 黒川直秀
 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9624093_po_0889.pdf?contentNo=1

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大国

これまで考えてきたのとは全く別の角度から空想してみた。

***

「大」を装飾的なものと考えると,「大国」の実質は「国」となる。

漢語では「国」に「くに」との読みは存在しない。しかし,「大国主」という場合には「国」を「くに」と読む。

かつて「くに」または「くな」のような音のみで呼ばれた地域が存在し,後に「国」の字をあてたとの仮説をたてることは可能だ。

すると,「くに國(国國)」≒「くな國(狗奴國))」との図式が成立可能かもしれない。

無論,「やまたい國(邪馬台國)」≒「やまと國(大和國)」であり得る。

ここでも「大」を装飾的なものと考えると,「大和國」≒「和國」≒「倭國」となり得る。

もともと「やまと(やまたい)」という音だけが存在していて,それに「和(倭)」という漢字をあてたものだろうと思う。

漢語の「和(倭)」に「やまと」との読みは存在しない。しかし,「和魂」という場合には「和」を「やまと」と読む。

文字だけで追っていくと,こういう解釈(仮説)も一応可能なのではないかと思う。

纏向遺跡とその周辺地域の最近の発掘動向などを読んでいて,何となくそう思った。

では,それを禅譲というべきなのか征服というべきなのか?

さんざん抵抗を試みたものの,これ以上戦闘を続けると全滅してしまうと考えた臣が主を見限って首を差し出し,征服者に対して恭順を誓ったといった事例の場合,それでも「禅譲」とされるような事例は『晋書』にある。

「禅譲」の語義は,時代と地域によって異なる。

***

狗奴国の王は「狗古智卑狗」とされる。

「卑狗」≒「彦(びこ・ひこ)」とすれば,「狗」は「こ」と読むことになる。

すると,「狗古智」は「ここち」または「こほち」と読み得る。

他方,「穴牟遅」は「こぼち」と読み得る。「大穴牟遅」は「大国主」の別名とされる。「くぼち」とすれば,「窪」と通ずる。「大穴牟遅」の伝承そのものだと言える。

『魏略』逸文では「狗右智」とされる。これも「こほち(こうち)」と読み得る。「む」と「ほ(ぼ)」と「う」は変化の範囲内にあるのではないかと思う。

***

家張庚『諸番職貢圖巻』には,「骨」を鏃に用いるとあるけれども,「鉄」の記載がない。

この骨とは,石鏃のことかもしれない。

それにいても,武器としての鉄鏃を倭国内で大量生産し実戦に用いたのは,邪馬台国時代の後からということになる。

非常に興味深い。

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EU:著作権及び特許権に関するデジタルシングルマーケット戦略

下記の記事が出ている。

 European Union: Digital Single Market Strategy
 Mondaq: 27 January, 2016
 http://www.mondaq.com/x/461484/Media+Entertainment+Law/Digital+Single+
Market+Strategy

 The Year Ahead for Technology Law in Europe
 RED Herring: January 19, 2016
 http://www.redherring.com/startups/year-ahead-technology-law-europe/

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周慧編『中国北方古代人群線粒体DNA研究』

下記の書籍を読んだ。

 周慧編
 中国北方古代人群線粒体DNA研究
 科学出版社(2010/12)
 ISBN13:9787030297136

一般に,遺伝子解析は現在でもそう簡単なことではないし,エラーが混入することや解析結果の解釈に誤りのある場合もあり得る。本書における解析結果が適正・妥当なものかどうかを判断するだけの技術的能力をもちあわせていないのだが,とりあえず,解析結果に大きな間違いはないという前提で読んでみた。

サンプルは,新疆ウイグル自治区の砂漠地帯で発掘されたミイラ,内蒙古,青海,山西等で発掘された遺体で,拓跋鮮卑及び契丹に関する検討もなされている。

読んでみて,明確に結論を述べていない部分があり,論調全体に統一性がないようにも思われる。その原因はわからない。

新疆ウイグル自治区で発掘されたミイラ等の解析結果として欧州人(印欧語族・ケルト(スキタイ)?)に近いとの推定がなされている部分や,契丹(キタイ)と日本人との関連性について示唆している部分などを興味深く読むことができた。

全体としてみると,どのサンプルでも混血があったということが示されているように思う。

ところで,日本人と比較するという場合,日本人それ自体が混血人種なので,一体どのサンプルをもって日本人の標準とするかという問題がある。へたをするとどうどうめぐりの議論となり得る。

なかなか難しい。

(余談)

文献資料を読んで考える限り,周の西方の諸族と秦と匈奴の西側諸族との間には密接な関連があるように思う。もしかすると同一民族かもしれない。支配階級は印欧語族だったと推定され,長い年月をかけてモンゴロイドとの混血が発生したのではないかと思う。

ただし,現在あるようなモンゴロイドの姿になったのは,元~清以降のことではないかと思う。とりわけ,中国北方における漢民族と類似する容貌をもつモンゴロイドの拡張は,清朝以降のことだという点についてあまり異論はないようだ。

インドにおいてもケルト(スキタイ)の侵入があったと考えられ,従来は,これを「アーリア人の侵入」として表現してきたのだろうと思う。かつてのナチスドイツのアーリア人ドグマの影響を受けているのかもしれない。現在のロシアにおいても,スキタイが白系ロシア人と同じとする思想があるが,明らかな誤りで,雪嶋宏一『スキタイ-騎馬遊牧民族国家の歴史と考古』でも強く主張されているように「タタールのくびき」を源流とするものと考える以外にない。その意味では,ロシアはモンゴルの後裔ということができ,古代のスキタイとは関係がない。

さて,問題は,古代の中国だ。

古代の中国においては,古代のイラン,アルメニア,トルコ,ギリシア,コーカサスの人々と同じような顔をした人々が多数存在したのではないだろうか?

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EU:課税目的でなされる個人データの自動交換における保護の強化に関するガイドライン

下記の記事が出ている。

 EU guidelines for tax authorities and personal data
 Lexology: January 26, 2016
 http://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=1d4b0b03-f40a-482e-9f73-c812a1965bcb

ガイドラインは下記のところにある。

 Guidelines for Member States on the criteria to ensure compliance with data protection requirements in the context of the automatic exchange of personal data for tax purposespdf
 175/16/EN  WP 234
 Adopted on 16 December 2015
 http://ec.europa.eu/justice/data-protection/article-29/documentation/opinion-recommendation/files/2015/wp234_en.pdf

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イスラエル:電力網に対するマルウェアを用いたサイバー攻撃が継続中?

下記の記事が出ている。

 Malware Attack Slams Israeli Electricity Authority
 Bank Info Security: January 27, 2016
 http://www.bankinfosecurity.com/malware-attack-slams-israeli-electricity-authority-a-8830

 Israel’s electric authority hit by “severe” hack attack [Updated]
 ars technica: January 27, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/israels-electric-grid-hit-by-severe-hack-attack/

 'Critical' Israel power grid attack was just boring ransomware
 Register: 28 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/28/israel_power_grid_attack_boring_ransomware/

[追記:2016年1月31日]

関連記事を追加する。

 Israel Fends Off Unknown Hackers’ Cyberattack On Power Company
 Oil Price: 28 January, 2016
 http://oilprice.com/Latest-Energy-News/World-News/Israel-Fends-Off-Unknown-Hackers-Cyberattack-On-Power-Company.html

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PayPalに深刻なバグ?

下記の記事が出ている。

 Critical Java bug found in PayPal servers
 Naked Security: 27 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/27/critical-java-bug-found-in-paypal-servers/

 PayPal patches deadly server remote code execution flaw
 Register: 27 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/27/paypal_patches_deadly_server_remote_code_
execution_flaw_pays_5k/

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企業経営者は自社の会計処理用データがどこに記録されているのかを知らない?

下記の記事が出ている。

 55 Percent of IT Pros Don't Know Where Their Company's Payment Data Is Stored
 eSecurity Planet: January 27, 2016
 http://www.esecurityplanet.com/network-security/55-percent-of-it-pros-dont-know-where-their-companys-payment-data-is-stored.html

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GoogleのAI囲碁ソフトが人間のプロ棋士に勝利

下記の記事が出ている。

 人工知能、初めて囲碁プロ負かす
 REUTERS: 2015年1月28日
 http://jp.reuters.com/article/idJP2016012701001882

 Google AI computer beats human champion of complex Go boardgame
 Guardian: 27 January, 2016
 http://www.theguardian.com/technology/2016/jan/27/google-hits-ai-milestone-as-computer-beats-go-grandmaster

 Artificial intelligence breakthrough as Google's software beats grandmaster of Go, the 'most complex game ever devised'
 Daily Mail: 27 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3419548/March-machines-Computer-BEATS-one-world-s-best-players-ancient-board-game-using-human-like-skills.html

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2016年1月27日 (水曜日)

米国:ブッシュ政権当時の連邦政府による通信傍受を暴露したThomas Tamm氏が起訴されたらしい

下記の記事が出ている。

 Ethics charges filed against DOJ lawyer who exposed Bush-era surveillance
 ars technica: January 27, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/ethics-charges-filed-against-doj-lawyer-who-exposed-bush-era-surveillance/

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烏恩岳斯図『北方草原考古学文化比較研究-青銅時代至早期匈奴時期』

本日,下記の書籍を購入した。まだ読み始めたばかりだ。

 烏恩岳斯図
 北方草原考古学文化比較研究-青銅時代至早期匈奴時期
 科学出版社(2008/3)
 ISBN13:9787030213471

写真はなく,手がきの図版ばかりで,本文をまだちゃんと読んでいないので断定的な言い方は避けたいと思うのだが,多数収録されている図版を見る限り,「匈奴=スキタイ」以外の結論はあり得ないように思う。

あくまでも理屈の問題としては,スキタイと推定可能な発掘品だけを恣意的に選択しているようなことが絶対にないとは言えないのだが,本文をざっと読んだ限りにおいては,そのような恣意的な取捨選択はなされていないように思う。

今後,この分野の書籍が多数出版されることを強く望む。

(余談)

林俊雄氏は,『スキタイと匈奴-遊牧の文明』の中で,当時の匈奴と漢の人々は「どのような言葉で会話をしたのだろうか?」との疑問を発している。私もそのように思う。

そればかりではない。倭人との接触も絶対にあったはずなのだが,倭語とスキタイ語とは同じようなものだったのだろうか?

漢の時代には,もちろん,漢字を用いて漢文が書かれた。その読みは,スキタイ語だったのか,倭語だったのか,それとも漢語だったのか・・・?

実は,古い漢文を読んでいて,日本の高校等で教える文法や語彙では間違いではないかと思うことが多々ある。日本語風に素直に読んだほうが正しいのではないかと思われることがあるのだ。素人ゆえの誤解かもしれないのだが・・・

(余談2)

雪嶋宏一『スキタイ-騎馬遊牧国家の歴史と考古』(雄山閣,2008)4頁では,ヘロドトス『歴史』を引用して,スキタイのアッシリア語名を「イシュザーヤ」または「アシュクザーヤ」との呼び名を紹介している。「アシュク」は「アショカ」と類似し「飛鳥(あすか)」とも類似している。

また,同書5~6頁では,同じくヘロドトスを引用して,スキタイ(サカ,サハ)は3族に分かれており,東には「アミュルギオンのサカイ人」が住んでいたとの伝承を述べている。この東とはペルシアからみて東であることが明らかなので,普通は中央アジア付近を推定し,同書でもバクトリアあたりだろうと推測しているように読める。しかし,「アミュルギオン」はバクトリアから天山北路で連絡して蒙古高原あたりまでのかなり広い範囲を指すものだったと解する余地はあるのではないかと思う。

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Mavroidis & Ferreira (eds.), Nanorobotics - Current Approaches and Techniques

下記の書籍をざっと通読し,興味のある部分を精読した。

 Constantinos Mavroidis & Antoine Ferreira (eds.)
 Nanorobotics - Current Approaches and Techniques
 Springer (2013)
 ISBN-13: 978-1461421184

とても勉強になった。

それと同時に,「何が問題であるのか」について,より明確な認識をもつことができた。

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夏井高人「『楚辞』の蘭」

昨年9月に書いた論説を収録した雑誌がやっと刊行された。昨日,届いた。

 『楚辞』の蘭
 やまくさ66号81~183頁

この雑誌は,東京山草会の会員に会誌として配布される。

目次構成は,下記のとおり。

  1 『楚辞』について
  1.1 『楚辞』の成立
  1.1.1 『楚辞』の典拠
  1.1.2 成立年代と作者
  1.1.3 芸術的価値
  1.1.4 日本の古典文学との関係
  1.2 『楚辞』における「蘭」
  1.2.1 藤袴
  1.2.2 佩蘭と白頭婆
  1.2.3 蘭花の可能性
  1.2.4 その他の植物の可能性
  1.2.5 本稿の目的
  2 『楚辞』の「九歌」について
  2.1 語としての「九歌」の意義
  2.2 『楚辞』の中における「九歌」の位置づけ
  2.3 「九歌」の構成
  3 『楚辞』の「九歌」にある「蘭」の検討
  3.1 禮魂
  3.2 東皇太一
  3.3 雲中君
  3.4 湘君
  3.5 湘夫人
  3.6 少司命
  4 まとめ

この論説は,5年間続いた大型研究(研究代表:中山信弘氏)の研究成果の一部として書いたものだ。

従来の学術研究においては,「他分野の研究成果は正しい」という前提で何ら検証することなくそのまま受け入れて法理論だけを検討してきた。その結果,情報財の研究分野においても,前提に誤りがあるのにそれを正しいものとして法理論を構成するといったようなことが多々あった。同様のことは裁判でも存在し,刑事事件では冤罪事件と呼ばれる。

裁判官経験者であれば,学術も証拠によって証明されるべき事実を前提にして構成されるべきものだということは自明なのだが,そうでない研究者には必ずしも自明ではないかもしれない。

論文においても,証拠によって認定可能な事実と推論に過ぎないものとは明確に分けて書くべきだと思う。しかし,現実には,単なる受け売りだけで書いており,前提となるものの真偽をきちんと検討した上での立論ではないものも散見される(←自省の念をこめて。)。

そこで,研究素材として採用しても比較的問題とされにくい素材だろうと思って植物を選択し,実際に栽培・観察・分析しながら研究を重ねてきた。ところが,予想に反して問題だらけだということが判明した。ほぼ全学術分野にわたりその影響は及んでいる。

研究成果については,どんどん書いて公表してきた。しかし,全てを書ききることはできていない。

その研究成果を全部まとめきるまでにはあと数年を要するかもしれないが,自分の能力の限りを尽くし,やれるだけのことはしたいと思う。

この研究に関して多額の研究費(主として書籍購入費)を分けていただいた中山信弘先生には,心から感謝を申し上げる。

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米国:ハーバード大学が,人間よりも速く思考することのできる人工知能コンピュータの開発計画

下記の記事が出ている。

 New ‘moonshot’ effort to understand the brain brings artificial intelligence closer to reality
 Harvard SEAS: January 21, 2016
 https://www.seas.harvard.edu/news/2016/01/new-moonshot-effort-to-understand-brain-brings-artificial-intelligence-closer-to-reality

 Rise of super-intelligent robots gets closer: Harvard is given $28 million to build AI that works as fast as the human brain
 Daily Mail: 25 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3415998/Rise-super-intelligent-robots-gets-closer-Harvard-given-28-million-build-AI-works-fast-human-brain.html

本当に完成するとは思われないが,もし完成すれば,首相や大臣を含め,ほとんど全ての種類の職業が消滅することになるだろう。つまり,国家というものそれ自体が消滅する。

残るのは,コンピュータをメンテナンスする奴婢(奴隷)としての少数の人間だけということになるのではないだろうか。やはり,人類の「家畜化」という用語でくくることができる。

映画『ソイレントグリーン』のような未来が比較的現実性のある未来ということになるかもしれない。

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Marvin Minsky氏が死去

下記の記事が出ている。

 AI pioneer Marvin Minsky dies aged 88
 BBC: 26 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35409119

 追悼:マーヴィン・ミンスキー。MIT人工知能研を設立したAI研究の先駆者
 Engadget 日本語版: 2016年1月26日
 http://japanese.engadget.com/2016/01/26/mit-ai/

若い頃,人工知能の研究に関与し,その著書を何度も読んだものだった。

私は,ミンスキー氏の考え方の中で賛成できない部分がないわけではなかった。

ひとくちに人工知能と言っても様々な考え方がある。

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Uberがスマートフォンを用いて運転手の行動を監視する実験を開始

下記の記事が出ている。

 Uber tests out using smartphones to monitor driver behavior
 ars technica: January 27, 2016
 http://arstechnica.com/cars/2016/01/uber-tests-out-using-smartphones-to-monitor-driver-behavior/

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2016年1月26日 (火曜日)

w0rm

下記の記事が出ている。

 I hacked Citrix, says Russian hacker w0rm
 SC Magazine: January 12, 2016
 http://www.scmagazine.com/i-hacked-citrix-says-russian-hacker-w0rm/article/464518/

 w0rm Hacking Crew Hacks Another Hacking Group and Puts Their Data Up for Sale
 Softpedia: September 19, 2015
 http://news.softpedia.com/news/w0rm-hacking-crew-hacks-another-hacking-group-and-puts-their-data-up-for-sale-492163.shtml

 WSJ the latest publisher to be hit by 'w0rm' hacker
 SC Magazine: July 23, 2014
 http://www.scmagazineuk.com/wsj-the-latest-publisher-to-be-hit-by-w0rm-hacker/article/362319/

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古代のイタリアの武器と古代クレタの甲冑は意外と中国的?

ネットで画像検索していてたまたま見つけた。

「Policoro Painter」と呼ばれる墳墓から発掘された出土品の中央に描かれているGlaucusが手にしている斧のようなものは,斧ではなく,古代中国の「戈」と呼ばれる矛の一種と似ている。

 Patroclus, Sarpedon and Glaucus
 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Death_Sarpedon_MNA_Policoro.jpg

 Ancient burial rituals prove you can take it with you… and what you take says a lot
 http://www.heritagedaily.com/2016/01/ancient-burial-rituals-prove-you-can-take-it-with-you-and-what-you-take-says-a-lot/109196

クレタ島から発掘された甲冑は,ギリシア的というよりは古代のペルシア風または古代の中国風のように見える。

 Helmet, Archaeological Museum Herakleion, Crete
 http://www.hellenicaworld.com/Greece/Military/en/Armor.html

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政治家の演説も人工知能で自動生成可能?

下記の記事が出ている。

 Politicians are so predictable, a robot can literally write their speeches
 Washington Post: January 25, 2016
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2016/01/25/politicians-are-so-predictable-a-robot-can-literally-write-their-speeches/

 How an AI Algorithm Learned to Write Political Speeches
 MIT Technology Review: January 19, 2016
 http://www.technologyreview.com/view/545606/how-an-ai-algorithm-learned-to-write-political-speeches/

そのうち学生のレポート自動生成サービスのようなものが出てくるかもしれない。

学者の論文も基本的には同じなので,人工知能によっては決して生成できないような完全に新規性のある論文を書ける学者だけが生き残ることのできる時代になったということなのだろうと思う。

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Magentoプラットフォームに深刻なバグ?

下記の記事が出ている。

 Bug in Magento puts millions of e-commerce sites at risk of takeover
 ars technica: January 26, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/bug-in-magento-puts-millions-of-e-commerce-merchants-at-risk-of-takeover/

 Eコマースプラットフォーム「Magento」にXSS脆弱性--セキュリティパッチ公開
 ZDNet Japan: 2016年1月26日
 http://japan.zdnet.com/article/35076794/

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Global Risks 2015 Report

下記のところで公開されている。

 Global Risks 2015
 World Economic Forum
 http://reports.weforum.org/global-risks-2015/

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大林太良編『死と性と月と豊穣』

下記の書籍を読んだ。

 大林太良編
 死と性と月と豊穣
 評論社 (1975/11/10)

類書を複数読み進めているので,題材(素材)として用いられている神話・伝承の類はほぼ暗記状態になっており,そういう部分はスキップして読むことができるようになった。考察部分を中心にして精読したのだが,他の類書とほぼ同一内容の部分が多く,これらもほぼスキップできた。結果的に,速読と同じくらいの時間で完全に読了することができた。じっくり読んだのは,本書の冒頭にある座談会の記録部分だけかもしれない。大林太良『日本神話の起源』を読んでから本書を読むと,かなりの速度で読了することができるだろうと思う。

本書では,性というものが自然的・物理的なものではなく,社会的に構成され観念されるものだとの考え方を基本として考察がなされている。その考察の中で,H. バウマンの『二重の性』等の先行研究を引用して,「半陰陽」の問題が述べられている。また,『旧約聖書』にもあるように,「男性から女性がつくられた」とのモチーフについて詳細かつ多角的な検討がなされている。その検討の中で,古代のメソポタミアにおいて,イシュタル神のような「女神」とされているものは,本当は「男神」だったのではないかとの見解も示されている。

私は,日本の埴輪の中で「巫女」とされているものに着目して,ここ数年間ずっと検討を重ねてきた。趣味の雑誌に書いた論説の中では,仮面をかぶったように見える「巫女」とされれる埴輪は,製造技術が拙劣なためにそのように見えるのではなく,本当に男性が仮面をかぶって女性としてふるまっていたのではないかとの仮説を提示した。

バウマンの「半陰陽」説は,一部修正されるべきだろうと思う。「半陰陽」なのではなく,男性の神官によって女性として演じられた祭祀があったと考えるほうが妥当だと思う。これは,現代まで続く能においてもそうで,能は基本的に男性だけによって演じられ,登場人物が女性である場合には女性の面をつけて演じる。これは,古代の祭祀を比較的忠実に現代に伝えるものではないかと考えている。

このような考え方は,下記の書籍を読んで更に強固なものとなりつつある。

 山崎一司
 花祭りの起源-死・地獄・再生の大神楽
 岩田書院 (2012/6)
 ISBN-13: 978-4872947540

素人の推測なのだが,『古事記』や『日本書紀』において,女帝とされる人物についても,それは能における女性の「面」のようなものであり,実際には誰か男性が「女帝」を演じていたと推測するほうが合理的ではないかと考えることのできる部分が多すぎる。

なお,本書の41頁で引用されているルロワ・グランの見解に基づく古代の象形文字比較の図を見ていて,女性を示すシンボルは羊または山羊の形象と関連し,男性を示すシンボルは杉のような樹木の形象そしてルーン文字のような体系と関連するものではないかとの印象を受けた。その原書は全く読んでいないので,もし入手することができたら読んでみたいと思う。

ますますもって勉強不足を痛感している。更に勉強を重ねなければならない。

(余談)

一般に,有性生殖をする動物は,オスとメスとして観念される。有性生殖と無性生殖の両方をする生物も多数存在する。ただし,遺伝子の観点からすると,有性生殖と無性生殖の両方をする生物では,無性生殖を何回か繰り返すと分裂できなくなって死滅してしまうことがあることが知られている。有性生殖による遺伝子交換というサバイバル手段を手に入れたかわりに無性生殖という簡便な手段の有効性を制約することになってしまったのだろう。

ところで,人類は,これまで有性生殖をしてきたのだが,性行為それ自体が欲望充足手段として独立して認識されるようになるにつれ,同性間の性行為がなされるようになったらしく,本書においてもそのことについて何度も触れられているし,古代において,男性が女性の服装をすること,または,女性が男性の服装をすることを禁止している例があるのは,実は同性愛の禁止を示すものだとの見解も示されている。

古代に行われたことだし,タイムマシンはないので,その見解の真偽を判断するだけの能力はないが,現代の世相から少し未来の将来を考えてみると,現在の再生医療を含め,細胞レベルでの人類の増殖という考え方には,ある種のリスクが伴っていることを認識することができる。自己細胞の無性生殖的な増殖を繰り返しても,その回数には限界があるのだろうとことだ。これは,いわゆるテロメアというものの本質に関するもので,テロメアの増殖についても研究が進められている。しかし,もっと本質的な部分で,「何か」があるように思う。

その探究は自然科学者に任せるしかないけれども,文系的な発想からすると,人類が有性生殖から無性生殖へと向かっていることは事実だと言えると思う。すると,社会的機能としての「性」というものも基本的に消滅するので,そのあとは目的合理的にヒトの集団を「管理する」ために制度設計がなされるようになるだろうと思う。基本的に,家族も婚姻も無駄な支出を要する古い社会制度として認識され,そういうものを排除した上での合理的な飼育・増殖だけに投資がなされるようになるに違いない。要するに,「家畜化」だ。

これを進歩というのか退行というのかは知らないが,「人類は,そのようなクリティカルな状況と直面している」という認識はもつべきではないかと考える。

いわゆる「唯物史観」なるものが仮に正しいとすれば,そのような「家畜化」への人類社会の移行は「世界同時発生的な進化の結果として起きるものだ」という説明をすることになるだろう。

しかし,私は,そのような見解を採らない。

(余談)

本書の中で,動物を狩る狩猟民が女性の血を嫌ったという伝承に関する部分の考察は,若干の再検討を要するのではないかと思った。

神秘的な要素から考察するのではなく,動物の極めて鋭敏な嗅覚というものを理解することが大事だろうと考える。

嗅覚というセンサーの反応により動物が逃げてしまい,狩猟に出た者らが1頭の獲物も得ることができなければ,結果的に,その集団全体が餓死するしかなくなることは必定と思われる。

それゆえ,「血」を「不浄」とする宗教的な観念は,人類の歴史の中でも相当後の時代になってから結論の正当性を示すための説明として付加されたのに過ぎず,本来は,経験的に習得された即物的な理解に基づくものだったのだろうと推定することができる。

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F-35の有用性に関する懐疑的な見解

下記の記事が出ている。

 Despite Decades of Stealth, Sticking Points Bedevil F-35 Jet
 New York Times: January 24, 2016
 http://www.nytimes.com/2016/01/25/us/despite-decades-of-stealth-sticking-points-bedevil-f-35-jet.html

ステルス戦闘機に対する飽和攻撃はあり得る。

[追記:2016年2月5日]

関連記事を追加する。

 A-10 to fly until 2022 as DOD test chief warns against F-35 “block buy”
 ars technica: February 5, 2016
 http://arstechnica.com/information-technology/2016/02/a-10-to-fly-until-2022-as-dod-test-chief-warns-against-f-35-block-buy/

[追記:2016年3月9日]

関連記事を追加する。

 Air Force reveals troubled F-35 fighter jet's radar has software glitch that forces pilots to turn it off and on again
 Daily Mail: 8 March, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3482897/Air-Force-reveals-troubled-F-35-fighter-jet-major-radar-flaw-causes-control-computers-crash-constantly.html

[追記:2016年4月22日]

関連記事を追加する。

 Controversial $400bn F-35 fighter jet now has computer 'brain' problem which could see entire fleet grounded
 Daily Mail: 21 April, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3552155/Controversial-F-35-fighter-jet-brain-problem-entire-fleet-grounded-claims-report.html

[追記:2016年5月13日]

関連記事を追加する。

 A day in the life of an F-35 test pilot: Rebooting failing computers, fixing false warning lights, repairing broken weapons systems... and even a bit of flying
 Daily Mail: 12 May, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-3586220/A-day-life-F-35-test-pilot-Rebooting-failing-computers-fixing-false-warning-lights-repairing-broken-weapons-systems-bit-flying.html

[追記:2016年11月20日]

関連記事を追加する。

 F-35 crisis as Pentagon’s top weapon testing official warns plan to put unfinished $400bn fighters into service puts pilots at 'significant risk'
 Daily Mail: 19 November, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3951118/F-35-crisis-Pentagon-s-weapon-testing-official-warns-plans-unfinished-400bn-fighters-combat-puts-pilots-significant-risk.html

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米国:バージニア州立大学に対するサイバー攻撃により大量の個人データが奪われたらしい

下記の記事が出ている。

 University of Virginia data breach exposed financial data
 ZDNet: January 25, 2016
 http://www.zdnet.com/article/university-of-virginia-data-breach-exposed-financial-data/

 University of Virginia Breached by Phishing Attack
 eSecurity Planet: January 25, 2016
 http://www.esecurityplanet.com/network-security/university-of-virginia-breached-by-phishing-attack.html

 FBI Alerts UVA to Employee Information Data Breach
 NBC: January 23, 2016
 http://www.nbc29.com/story/31033287/fbi-alerts-uva-to-employee-information-data-breach

報道されているもの(北大関連など)とそうでないものとを含め,日本の大学も日々同種の攻撃に晒されている。しかし,予算の関係等から情報システムを安全な状態に維持することはできない。国が継続的に年1000億円単位の予算措置を講じない限り,この状況を解決することができない。予算がない以上,採るべき方策は明らかだと思う。個人データの「利活用」なるものを一切禁止すること,そして,大学の業務用情報システム(とりわけ個人データ管理システム)へのインターネットへの接続を禁止することだ。それができないのは,管理能力がないのに,金儲けの欲望(幻想)にとらわれて目が曇っているからに過ぎない。

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米国と英国の組織の84%がスピアフィッシング攻撃を受けているとの調査結果

下記の記事が出ている。

 84 Percent of U.S., U.K. Organizations Have Been Breached by Spear Phishing Attacks
 eSecurity Planet: January 22, 2016
 http://www.esecurityplanet.com/network-security/84-percent-of-u.s.-u.k.-organizations-have-been-breached-by-spear-phishing-attacks.html

攻撃しても何も得るものがないことが予めわかっている組織(企業・政府機関等)もあるので,そのような攻撃対象となりようのない組織を除外すると,実質的にはほぼ100%ではないかと思う。日本でも基本的には変わらない。

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ドイツ:Amazonの電子メール,Facebook,Twitter,Pintrestを介して商品をシェアすることを勧誘する機能は違法との判断

下記の記事が出ている。

 German court says Amazon e-mail 'share' function unlawful
 REUTERS: January 25, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-amazon-germany-idUSKCN0V31UL

 Amazon's ‘Share’ Function Declared Unlawful By German Court (NASDAQ:AMZN)
 Wall Street Journal: January 25, 2016
 http://www.wallstreet.org/amazons-share-function-declared-unlawful-by-german-court-nasdaqamzn/

[このブログ内の関連記事]

 ドイツ:連邦最高裁判所が,Facebookの「friend finder」は違法との判断
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/facebookfriend-.html

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Anthony Walsh & Jonathan D. Bolen, The Neurobiology of Criminal Behavior: Gene-Brain-Culture Interaction

下記の書籍をざっと通読し,特に興味をもった部分を精読した。

 Anthony Walsh & Jonathan D. Bolen
 The Neurobiology of Criminal Behavior: Gene-Brain-Culture Interaction
 Ashgate (2012)
 ISBN-13: 978-1409438410

脳科学から犯罪者の行動を説明することができるかどうか,できるとしてそれが妥当であるかどうかについては議論がある。

脳科学から説明する場合でも,遺伝子的・先天的な要素の発現として理解すべき場合と,環境や生活習慣等によって後天的に獲得した要素の発現として理解すべき場合とがあり得ると想定されることから,この点についても議論がある。

本書は,犯罪行動を幾つかの側面に分類した上で,どのような説明が合理性を有するかについて検討を加えた書として評価することができるだろうと思う。

一般に,法学研究者が自分自身の哲学として犯罪行動とその原因を考察することは自由なのだが,人間が生物である以上,先天的な要素よりわけ遺伝子による支配を無視することはできない。現在の標準的な法学において決定的な欠陥となっているのはこの部分だろうと思う。

より正確には,法学研究者も無知ではないので,遺伝子ベースで立論するとほとんど全部の法学理論が崩壊する可能性があることを十分に理解しており,それゆえに遺伝子ベールのアプローチというものを意図的に無視しているのかもしれない。

しかし,無視することは許されない。

理論が崩壊したならば,新たな理論を構築すればよいではないか。それができないのであれば,諦めて教壇を去れば済むことだ。

一般に,学説というものは,ある事柄を説明するために研究者が思索した結果を符号化したものに過ぎず,常に仮説であり続けることを逃れることができない。つまり,学説は,真理そのものではない。

私見としては,従来から私が主張してきた免罪符理論を基礎として,全法学体系さらには社会科学の体系全部を構築し直すほうがよいと考えている。

免罪符理論は,遺伝子ベースのアプローチをとる場合でもそれをとらない場合でもどちらの場合でも合理的に機能するし,文化人類学等との親和性も高いので,理論としての健全性を有していると自己評価している。免罪符説を応用した国家の恩恵説に基づく解釈論を用いた最初の論説は,2016年2月末までには公刊できる見込みとなった。

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2016年1月25日 (月曜日)

メチルイソチアゾリノン(Methylisothiazolinone)の規制

下記の記事が出ている。

 Consumers: Commission improves safety of cosmetics
 European Commission: 26 September, 2015
 http://europa.eu/rapid/press-release_IP-14-1051_en.htm

 Canada adds new restrictions to the use of MI/MCI and prohibits prostaglandins in cosmetics
 Premium Beauty News: 28 December, 2015
 http://www.premiumbeautynews.com/en/canada-adds-new-restrictions-to,9068

 Big cosmetics brands under fire as ‘banned’ methylisothiazolinone found in several products
 Global Cosmetic News: June 22, 2015
 https://globalcosmeticsnews.com/europe/1478/big-cosmetics-brands-under-fire-as-banned-methylisothiazolinone-found-in-several-products

使用が禁止されていない国においても「アレグゲンであること」の表示をしなければ,当該国における消費者保護法等に抵触することがあり得る。

日本国の法令では,例えば,消費者契約法の「重要事項」に該当する事実として理解することができる。

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トリクロサン(triclosan)には普通の石鹸よりも優れた殺菌力はない

下記の記事が出ている。

 Antibacterial soap with triclosan 'no better at killing germs' – study
 Guardian: 16 September, 2016
 http://www.theguardian.com/society/2015/sep/16/antibacterial-soap-with-triclosan-found-to-be-no-real-threat-to-germs

 Skip the Anti-Bacterial Soap: Regular Suds Work Just as Well
 Live Science: September 15, 2015
 http://www.livescience.com/52182-antibacterial-versus-regular-soap.html

 Bactericidal effects of triclosan in soap both in vitro and in vivo.
 NCBI: September 15, 2015
 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26374612

薬用石鹸等について,その製造者等が顕著な効果を合理的に証明できない限り,景品表示法違反となる可能性があるので,顕著な殺菌力があることを効能として表示すべきではないという結論になる。無論,顕著な効能が合理的に証明できれば表示してもよいのだが,米国の権威ある機関が「特にすぐれた相違はない」と判定している以上,その証明は難しいのではないかと思う。

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Vincent C. Müller, Risks of Artificial Intelligence

下記の書籍を購入し,全体をざっと通読した上で,主に第10章と第12章の部分を精読した。

 Vincent C. Müller (ed.)
 Risks of Artificial Intelligence
 December 10, 2015
 CRC Press
 ISBN 9781498734820
  https://www.crcpress.com/Risks-of-Artificial-Intelligence/Mller/9781498734820

現時点における論点が綺麗に整理されており,論点を知るためには良い書籍だと思う。

懐かしい書籍が何冊か引用されており,かつて人工知能研究に関与していた頃に議論したことなどを思い出した。

本書を購入する前に予想していたとおり,解決策は何も書いていない。

この問題は,人工知能だけに限定された問題ではなく,遺伝子研究や軍事目的での科学研究等を含め,およそ科学研究全体に対して直接的な影響を与えてしまうような価値判断を経ないと,解決策を出すことができないからだ。

そして,誰も「自然科学をやめてしまえ」ということができない。人工知能研究に対して批判的なホーキングでさえ,自身は自然科学者の一員なのだ。

ところで,本書においては,「複製」を意識した記述がみられる。私見では,「個人」の本質は記憶にあると考えているので,その意味では問題意識を共通にするものと言えるだろう。記憶が複製可能な場合,物理的に1個のものとして「個人」は否定されることになる。にもかかわらず複製元となった「個人」も複製された「個人」も同等に「自意識」のようなものをもつことになるだろう。それが非常に困難な問題の発生源となるだろうということは説明されなくても誰でも理解することができるだろう。

いずれにしても,「個人」や「意思」といった概念にかかわる法制度は既に崩壊したと言ってよい。それが顕在化するまでの間は現在の「法の支配」は維持できるかもしれない。しかし,誰の目にもわかるレベルで顕在化した時点で,人類の現在の文明は終了することになるのだろうと思う。

予想される未来は,家畜化ではないかと思う。

少なくとも「人間の尊厳」を証明し論証する手段が失われることになるので,人間以外の物体と人間とを分ける境界が消滅してしまうことだけは避けられない。

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松前健『神々の系譜-日本神話の謎』

下記の書籍を読んだ。奥付には2016年2月1日発行とあるが,既に販売されている。

 松前健
 神々の系譜-日本神話の謎
 吉川弘文館 (2016/2/1)
 ISBN-13: 978-4642065979

本書は,1972年にPHP研究所から発行されたものと同じもので,別の出版社から再刊されたもののようだ。

通読してみて,あまりおもしろくない。知識の寄せ集めに過ぎず,学としての一貫性が認められない。

私としては,かなり古い書籍なのだけれども,大林太良『日本神話の起源』のほうがはるかに優れていると判断する。

なお,比較神話学に基づく日本神話の解釈に関しては,数多くの書籍が刊行されている。目下,めぼしいものから順に読んでいるところだ。

また,民俗学に基づく比較文化論的な研究成果も数多く存在している。これらについては主要なものをほぼ読み終えた。

そして,考古学に基づく研究成果に関しては,これからも素晴らしい書籍がどんどん刊行されることになるだろう。大いに期待している。

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ラットの背中への細胞移植による人間の耳組織の培養

下記の記事が出ている。

 Scientists who have grown a human EAR on the back of a rat say they will be able to use them in humans in five years
 Daily Mail: 24 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-3414756/Scientists-grown-human-EAR-rat-say-able-use-humans-five-years.html

5年以内にどんな臓器でも人工的に形成することができるようになるというのだが・・・

そのうちヒトのクローン細胞から形成した人工受精卵を牛馬の子宮に着床・妊娠させ,分娩させるなどという産業が発生することになるのかもしれない。

[このブログ内の関連記事]

 ヒトの臓器・組織をヒツジやブタに移植して培養・増殖し提供するサービス?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-fd20.html

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ルービックキューブを解くロボット

下記の記事が出ている。

 Simple! Incredible video shows robot solving Rubik's cube in just 1.047 SECONDS, smashing the official world record time (also held by a machine)
 Daily Mail: 25 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3415013/Robot-solves-Rubik-s-cube-just-1-047-SECONDS-breaks-current-Guinness-World-Record.html

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林俊雄『興亡の世界史02 スキタイと匈奴-遊牧の文明』

図書館から下記の書籍を借りて読んだ。

 林俊雄
 興亡の世界史02 スキタイと匈奴-遊牧の文明
 講談社(2007/6/15)
 ISBN-13: 978-4062807029

非常に面白い。良書と言える。

じっくりと読んだので少し時間がかかった。時間をかけてしっかりと読むべき価値がある書籍だと思った。

ずっと追いかけている芝山古墳のとんがり帽子のような帽子または冠については,本書中に多数のヒントが含まれていた。中国の墳墓壁画等に示されている奇妙に高く結った髪型をもつ婦人は,きっとスキタイ系の女性なのだろうと思う。そのような高く結った髪を納めるためにはその髪よりも高い筒状の帽子を必要とする。本書の197頁にあるスバシの遺跡から出土した遺骸は,まさにそのような帽子を被ったものだった。有名なイッシク古墳出土の「黄金人間」は,明らかに男性であり,高く尖った三角帽子(フェルト製?)を被っていて,その上に金の装飾がなされていたのだろう。

東胡(鮮卑の祖?)との関連についても興味深いヒントがあった。直接的には『漢書』を引用して呂太后と冒頓単于とのやりとりもその1つで(本書206頁),これは,伊弉諾と伊弉冉の婚姻の際の言葉の掛け合いと基本構造を同じくするものだと思う。現代ではセクハラになるのかもしれないが,古代では凸凹のことを素朴に口にしたものではなかろうか。また,本書282~294頁には匈奴の方墳について書かれており,時代的に前漢時代に相当する時代の倭國における方墳または方形周溝墓との類似性が疑われる。

本書は,スキタイとそれから分かれたと推定される諸族及び関連すると疑われる諸族について書かれたものなので,「・・・については日本史の専門家に譲る」等々としてぼかしているが,著者の史観が随所に示されており,極めて興味深い。基本的には,征服説に立脚しているものと思われる。

借りた書籍は,読み終えた以上,図書館に返却しなければならない。しかし,今後,何度も読み返したくなることが確実な箇所がいっぱいあったので,古書を購入することに決め,古書店に注文を済ませた。

(余談)

中国陝西省にある霍去病墓の馬踏匈奴石像の写真はこれまで何度も見たはずなのだが,本書243頁にある写真の説明文を読んで,匈奴の本質についての理解と本書著者の理解とがほぼ一致していることを認識した。そこには「ひげ面の匈奴」とある。「匈奴」とは,様々な部族の集合体だと考えられるが,その中でも特に重要な部族としては,印欧語族またはそれが混血した種族を示すものなのだろう。

(余談2)

匈奴が衰退する原因の1つとして,本書では大寒波,干ばつ等の大規模自然災害の存在を強調しているように思う。漢の武帝のころにそのようなことが起きたとすれば,そのころに難を逃れるべく,温暖な倭國に渡った人々がいたとしても少しもおかしなことではない。当時の倭國には存在しなかったと思われる鉄器の武器・農耕具及びその製造技術をもってすれば,少人数でも比較的容易に屯田可能だったのではないかと思われる。

(余談3)

古代の倭の諸国と古代の中国諸王朝との間の交通経路を考えてみると,直接に東シナ海を横断したという経路があったと考えられるものの,朝鮮半島経由の場合には,漢の武帝~呂太后の時代には必ず東胡ないし匈奴の支配領域を経由することになるから,倭の諸国と東胡ないし匈奴との間には何らかの密接な交流関係があったと推定するしかない。ところが,匈奴は,スキタイと同様,文字をもたないので,仮に倭の諸国と匈奴との間に交通があったとしても,歴史上の文献としてその痕跡が残らない。それゆえ,従来,この問題はあまり明確には意識されてこなかったのだろうと思う。しかし,物理的に不可避な出来事は当然に想定した上で古代史を構築すべきことは当然のことだと考える。伊弉諾・伊弉冉の結婚の際のやりとりが匈奴由来のものだとすれば,この時代に「大八嶋」への入植(屯田)が開始されたと考えるのが妥当だ。「八」は「倭」と置き換えることが可能であり,また,「嶋(島)」は「国」を意味するから(「嶋」は「羅(良)」とも同義。),「八嶋」は「倭國」と同義となる。

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患者の医療関連個人データの保護はなぜ脆弱なままなのか?

下記の記事が出ている。

 Why your health data isn't as secure as it should be
 Naked Security: 22 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/22/why-your-health-data-isnt-as-secure-as-it-should-be/

一般に,医療が莫大な金銭的利益を産む淵源であり続ける限り,状況を変化させることは非常に難しいと思う。

日本の場合,個人情報保護委員会にも多くを期待することができない。

[追記:2016年1月28日]

関連記事を追加する。

 Medical data experiment goes horribly wrong: 950,000 records lost
 Register: 27 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/27/centene_loses_95000_medical_records_on_
six_hard_disks/

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性感用品の進歩?

下記の記事が出ている。

 Something for the weekend, sir? The latest in sex tech
 Guardian: 23 January, 2016
 http://www.theguardian.com/lifeandstyle/2016/jan/23/sex-tech-dildo-sexual-health-expo-los-angeles

何でもかんでもロボットに代替される可能性のある時代となった。

人類に残されているのはセックス,麻薬,賭博くらいしかない・・・ということは何度か書いた。

現実の世界の経済界のトレンドは,何となくそのような方向に向かっているのではないかと思う。

日本だけはかなり異なるようなのだが・・・

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情報セキュリティに関する2016年の課題

下記の記事が出ている。

 2016年はボットとの闘いの年に、セキュリティの自動化が必要--ラドウェア予測
 ZDNet Japan: 2016年1月22日
 http://japan.zdnet.com/article/35076607/

 “組織犯罪”サイバー攻撃に立ち向かう術--NTTコミュニケーションズの専門家に聞く
 ZDNet Japan: 2016年1月21日
 http://japan.zdnet.com/article/35076141/

これらの記事に書かれていることは正しいと思う。

私見としては,非電子的な攻撃とりわけ生物化学的な攻撃やジェノサイド的な攻撃に対する防御を付加すべきだろうと考えている。

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John P.J. Pinel『ピネル バイオサイコロジー 脳-心と行動の神経科学』

下記の書籍をざっと通読し,特に興味をもっている部分について精読した。

 John P.J. Pinel(佐藤敬・若林孝一・泉井亮・飛鳥井望訳)
 ピネル バイオサイコロジー 脳-心と行動の神経科学
 西村書店 (2005/6/1)
 ISBN-13: 978-4890133352

教科書として書かれたものと思われ,非常にわかりすい。

ただ,出版から10年以上経過したものなので,現在の標準的な学術的理解では否定されていることや疑問視されていることが真理として書かれている部分がある。

こういう部分については,本書末尾に掲記されている参考論文を読んでもダメなので,原書の最新版を読むか,最新の論文を自分で探索して読み,熟考するしかない。

原書の最新版としては,第9版(2013年)が刊行されている。

 John P.J. Pinel
 Biopsychology (9th edition)
 Pearson (2013)
 ISBN-13: 978-0205915576

早速,Amazonで注文した。届くのは1ヶ月後くらいになるのではないかと思う。

一般に,原書を読む場合には,版が異なっていても和訳本が大いに手助けとなる。特に自分の専門分野とは異なる分野の書籍を読む場合,専門用語の日本語定訳を知るためには非常に便利だ。

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米国:FBIが,児童ポルノ所持者を後に逮捕するために囮捜査?

下記の記事が出ている。

 FBI hosted images of child sexual abuse on Dark Web to hack pedophiles around the world
 TNW: January 24, 2016
 http://thenextweb.com/insider/2016/01/24/fbi-hosted-images-of-child-sexual-abuse-on-dark-web-to-hack-pedophiles-around-the-world/

 This is how the government is catching people who use child porn sites
 Washington Post: January 21, 2016
 https://www.washingtonpost.com/world/national-security/how-the-government-is-using-malware-to-ensnare-child-porn-users/2016/01/21/fb8ab5f8-bec0-11e5-83d4-42e3bceea902_story.html

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FortiSwitch,FortiAnalyzer,FortiCacheのSSHバックドア

下記の記事が出ている。

 Secret SSH backdoor in Fortinet hardware found in more products
 ars technica: January 23, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/secret-ssh-backdoor-in-fortinet-hardware-found-in-more-products/

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2016年1月24日 (日曜日)

小牧英之『スコットランド歴史紀行』

スコットランドのピクト人及びピクト王国の歴史について書かれた書籍はないかと探していたら,下記の書籍が図書館にあったので,借りて読んでみた。

 小牧英之
 スコットランド歴史紀行
 松柏社 (2004/7/10)
 ISBN-13: 978-4775400579

内容は,王国の年代記の解説的記述が大部分を占めている。一応通読してみたけれども,暗記しなければ仕事にならないような仕事でない限り,必要な場面に応じて辞書的な使い方をするのに向いているように思う。

本書の最初の部分にはピクト人の歴史の概要があり,勉強になった。

文化史的なものとしては,最後の部分に1年を13か月と1日で計算する太陰暦のドルイド暦の説明等がある。

(余談)

本書と同じくスコットランドのピクト人を扱った書籍として,武部好伸『スコットランド「ケルト」の誘惑-幻の民ピクト人を追って』(言視舎,2013)があり,併せて読んでみた。

こちらのほうは,研究者ではなくジャーナリストの書いたものなので純粋に紀行のような書きぶりとなっている。写真が多いので,ピクト人の文化をビジュアルに理解し,また,その遺品が収蔵されている博物館等の様子を知りたいという向きにはこちらの本のほうが良いだろうと思う。

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大林太良『日本神話の起源』

下記の書籍を読んだ。

 大林太良
 日本神話の起源 
 角川新書(1961/7/5)

古い書籍なのだが,本書が書かれた以前の研究状況が反映されており,一般向け書籍でありながら学術的にも高い水準を示している。本書の著者は,非常に頭脳明晰な方で,天才の一人なのではないかと思う。

通読してみて思うことは,著者が意図したかどうかは別として,ケルト(スキタイ)的要素が濃厚に示されているということだ。例えば,79頁で引用されているフロベニウスの考え方を地図でまとめた図を見れば,そのことをすぐに理解することができる。

現時点では,比較神話学が全体としてかなり進歩しているとはいえ,本書は,この分野における代表的な書籍の座を維持しているのではないかと思う(現代におけるスキタイやケルトの影響を考慮に入れると,修正されるべき部分があると考える。しかし,本書が刊行された年代を考えると,すごい本だと思わざるを得ない。)。

なお,108~109頁にあるハイダ族とキノールト族の伝承を読んでいて,ちょっと考えることがあった。比較神話学にはかなり素朴なレベルでの生態学的な考察を加味する必要があるのではなかろうか。

例えば,ある一定の土地範囲において,人口の増加により獲物となる動物の密度が低下した場合,何が起きるかを想像してみると,勝者となっても後味の悪さの残る生存を合理化するための説明として神話のようなものが必要となるのではなかろうか?

このことは,狩猟民だけの問題ではない。むしろ,比較的広い範囲を専有する必要のある農耕民では,その深刻さがもっと厳しいかもしれないと思った。

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大津透・桜井英治・藤井譲治・吉田裕・李成市編『岩波講座日本歴史第21巻・史料編(テーマ巻2)』

下記の書籍に収録されている論文2本を読んだ。

 大津透・桜井英治・藤井譲治・吉田裕・李成市編
 岩波講座日本歴史第21巻・史料編(テーマ巻2)
 岩波書店 (2015/12/22)
 ISBN-13: 978-4000113410
 https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/011321+/top.html

読んだ論文は次のとおり。

 1 佐藤信「木簡史料論」

 2 細井浩志「国史の編纂」

いずれも大変勉強になった。

ただ,2のほうは,対外関係をほぼ無視に近いかたちで国内事情だけを考慮する立場にたって自説を述べている点が,かなり気になった。この点について異なる見解に立脚すると,内容的に相当異なる論述となり得るのではないかと思う。

(余談)

下記のようなサイトもある。

 万葉集で解く難波津の歌の謎
 http://www.geocities.jp/yasuko8787/0-0kininaru-0n.htm

「難波津の歌」は「王仁」の作とされる。仁徳天皇と皇位を争ったかもしれない菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)の「菟道」は,「うじ」と読み,現代では「宇治」と書かれる。「王仁」の「王」を「う」と読み「仁」を「じ」と読むと,同じく「うじ」となる。

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ボリス・ピオトロフスキー(加藤九祚訳)『埋もれた古代王国の謎-幻の国ウラルトゥを探る』

下記の書籍を読んだ。

 ボリス・ピオトロフスキー(加藤九祚訳)
 埋もれた古代王国の謎-幻の国ウラルトゥを探る 
 岩波書店 (1981/9/10)

現在のアルメニアにあった古代の王国で,スキタイ(ケルト)とほぼ同じような民族だったのではないかと考えられる。

とんがり帽子の埴輪のルーツを探しながら,やっとここまでたどり着いた。

本書の内容は,遺跡発掘結果に基づくウラルトゥ王国の文化に関する概説で,非常に面白い。翻訳の正確性を検証する能力は全くないけれども,翻訳文を読む限り,とてもわかりやすい。

本書の79頁にある土偶の図の示す三角帽子の男性像は,古代ケルトの戦士と推定されているヒルシュランデン出土の石人とよく似ている。この石人は,三角帽子をかぶっている。

本書の105頁にあるシヴィニ神の図の示す両腕を上に掲げて器物を支える姿は,ホッホドルフの青銅寝台を支える人物像や曾侯乙墓出土の楽器の支柱となっている人物像と基本的なモチーフが一緒なのではないかと思う。

本書の140頁にある神像の鬚と髪の形状は,芝山古墳の埴輪と酷似している。

本書の148頁と151頁にある兜はまさにとんがり帽子だ。きっと地位の高い者ほど高く尖った兜を装着したのだろうと思う。

後代のアッティラの兜も尖ったものとして描かれることが多く,プロイセンの鉄兜も尖っているが,ここらへんになると関連性は不明だ。

更に散策は続く。

[このブログ内の関連記事]

 とんがり帽子の埴輪
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-d916.html

 芳賀日出男『ヨーロッパ古層の異人たち-祝祭と信仰』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-5fcf.html

 佐藤信夫『新アルメニア史-人類の再生と滅亡の地』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-408b.html

 林俊雄『ユーラシアの石人』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-0811.html

 16世紀ロシアのイワン雷帝軍所属将校のものとみられるとんがり帽子型兜
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/16-d40c.html

 リトルトン,マルカー(辺見葉子・吉田瑞穂訳)『アーサー王伝説の起源―スキタイからキャメロットへ』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-3f1c.html

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横地勲『古代の光通信』

下記の書籍を読んだ。

 横地勲
 古代の光通信
 図書出版のぶ工房 (2004/12/24)
 ISBN-13: 978-4901346542

古代において銅鏡を用いた光通信が行われていたのではないかとの仮説をたていろいろと考えてきたのだが,同じようなことを考える人が存在することを知り,驚いた。書店でみつけ,購入して読んでみた。

本書においては,修験道を行う者が通信適地となっている山頂等で光通信を行ったのではないかとの仮説をたてている。

光通信とその実証実験に関する記述は比較的短く,主に神宮皇后=斉明天皇説の考証とそれを補強するための天武天皇=風水師説を述べている部分が多い(神宮皇后及び天武天皇に関する仮説は(細部を別とすれば)あり得ることだと思う。日本の道教を確立したのが日本国の正史の上で天武天皇とされている誰かであることはほぼ間違いないことだろうと思う。)。

一般に,現在の社会環境の下で鏡による光通信実験をしようとしても,山々に(植林による)木々が生い茂っているため,よほど条件に恵まれていない限り,現実には実行できない。

山々の頂上には木々がなかったと推定することは可能だと考える。製鉄や造船のために乱伐が繰り返され,日本国全土においてほぼ裸の山ばかりになっていた可能性さえある(森勇一『ムシの考古学』には,江戸時代において乱伐があったことが示されているが,考古学上の発見によれば,古代においても,例えば古代の多賀城周辺の植生変化の研究成果等によって,同じようなことがあったことが知られている。)。そのような条件下では,銅鏡による光通信は可能だ。そこで,山々が裸の状態になっていると仮定して,コンピュータによるシミュ―レーションをしてみたいと思いながら,かなり老人になってしまった。誰か若い世代に譲りたいと思う。

なお,本書においては,九州~瀬戸内~畿内の範囲内での光通信を想定している。しかし,東海地方~関東地方にも「鏡石」といった地名が多数残り,亀石も残されている。当時の海水面は現在よりも高かったと推定され,現在では内陸にある古墳でも当時は海岸にそびえ立っていたものが多数あると推定されることから,それらについて海水面の補正をすれば,光通信が可能かどうかのシミュレーションを実行することもできるだろうと思う。

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内部者による情報セキュリティ上の事故-信頼と警戒との板挟み

下記の記事が出ている。

 Defending against insider security threats hangs on trust
 CIO: January 22, 2016
 http://www.cio.com/article/3025468/security/defending-against-insider-security-threats-hangs-on-trust.html

この記事に書かれていることは,本当は解決策になっていない。

なぜなら,経営陣が悪である場合を想定していないからだ。

要するに,ISMSを中心とする現在の情報セキュリティの基本原理は,経営陣が健全であり組織が存在していることを前提としているため,そのような条件を満たす場合にのみ有効だということを忘れてはならない。

経営陣が悪である場合には組織全体が悪であることになるのが普通なので,法執行機関としては,組織そのものについて常に懐疑的であらざるを得ない。ところが,その法執行機関が悪である場合には・・・結局,解決策がない。

私見としては,事後的な対応として,悪である経営陣に対して,(死刑を含め)可能な限り厳しい処罰をもって臨むという以外にはないのではないかと考えている。

ちゃんと管理する能力のない者に対して起業を進めるような政策論は,単に愚策であるというだけではなく,そのような政策それ自体が(過失の場合を含め)悪を助長する結果となるのではないだろうか。

きちんと管理する能力のない者は,企業経営をしてはならない。

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米国:セーフハーバーはセーフハーバーではない-EUの法制と合衆国の法制との板挟み

下記の記事が出ている。

 No Safe Harbor Is Coming -- CISA Made Sure Of It
 DARK Reading: January 22, 2016
 http://www.darkreading.com/threat-intelligence/no-safe-harbor-is-coming----cisa-made-sure-of-it/d/d-id/1323930

実は,この問題は,日本でも同じ結果となるということをわかっている人はわかっているのだが,知らない人は全然知らない。

[追記:2016年1月31日]

関連記事を追加する。

 No agreement as deadline to replace Safe Harbor nears
 CIO: January 29, 2016
 http://www.cio.com/article/3027623/no-agreement-as-deadline-to-replace-safe-harbor-nears.html

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殺人ロボットは数年後に完成する?

下記の記事が出ている。

 殺人AIロボット開発阻止を訴え、ダボス会議で科学者ら
 AFP BB: 2016年1月23日
 http://www.afpbb.com/articles/-/3074300

 'Stop killer robots before it's too late': Experts warn the world must act quickly to prevent machines rising up and killing us
 Daily Mail: 22 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3412098/Stop-killer-robots-s-late-Experts-warn-world-act-quickly-stop-machines-rising-killing-humans.html

何とのんびりした人々だろうとあきれる。既に存在している。

全ての人間について平等に「生存権」を肯定すると必然的に殺し合いが生ずるというパラドックス的なメカニズムに関しては,「艸-財産権としての植物(2)」の脚注内で述べた。この論理矛盾は資源の有限性によって発生する。仮に資源の有限性という制約が存在しない場合,需要と供給とのアンバランスから生ずる「利益」というものの発生原因も存在しないことになるので,資本主義社会は消滅するという別のパラドックスに陥る。

(余談)

殺人ロボットが人間型(ヒューマノイド)である必然性は全くない。最も効果的により多数の人間を殺せるように設計すると,むしろ,必然的に,人間型ではなくなる。

にもかかわらず,人間型殺人ロボットを想定してしまいがちなのは,そのような人々が古典ギリシアにおける観念及び『旧約聖書』にとらわれた脳構造をもっているからではないかと推定している。

古典ギリシアにおいては,人間型の神像をもたないケルト人等を蛮人(バルバロイ)と呼んで蔑視した。しかし,ギリシアを侵略したケルト人の一派はデルフォイ神殿の人間のような神像を目にして嘲笑したのだという。彼らは,精霊のような目に見えない存在を抽象的に認識・理解することができず具象的なものしか信じることのできないギリシア人をとんでもなく知能の劣った蛮族だと考えたのだろう。

『旧約聖書』の「創世記」において,神は自分の姿に似せてアダムを創造したのだという。それゆえ,人間の「かたち」こそが最も神に近い完成されたものだとの信念が生まれることになる。

しかし,地球上で最も長く繁栄を維持しているのはウイルスのような極めて単純な構造をもった生物のような有機体達だ。これらの有機体達は,地球が惑星衝突によってバラバラになっても宇宙空間を浮遊し続け,どこか別の惑星に降り,そして,その惑星でその遺伝子を存続させ続けるかもしれない。その惑星には,人類は存在しないかもしれないが,きっと別の神が住んでいる。

要するに,基本的なことを考える場合には,いったん「人間至上主義(ヒューマニズム)」を完全に忘れ,全て即物的に考えてみる必要がある。

その上で,もし人類を存続させたいのであれば,どのような統制装置を構築するのが合理的かを考えるのが正しいという結論になりそうだ。

ベンタムの思想は,このような発想に近いものだろうと思う。

ただし,現在の人類がそれぞれ自分にとって都合のよいように恣意的に解釈している「生存権」や「自由」なるものとは相当ひどい乖離を生じさせることになるだろう。それゆえ,ベンタムの思想は,基本的に嫌われることになる。

こういうわけで,それぞれの立場があるので,どれがよいとか悪いとか決めつけることはできないのだが,そういうことを踏まえた上で,やはり,殺人ロボットがヒューマノイドであるべき必然性は全くないということを明確に認識しておくべきことだけは誰も否定しようがないのではないかと思う。

殺人装置は,例えば,(北欧神話のトールのハンマーのような)雷そのものであっても良いので,神の姿に似ている必要は全くないのだ。

それゆえ,私は,2014年に開催された情報ネットワーク法学会のシンポジウムにおいて,円を3つ組み合わせた図だけを用いて自説を述べた。このシンポジウムの内容は,『情報ネットワーク・ローレビュー講演録編-第14回研究大会講演録』に収録されている。

奇しくも,この3要素による理解は,ジョルジュ・デュメジルの3要素説とも一致していることに後になってから気づいた。

先に気づいていれば,ジョルジュ・デュメジルを引用してもっと格好良く権威ありそうに話すことができたのに・・・と思う(笑)

明らかに大幅に勉強不足なので,更に読書を重ねようと思う。

[追記:2016年1月26日]

関連記事を追加する。

 If killer robots arrive, the Terminator will be the least of our problems
 Washington Post: January 25, 2016
 https://www.washingtonpost.com/news/innovations/wp/2016/01/25/if-killer-robots-arrive-the-terminator-will-be-the-least-of-our-problems/

映画『ターミネーター』における人類抹殺というコンピュータ(人工知能)の判断は理論的には正しいということは,1997年に刊行した『ネットワーク社会の文化と法』で書いたとおりだ。人類の中でも特に支配的地位を占めている人々がその生存のあり方を根本的に変更しない限り,この結論を修正することができない。したがって,現状を前提とする限り,どのようにあがいても,なるようにしかならない。

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X-43

下記の記事が出ている。

 Hypersonic travel moves a step closer: Orbital and Nasa 3D printed scramjet engine part survives critical wind tunnel tests
 Daily Mail: 22 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3412590/Hypersonic-travel-moves-step-closer-Orbital-Nasa-3D-printed-scramjet-engine-survives-major-wind-tunnel-tests.html

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モノのインターネット(IoT)+検索エンジンは,極めて危険な結果をもたらす?

下記の記事が出ている。

 Internet of Things security is so bad, there’s a search engine for sleeping kids
 ars technica: January 24, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/how-to-search-the-internet-of-things-for-photos-of-sleeping-babies/

[追記:2016年1月26日]

関連記事を追加する。

 Search engine lets users find live video of sleeping babies
 Guardian: 25 January, 2016
 http://www.theguardian.com/technology/2016/jan/25/search-engine-lets-users-find-live-video-of-sleeping-babies

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鶴岡真弓『ケルト美術』

下記の書籍を読んだ。

 鶴岡真弓
 ケルト美術
 筑摩書房 (2001/12/10)
 ISBN-13: 978-4480086778

ケルト美術を「造形」という観点から考察したもので,ケルトの歴史からはじめて末期までの美術通史のような感じになっている。

「まえがき」の部分には著者の美術哲学のようなものの片鱗を窺うことのできる記述があり,興味深かった。

本書の約半分は写真と図版になっており,本文中で図や写真を参照するような構成となっている。

内容的には,欧州だけに限定せずに,周辺・近隣諸国の文化との比較文化的な考察を十分に盛り込んだものとなっている。

ただ,私の興味関心からすると,バクトリアよりも東の世界との比較が乏しいように思う。

私見としては,古代中国の青銅器と古代ケルトの青銅器との間には濃厚に類似性がある。要素解析の手法を用いると,それが明確となる。おそらく,単に文化が伝播したというよりもずっと濃密な相互関係があったのではないかと思う。

そのような観点からすると,純粋に「造形」という切り口だけで考察するにしても,もっと広い視野で深い考察をすべき余地が残されており,この分野はまだまだ学術研究の宝庫となっているのではないかと思う。

なお,本書を通読してみて,ラテーヌ期以降については幾何学文様としての抽象化という動きを重視する考え方が示されているように思う。私もそうではないかと考えるのだが,少しだけ留保したい。

なぜなら,例えば,日本の神社の三つ巴紋は,それ自体としてはとても精緻な幾何学文様なのだが,そこには神道における重要な意味が込められており,それを感得することが非常に重要なものとなっている。欧州では,キリスト教の影響でそういう精神文化が廃れてしまい,誰も感得できなくなってしまっているのかもしれないが(中国でも孔子の教えの影響で廃れてしまった可能性があるが,山海經や神仙伝等に示される神仙の考え方にその残滓をみることができると考える。),日本にはそのような精神文化が残されている。

素人の仮説に過ぎないが,古代ケルトの青銅器等に示される紋様や動物の頭部等の形象は,いわば象形文字的に何らかの意味を示唆するもので,単なる「造形」にとどまらない極めて重要な社会的役割を果たしていたものだと考える。その解明は,現在でも神紋や家紋や使い,それに意味を認める精神文化をもつ日本人のみがなし得ることではないかと思う。

他方で,ケルトの幾何学文様とされるものは別の流れのように見えるかもしれないが,宗教上において重要なものとして現存しているとも考えられる。例えば,イスラム教スンニ派のアラベスク文様がそれに該当する。イスラム教のスンニ派では神等を人間の形で表現することを禁止しているのだが,このような考え方はアイルランド・ケルト系のキリスト教会にも通ずるものではないかと思う。シーア派ではムハンマドを除き人物像を描くことを必ずしも禁止していない。こちらのほうはヘレニズムの流れを汲むものとして理解することもできるのではなかろうか。

(余談)

ケルトの信仰に関する論述部分では女神について比較的詳しく書かれており,興味深かった。馬に横乗りになっている構図で示されるエポナ神は,ユーラシア大陸に広くみられるもので,この女神の信仰をもつ人々がかなり広範囲に居住し,または,かなり広範囲を移動したことを示している。

水の女神とされるダユ神は,おそらく,アンデルセンの人魚姫の原型となっているもので,中国の人頭蛇身の女神とも関連性を有するものだろうと思う。中国の媽祖(まそ)に関する様々な伝承の中にも紛れ込んでいると考えられる。

「マリア」は,古くから指摘されてきた問題で,私もキリスト教とは無関係のものだった地母神信仰のようなものが,キリスト教布教のための都合上,キリスト教の中に組み込まれたものだろうと思う。

別の記事にも書いたのだけれども,2本の角をつけた羊の頭部は,子宮のように見える。また,2本の角は,しばしば銅鏡を支えるための台として用いられる。このことから,子宮に太陽が入るという暗示をしている可能性があるのではないかと考える。寝ている間に子宮に白い像が入り仏陀を懐胎した,あるいは,流星が子宮に入り貴人を懐胎したといったような表現は,インドでも中国でも古くからある。それを銅の装飾品として具現化すると羊の頭部になるということかもしれない。

[追記:2016年1月25日]

同じ著者の『ケルトの芸術と文明』(創元社,2008)も読んでみた。カラー写真が多く図版としてはこちらのほうがわかりやすい。しかし,本文は『ケルト美術』をダイジェストにしたようなもので,論証部分がかなりカットされているので,本文の内容としては『ケルト美術』のほうが優れている。

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湖北省博物館編『曾侯乙墓文物珍賞』

下記の書籍を読んだ。正確には,図録なので,写真を見て,その解説文を読んだ。

 湖北省博物館編
 曾侯乙墓文物珍賞
 湖北美術出版社(1995/5)
 ISBN: 9787539405834

この遺跡は非常に有名な遺跡で,古代の青銅器の宝庫となっている。

特に有名なのは,「編鐘」と呼ばれる銅鐸のような釣鐘状の青銅器を多数並べた楽器だ。

いずれも古代ケルトのハルシュタット期とラテーヌ期の文化との類似性を有するもののように思う。

特に,「編鐘」の支柱部分の青銅器には人間が両手をあげて支え持つ形状が示されている。これは,ホッホドルフの遺跡から発見された青銅製の寝台の支柱部分にも人間が捧げ持つ形状が示されており,偶然の一致とは考えにくい。おそらく,この形状のルーツは古代エジプトにあり,古代のエジプト,ケルト,中国の間には文化的な連続があるか,または,何らかの交流があったのではないかと推定される。

建鼓と呼ばれる太鼓の支持台と推定される複雑な形をした青銅器をよく見ると,古代ケルトのラテーヌ期の渦巻き紋様または蛇様の動物紋様を立体化して組み合わせたものだということを理解することができる(「ダロウの書」の福音書カーペット頁が参考になる。)。

従来,古代中国の文物については特殊性が強調され過ぎて,文化的な連続や相互の影響等についてはあまり明確に意識されてこなかったのではないかと思う。しかし,ケルト(スキタイ)の影響が濃厚と思われる文物は多数あるし,春秋戦国時代~秦・前漢(西漢)のころには明らかにアレクサンドロス大王の東征の影響と思われるヘレニズムが及んでいたと考えざるを得ない。

いわゆる「四大文明」なるものは,空虚に独自性を誇示して偏狭な民族主義に陥るのではなく,ユーラシア全体の相互関係の中でとらえ直すべきものだろうと信ずる。

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2016年1月23日 (土曜日)

深圳博物館・随州市博物館編『禮樂漢東-湖北随州出土周代青銅器精華』

下記の書籍を読んだ。正確には,図録なので,写真を鑑賞し,その説明文を読んだ。

 深圳博物館・随州市博物館編
 禮樂漢東-湖北随州出土周代青銅器精華
 文物出版社(2012/8)
 ISBN 9787501035304

すばらしい青銅器ばかりだ。

殷(商)の三公・鄂侯のものとされる安居羊子山墓地出土の青銅器,西周・曾國のものとされる浙河葉家山墓地等出土の青銅器等が年代順に掲載されている。

何度も見て思ったのだが,ハルシュタット期とラテーヌ期のケルト文化との共通点が非常に多い。

古代の中国と古代の欧州とを別のものとは考えず,連続したものであるか,または,何らかのかたちでの密接な関連を有するものとして考えるほうが合理的かつ生産的なのではないかと思う。

「鄂」の音と「Celt」の音も何となく似ているような感じがする。

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「iOS端末のSafariで蓄積したクッキーに外部からアクセスできる脆弱性が2年間も放置されていたらしい

下記の記事が出ている。

 iOS端末の持ち主になりすまして攻撃できるクッキーの脆弱性が発覚、なんとAppleは2年半も放置
 GIGAZINE: 2016年1月21日
 http://gigazine.net/news/20160121-ios-9-2-1-bug-fix/

 iPhone 'cookie theft' flaw took three years to fix, say bug finders
 ZDNet: January 20, 2016
 http://www.zdnet.com/article/apple-fixes-iphone-cookie-theft-security-bug-three-years-later/

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中国・遼寧省の水深約60メートルの海底遺跡-秦の始皇帝の宮殿か?

下記の記事が出ている。

 Submerged Ruins May Be the Seaside Palace of the First Emperor of China
 Ancient Origin: January 21, 2016
 http://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/submerged-ruins-may-be-seaside-palace-first-emperor-china-005215

発見されたのは人工的に構成された石材だけなので,今後更に研究が進められることになるだろうと思う。

それにしても水深約60メートルとは驚きだ。

氷河期ならば現時点よりも100メートルくらい海水面が低かったと推定されているから,現時点よりも60メートル低い場所も陸上だったと推定することができる。

しかし,秦始皇帝の時代はそうではない。

考えられる仮説としては,大規模地震によって,相当広域に60~80メートルくらい地盤沈下が発生したということになるだろう。沖積平野においては,基本的には水分を大量に含んだ泥の上に一見乾いているようにみえる土壌が乗っかっているような状態なので,その上に重量のある人口構築物を造営すると,大地震等の際に水平方向及び垂直方向の大規模地すべり的な現象が発生し,全体として沈降・埋没してしまうということがあり得る。

現在の世界中の大都市が大半がそのような状態になっているので,巨大地震が発生すると都市がまるごと全部,巨大な地盤流動化に飲み込まれ沈降・埋没するというようなことが絶対にないとは言えないのではないかと考えている。

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グリム童話のルーツは,古代の印欧語族の伝承・説話?

下記の記事が出ている。

 A Brothers Grimm Story Proven Right: Many Fairy Tales Stem from Ancient Oral Traditions
 Ancient Origin: 22 January, 2016
 http://www.ancient-origins.net/news-general/brothers-grimm-story-proven-right-many-fairy-tales-stem-ancient-oral-traditions-005220

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奥田喜道編『ネット社会と忘れられる権利-個人データ削除の裁判例とその法理』

下記の書籍を読んだ。

 奥田喜道編
 ネット社会と忘れられる権利-個人データ削除の裁判例とその法理
 現代人文社 (2015/10/10)
 ISBN-13: 978-4877986155

事例検討と各国の関連法制の概説を中心とする入門書的な書籍で,比較的分かりやすいと思う。

一般向け概説書という性質上,基本理論の考察はほとんど含まれていないが,これはやむを得ないことだろうと思う。

基本理論の考察に関する限り,現時点で,Simson Garfinkelの『Database Nation - The Death of Privacy in the 21st Century』(O'Reilly, 2000)とAlexander Halavaisの『Search Engine Society』(Polity, 2008)を超える書籍はまだ出ていないのではないかと思う。

なお,比較法の部分でも,概要説明だけとなっており,各国の法令(法案)の原文及び対訳はないので,読者各自が法情報データベースで検索して調べる必要がある。

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Crispr/Cas9

下記の記事が出ている。

 An Arcane Patent Law May Decide Crispr's Big Legal Fight
 Wired: January 5, 2016
 http://www.wired.com/2016/01/crispr-patent-dispute-gets-really-arcane/

 A legal storm is threatening a startup backed by Bill Gates that wants to edit people's genes by 2017
 Business Insider: January 5, 2016
 http://www.businessinsider.com/a-patent-fight-is-brewing-over-bill-gates-backed-editas-2016-1

 2 teams of scientists are fighting over a powerful gene editing technology — and the case just took a step forward
 Business Insider: January 12, 2016
 http://www.businessinsider.com/crispr-patent-fight-goes-to-court-2016-1

 Two U.S. Academic Institution on argue about who invented CRISPR
 Albany Daily Star: January 13, 2016
 http://www.albanydailystar.com/science/two-us-academic-institution-on-argue-about-who-invented-crispr-15376.html

[追記:2016年1月24日]

関連記事を追加する。

 Money from Genes: CRISPR Goes Commercial
 The new DNA-changing tech has attracted millions of dollars from AstraZeneca, DuPont and other big companies
 Scientific American: January 22, 2016
 http://www.scientificamerican.com/article/money-from-genes-crispr-goes-commercial/

[追記:2016年2月6日]

関連記事を追加する。

 Column: The billion-dollar CRISPR patent battle: A case of big money shaping science
 Los Angeles Times: February 5, 2016
 http://www.latimes.com/business/hiltzik/la-fi-hiltzik-20160206-column.html

[追記:2017年3月8日]

関連記事を追加する。

 遺伝子技術「CRISPR-Cas9」の特許バトルに裁定、の意味
 GIZMODO: 2017年3月2日
 http://www.gizmodo.jp/2017/03/crispr-cas9-patent.html

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米国:米軍が脳内にインプラントした装置でホストコンピュータと直接に思念通信をし,人間の思考をコントロールするシステムを開発中?

下記の記事が出ている。

 The military is building an implant for controlling machines with your mind
 TNW: 20 January, 2016
 http://thenextweb.com/insider/2016/01/20/the-military-is-building-an-implant-for-controlling-machines-with-your-mind/

犯罪学や犯罪心理学という学問は終わってしまっているのだろうと思う。成立しない。

従来の犯罪学や犯罪心理学が対象としていた分野は,ほぼ全て脳科学に吸収されることになるだろうと思う。

同様の理由により,長期的には法学全体が消滅する可能性がある。

意思主義から処理主義の時代へと変化するということは『ネットワーク社会の文化と法』で1997年に述べたとおりなのだが,こんなに早く処理主義の時代到来の見込みがたつようになるとは想定していなかった。

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オランダ:Androidのセキュリティ更新に怠慢があるとして,消費者団体がSamusungに対して提訴

下記の記事が出ている。

 Samsung sued over 'lackadaisical' Android security updates
 Register: 21 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/21/samsung_sued_for_lackadaisical_android_
updates/

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アイルランド:政府サイトにDDoS攻撃

下記の記事が出ている。

 Multiple government websites down as servers under 'DDoS attack'
 Independent: 22 January, 2016
 http://www.independent.ie/irish-news/news/multiple-government-websites-down-as-servers-under-ddos-attack-34387566.html

 Irish government websites hit by widening DDoS attacks
 Register: 22 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/22/irish_gov_ddos/

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有機物ロボット開発に資する技術開発が更に進んでいる

下記の記事が出ている。

 Robots that rot! Future androids could be made from biodegradable smart materials to make them 'decompose like humans'
 Daily Mail: 20 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3408052/Robots-rot-Future-androids-biodegradable-smart-materials-decompose-like-humans.html

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大麻草は思春期における知能の発達に悪影響を及ぼさないとの見解

下記の記事が出ている。

 Marijuana might not be the culprit in adolescent IQ decline
 ars technica: January 23, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/01/marijuana-might-not-be-the-culprit-in-adolescent-iq-decline/

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2016年1月22日 (金曜日)

西秋良宏・木内智康編『農耕と都市の発生-西アジア考古学最前線』

下記の書籍を読んだ。

 西秋良宏・木内智康編
 農耕と都市の発生-西アジア考古学最前線
 同成社 (2009/10/30)
 ISBN-13: 978-4886214966
 http://homepage3.nifty.com/douseisha/kouko/kaigai2/kaigai2.html#noukou

将来を嘱望されながら若くして亡くなった木内智康氏の追悼の趣旨でまとめられた論文集とのことだ。

どれもしっかりとした研究成果を示すもので勉強になったのだが,特に有松唯氏の「都市無き複雑社会」(241~266頁)はとても興味深く,じっくりと読んだ。

良い本だと思う。

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人間の脳には従来考えられていたよりも10倍の記憶容量がある?

下記の記事が出ている。

 The human brain can store 10 TIMES as many memories as previously thought, says study
 Daily Mail: 20 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3409210/Why-good-remembering-human-brain-store-10-TIMES-memories-previously-thought-says-study.html

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オランダ:仮想通貨Bitcoinを用いたマネーロンダリングの容疑で10名の者が逮捕されたらしい

下記の記事が出ている。

 Ten arrested in Netherlands over bitcoin money-laundering allegations
 Guardian: 20 January, 2016
 http://www.theguardian.com/technology/2016/jan/20/bitcoin-netherlands-arrests-cars-cash-ecstasy

なお,昨年中にも3名の者が逮捕されていたようだ。

 Dutch Police Arrests Three People in Bitcoin Money Laundering Investigation
 Inside Bitcoin: October 1, 2015
 http://insidebitcoins.com/news/dutch-police-arrests-three-people-in-bitcoin-money-laundering-investigation/35076

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スペイン:約6000年前の埋葬施設と人骨?

下記の記事が出ている。

 Mass grave in Spain reveals strange Neolithic burial rituals: Skeletons with missing skulls and limbs discovered under earliest stone memorial
 Daily Mail: 20 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3408693/Mass-grave-Spain-offers-unparalleled-clues-Neolithic-life-death-Tomb-47-people-reveals-group-lived-worked-ancient-diseases-had.html

非常に興味深い。

[このブログ内の関連記事]

 欧州人はどのようにして形成されたかに関するDNA研究
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/dna-63f3.html

 アイルランド人は4000年前の中東からの移民の子孫?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/4000-a855.html

 アングロサクソン人の侵入時期と現代英国人の遺伝子に対する影響に関する議論
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-2135.html

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Asacub Drydex

,下記の記事が出ている。

 'Asacub' Trojan Converted To Mobile Banking Weapon
 DARK Reading: January 21, 2016
 http://www.darkreading.com/vulnerabilities---threats/asacub-trojan-converted-to-mobile-banking-weapon/d/d-id/1324001

 Drydex malware busting bursting British business bank balances
 Register: 21 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/21/bronzeplaced_malware_belting_bursting_
british_business_bank_accounts/

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Ciscoが重大な脆弱性についてパッチ

下記の記事が出ている。

 Cisco fixes critical flaws in digital encoder, unified computing manager and security appliance
 CIO: January 21, 2016
 http://www.cio.com/article/3025376/cisco-fixes-critical-flaws-in-digital-encoder-unified-computing-manager-and-security-appliance.html

 Cisco patch day fixes CGI script blunder, hard-coded credentials
 Register: 21 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/21/cisco_patch_day/

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Yahoo MailのXSS脆弱性

下記の記事が出ている。

 XSS bug in Yahoo Mail could have let attackers take over email accounts
 Naked Security: 21 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/21/xss-bug-in-yahoo-mail-could-have-let-attackers-take-over-email-accounts/

 Yahoo! Mail! Had! Nasty! XSS! Bug!
 Register: 19 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/19/finnishii_bugii_hunterii_netsii_10kii_bountyii_
fromii_yahooii/

 Yahoo Patches XSS Mail Bug
 CCM: January 21, 2016
 http://ccm.net/news/27092-yahoo-patches-xss-mail-bug

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銀行の2要素認証を回避するDridexマルウェア

下記の記事が出ている。

 Dridex Trojan targets UK banks, avoids two factor authentication checks
 ZDNet: January 21, 2016
 http://www.zdnet.com/article/dridex-trojan-targets-uk-banksdridex-trojan-targets-uk-banks-avoids-2fa-checks/

 Dridex banking malware adds a new trick
 CSO: January 20, 2016
 http://www.csoonline.com/article/3024323/security/dridex-banking-malware-adds-a-new-trick.html

[追記:2016年2月6日]

関連記事を追加する。

 Mystery hacker hijacks Dridex Trojan botnet... to serve antivirus installer
 Register: 4 February, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/02/04/dridex_botnet_pwned/

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2025年までに通信機器が労働者の身体内にインプラントされ,ロボットの管理職に支配されるようになる?

下記の記事が出ている。

 Your boss will be a robot and your phone will be implanted in your body: Davos executives predict what life in 2025 will be like
 Daily Mail: 20 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3408366/Here-come-robots-Davos-bosses-brace-big-technology-shocks.html

単純労働ではそうなるんじゃないかと思う。

経営陣もロボット化されると,人間は株主だけということになるので,株主が全ての損害賠償責任を負うということになるだろう。すると,誰も投資家になろうとは思わなくなるので,基本的に資本主義社会が終了となって金持ちが全て没落し,ある種の独裁主義のようなものだけが残るという結末になるのではないかと思う。

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英国:GCHQが通信傍受用に作成したソフトウェアにはバグがある?

下記の記事が出ている。

 GCHQ-developed phone security 'open to surveillance'
 BBC: 21 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35372545

 GCHQ spies quashed this phone encryption because it was too good against snoopers
 Register: 21 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/21/mikey_ibake/

諜報活動の一部としての傍受活動を仮想敵国の諜報機関ハックして偽の傍受内容を伝送し,判断を誤らせるといったようなことが可能かもしれない。

そして,そのような仮想敵国の諜報機関による偽装工作を更にハックして・・・いつまでも終わらないということになるかもしれない(笑)。

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貧困は子供の脳の発達に影響を与えている?

下記の記事が出ている。

 Poverty may alter the wiring of kids' brains
 ars technica: January 22, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/01/poverty-may-alter-the-wiring-of-kids-brains/

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2016年1月21日 (木曜日)

Intelのドライバ更新ソフトウェアの脆弱性

下記の記事が出ている。

 Major security flaw found in Intel driver software
 ZDNet: January 20, 2016
 http://www.zdnet.com/article/major-security-flaw-patched-in-intel-driver-software/

 インテルのドライバ更新ユーティリティに脆弱性--早急なアップデートを推奨
 ZDNet Japan: 2016年1月21日
 http://japan.zdnet.com/article/35076540/

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村上恭通『古代国家成立過程と鉄器生産』

下記の書籍を読んだ。

 村上恭通
 古代国家成立過程と鉄器生産
 青木書店(2007/3/26)
 ISBN-13: 978-4250207105
 http://www.aokishoten.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=978-4-250-20710-5

古代の日本列島において鉄がどのようにして製造されていたのかについて,綿密な遺跡調査結果を踏まえ,丹念に検討・考察した結果をまとめたもので,非常に勉強になる。

論述はとてもわかりやすく,良書と言えると思う。

鉄の製造技術に関して,ユーラシア大陸全体を見通した研究がどんどん進展しており,重要な研究成果が次々と明らかにされるようになってきた。それらの新しい研究成果を踏まえて考えてみると,古代の日本列島における鉄の歴史は明らかだろうと思う。

私の研究テーマとの関連では,草を求めた人々と鉄生産との間に密接な関係があるという仮説をたて,それを実証できそうな段階にまで至っている。この仮説そのものは,「『楚辞』の蘭」に書いた。昨年9月に原稿(約11万字)を仕上げて提出し,昨年12月19日に刊行予定との連絡を受けていたのだが,実際にはまだ刊行されていない。とにかく世間はのろい。

もう1度督促した上で,それでも刊行されないようであれば,諦めて,ネット上でPDFで公開してしまおうかと考えている。

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堀部政男編『別冊NBL No.153 情報通信法制の論点分析』

下記の書籍の寄贈を受けた。

 堀部政男編
 別冊NBL No.153 情報通信法制の論点分析
 商事法務 (2015/12/29)
 ISBN-13: 978-4785771256

個人情報保護法の改正を受け,これまでの学説上の議論を総まとめにしたような書籍と評価することができる。

「自己情報コントロール権」なるものが空理空論であることは既に何度も述べてきたとおりだし(米国の連邦最高裁によって,そのような権利は存在しないということが明確に宣言されている。),現時点でそれを信じているような馬鹿者は存在しないだろうと思う。新たな法理論の構築を要すると考えるのだが,本書中にはそのような新規の理論構成は全く含まれていない。これまでの議論の総まとめ的なものである以上,やむを得ないことだと思う。

私見としては,個人の法的利益保護という観点からは,民法及び民事執行法の解釈論と立法論を徹底すること,そして,刑罰による対処を更に強化することが大事だと考えている。

通信法制それ自体としては,行政法の分野に属するものなので,正しい政策論が求められる。

他方で,本書を読んでみると,英米法における判例法の形成プロセスに関する論述がない。現行法がEUの個人データ保護指令に対する対応という歴史的経過の中で制定され,改正されてきたものなので,むしろ自然のことだろうと思う。

ただ,通信法制の基本部分のかなりの部分が英米法における判例法の蓄積の上に構成されているものである以上,古い電信時代のものを含め,徹底した判例研究が求められていることは疑いがない。

個人情報保護法制がどうにかこうにか成長し始める段階になったので,より基礎的な部分について深く研究する研究者の養成が求められていることを痛感したというのが正直な読後感だ。

基本哲学を模索する者は,原ケルトやヴェーダに遡るジョルジュ・デュメジルの3要素説に基づく比較神話学に通暁するように勉強を重ねた上で,現代において写像を探せばよいだろうと思う。人類は少しも進歩していない(この関連のことは,「艸-財産権としての植物(1)」及び「艸-財産権としての植物(2)」の脚注内で既に示唆しておいた。)。

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1万年前の戦争の痕跡?

下記の記事が出ている。

 10,000-year-old mass killing is still a mystery
 ars technica: January 21, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/01/10000-year-old-mass-killing-is-still-a-mystery/

 Is this mankind's first massacre? Prehistoric tribe of men, pregnant women and children were bound and battered by invading rivals 10,000 years ago
 Daily Mail: 20 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3408654/Is-mankind-s-massacre-Prehistoric-tribe-men-children-pregnant-women-bound-battered-stabbed-death-invading-rivals.html

 1万年前、集団で争いか=殺害された人骨多数-ケニア
 時事通信:2016年1月21日
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2016012100037

人類は,全ての哺乳類の中で最も好戦的かつ残虐な生物で,殺し合うことによって進化してきた。

 人類最古級の殺人の証拠? 40万年前の骨に「致命傷」
 朝日新聞:2015年5月30日
 http://www.asahi.com/articles/ASH5X4F8XH5XUHBI01M.html

遺伝子が命じていることなので,殺し合いと戦争が消滅することは絶対にない。

そこで,刑罰制度によってではなく,遺伝子操作等の生物化学的方法による人類の物理的な管理と処分が必要となると考える人々が増えている。そのための方法もかなり確立されつつある。そうるすことによって生ずる弊害的な部分はロボットによって代替すれば足りる。

「法制度」というものは歴史的役割を終えつつあると考えることもできる。

[追記:2016年1月22日]

関連記事を追加する。

 Humans aren’t as cooperative as we thought, but they make up for it via stupidity
 ars technica: January 22, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/01/humans-arent-as-cooperative-as-we-thought-but-make-up-for-it-via-stupidity/

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2016年1月20日 (水曜日)

アングロサクソン人の侵入時期と現代英国人の遺伝子に対する影響に関する議論

下記の記事が出ている。

 The English are 'one third' Anglo-Saxon: Study reveals for the first time how immigrants mixed with British population
 Daily Male: 19 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3407267/The-English-one-Anglo-Saxon-Study-reveals-time-immigrants-mixed-British-population.html

近年の考古学上の発見にはめざましいものがある。また,DNA解析等の科学的な分析技術とその精度の向上もまた驚くべきものがある。

従来の文学作品だけを論拠にした研究成果の多くが単なる空想に基づくゴミのようなものとなってしまう時代が非常に近い未来にやってくるのではないかと思う。

[追記:2016年1月22日]

関連記事を追加する。

 Where did the British come from? Ancient DNA holds clues.
 Christian Science Monitor:January 20, 2016
 http://www.csmonitor.com/Science/2016/0120/Where-did-the-British-come-from-Ancient-DNA-holds-clues

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羊頭の青銅器

ケルト(スキタイ)や殷(商)・周の青銅器の中には様々な動物(神獣)の形を示すものが多数ある。

その中で羊頭または山羊頭のように見えるものが結構多数ある。

正面からそれを見た場合,顔の部分が子宮,角の部分が左右の卵巣のように見える。

そのような印象を受けるように設計されているものではなかろうか。

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興福寺の阿修羅像

阿修羅は3つの頭部をもつように見える。

しかし,人間に見える頭部が正面で,左右はその実体を示すものだと考えると,実は2つの頭部しかなく,それはヤヌス神を示すものではないかとの仮説をたてて考えていた。

先日,たまたま駅前の書店に寄ったら,下記の雑誌があるのを見つけ購入して読んでみた。

 仏教新発見(改訂版)週刊日本の名寺をゆく2
 興福寺
 朝日新聞出版(2016/1/10)

この雑誌の16頁には敦煌莫高窟第158窟西壁の阿修羅像が示され,興福寺の阿修羅像も,本来は,前面にほら貝を持ち,上に掲げた手には日と月とを捧げもつものではないかとの記述があった。要するに,現在の阿修羅像の姿は,破損した阿修羅像を修復した際に,間違った姿に修復されてしまったものだという可能性が高い。

私もそうだろうと思う。

そして,吉田敦彦『小さ子とハイヌウェレ』によれば,ヤヌス神は,もともとはヴェーダの神に由来するもので,太陽(燈明)と月をもつものなのだとのことだ。

非常に興味深い。

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Linuxのバグ

下記の記事が出ている。

 Linux bug imperils tens of millions of PCs, servers, and Android phones
 ars technica: January 20, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/linux-bug-imperils-tens-of-millions-of-pcs-servers-and-android-phones/

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2016年1月19日 (火曜日)

Twitterのトラブルによる影響

下記の記事が出ている。

 Twitter Experiencing Worldwide Disruptions
 New York Times: January 19, 2016
 http://www.nytimes.com/2016/01/20/technology/twitter-outage.html

 Twitter back online after being down for almost two hours: Site mocked for telling users about the outage with a tweet no-one could read
 Daily Mail: 19 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3406146/Twitter-broken-Social-media-site-suffers-total-outage-leaving-users-without-access-mobiles-web.html

[追記:2016年1月21日]

関連記事を追加する。

 Twitter's Silence Deafening on State-Sponsored Attacks
 Threat Post: January 20, 2016
 https://threatpost.com/twitters-silence-deafening-on-state-sponsored-attacks/115937/

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Asda

下記の記事が出ている。

 Asda bug exposed online shopping payment details
 BBC: 19 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35350789

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総務省:「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」(案)に対する意見募集

総務省のサイトで,下記のとおり意見募集が開始されている。

 「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」(案)に対する意見募集
 総務省:2016年1月15日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_02000199.html

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警察庁:国際テロリスト財産凍結法について

警察庁のサイトで,下記のとおり公示されている。

 国際テロリスト財産凍結法について
 警察庁:2016年1月15日
 https://www.npa.go.jp/keibi/zaisantouketu/index.html

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柳川弘志・土居信英・板谷光泰・菅原正・四方哲也『現代生物科学入門9 合成生物学』

下記の書籍を読んだ。

 柳川弘志・土居信英・板谷光泰・菅原正・四方哲也
 現代生物科学入門9 合成生物学
 岩波書店 (2010/4/28)
 ISBN-13: 978-4000069694

大学生向けの教科書として書かれたものだと思う。非常にわかりやすいし,良い書籍だと思う。

ただし,終章にある研究者の倫理的なものについて書いてある部分は,他の類書と同様,「人間の尊厳」を損なわないように配慮すべきだとの抽象的な提案にとどまっているので,何も書いていないのと同じだろうと思う。

執筆者自身が生物学の研究者であり意欲的で斬新な研究をどんどんやりたいのだろうし,生物学の研究者自身が自己抑制的に書くことができるとは到底考えられないので,この程度のことを書くのが限界なのだと考える。その意味では,自己管理的なマネジメントは全く機能しようがない。生物学とは無関係なところがストップをかけない限り,「人間の尊厳」どころか「人間の存在」を消滅させかねないような研究の抑制はあり得ない。今後も,人間の尊厳とは無関係に研究がどんどん進められることになるだろう。

ところで,一般に,高校の生物教科書はほとんど役立たずなので,理系・文系の別を問わず,1から教え直さなければならない。生物だけではなく歴史学でもそうで,高校教育が若い世代をダメにしてしまっていることは否定できない。ダメにされてしまっている若者を正しく教育しなおすことは大学教授の職務ではないはずなのだが,高校教師は検定教科書に従って教育しなければならないので高校教師にそれを期待するのは酷なことだ。

やむを得ず,私の講義では,「諸君がこれまで覚えてきたことは全部間違いまたは嘘だと思いなさい」と述べ,大学生として読むべき本を示しながら授業を進めている。

生物学については,これまで,講談社からブルーバックスとして出版されている『アメリカ版大学生物学の教科書』のシリーズを推奨してきた。図版が素晴らしく,文系の学生でも理解しやすいような工夫が凝らされている。

日本でも良い生物学教科書が出ていないかと常に探しているのだけれども,翻訳書を除いてはなかなか見当たらない。

今回読んだ『合成生物学』は,内容的には優れたもので勉強になる部分が多かった。しかし,文系の学生にとっては難しすぎると思う。受験科目として生物を選択していない学生には全くチンプンカンプンかもしれない。

(余談)

ところで,明治大学の法学部の科目として,これまで何年かにわたり「植物と法」という科目を実施してきた。法学部執行部からの指示により科目数を減らすようにとのことだったのでやむを得ず2017年度以降はこの科目を廃止して科目数を減少させることとなった。その結果として残っている科目は大学の規定上必ず実施するものとされているものだけなので,これ以上減らすことは法令の解釈・運用上できない。最小限の科目構成で頑張ることになる。個人的には言いたいことがいろいろあるけれども,言っても仕方がないことなので,この場は長いものには巻かれることとしたい。

「植物と法」を受講しようと予定していた2年生(来年度の3年生)にはまことに気の毒な結果となってしまったのだが,私の不徳の致すところとお詫びするしかない。

今後は,植物関連の法解釈論や法制度論に関しては,主として論文というかたちでこれまでの研究成果の公表を続けることとする。興味のある学生は,論文が掲載された雑誌を読んでもらいたい。

この分野では,現実に栽培困難または不可能とされている植物を何百種類も長期間継続して栽培・観察し,遺伝子解析結果や生物化学的分析をも踏まえながら全く新たな法学理論を構築している研究者が世界中でこの私1人しか存在しないので,定年に至るまで,今後も引き続き研究を続けようと思う。

ぺんぺん草1本ろくに育てることさえできない者が偉そうなことを書いて威張っているのを目にすると怒りを覚える。しかし,怒っても仕方がないことだ。

私は,コツコツと地味な研究を重ね,そして新たな論文を書く。既存の法理論の応用では全く無駄な世界だし,そもそも既存の法理論の大半が砂上楼閣なので,私法・公法の別を問わず既存の法学上の基本理論を全て書き換えるというつもりで完全に新たに構想し続ける必要があるのだが,そのことが私の学問的好奇心を刺激し続けている。

[追記:2016年2月12日]

関連記事を追加する。

 大阪大学の研究者等による戦略的創造研究推進事業の研究費不正使用に係る処分について
 科学技術振興機構報第1166号:2016年2月12日
 http://www.jst.go.jp/pr/info/info1166/

 大阪大、2億7千万円の研究費不正で教授解雇
 産経ニュース:2016年2月12日
 http://www.sankei.com/west/news/160212/wst1602120058-n1.html

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Bitcoinはもう終わってしまったか?

下記の記事が出ている。

 Bitcoin: Is the crypto-currency doomed?
 BBC: January 18, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35343561

 R.I.P. Bitcoin. It’s time to move on.
 Washington Post: January 19, 2016
 https://www.washingtonpost.com/news/innovations/wp/2016/01/19/r-i-p-bitcoin-its-time-to-move-on/

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ロボットの普及により人間のオフィス業務の多くが消滅?

下記の記事が出ている。

 Report: Robots, other advances will cost humans 5.1 million jobs by 2020
 ars technica: January 19, 2016
 http://arstechnica.com/business/2016/01/report-robots-other-advances-will-cost-humans-5-1-million-jobs-by-2020/

 Office workers, construction workers and journalists facing 'redundancy' in next few years
 Telegraph: 18 January, 2016
 http://www.telegraph.co.uk/finance/jobs/12105269/Office-workers-construction-workers-and-journalists-facing-redundancy-in-next-few-years.html

私見によれば,これからの時代に人類に残されているのは,麻薬,セックス,賭博だけではないかと思う。

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2016年1月18日 (月曜日)

EU:GoogleやFacebook等による利用者個人データの収集が独占禁止法違反になるかに関する議論

下記の記事が出ている。

 European Antitrust Chief Takes Swipe at Privacy Issue
 New York Times: January 17, 2016
 http://www.nytimes.com/2016/01/18/technology/european-antitrust-chief-takes-swipe-at-privacy-issue.html

 European Union to Scrutinize Usage of Big Data by Large Internet Companies
 Wall Street Journal: January 17, 2016
 http://www.wsj.com/articles/european-union-to-scrutinize-usage-of-big-data-by-large-internet-companies-1453036139

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中国は米軍の機密ロボット軍団計画に関する情報を盗み出している?

下記の記事が出ている。

 Did China steal America's secret robot plans to make its own military androids? Officials launch probe into 'cyber penetrations'
 Daily Mail: 15 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3402041/Did-China-steal-secret-robot-plans-make-military-androids-officials-launch-probe-cyber-penetrations.html

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EUと米国との間の個人データ移転に関する協議がまとまらない場合,経済に深刻な影響が発生するおそれ

下記の記事が出ている。

 U.S. and EU firms warn of 'enormous' consequences if data pact talks fail
 REUTERS: January 17, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-eu-dataprotection-usa-idUSKCN0UV0YR

 EU privacy watchdogs to meet over US data standards
 The Hill: January 14, 2016
 http://thehill.com/policy/cybersecurity/265950-eu-privacy-watchdogs-to-meet-over-us-data-transfer-standards

 Data case has huge implications for personal privacy
 Irish Times: January 14, 2016
 http://www.irishtimes.com/business/technology/data-case-has-huge-implications-for-personal-privacy-1.2495493

日本も同じような立場にある。日本の法制は,EUの法制とコンパチブルではない。

[追記:2016年1月31日]

関連記事を追加する。

 EU, U.S. officials tackle last hurdles in data pact talks ahead of key deadline
 REUTERS: January 29, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-eu-dataprotection-usa-idUSKCN0V721V

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ジカ(Zika)ウイルス

下記の記事が出ている。

 CDC Issues Warning on Zika Virus
 Wall Street Journal: January 15, 2016
 http://www.wsj.com/articles/zika-virus-has-u-s-weighing-a-travel-advisory-1452900011

 CDC issues travel advisory for 14 countries with alarming viral outbreaks
 ars technica: January 18, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/01/cdc-issues-travel-advisory-for-14-countries-with-alarming-viral-outbreaks/

[追記:2016年1月29日]

関連記事を追加する。

 Zika virus: Up to four million Zika cases predicted
 BBC: 28 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/health-35427493

[追記:2016年1月30日]

関連記事を追加する。

 WHO警告、ジカ熱、1年で300万~400万人感染の恐れ
 朝日新聞:2016年1月30日
 http://www.asahi.com/articles/ASJ1Z24RKJ1ZUBQU001.html

 「われわれは戦いに勝つ」=ジカ熱対策で団結呼び掛け-ブラジル
 時事通信:2016年1月30日
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201601/2016013000129

 Zika virus
 WHO: January 2016
 http://www.who.int/mediacentre/factsheets/zika/en/

[追記:2016年2月19日]

関連記事を追加する。

 Conspiracy theories, wonky rumors, doubts buzz around Zika, hassle WHO
 ars technica: February 19, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/02/conspiracy-theories-wonky-rumors-doubts-buzz-around-zika-hassle-who/

[追記:2016年4月1日]

関連記事を追加する。

 Spread of Zika virus appears to be slowing in parts of Latin America
 Washington Post: March 31, 2016
 https://www.washingtonpost.com/world/the_americas/spread-of-zika-virus-appears-to-be-slowing-in-parts-of-latin-america/2016/03/31/9cbb4fc2-f5c2-11e5-958d-d038dac6e718_story.html

[追記:2016年4月2日]

関連記事を追加する。

 CDC braces for Zika's US invasion as scientists watch virus melt fetal brain
 ars technica: April 2, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/04/cdc-braces-for-zikas-us-invasion-as-scientists-watch-virus-melt-fetal-brain/

[追記:2016年7月21日]

関連記事を追加する。

 Zika outbreak may have peaked in Brazil, researchers say
 USA Today: July 14, 2016
 http://www.usatoday.com/story/news/2016/07/14/zika-outbreak-may-have-peaked-brazil-researchers-say/87078324/

 Zika emergency pushes women to challenge Brazil's abortion law
 Guardian: 19 July, 2016
 https://www.theguardian.com/global-development/2016/jul/19/zika-emergency-pushes-women-to-challenge-brazil-abortion-law

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2016年1月17日 (日曜日)

米国:ミシガン州で,経費節減のための水源切り替えの結果,鉛汚染の水道水を供給

下記の記事が出ている。

 米ミシガン州で汚染水問題、オバマ大統領が非常事態宣言
 AFP BB: 2016年01月17日
 http://www.afpbb.com/articles/-/3073464

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茂木雅博『箱式石棺(付・全国箱式石棺集成表)』

Amazonで予約注文していた下記の書籍が届いたので,早速読んだ。

 茂木雅博
 箱式石棺(付・全国箱式石棺集成表)
 同成社(2015/12/24)
 ISBN-13: 978-4886217158
 http://homepage3.nifty.com/douseisha/kouko/kohunn/kohunn.html#hako

本書は,日本国内で発掘された石棺を全て整理・分類して一覧表を作成し,それに基づいて考察した結果を示すもので,たいへんな労作だと思う。この分野を専攻しているわけではないので,本当に漏れなく全て収録されているかどうかを確認するだけの能力をもちあわせないが,たぶんほぼ全てのものが収録されているのだと思う。

本書の大部分を図版と表が占めているので,論説部分をざっと読んだ。

冒頭にある定義と研究史に関する部分を読んでいて,文学部の考古学専攻科で講義を受けているかのような錯覚に陥った。知識がきちんと整理されており,これまでの研究がどのようなもので,何が問題であり,どのような研究をすべきかが明確に示されている。

それに続けて箱式石棺の分布に関する論述がある。この部分を読むだけで,何となく古代の歴史のマクロ的な姿が脳裡に浮かんでくるのだが,更に続けて箱式石棺の構造と副葬品に関する論述部分を読んでいると,否が応でも古代中国における棺のことを思い出し,所蔵する関連書籍と比較しながら読み進めた。

そして,そのあとに,付論として,古代中国揚子江流域における箱式石棺との比較検討がある。ここでもまた,古代中国の江南の文化の影響が非常に濃厚であることを理解することができる。

論述部分は,全体として,客観的な叙述にとどめる抑制的なもので,思い切った推論や空想等は全くない。推論に類するものは,客観性をもった合理的なものの範囲内に収められている。

著者の学者(研究者)としての謙虚な基本姿勢のようなものを窺い知ることができる。

良い書籍だと思う。

本書の資料価値としては,現時点で存在する類書の中でずばぬけて秀でているのではないかと考える。

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水野正好・白石太一郎・西川寿勝『増補版 邪馬台国-唐古・鍵遺跡から箸墓古墳へ-』

下記の書籍を読んだ。

 水野正好・白石太一郎・西川寿勝
 増補版 邪馬台国-唐古・鍵遺跡から箸墓古墳へ-
 雄山閣(2015/10/26)
 ISBN: 9784639023760
 http://yuzankaku.co.jp/products/detail.php?product_id=8258

本書の初版は2010年11月15日に刊行されたもので,2009年9月29日に奈良県田原本町弥生の里文化ホールで開催されたシンポジウムにおける講演と討論を収録したものとのことだ。その後,新たな発見等に基づいて改訂・増補されたのが本書ということらしい。

「邪馬台国」を「ヤマト国」と読むべきことについては,水野正好氏の説くとおりだと思う。『隋書』の時代に決着済みの問題だとの指摘は,まことにそのとおりだと言うしかない。

全体を精読してみると,西川寿勝氏の改訂・増補による部分が多い。いずれも説得力のあるもので,納得度の高いものだと思う。特に,唐古・鍵遺跡の文物が,朝鮮半島ではなく,中国の江南から直接渡来した文化の影響が高いとの指摘は,最近の考古学上の発見や遺伝子解析等によっても強く支持されるところで,ほぼ間違いのないものではないかと思う。

ただし,唐古・鍵遺跡出土の金属製品の製造年代について「晋」と推定している部分については再検討の余地があるのではないかというような感じがする。文化的には江南のものだろうと思われるのだが,晋ではなく呉または蜀の中で魏(晋)の支配下に入った地域に居住していた職人等が製造し,山東半島経由で中国大陸から直接に渡来したものではなかろうか。

西川寿勝氏の論述の中で,神武系と卑弥呼系とでは系統が異なるかもしれないとの指摘は,私もそうではないかと思う。古来,「王」と「将」とは異なる社会的役割を果たしており,ときとして一致することもあるけれども,通常は異なるものだというのがいわば定説になっている。新井白石も『読史余論』の中で天皇による親征は稀なことだという趣旨の表現を用いることによって,そのことを述べている。今後は,そういう観点からの解析も必要になるのではないかと思う。

増補部分にある水野正好氏と西川寿勝氏の論説部分も「なるほど」と思いながら読んだ。

更に勉強を重ねようと思う。

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A-10

下記の記事が出ている。

 Air Force saves the warthog: 40 year-old 'tankbuster' bomber's retirement delayed so it can attack Islamic State
 Daily Mail: 15 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3401857/Air-Force-saves-warthog-40-year-old-tankbuster-bomber-s-retirement-delayed-attack-Islamic-State.html

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ヒトの精子のサイボーグ化技術

下記の記事が出ている。

 Robosperm: Mini-magnet to give slow swimmers a boost giving hope to childless couples struggling to conceive
 Daily Mail: 16 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/health/article-3402903/Robosperm-Mini-magnet-slow-swimmers-boost-giving-hope-childless-couples-struggling-conceive.html

 ‘Spermbots’ are a bionic suit for your sperm
 TNW: January 17, 2016
 http://thenextweb.com/insider/2016/01/15/spermbots-are-a-bionic-suit-for-your-sperm/

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佐藤信夫『新アルメニア史-人類の再生と滅亡の地』

図書館にあったので,下記の書籍を借りて読んだ。

 佐藤信夫
 新アルメニア史-人類の再生と滅亡の地
 泰流社 (1989/3/23)
 ISBN-13: 978-4884706678

本書の出版は1989年なので,アルメニアが旧ソヴィエト連邦から独立した1991年以前の情報を基礎としている。しかし,当時としては極めて画期的な書籍だったと思われ,現時点でも1991年以前のアルメニアの歴史(特に古代史)に関しては,日本語の書籍の中では,本書を超える内容の書籍が存在しないのではないかと思う。

通読してみて,スキタイなどコーカサスの文化との共通点,ケルト人の文化との関連性,ソーマ(ハオマ)と月神との関係,さらには日本の仏教寺院でおこなわれる祭祀等との類似性等を理解することができた。私見では,ソーマ(ハオマ)は大麻草または芥子と関係するものではないかと推定している。

聖書考古学に関してある程度の分量の書籍を読んだ経験を有しないと「とんでも本」のように見えるような部分があるけれども,私は極めて精緻な調査研究と考察に基づく研究業績だと思う。その賛否は別として,本書に書かれている見解を踏まえて考古学上の発見を見直してみると,「なるほど」と感ずる部分がとても多い。

アルメニアの通史なので,いわゆる虐殺問題を含め,アルメニアの現代史に属する部分についても述べられている。ただ,1989年の書籍なので,世界で最も危険とされるメツァモール原子力発電所(Metsamor Nuclear Power Plant)の問題等の現代の問題についての記述はもちろんない。しかし,本書のサブタイトルの「人類の再生と滅亡の地」は,すこぶる意味深なものだと理解することができる。

更に関連書籍を探して読んでみようと思う。

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田中晋作『古市古墳群の解明へ-盾塚・鞍塚・珠金塚古墳』

Amazonで予約注文していた下記の書籍が届いたので,早速読んだ。奥付の日付は2016年2月1日となっているが,既に販売されている。

 田中晋作
 古市古墳群の解明へ-盾塚・鞍塚・珠金塚古墳
 新泉社 (2016/2/1)
 ISBN-13: 978-4787715357

図などを効果的に用い,この分野の専門家でなくても容易に理解できるような工夫が随所にみられ,好感をもてる。専門的にきちんと調べる場合には,公式の発掘報告書を読み,正確な数字や数値を理解しなければならないのだが,大まかな概要をつかむためには,むしろ本書のような構成のほうがよいと思う。

古墳がどのようにして発見され,大学紛争当時の困難を避けるために30年近くも発掘物が検討されずに保管され,再発掘から現状までの歴史的経緯を基本骨格としつつ,この古墳群を含め現在の大阪府とその周辺の古墳で発見される武具等が何を意味するのかについて最新の知見がわかりやすく説明されている。

読んでみて理解できることは,現在,天皇陵として比定されている古墳の中の大部分が天皇家の祖先とは関係がないということだ。その意味では,宮内庁は,結果的に,確たる根拠もなく科学的な学術的調査を妨害し,真理の究明を阻止し続けていることになる。それはそれで(政治的な)意味のあることなのだろう。

本書の中では,古代の甲冑の技術的進歩(変化)について,図を効果的に用いてわかりやすく説明している。文字や数字だけでは理解しにくいことでも,このような図があれば誰でも容易に理解することができる。

武器と一緒に農具が埋葬されている例に関する説明については,私見と同じような感覚に基づくものだと理解した。明確に述べられているわけではないが,要するに,「屯田」がなされたことを示すものだという趣旨と理解することができる。

屯田は,漢~魏・晋の頃に中国で行われたものと同じもので,日本では明治維新後に北海道でも実施された。武装した農民が抵抗者を武力で排除しつつ農地を開墾し,その開墾した農地からあがる収穫の中の一定量を税として納めるという国家組織上の仕組みだ。屯田に関しては,中国(特に魏の時代)に行われたものに関する専門論文等を随分とたくさん読み,そこで理解したことを踏まえて「艸-財産権としての植物(1)」を書いた。基本路線としては間違っていなかったと再認識することができた。

日本の古墳時代の屯田は,大和王権が東方及び北方に及ぶのに伴い,軍事支配の下で兵隊が自ら農民の指導者として開拓するというやりかたがとられていたのだろうと推測する(九州と四国についてはやや謎の部分がある。)。加えて,大和王権の勢力が朝鮮半島で大規模に伸長するのに伴い,同じように屯田が行われ,前方後円墳等の古墳が造営されたのだろう。当時の朝鮮半島は戦乱(漢~魏晋の時代におけるジェノサイド的征伐)や大規模自然災害等により,ほぼ無人と言っても過言ではないくらいに荒廃していた可能性があると考えている。そういうところでは,武器と農具と併せて鉄製品の原料となる鉄のインゴットが一緒に埋葬されることになる。

現時点でも謎の部分はまだまだある。例えば,本書では,武器等が同一の墓所に大量に埋葬されている例をあげている。しかし,その理由については断定的なことを述べていない。私見としては,何らかの政治的な理由により,古墳の中に大量の武器等を隠匿せざるを得ないことが起き,そのまま掘りだされることなく忘却されてしまったものがあるのではないかと考えている。似たようなことは,第二次世界大戦後にもあり,GHQによる強制的な武器類の接収をおそれて,当時の神社等に保管されていた刀剣類が大量に埋められ,隠匿して,GHQによる接収を逃れたという例が実際にある。

現代と古代とは様々な意味でつながっており,そういうことを考える上でも興味深いテーマを提供している書籍だと思った。

今後,考古学上の発見が更に積み重ねられれば,古代史もまたどんどん書き換えられることになるだろうと思う。しかし,その経過を記録することもまた非常に重要なことで,本書は,その中の貴重な1冊になるのではないかと思う。

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2016年1月16日 (土曜日)

ノルウェー:MegalodonHTTPを用いてサイバー攻撃をしていた容疑で,5名の者が逮捕されたらしい

下記の記事が出ている。

 Norway cops, Europol, throw cage over RAT
 Register: 15 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/15/norway_cops_europol_throw_cage_over_rat/

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岩戸山古墳の石人

岩戸山古墳(福岡県八女市吉田字甚三谷)は,筑紫磐井の墓と伝えられ,長年そのように考えられてきた。

私も通説に従い,一応そのように解釈して考えてきたのだが・・・

石人それ自体の写真を何度も見ている間に,「これはどうもスキタイの甲冑そのものではないか」と思うようになってきた。

スキタイ及びその後裔諸族は,ユーラシアの草原地帯に謎の石人を多数残したことで知られている。

考えられる仮説は2つあり得る。

1つは,「磐井」とは,何らかの経緯で渡来したスキタイの部族の首領を意味するという仮説だ。

もう1つは,この古墳は「筑紫磐井」とは無関係という仮説だ。

私は,1の仮説の線で考えてみようと思う。

「磐井」は,本来の氏または姓ではなく,史書編纂の際に便宜的につけられた名前で,「石人(岩人)」または「石(岩)」を意味するだけではないかと考える。

(余談)

参考となる考古学上の遺物としては,大谷探検隊が発掘し,現在ではなぜか韓国の国立中央博物館に所蔵されているトルファン出土武人頭部及びトルファン出土武人像などがある。

その収蔵品は,韓国国立中央博物館編『中央アジアの美術』(学生社,1989/11)で見ることができる。

[追記:2016年1月18日]

大谷探検隊のコレクションが韓国に存在することとなった経緯について興味をもちネットで探してみたら,龍谷大学のサイトにその説明があった。

 龍谷大学:国際敦煌項目
 http://idp.afc.ryukoku.ac.jp/pages/collections_jp.a4d

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次世代のサイバー戦

下記の記事が出ている。

 ‘Trident is old technology’: the brave new world of cyber warfare
 Guardian: 16 January, 2016
 http://www.theguardian.com/technology/2016/jan/16/trident-old-technology-brave-new-world-cyber-warfare

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坂井弘紀訳『東洋文庫814 ウラル・バトゥル-バシュコルト英雄叙事詩』

下記の書籍を読んだ。

 坂井弘紀訳
 東洋文庫814 ウラル・バトゥル-バシュコルト英雄叙事詩
 平凡社 (2011/11/10)
 ISBN-13: 978-4582808148

何となくヤマトタケル伝説を連想してしまうようなところがある。共通の要素が存在するからだ。

ヤマトタケルに出てくる鳥は白鳥とされているのだが,もともとの話はアヒルかガチョウだったのではないかと思う。中国では古くから家禽として飼育され,日本の古墳にある埴輪群の中にもしばしば現れる。

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Hyattホテルチェーンのクレジットカード読み取り装置がマルウェア感染?

下記の記事が出ている。

 Hyatt names hotels hit by payment information malware
 BBC: 15 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35322394

 Hyatt admits 250 hotels were hit by card-skimming malware
 Engadget: 15 January, 2016
 http://www.engadget.com/2016/01/15/hyatt-malware/

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2016年1月15日 (金曜日)

Repeat infringer -ISPは要警戒

下記の記事が出ている。

 ISPs on ALERT: Failing to Terminate Repeat Infringers Can Be Costly
 Lexology: January 13, 2016
 http://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=d6d80bba-f364-4291-b96f-984af21094c9

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IoTは24時間ネットワーク接続になっていることが最大の脆弱性要素?

下記の記事が出ている。

 Webcam Hack Shows IoT Security Threat
 eSecurity Planet: January 12, 2016
 http://www.esecurityplanet.com/network-security/webcam-hack-shows-iot-security-threat.html

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Bitcoinは生き残ることができるか?

下記の記事が出ている。

 A Bitcoin Believer’s Crisis of Faith
 New York Times: January 14, 2016
 http://www.nytimes.com/2016/01/17/business/dealbook/the-bitcoin-believer-who-gave-up.html

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唐本御影

ん聖徳太子を描いたものとして有名だ。

聖徳太子の存在及びその姿については,古くから様々な議論がある。

 桑野梓「法隆寺僧顕真と聖徳太子勝鬘経講讃像」
 http://www.kansai-u.ac.jp/Tozaiken/publication/asset/bulletin/46/kiyo4606.pdf

 石川知彦「二臣を従えた聖徳太子像-静岡・個人蔵太子三尊像と「垂逃太子」像の諸相-」
 http://www.lit.kobe-u.ac.jp/art-history/site(SHAO)/web%20library/no2/2-3.pdf

 阿部泰郎「聖徳太子絵伝の世界像-平安期における太子宗教テクストの複合的生成とその布置-」
 http://www.gcoe.lit.nagoya-u.ac.jp/result/pdf/11_%E9%98%BF%E9%83%A8%23_No.8.pdf

 大山誠一「「聖徳太子」研究の再検討(上)」
 http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10129/3146/1/HirodaiKokushi_
100_4.pdf

しかし,『唐本御影』を中国・西安にある永泰、章怀、懿德等の合葬墓の壁画にある男性人物像と比較すると,ありとあらゆる点で酷似している。

同時期の絵師が模範本として描いたものが日本国に渡来し,それを元にして後代に日本国内で作成されたものではなかろうか。それゆえ『唐本御影』との名があると解釈すると,非常にわかりやすい。唐から伝来した祖本を手本にした直接の模写本という趣旨に理解することができる。

中央の人物の左右に立つ者の髪型(みずら)が契丹の遺跡からの発掘品にもあることは既に述べた。もし『唐本御影』の作成時期が8世紀以降だとすれば,矛盾はない。

 遼寧省文物考古研究所編『凌源小喇嘛溝遼墓』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-1958.html

また,合葬墓の壁画にある人物は,男女の別を問わず,現在の日本人の中にも酷似する容貌の人をみつけることができる。私の身近にも何人か存在する。

唐代の貴族が日本国に渡来し,その子孫として遺伝子を伝えているのだろうと思う。

聖徳太子の存否に関して,『新唐書』には「目多利思比狐(めたりしひこ)」とは用明天皇のことだと書いてある。そのように解する場合,推古朝は実際には存在せず,用明天皇の治世が続いていたということになるのだろう。そして,その用明天皇の氏が『古事記』及び『日本書紀』の編纂時には「蘇我」として記録された人々と同じ氏だった可能性は否定されない。

私見では,「たりしひこ」とは「帯方郡の王」または「帯方郡から来た王」を意味するものと一応解釈することにしているのだが,更に検討中。ここでいう「帯方郡」とは,魏晋の時代の帯方郡を意味する。襲名される敬称・尊称の一種であり,実名ではない。

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古代ローマの都市生活はかなり不潔だった?

下記の記事が出ている。

 寄生虫やシラミ防げず?=古代ローマの遺跡資料調査-英学者
 時事通信:2016年1月12日
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201601/2016011200687

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インドネシア:スラウェシ島で11万8000年以上前のものと推定される石器が発見されたらしい

下記の記事が出ている。

 11万8000年以上前の石器発見、デニソワ人か インドネシア
 時事通信:2016年1月15日
 http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_all&k=20160115033705a

 Stone tools found on Sulawesi in Indonesia 'made by ancient humans at least 118,000 years ago'
 ABC: January 14, 2016
 http://www.abc.net.au/news/2016-01-14/stone-tools-date-earliest-occupations-of-humans-on-sulawesi/7086308

 Stone Tools Point to Mysterious Neighbor of Flores ‘Hobbit’
 National Geographic: January 13, 2016
 http://news.nationalgeographic.com/2016/01/160113-stone-tool-sulawesi-hobbit-flores-archaeology/

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原聖『興亡の世界史07 ケルトの水脈』

下記の書籍を読んだ。

 原聖
 興亡の世界史07 ケルトの水脈
 講談社 (2007/7/17)
 ISBN-13: 978-4062807074

考古学上の知見を重視した書籍で,従来の通説的見解とは異なる部分が多々ある。

本書出版当時においては画期的な書籍というべきで,従来の通説と異なる点については,本書のほうがより確実な根拠に基づいているといえる。

ドルイドと偽ドルイドに関してはこれまで知らなかったことが多く勉強になった。早速,この分野について書かれているもので最新と推定される書籍(洋書)を注文した。

読みやすく,良書として推奨できる。

ただし,本書刊行後の考古学の成果にはすさまじいものがあり,従来の定説がどんどん書き換えられてきている。当分の間,目の離せない領域だと言える。

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Ubuntu OSに影響を与えるOpenSSHの脆弱性

下記の記事が出ている。

 'Serious' security flaw in OpenSSH puts private keys at risk
 ZDNet: January 14, 2016
 http://www.zdnet.com/article/serious-security-flaw-found-in-openssh-puts-private-keys-at-risk/

 Canonical Patches Critical OpenSSH Vulnerabilities in All Supported Ubuntu OSes
 Softpedia: January 14, 2016
 http://linux.softpedia.com/blog/canonical-patches-critical-openssh-vulnerabilities-in-all-supported-ubuntu-oses-498938.shtml

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米国:Yahooメールを自動的にスキャンし非会員に対しても商業宣伝広告付電子メール送信をすることが違法とするクラスアクションにおいて和解が成立したらしい

下記の記事が出ている。

 Yahoo settles class action suit over scanning email for ad targeting
 Naked Security: 14 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/14/yahoo-settles-class-action-suit-over-scanning-email-for-ad-targeting/

 Yahoo settles e-mail privacy class-action: $4M for lawyers, $0 for users
 ars technica: January 13, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/yahoo-settles-e-mail-privacy-class-action-4m-for-lawyers-0-for-users/

和解内容を可能な限り丁寧に読む必要がある。

相当に抑制したやり方でなければ違法となるということを正しく理解しなければならない。

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桜井俊彰『消えたイングランド王国』

下記の書籍を読んだ。新書版なので,比較的短時間で読み切ることができる。

 桜井俊彰
 消えたイングランド王国
 集英社新書 (2015/12/22)
 ISBN-13: 978-4087208146

内容は,アングロサクソンの王国が栄え,そして,ノルマン人(フランス人)の征服により消滅する経緯についてわかりやすく説明したものだ。

一般には,文学的な要素を中心として,ロマンチックな騎士物語等を述べる書籍が多いのだが,本書では,比較的即物的に政治プロセスとしての王国の歴史を述べている。

特にノルマン人(フランス人)によってアングロサクソンの王侯貴族が征服され消滅してしまったいきさつについての考察を読むと,きっと日本の古代にも同じようなことがあったのだろうとの類推を可能とするもので,非常に興味深い。例えば,壬申の乱と呼ばれている出来事の実相について,考えてみると良い。

どんなにすごい武人王であっても,所詮は一人の人間であり,それを頼り支持する大勢の貴族層やその命令に従う兵士が存在しなければほぼ無力に近い。それらの支持層が,日和見や打算で曖昧な行動をとるとどういう結果となるかということが平易に述べられている。

このような初等政治力学のようなものは現代の普通の国家においても普遍的に存在するもので,人類は本当に何も進歩していないと痛感する。要するに,自分だけしか愛せないのだ。

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橋口達也『弥生時代の戦い-戦いの実態と権力機構の生成』

下記の書籍を読んだ。

 橋口達也
 弥生時代の戦い-戦いの実態と権力機構の生成
 雄山閣 (2007/1/20)
 ISBN-13: 978-4639019589

九州の甕棺に埋葬された人骨と一緒に発見される銅剣の破片や銅鏃等から何らかの戦闘行為があったのではないかとの仮説をたて,非常に多くの人骨等について丹念に調べた結果をまとめたものだ。

特に頭部のない人骨に関する指摘は重要だと思う。

現在では著者の出した結論が多くの人々によって支持されていると思う。平和で牧歌的な時代ではなかったということだけは明らかだと思う。

著者は,台地上の農耕から低地での水田耕作等へと移行するにつれ,土地争いが生じ,集落間で戦闘があったのではないかと推定している。ただ,本書の執筆当時,集落全体が戦闘によって完全に破壊されたことを明確に示す考古学上の発見がないことから,倭國乱のような大規模な戦争状態の発生を証明することはできないが,今後,そのような集落の破壊を示すような遺跡の発掘があるかもしれないと示唆している。

誠実な研究成果を示す書籍だと思う。

ところで,私見としては,上記の頭部のない人骨や,貝殻を用いた腕輪などを見ると,直観的には,ケルト人の習俗を連想してしまう。ケルト人には首狩りを行い,それを誇示することによって部族の優位を堅持する習俗があったらしいからだ。ケルト人の習俗では,刈り取った頭部は,集落の入口の門などに並べておいたものらしい。加えて,中国の史書によれば,倭人は刺青をしていたとの記述があるから,これまたケルト人(ピクト人)等の習俗と一致し,そして,広い意味でのケルトの一種と考えることもできるスキタイの文化(パジリク遺跡から発見されたミイラ)とも類似するものと考えることができる。同様の刺青は,中国の南部地域(江南)には普遍的に存在していたもので,文化的には共通のものがある。

また,私見としては,集落間で全面戦争状態が発生することを避けるため,それぞれの集落から勇者が選ばれ,決闘または力比べのようなことをし,それによって水争いのような紛争を解決したというようなことも考えられる。

武器=常に戦闘または戦争ということにはならない。現在の暴力団の間の抗争をみても,比較的小規模の殺傷事件が何度かあり,形勢が明確となると組と組との間で手打ちが行われるといった結末になることが比較的多い。組員と組員が総力戦的に戦闘状態に入ることはない(戦国時代とは,そのような暴力手段を社会構造の基本部分とする武力組織が肥大化し,かなり大規模な出入りが日常的に行われたものと考えることができる。軍事国家というものは基本的にそのような政治力学的な社会構造をもつ。)。

このように,古代の人骨から銅剣等による殺傷の事実が推定される場合でも,それがどのような状況で発生したのかについてまで推測が及ぶわけではないので,今後は,考古学だけでは解決できない問題を比較民俗学や比較神話学等の知見も加味して総合的に考察すべき段階に入ったと思われる。

この分野での文系研究者を養成し研究費を支援する必要がある。

(余談)

ちゃんと調べていないので間違いかもしれないが,ヤクザが勢力範囲として支配している地理的範囲を示す「シマ」という語について,かなり古い起源をもつものかもしれないと思っている。

古代の環濠集落は,集落の物理構造として島(嶋)となっている。その周辺の低地にある水田等を合わせると,やはり島(洲)として観念することができる。その支配権もまた,「シマ」として理解することができ,「みかじめ」として納税的な行為を行う者もいたことだろうと思う(「みかじめ」の語源は不明とされる。仮に古墳時代以降に発生した語と仮定すると,「屯倉絞め」または「屯倉占め」といったような類の語が起源となっていると考えることもできる。)。

要するに,多数の環濠集落が併存する古代社会を理解するにあたり,教条主義的なマルクス史観はもとより,お行儀のよい通説的な理解でもダメで,もっと低俗な理解からはじめたほうがより真実に迫ることができるのではないだろうか。古代に関する限り,意外と徳川史観のほうがより正鵠を得ていると認めることができるのではないかと思う。

なお,下記のサイトも参考になる。

 青谷上寺地遺跡のひとびと
 青谷上寺地遺跡の動物たち
 http://www.pref.tottori.lg.jp/69171.htm

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ドイツ:連邦最高裁判所が,Facebookの「friend finder」は違法との判断

下記の記事が出ている。

 German high court rules Facebook "Friend Finder" is unlawful
 REUTERS: January 14, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-facebook-germany-idUSKCN0US27W20160114

 German High Court Strikes Down Facebook's Friend Finder
 Law360: January 14, 2016
 http://www.law360.com/articles/746777/german-high-court-strikes-down-facebook-s-friend-finder

判決文を精読しているわけではないので正確な判決理由はわからない。

一般論としては,利用者の通信履歴やアドレス帳等から電子メールアドレスを自動的に検出・収集して,Facebook利用の主たる目的とは異なる目的のために自動的に応用する行為は,仮に約款上で同意したものとみなされる場合であっても目的外利用として違法となる場合があり得る。個別の事前の明確な同意がある場合には無論適法となるが(←その結果生じたことについては,原則として,同意をした利用者の自己責任となる。ただし,日本国では消費者契約法が適用されるので,事業者が約款等によって完全免責となることはあり得ない。),一般消費者が誤認しやすいような表示しかない場合には,連邦個人データ保護法(日本では個人情報保護法)違反となるだけではなく,関連する他の消費者保護法(日本では景品表示法等)違反となり得るだろう。

要するに,顧客の個人データをどんどん収集して営利目的で転用・応用する行為は,原則として違法行為となるという方向での解釈が次第にかたまりつつあるということは言えるだろうと思う。そのようなビジネスモデルそれ自体が反省時期にあると言い換えることもできるので,政府が個人情報保護法改正の際にもくろんでいたような「個人データの利活用」は時代の空気を読まない愚策ということになる。

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TwitterはISISを支援する役割を果たしている?

下記の記事が出ている。

 Twitter provides material support to ISIS, lawsuit alleges
 ars technica: January 15, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/twitter-provides-material-support-to-isis-lawsuit-alleges/

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米国:スマートフォンについて強力な暗号技術の利用を禁止するニューヨーク州法案

下記の記事が出ている。

 Bill aims to thwart strong crypto, demands smartphone makers be able to decrypt
 art technica: January 15, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/bill-aims-to-thwart-strong-crypto-demands-smartphone-makers-be-able-to-decrypt/

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2016年1月14日 (木曜日)

2500年前の春秋戦国時代・陸渾國の貴族のものと推定される墓所から多数の副葬品

下記の記事が出ている。

 河南洛阳发现春秋陆浑国贵族墓葬 出土车马成群
 人民網:2015年12月4日
 http://pic.people.com.cn/n/2015/1204/c1016-27889162.html

 伊川陆浑戎故都被发现的前前后后
 博客中国:2015年12月10日
 http://zhaizhigao.blogchina.com/2861245.html

 Ancient Chinese tomb dating back 2,500 years uncovered to shed light on obscure kingdom
 Independent: 6 December, 2015
 http://www.independent.co.uk/news/world/asia/ancient-chinese-tomb-dating-back-2500-years-uncovered-to-shed-light-on-obscure-kingdom-a6762261.html

 Did these carriages belong to an Emperor? Chinese experts believe the 2,500-year-old tomb with full horse skeletons and chariots hold the key to a little known ancient kingdom
 Daily Mail: 4 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/news/peoplesdaily/article-3345983/Did-carriages-belong-Emperor-Chinese-experts-believe-2-500-year-old-tomb-horse-skeletons-chariots-hold-key-little-known-ancient-kingdom.html

DNA解析の結果が待たれる。

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ドローン(無人航空機)による他のドローンの捕獲

下記の記事が出ている。

 When drones attack other drones
 ars technica: January 14, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/watch-a-drone-capture-another-dronewith-a-net/

今後は,捕獲用のネット(網)を焼き切ってしまう防御機能のあるドローン,警察の捕獲用ドローンの制御機能を破壊する電磁的兵器を搭載したドローン等が開発され,ドローン間の空中戦が日常茶飯事といった事態が生ずる可能性を否定し去ることはできない。少なくとも,軍事用ドローンではそういうことがすぐに起きるだろうと思う。

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香芝市二上山博物館友の会ふたかみ史遊会編『邪馬台国時代の関東と近畿-ヤマト・東海からの「東征」と「移住」はあったのか』

下記の書籍が届いたので読んだ。

 香芝市二上山博物館友の会ふたかみ史遊会編
 邪馬台国時代の関東と近畿-ヤマト・東海からの「東征」と「移住」はあったのか
 青垣出版(2015/12/10)
 ISBN-13: 978-4434212246

本書は,2013年7月14日~15日に開催された「ふたかみ邪馬台国シンポジウム13」の講演とシンポジウムを文字化して記録したものとのことだ。

講演内容はどれも素晴らしく,とても勉強になった。

東海~関東を中心とする様々な課題をとりあげたものなのだが,当然のことながら,近畿との関連(文化的影響)についてもそれぞれの論者の立場で詳しく論じられている。特に石野博信氏の講演は興味深いもので,纏向遺跡の政治的位置づけについて賛同できる部分が多いと思った。

考古学の世界はまさに日々書き換えられつつあるような状況で,勉強を怠るとおいてきぼりを食ってしまいそうだ。更に勉強を重ねようと思う。

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英国: GCHQは医療関連の個人データを収集している?

下記の記事が出ている。

 Theresa May refuses to say whether UK spies access medical data
 BBC: 13 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/uk-politics-35300671

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劉永連『突厥喪葬風俗研究』

下記の書籍をざっと読んだ。

 劉永連
 突厥喪葬風俗研究
 廣西師範大學出版社(2012/6)
 ISBN: 9787549517817

石人に関して非常に多くの記述がある。更に丁寧に読んでみようと思う。

石人に関しては,謎が多い。

  林俊雄『ユーラシアの石人』
  http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-0811.html

  アルタイ共和国にあるパジリク古墳群で発掘された古代のフェルトには巴紋がある
  http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-196c.html

いろいろと考えるのだが,欧州の古代ケルト文化におけるメンヒルと共通する部分があるかもしれないと思う。その文化は,中国南部においては,石材ではなく木材を用いた祭祀用の「柱」へと変化したと考えることは可能ではないかとも思う。

これは,中国南部の少数民族と日本には現在でも存在するもので,古代の倭族の文化として理解することができる。

文化の伝播・融合の経路としては,現在のカザフスタンやトルキスタン~中国西部~甘粛省(秦邑)~四川省(巴~楚)~倭といったようなものを考えることができる。

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生物の記憶移転技術

下記の記事が出ている。

 Could teleportation become a reality? Scientists propose the first scheme to teleport the MEMORY of a creature
 Daily Mail: 13 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3398195/Could-teleportation-reality-Scientists-propose-scheme-teleport-MEMORY-creature.html

攻撃用兵器として飼育・訓練した小動物の記憶を完全に移転することができるとすれば,クローン培養した多数のボディの脳(神経組織)に,最もよい訓練結果のあった個体の記憶を同時に移転し,優秀な攻撃用生物兵器を大量生産する途が拓ける。

他方,人間についていうと,「個人」の本質が肉体とは無関係の「記憶」にあるということはすでに何度も述べてきたとおりなのだが,「記憶」としての自己を別のボディ(箱としての肉体)に移転することが可能であれば,「自己認識」としての「自分」が物理的に別の場所にテレポートしたのと同じことになる。

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米国:工場やプラント等の制御システムがインターネットに接続されている場合,サイバー攻撃に対して極めて脆弱との公式見解

下記の記事が出ている。

 U.S. official sees more cyber attacks on industrial control systems
 REUTERS: January 13, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-usa-cybersecurity-infrastructure-idUSKCN0UR2CX20160113

これまで何度もくどく主張してきたとおりなのだが,インターネットをやめるべきだと考える。別の方法に切り替えなければならない。汎用のIoT技術の利用は,愚の骨頂と言うべきものだろう。

[追記:2016年1月15日]

関連記事を追加する。

 Power plants, utilities 'just hanging right off the internet's tubes'
 Register: 13 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/13/internet_connected_utilities_insecure/

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EU:欧州人権裁判所が,使用者は労働者が職務遂行中の私的なオンラインチャットを監視する権利を有するとの判断

下記の記事が出ている。

 Private messages at work can be read by European employers
 BBC: 13 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35301148

 Companies can monitor workers' private online chats, European court rules
 Guardian: 13 January, 2016
 http://www.theguardian.com/technology/2016/jan/13/companies-can-monitor-workers-private-online-chats-european-court-rules

職務時間中に職務遂行に影響を及ぼさない程度の私的なおしゃべりをすることは,職務専念義務違反にはならないだろう。このことは,労働者だけではなく管理職や使用者でも同じだ。

ただし,遂行すべき業務内容によっては,情報セキュリティ上の理由により,許容される行動が大幅に制限されるべき場合がある。

金太郎飴的に単純・一律に考えるのではなく,事柄の相違に応じて,個別に考えるのが正しい。

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中村修也『天智朝と東アジア-唐の支配から律令国家へ』

こういう本が出ているということを本年の正月頃に知り,注文していたところ,昨日届いた。早速読んでみた。

 中村修也
 天智朝と東アジア-唐の支配から律令国家へ
 NHKブックス(2015/10/25)
 ISBN-13: 978-4140912355

いわゆる朝鮮式山城,水城,大野城等の政治学的位置づけについては,私見もほぼ同じだ。通説は基本的に間違っていると思う。

私見によれば,「大野城」の「大野」は唐の皇帝「李」の鮮卑復姓「大野」のことを示し,要するに,「唐の皇帝の軍隊のための城」という意味の名前だろうと思う。ずっと古い時代の鬼城(吉備)についても,通説のような考え方では説明に苦しい。

しかし,当時の歴史の考察については,本書における詰めが少々甘いのではないかと思った。推論としては成立可能な部分でも論拠の示し方が弱い。

特に,新羅に関してはもっと冷酷な見方をしたほうが良い。現実に起きたできごとは本書に書かれていることよりもずっと悲惨なことだったのだろうと思う。

『旧唐書』巻二百十一には「麟德二年 封泰山 仁軌領新羅及百濟 耽羅 倭 四國酋長赴會」と書かれている。後半の「仁軌領新羅及百濟 耽羅 倭 四國酋長赴會」は「泰山」を封じたという文とは別の文で,独立して読むべきだと考える。

「仁軌」とは「劉仁軌」を意味する。

「仁軌領新羅及百濟 耽羅 倭」、「四國酋長赴會」が史実であるとした場合,どのような国際政治的情勢を想定すればよいかという考え方の相違により,歴史を見る目の冷酷さの度合いが異なることになる。『日本書紀』の天智天皇八年には「沙門道久・筑紫君薩野馬・韓嶋勝娑婆・布師首磐」とあるが,これが「四國酋長」に該当するとの解釈は全く不可能ではない。つまり,白村江の戦前の「新羅」とその後の統一新羅とは異なる政治体制をもつ国家であると推定することはできる。この時期前後における新羅王の消息に関する朝鮮側史料を丁寧に読んでみると,何となくそのような気がする。

ちなみに,『旧唐書』巻五の總章三年春正月庚寅には「以右相劉仁軌為遼東道副大總管」とあり、同年二月戊午には「遼東道破薛賀水五萬人,陣斬首五千餘級,獲生口三萬餘人,器械牛馬不可勝計」とある。

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2016年1月13日 (水曜日)

中国:2200年前の車師国のものと推定される墳墓から義足のようなものが発掘されたらしい

下記の記事が出ている。

 Prosthetic Leg with Hoofed Foot Discovered in Ancient Chinese Tomb
 Yahoo News: 12 January, 2016
 http://news.yahoo.com/prosthetic-leg-hoofed-foot-discovered-ancient-chinese-tomb-120733916.html

 Chinese Man with Fused Knee used a Prosthetic Leg with a Horse Hoof Tip 2,200 Years Ago
 Ancient Origins: January 12, 2016
 http://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/chinese-man-fused-knee-used-prosthetic-leg-horse-hoof-tip-2200-years-ago-020697

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無線で操作可能なモニタ付インタフォンはハック可能?

下記の記事が出ている。

 One Ring to pwn them all: IoT doorbell can reveal your Wi-Fi key
 Register: 12 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/12/ring_doorbell_reveals_wifi_credentials/

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英国:ピーターバラ付近の約3000年前(青銅器時代)の遺跡から木製・草葺の家屋が出土

下記の記事が出ている。

 'Pompeii of the Fens' is the best-preserved Bronze age home in Britain: Experts astonished by dwelling's condition as they unearth treasures from 3,000-year-old rugs and jewellery to human remains
 Daily Mail: 12 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3396219/Pompeii-Fens-best-preserved-Bronze-age-home-Britain-Experts-astonished-dwelling-s-condition-unearth-treasures-3-000-year-old-rugs-jewellery-human-remains.html

屋根を葺いた草の結び方に注目したい。

[追記:2016年2月22日]

関連記事を追加する。

 3000年前の木製車輪 英発掘現場で発見
 Wedge Infinity: 2016年2月19日
 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6181

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米国の新型核兵器

下記の記事が出ている。

 Obama under fire over smaller, precision-guided atomic bombs costing $1TRILLION over 30 years 'that make warfare inevitable'
 Daily Mail: 12 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-3395398/Obama-fire-smaller-precision-guided-atomic-bombs-costing-1TRILLION-30-years-make-warfare-inevitable.html

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多数の企業に対してDDoS攻撃を用いた恐喝をしていた容疑でDD4BCを名乗るグループに属する者が逮捕されたらしい

下記の記事が出ている。

 DDoS extortion gang suspect arrested by European police
 BBC: 12 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35297536

 Europol tracks DD4BC cyber-extortion gang to Bosnia
 PC World: January 12, 2016
 http://www.pcworld.com/article/3021346/europol-tracks-dd4bc-cyber-extortion-gang-to-bosnia.html

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2016年1月12日 (火曜日)

夏井高人「サイバー犯罪の研究(八)」

下記の論説を掲載した雑誌が届いた。2015年2月29日発行となっている。

 夏井高人
 サイバー犯罪の研究(八)-電子的な横領及び類似行為に関する事例検討-
 法律論叢88巻2・3号1~49頁

この雑誌は,明治大学法学部事務室で購入することができる。

なお,目次構成は,下記のとおり。

1 はじめに
2 電子的な横領と背任
 2.1 理論的な検討
  2.1.1 電子的なトークンとその侵害行為
  2.1.2 財産罪としての基本類型
  2.1.3 横領罪と背任罪
  2.1.4 利益横領行為の理解
 2.2 裁判例
  2.2.1 電子計算機使用詐欺罪における「虚偽の情報」の意義
  2.2.2 電子計算機使用詐欺罪と背任罪との関係
  2.2.3 電子計算機使用詐欺罪と背任罪が混在する事例
 3 電子装置を用いた料金徴収業務の阻害
  3.1 理論的な検討
  3.2 裁判例
   3.2.1 電子計算機使用詐欺罪
   3.2.2 電磁的記録不正作出、同供用罪
  3.3 罪数
 4 加害目的での背任罪と電子計算機損壊等業務妨害罪の罪数
  4.1 理論的な検討
  4.2 裁判例
  4.3 罪数
 5 まとめ

[追記:2016年3月11日]

M氏から,30頁の4~5行に誤りがあるとのご指摘を受けた。ありがたい。

校正漏れだと思う。下記のとおりなので,とりあえずこのブログで正誤を告知し,次の連載で正式に正誤を掲載したいと思う。

 正 「電子計算機損壊等業務妨害罪」

 誤 「電子計算機使用詐欺罪」

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「サイバー(Cyber)」という語は,いずれ消滅するか?

下記の記事が出ている。

 Say “Cyber” again—Ars cringes through CSI: Cyber
 ars technica: January 12, 2016
 http://arstechnica.com/the-multiverse/2016/01/say-cyber-again-ars-cringes-through-csi-cyber/

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アルタイ共和国にあるパジリク古墳群で発掘された古代のフェルトには巴紋がある

アルタイの女性ミイラについて書いた。被葬者のDNAは,イラン~コーカサスの系統の人であることを示しているらしい。

 ロシア:アルタイ共和国で発掘された2500年前の女性のミイラが示す古代人の入墨
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/2500-e229.html

このミイラが発掘された場所は,パジリク古墳群(Pazyryk)と呼ばれている。

この古墳群のことについて,Wikipediaでは怪しいので,書籍を探したところ,一般向けの書籍としては,林俊雄『スキタイと匈奴-遊牧の文明』(講談社,2007)があった。そのカラー口絵の中にパジリク古墳群から発掘されたフェルト布の写真があった。図柄をみていたら巴紋があることに気づいたので,ネット上で鮮明な写真はないかと探してみたら,あった。

 Welcome to TurkoTek's Discussion Forums
 http://www.turkotek.com/VB37/showthread.php?t=3201%20

このフォーラムのMartin Andersen氏の書きこみ(July 28th, 2014, 01:49 PM)にそのフェルト布の写真が貼り付けてある。まさしく巴紋だ。ケルトとスキタイと匈奴は,最も広い意味ではほぼ同視してもよいのではないかと思われる。

 木村正俊『ケルト人の歴史と文化』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-915a.html

中国の「大極」のルーツは,ほぼ間違いなくケルト(スキタイ)を通じて西方からやってきたものだろうと思う。

大麻草を用いる文化も同様に推定することができる。

 中国:ゴビ砂漠の2700年前の墳墓から発掘された大麻草のDNA解析結果
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/2700dna-ef6b.html

 中国:タリム盆地で発掘された赤茶髪女性ミイラのDNAは欧州系とアジア系の混血?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/dna-8a08.html

占星術(天文学)も同じだろうと思う。ある民族がまとまって移動する場合,日中は暑いので,夜間に移動したと推定される。また,夜間であれば星を頼りに方位を知ることができる。その大前提として,基本的な天文学の知識が存在しなければならない。おそらく,シュメール時代には天文学が確立されており,それがエジプトに伝播して発展したものがより北方の民族にも伝播したものと推定される。更には東方へと文化が伝播し,中国にも日本にも定着した。風水師や陰陽師というものの本質は,そのようなものだろうと考えられる。日本の古墳の天井にある天文図はその名残だろうと思う。

 キトラ古墳の天井に描かれた星座図は紀元前65年の長安の空を示すもの?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-4366.html

 馮時『出土古代天文学文献研究』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-f1fe.html

これらの文化は,最終的には倭國にまで到達したと考えられる。現時点では,日本国内にしか残存していないものが多いという可能性が高い。

 リトルトン,マルカー(辺見葉子・吉田瑞穂訳)『アーサー王伝説の起源―スキタイからキャメロットへ』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-3f1c.html

 林俊雄『ユーラシアの石人』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-0811.html

中国では,主に道教へと変化して現在まで残されているのだと思う。天武天皇の名が道教そのものだということは既に広く知られているが,その頃に日本国においても道教が国家的支援の下で広まったものだろうと思う。

 谷中信一『『老子』經典化過程の研究』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-b973.html

 遼寧省文物考古研究所編『凌源小喇嘛溝遼墓』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-1958.html

 烏力吉『遼代墓葬芸術中的捺鉢文化研究』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-92d0.html

 林博通『大津京跡の研究』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-87d3.html

 仮説
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-2207.html

時代的には,イエス・キリストが産まれたとされる年代(紀元ゼロ年)よりもずっと前の時代のことだ。テオドシウス帝等によりローマ帝国においてキリスト教が認められたのは西暦300年~400年ころのことで,その時点では中国~東アジアへの影響は全くなかったと推定して良い。つまり,東アジアの紀元前の歴史は,キリスト教とは全く無関係のものとして考察しなければならない。その時代の古代における精神世界を推定する場合に主に考慮に入れられるべきものは,ゾロアスター教とヒンヅー教(バラモン教)だと考える。イスラム教が興隆するのは更に後の時代のことで,教祖ムハンマドがイスラム国家を樹立した西暦600年頃以降のこととなる。

この関連で,森雅子『西王母の原像-比較神話学試論』(慶應義塾大学出版会,2005)を読んだ。素晴らしい研究業績だと思う。極めて納得度が高い。

これらをあれこれ考えてみると,全部つながっているように思う。最も古い時代の中国文明の精神的要素の大部分はメソポタミア~アナトリア~コーカサスあたりを発祥の地と推定するのが正しいのだろうと思う。

ただし,ここから先は,単純な比較神話学とは異なる発想となる。

神話であっても,地域によって変異があるのは,同一のルーツをもつ説話を当該地域の支配者の祖の正当性根拠として転用したからだろうと推定される。すると,説明要素または修飾要素としての説話部分は借物かもしれないが,若干なりとも史実の部分を含んでいるかもしれないということだ。少なくとも,そのような説話が存在し,人々がそれを信じているという事実によって支配権を維持することのできた人々が存在していたという事実は否定しようがない(流浪の民であっても,人々がそのような説話を史実だと信じることがあったればこそ,その民の指導者は権威を維持し,人々を統率することができたはずだ。)。

これらを丁寧に峻別する作業がこれからの学問の本流でなければならない。

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Adobe Flashを狙うマルウェアが更に進化?

下記の記事が出ている。

 Exploit kits throw Flash bash party, invite Crypt0l0cker, spam bots
 Register: 11 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/11/exploit_kits_throw_flash_bash_party_invites_
crypt0l0cker_spam_bots/

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米国:IT企業がテロとの闘いに協力すべき義務についての議論

下記の記事が出ている。

 Can Silicon Valley help fight terrorism and still protect privacy?
 Naked Security: 11 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/11/can-silicon-valley-help-fight-terrorism-and-still-protect-privacy/

日本では話題にさえならないのだが・・・

推測としては,日本国のメディアの中でも一定の傾向性をもっているところでは,世界の中で戦争や紛争が多発していること,テロの脅威があること,そして,日本もその例外ではないこと,以上の事実が存在しないものとして扱うという観念にとらわれているのだろう。指示によってそのようにしている者も多数あると考えられる。学者や評論家等も例外ではない。

しかし,文明が一瞬にして滅び去る脅威は常にある。

アレクサンドロス大王の軍によって門が破られ,滅ぼされつつあるバビロンでは,都市が大き過ぎて,都市の一部で既に略奪と虐殺が進行中だという同じ時間帯に,別の場所ではそれを知らずにバビロンの人々が馬鹿騒ぎをしていたとの伝承がある。

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英国:ドローン(無人航空機)を用いたテロ攻撃の脅威が高まっている?

下記の記事が出ている。

 Warning over drones use by terrorists
 BBC: 11 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35280402

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2016年1月11日 (月曜日)

前漢(西漢)の第4代皇帝・景帝(劉啟(劉啓))の墳墓で発見された茶とチベットの墳墓で発見された茶のDNAが一致-紀元前にチベット経由のシルクロードが存在か?

下記の記事が出ている。

 That's been brewing for a long time! 2,150-year-old tea leaves found among treasures buried with a Chinese emperor provide the earliest evidence of Silk Road trade route
 Daily Mail: 11 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3393715/That-s-brewing-long-time-2-150-year-old-tea-leaves-treasures-buried-Chinese-emperor-provide-earliest-evidence-Silk-Road-trade-route.html

この記事が依拠している論文は下記のところにある。

 Earliest tea as evidence for one branch of the Silk Road across the Tibetan Plateau
 Scientific Reports 6, Article number: 18955 (2016) doi:10.1038/srep18955
 26 June 2015
 http://www.nature.com/articles/srep18955

(余談)

古い本草書を読むと,(本草学の通説とは異なるかもしれないが)チベット原産の植物のことを指すのではないかと推定されるものがみつかることがある。問題は,チベットの植物が漢の都に存在し得るか・・・ということにある。

もしチベットと漢との間で交易または献上による物品の流通が相当あったと推定可能であれば,古い本草書にチベット原産の植物が含まれていても特段不思議ではないということになるだろう。

既に幾つかの例については趣味の会の雑誌で私見を明らかにしてきたが,今後更に検討を深めようと思う。

また、茶の流通があったと推定できる以上は,他の文物・文化の伝播も当然あったと推定すべきだろうと思う。チベットは更にイラン,バクトリアあるいはインドへも続いている。

以上のことは,比較神話学の弱点とされる「誰が,どのようなルートで伝えたか」という課題に対する答えを出せないという難点を補うものとなる可能性もある。

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ヒトの臓器・組織をヒツジやブタに移植して培養・増殖し提供するサービス?

下記の記事が出ている。

 Human organs for transplant are being grown inside sheep and pigs to save the lives of people on organ donation waiting lists
 Daily Mail: 11 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-3393245/Human-organs-transplant-grown-inside-sheep-pigs.html

 Human-Animal Chimeras Are Gestating on U.S. Research Farms
 MIT Technology Review: January 6, 2016
 http://www.technologyreview.com/news/545106/human-animal-chimeras-are-gestating-on-us-research-farms/

この実験に用いられている実験動物だと知らないで羊や豚を盗み出し,殺して肉を食べた場合,運が悪ければ人肉を食べたことになるのではないだろうか?

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ウクライナの大停電はマルウェアだけでは発生しなかった?

下記の記事が出ている。

 Malware alone didn't cause Ukraine power station outage
 CIO: January 10,2016
 http://www.cio.com/article/3020628/malware-alone-didnt-cause-ukraine-power-station-outage.html

 U.S. helping Ukraine investigate power grid hack
 REUTERS: January 12, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-ukraine-cybersecurity-usa-idUSKCN0UQ24020160112

[追記:2016年1月13日]

関連記事を追加する。

 Are squirrels a bigger threat to the power grid than hackers?
 Washington Post: January 12, 2016
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2016/01/12/are-squirrels-a-bigger-threat-to-the-power-grid-than-hackers/

[追記:2016年1月17日]

関連記事を追加する。

 Malware 'clearly' behind Ukraine power outage, SANS utility expert says
 Register: 15 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/15/malware_clearly_behind_ukraine_power_
outage_sans_utility_expert_says/

[追記:2016年1月22日]

関連記事を追加する。

 Ukraine energy utilities attacked again with open source Trojan backdoor
 Register: 21 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/21/ukraine_energy_utilities_attacked_again_with_
open_source_trojan_backdoor/

[追記:2016年1月25日]

関連記事を追加する。

 Everything We Know About Ukraine's Power Plant Hack
 Wired: January 20, 2016
 http://www.wired.com/2016/01/everything-we-know-about-ukraines-power-plant-hack/

[追記:2016年1月28日]

関連記事を追加する。

 Macros, Network Sniffers, But Still No 'Smoking Gun' In Ukraine Blackout
 DARK Reading: January 27, 2016
 http://www.darkreading.com/threat-intelligence/macros-network-sniffers-but-still-no-smoking-gun-in-ukraine-blackout/d/d-id/1324076

[追記:2016年1月31日]

関連記事を追加する。

 U.S. Utilities Examine Their Insurance Protection After Ukraine Grid Cyber Attack
 Insurance Journal: January 29, 2016
 http://www.insurancejournal.com/news/national/2016/01/29/396796.htm

[追記:2016年2月12日]

関連記事を追加する。

 Hackers of two Ukrainian utilities probably hit mining and railroad targets, too
 CIO: February 11, 2016
 http://www.cio.com/article/3032635/security/hackers-of-two-ukrainian-utilities-probably-hit-mining-and-railroad-targets-too.html

[追記:2016年2月13日]

関連記事を追加する。

 Ukraine sees Russian hand in cyber attacks on power grid
 REUTERS: February 12, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-ukraine-cybersecurity-idUSKCN0VL18E

[追記:2016年2月27日]

関連記事を追加する。

 Hackers did indeed cause Ukrainian power outage, US report concludes
 ars technica: February 27, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/02/hackers-did-indeed-cause-ukrainian-power-outage-us-report-concludes/

[追記:2016年3月6日]

関連記事を追加する。

 BlackEnergy malware activity spiked in runup to Ukraine power grid takedown
 Register: 4 March, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/03/04/ukraine_blackenergy_confirmation/

[このブログ内の関連記事]

 Sandworm (BlackEnergy)の新たな攻撃手法
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/sandworm-blacke.html

  電力網のサイバーセキュリティは再検討を要する?
  http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-d0d4.html

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森勇一『ムシの考古学(増補改訂版)』

下記の書籍を読んだ。

 森勇一
 ムシの考古学(増補改訂版)
 雄山閣 (2015/4/25)
 ISBN-13: 978-4639022442
 http://www.yuzankaku.co.jp/products/detail.php?product_id=8233

初版は2012年に出ているようなのだが,私が読んだのは2015年に刊行された増補改訂版だ。わずか3年で増補改訂版が出ているので,かなり人気のある書籍なのではないだろうか。

読んでみて,とても勉強になったことは言うまでもないが,とにかく面白い。

地中に埋蔵されている昆虫の破片等を調べることによってこれだけ多くのことがわかるとは驚きだ。

古代においてどのような種類の昆虫が存在していたのかということそれ自体にも興味が尽きないが,その昆虫が食べる動植物や汚物等から当時の気候や環境等を推定することができ,また,人間の生活とかかわりのある昆虫の場合には,今では消え去ってしまった人間の社会生活を一定程度まで生活することができる。言われてみれば当然のことなのだけれども,ここまで細かくわかるものとは思っていなかった。

更に,かなり小規模で局地的な地殻変動があったことまで推測可能な場合があるようだ。土地というものは流体の一種なので物理的に変動する。これは当然のことだ。問題は,具体的にどのような変動があったのかなのだが,発掘される昆虫断片から棲息環境を推定することにより,局所的な地殻変動まで推測可能な場合があり得るとのことで,具体例の説明を読んでいてどれも納得でき,素晴らしい研究だと思った。

このような研究成果は,今後の防災にも活かされるべきだろう。例えば,想定される津波の高さが5メートルの地域であっても,その地域が地震や断層の活動等によって局所的に何メートルも陥没または沈降してしまうと,想定された津波の高さなどほぼ意味のないものになってしまう。防災計画は,そういうことが起きる可能性も含めて策定されるべきものだ。

  三重大構内「鬼が塩屋遺跡」報告書刊行 大地震の爪痕 鮮明
  http://edu.chunichi.co.jp/?action_kanren_detail=true&action=education&no=2493

土石流や火砕流の恐ろしさについても改めて認識させられた。

更に,旧石器時代から今日に至るまでのマクロ的な意味での気象変動が極めて大きなものだったことを具体的な昆虫の名前を通して理解することができる。寒帯の昆虫は寒帯の気候の下でしか生きることができないし,熱帯の昆虫は熱帯の気候でなければ死んでしまう。これも当たり前のことだ。問題は,どの時代がそうだったのかということに尽きる。本書では,それが具体的な昆虫名を示して説明されているので,とてもわかりやすい。産業革命の時代からの平均気温の変化だけで温暖化だ寒冷化だと議論することは100%無意味なことで,本書のような比較的ながいスパンでのマクロ的な考察でないと意味をもたない。

とにかく,ありとあらゆる面で面白い書籍だと思った。

昆虫の名前がカタカナでいっぱい出てくる。それを全部暗記しようとすると先に進まないので,わからなくてもそういうところはどんどん飛ばして読めば良い。私自身は,子供のころに親しんだ昆虫の名前がいっぱい出てくるのでそれだけで楽しくなってしまうのだけれど,現代の都会での生活しか知らない人には単なるカタカナの文字に過ぎないかもしれない。ネット上でそのカタカナ名の昆虫の実際の姿や生態等を調べながら読めば,都会育ちの人でも興味をもてるようになるのではないかと思う。

今後,動物と植物の別を問わず,このような化石生物学ないし生物考古学の研究者をもっと増やすべきだろうと思う。

(余談)

本書の中に出てくる「カメムシ屋」の話題のところでは思わず吹きだしてしまった。

私を含め,ランの愛好家にはどこか似たような性格傾向があるように思う(笑)。

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ロシア:古代ギリシアの植民によるボスポロス王国・ファナゴリア(Phanagoria)遺跡

下記の記事が出ている。

 Archaeologists find traces of violent coup in ancient Kingdom of Bosporus
 Popular Archaeology: December 19, 2015
 http://popular-archaeology.com/issue/june-2013/article/archaeologists-find-traces-of-violent-coup-in-ancient-kingdom-of-bosporus

紀元前6・7世紀~紀元後10世紀頃までの複合遺跡らしい。

スキタイと連続する地域であり,とても興味深い。

なお,ロシアでは,スキタイの遺跡の発掘も進めているようだ。

 Warrior king found in ancient Russian tomb: Scythian ruler was buried with riches, weapons and even his HORSE
 Daily Mail: 26 August, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3211842/Warrior-king-ancient-Russian-tomb-Scythian-ruler-buried-riches-weapons-HORSE.html

この記事にある遺跡は,カザフスタンにあり,そのすぐ東側は中国の新疆ウイグル自治区へとつながっている。

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魏存成『高句麗渤海論集』

下記の書籍を読んだ。

 魏存成
 高句麗渤海論集
 科学出版社(2015/9) 
 ISBN: 9787030456946

本書は,吉林大学の論文集の中の1冊として出版されたもので,著者の長年にわたる高句麗及び渤海研究の成果を集成したものとのことだ。多数の論文をまとめたものなので,個々の章の長さはそんなに長くない。しかし,全体としてみると,ほぼ網羅的に全ての論点について触れているように思う。

全体をざっと通読してから特に興味をもっている事柄に触れた部分を精読した。

集安の高句麗碑(有名な広開土王碑とは別の石碑)の碑文解釈については別の書籍でも読んでいたのだけれど,本書ではより詳しい解釈論が展開されており,とても勉強になった。更に関連書籍を読みながら勉強を重ねたいと思う。

 集安高句麗碑-高句麗第19代好太王の名は「神武」?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/19-ec93.html

やはり,高句麗の本拠地は集安周辺にあったのだろう。

高句麗の出自については諸説あるし,祖の洞窟なるものも発見されて話題になっている。最近では,扶余族の一種から発展したものだとの見解があり,本書もこの説を採用し,扶余族の一種の遊牧民である少数民族から発展したものとの見解を基礎としているようだ。おそらくこの説が将来の通説になることだろうと予測している。梁の『職貢図』の説明文にもそのような趣旨のことが記載されており,新羅及び百濟も民族としては扶余の一部だったのだろうと思う。

 鈴木靖民・金子修一編『梁職貢図と東部ユーラシア世界』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-1bc9.html

 「蕭繹職貢図」にある倭人図
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-581f.html

本書には,高句麗及び渤海の遺跡やその出土物に関する考察結果も多数収録されている。図面の中に日本語で書かれたものがあった。驚いて出典を見たところ日本語の文献だったので,そのまま複製したものと推定される(同じ図面をベースにして中国語で説明部分だけを書き換えた別の図もある。)。

全体としてみると高句麗に関する記述が多く,渤海に関する部分は比較的少ない。しかし,渤海の遺跡の平面図等を含め,日本ではあまり知られていない遺跡や遺物の詳細を知ることができ,とても参考になった。

理論面においては,その当否を論ずるだけの能力がないので控えるけれども,理論面での論述に関する部分を除いて書籍全体としてみた場合,一覧性の高い資料集としての価値は絶大で,大いに参考になる。

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2016年1月10日 (日曜日)

ロシア:アルタイ共和国で発掘された2500年前の女性のミイラが示す古代人の入墨

少し古い記事だが,下記の記事が出ている。

 Siberian Princess reveals her 2,500 year old tattoos
 Siberian Times: 14 August, 2012
 http://siberiantimes.com/culture/others/features/siberian-princess-reveals-her-2500-year-old-tattoos/

刺青は,扶余や倭のものというよりも,古代のユーラシアに普遍的なものだったかもしれない。ケルト人の一部族とされるピクト人の刺青もこのようなものだったのだろうか?

紋様は,羊(山羊),魚,鹿などで,いずれもスキタイの金細工としてしばしば用いられるモチーフだ。しかも,魚の形は,契丹の装飾品や正倉院御物魚型佩とほぼ同じ形をしており,文化的には同系統に属するものではないかと思う。

このミイラの女性は,大麻草をもっていたようだ。

 Now We Know What Killed The Ancient 'Ice Princess,' And Why She Had That Marijuana
 Huffington Post: October 16, 2014
 http://www.huffingtonpost.com/2014/10/16/siberian-ice-princess-cancer-cannabis_n_5993052.html

科学的な検査の結果,死因は肺がんだったということが判明したらしい。

 Iconic 2,500 year old Siberian princess 'died from breast cancer', reveals MRI scan
 Siberia Times: 14 October, 2015
 http://siberiantimes.com/science/casestudy/features/iconic-2500-year-old-siberian-princess-died-from-breast-cancer-reveals-unique-mri-scan/

この記事にある復元図を見る限り,衣装は,高松塚古墳壁画に描かれた貴婦人のものと非常によく似ている。また,冠がとんがり帽子状になっていることには注目したい。

生きていた当時の復元も試みられているようだ。

 This Is What The Siberian Princess Ukok Looked Like In Real Life
 Message to Eagle: January 29, 2015
 http://www.messagetoeagle.com/this-is-what-the-siberian-princess-ukok-looked-like-in-real-life/

この女性のDNAは,イラン~コーカサス系のものだそうだ。

 Wikipedia: Siberian Ice Maiden
 https://en.wikipedia.org/wiki/Siberian_Ice_Maiden

[追記:2016年1月12日]

古代のアルタイの人々のDNAをもっと詳しく調べたものはないかと探してみたら,あった。

 RECONSTRUCTION OF THE GENOFOND PECULIARITIES OF THE ANCIENT PAZYRYK POPULATION (I-II MILLENIUM BC) FROM GORNY ALTAI ACCORDING TO THE mtDNA STRUCTURE.
 http://s155239215.onlinehome.us/turkic/64_Pazyryk/Pazyryk_gensEn.html

なお,下記のようなサイトもある。

 The Real History of White People
 http://realhistoryww.com/world_history/ancient/White_people.htm

[追記:2016年2月8日]

関連記事を追加する。

 Legal Bid Fails to Rebury Remains of 2,500-year-old Tattooed Ice Princess
 Ancient Origins: 5 February, 2016
 http://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/legal-bid-fails-rebury-remains-2500-year-old-tattooed-ice-princess-005299

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中国:ゴビ砂漠の2700年前の墳墓から発掘された大麻草のDNA解析結果

下記の論文がある。

 Phytochemical and genetic analyses of ancient cannabis from Central Asia
 Exp. Bot. (2008)   59  (15):  4171-4182.  doi: 10.1093/jxb/ern260
 August 7, 2008
 http://jxb.oxfordjournals.org/content/59/15/4171.full

この墳墓からはアーリア系(ケルト系)のミイラが発掘されているようだ。

 World's Oldest Marijuana Found with Aryan Mummy
 ALANTEAN GARDENS: March 24, 2014
 http://atlanteangardens.blogspot.jp/2014/03/worlds-oldest-marijuana-stash-found-in.html

古代のドルイドは,このような姿をしていたのかもしれない。

なお,下記のような記事もある。

 Mysterious Celtic Mummies of the Gobi
 New Dawn: March 17, 2013
 http://www.newdawnmagazine.com/articles/mysterious-celtic-mummies-of-the-gobi

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中国:タリム盆地で発掘された赤茶髪女性ミイラのDNAは欧州系とアジア系の混血?

ちょっと古い記事だが,下記の記事が出ている。

 DNA Reveals These Red-Haired Chinese Mummies Come From Europe And Asia
 Forbes: July 18, 2015
 http://www.forbes.com/sites/kristinakillgrove/2015/07/18/these-red-haired-chinese-mummies-come-from-all-over-eurasia-dna-reveals/

この関連の論文は下記のところにある。

 Chunxiang Li, Chao Ning, Erika Hagelberg, Hongjie Li, Yongbin Zhao, Wenying Li, Idelisi Abuduresule, Hong Zhu, Hui Zhou
 Analysis of ancient human mitochondrial DNA from the Xiaohe cemetery: insights into prehistoric population movements in the Tarim Basin, China
 20 April 2015
 http://bmcgenet.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12863-015-0237-5

なお,下記のような記事もある。

 Cheese Chunks Adorn Ancient Mummies
 Discovery News: February 27, 2014
 http://news.discovery.com/history/archaeology/lumps-of-oldest-cheese-found-on-mummies-necks-140227.htm

 A Host of Mummies, a Forest of Secrets
 New York Times: March 15, 2010
 http://www.nytimes.com/2010/03/16/science/16archeo.html

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がん検診においてシンガポールが世界をリードしている?

下記の記事が出ている。

 Why Singapore is the next big name at the forefront of cancer research and early detection
 Mashable: January 4, 2016
 http://mashable.com/2016/01/04/singapore-cancer-research/

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SLOTH

下記の記事が出ている。

 The SLOTH attacks: why laziness about cryptography puts security at risk
 Naked Security: 8 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/08/the-sloth-attacks-why-laziness-about-cryptography-puts-security-at-risk/

 SLOTH Attacks Up Ante on SHA-1, MD5 Deprecation
 Threat Post: January 7, 2016
 https://threatpost.com/sloth-attacks-up-ante-on-sha-1-md5-deprecation/115807/

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谷中信一『『老子』經典化過程の研究』

下記の書籍が届いたので,早速読んでみた。

 谷中信一
 『老子』經典化過程の研究
 汲古書院 (2015/12/7)
 ISBN-13: 978-4762965586
 http://www.kyuko.asia/book/b214151.html

本書は,著者である谷中信一氏のこれまで公表してきた論文や口頭報告等をまとめたものだ。「あとがき」によれば,老子は谷中信一氏の卒業論文のテーマだったのだそうで,その意味でもライフワーク的な研究成果をまとめたものと言えるのではないかと思う。

本書の「老子」は,多数の現代日本語訳が出版している「伝世本」の解釈書ないし注釈書ではない。近年発見が相次ぎ研究が急速に発展している考古学上の発見(簡帛文献資料等)に基づき,『老子』というものがいかにして形成され,それが道教経典へと転化したという歴史的プロセスを実証しようというすこぶる意欲的なものだ。

本書の「序」は,単なる序文ではなく,これまでの研究成果を総まとめするとどういうことになるかを簡潔に記述した要旨のようになっている。

非常に優れた研究業績だと思う。勉強になった。

ところで,本書の元となった論文の多くは既に読んで理解していたし,本書の中で批判している中国の研究者の論考の大部分も既に読んでいたので,そういう部分はすらすらと理解することができた。これまで読んでいなかったもの(学会における口頭発表等)について精読した。

基本的な考え方には全面的に賛成したい。

私自身の研究テーマとの関係では,本草書とはされていない古文献の中にある仙薬・神薬の記述を網羅的に研究してきたのだが,『老子』については「どうも変だ」と思うところが多く,これまで『老子』を主要な素材にしたものは書いていない(『荘子』に触れたものはある。)。なぜ「どうも変だ」と思うかというと,やけに整理され過ぎている感がするからだ。経典として用いるのには比較的便利だろう。しかし,実物または現実に発生した事実を直接に観察した結果を記録・集積したものとはとても考えられない。そういう不信感のようなものがあったために,これまでやや敬遠してきたことは否定しない。今回,本書を読んでみて,「なるほど」と合点のいくことが非常に多かった。最初に祖本としての『老子』があったのではなく,道教教団によって次第に形成されたものとする著者の見解は,ほぼ真実を解明してしまった卓見だと考える。

なお,本書における「太一出水」や「神明」等に関する考察については基本的に賛成できる。

私見としては,原始道教と関連する文書が幾つかあり,それらが倭國(日本國)に伝来し,それらの文献に基づいて『古事記』の冒頭部分がつくられたのだろうと思う。道教における「水」,「土」,「神明」等の構成要素を擬人的にとりまとめると,八州が成立する過程を記述することができる。すなわち,『古事記』の冒頭部分は,元は倭國(日本國)における道教の経典だった可能性があり,それが大宝の時代以降において何らかの理由で神道の経典として用いることができるように編纂し直されたものだろうと推定する。

従来,主として日本の文献に基づく『古事記』等の解析を試みる論考が多数あるし(個人的には,大和岩男『日本神話論』(大和書房,2015)にみられるような発想は貴重だと思う。),また,比較神話学による優れた研究書も多数ある。

これまでの研究成果を踏まえた上で,今後は,とりわけ道教関連文献には留意しつつ,中国の古代の簡帛資料を踏まえた考察の重要性が相当に高まるだろうと思う。

そのようにして,「説明のための記述」または「修飾のための記述」とそうでない記述とを明確に分けた上で,説明内容がどこか他所からの借用であるか否かを丁寧に検討することにより,実は,文面それ自体からは理解することのできない古代の複数の文化伝播ルートのようなものを推定することも可能となるだろうと思う。

そういうことなどをあれこれ考えながら読了した。

良書だと思う。

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中国:寧夏回族自治区の遺跡で発掘されたスフィンクス像

下記の記事が出ている。

 Discovery of sphinx in northern China tomb presents something of a riddle
 Ancient Origins: 17 December, 2016
 http://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/discovery-sphinx-northern-china-tomb-presents-something-riddle-004971

隋~唐時代頃に西方からのものと思われるが,情報が正確でないようなので,正式の発掘調査報告書が刊行されるのを待ちたいと思う。

(余談)

日本にもある様々な神獣の多くは,ガルーダ等のインドに起源を有するものが多いとされている。

しかし,私見によれば,アレクサンドロスの東征とプロレマイオス朝エジプト成立の頃に,何らかの原因で,エジプトの文化を伝える人々(ギリシア人である場合を含む。)が東方に移動し,その頃に,当時におけるエジプト文化,メソポタミア文化,イラン文化等が東アジアにまとまって伝来したのではないかと考える。

古代中国の学者の中には,胡人(ギリシア人,エジプト人,イラン人等を含む。)が結構多数含まれている可能性があるとも考えられる。

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米国:Shutterflyによる顔自動識別(生体認証)はイリノイ州のプライバシー保護法に違反するとの判断

下記の記事が出ている。

 Court rules Shutterfly may have violated privacy by scanning face photos
 CIO: January 8, 2016
 http://www.cio.com/article/3020467/privacy/court-rules-shutterfly-may-have-violated-privacy-by-scanning-face-photos.html

 Early Ruling in Putative Biometrics Class Action May Provoke More Lawsuits
 National Law Review: January 8, 2016
 http://www.natlawreview.com/article/early-ruling-putative-biometrics-class-action-may-provoke-more-lawsuits

被写体となる者の「事前の同意」がある場合(同意がある場合と同視できる場合や他の法令等に基づき同視すべき場合を含む。)には,どの国の法制下においても基本的に違法行為となることはない。

問題は,同意の有無にかかわらず,無差別的に自動的な識別をしてしまうところにある。

特別の違法性阻却事由がない限り,原則として違法として判断される可能性は高く,今後,同種・同類の識別機能をもつ機器類やサービスを提供する企業に対して全米的にクラスアクションが多発する可能性がある。

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日本の銀行を狙うRovnixマルウェア

下記の記事が出ている。

 Japanese Banks Targeted With New Rovnix Trojan
 DARK Reading: January 8, 2016
 http://www.darkreading.com/vulnerabilities---threats/japanese-banks-targeted-with-new-rovnix-trojan/d/d-id/1323818

 Crafty booby-trapped invoice malware empties Japanese bank accounts
 Register: 8 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/08/14_japanese_banks_face_targeted_attacks_
from_russian_malware/

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Nikonのaction camera

下記の記事が出ている。

 Nikon’s new action camera could change the market in a big way
 Verge: January 9, 2016
 http://www.theverge.com/2016/1/9/10742974/nikon-gopro-action-cameras-360-video-ces-2016

 Nikon初のアクションカメラ「KeyMission 360」は4K対応&前後レンズ搭載で360度撮影が可能
 Gigazine: 2016年1月6日
 http://gigazine.net/news/20160106-nikon-keymission-360/

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Luca Belli, Primavera De Filippi (eds.) , Net Neutrality Compendium

下記の書籍を読んだ。

 Luca Belli, Primavera De Filippi (eds.)
 Net Neutrality Compendium - Human Rights, Free Competition and the Future of the Internet
 Springer (2015)
 ISBN-13: 978-3319264240

ネットニュートラリティに関する様々な検討結果をまとめた論文集だ。

「ネットニュートラリティ」という用語で示される問題領域には様々な事柄が含まられてしまう一般的な傾向が存在することは否定できない。しかし,基本的には,ISPの行動に対する国家統制及びそのための法的手段の問題だ。日本国の法制でいうと,例えば,電気通信事業法に定める差別禁止条項が比較的関連性の濃いものということになるだろう。

問題を難しくしているのは,表現の自由として保護される範囲を逸脱する表現行為やテロ行為の範疇に属する通信に対する何らかの規制がなされた場合,テロ対策のために通信傍受がなされるような場合,あるいは,通信事業者が優良顧客に対して普通の顧客よりも多くの付加的役務を提供する場合等だ。

一般に,平等権は,政治的理念に過ぎないので,企業の私的利益や,政府の国家統治上の必要その他の諸利益を総合的に勘案判断した結果として,平等権に対する侵害の有無が判断される。

学者の中は,何か物質のような質量をもった存在として平等権をとらえるが,そんなことは決してあり得ない。人類が滅びれば平等権も消滅してしまうことを考えれば,容易に理解することができる。要するに,社会統制のための安全弁としての観念的ツールの一種に過ぎない。

それはさておき,本書に含まれている論文の中には力作もあるのだが,現状の解析と問題点の指摘でとどまっているものが多い。事柄の性質上,やむを得ない面はあると思う。

現時点で何が議論されているのかをより正確に理解したいと考える人にとっては参考になることが多い書籍だと思う。

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パナマ:6000年前にはイルカ漁をしていたらしい

下記の記事が出ている。

 Early seafarers hunted DOLPHINS: Islanders in Panama 6,000 years ago used canoes to drive mammals onto the shore before butchering them for food
 Daily Mail: 8 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3390549/Early-seafarers-hunted-DOLPHINS-Islanders-Panama-6-000-years-ago-used-canoes-drive-mammals-shore-butchering-food.html

ごく一部の無知・無教養な人々を除き,太平洋一帯では,イルカやクジラを含め、海洋哺乳類を食用に捕獲して生活している人々が多数存在していたし,現に存在していることは常識に属する。

砂漠の遊牧民の子孫には理解できないことがあるかもしれない。同様に,漁労を主とする民族の子孫には砂漠の遊牧民の発想を理解できないことがあるかもしれない。

しかし,理解できなくても互いの生活スタイルを尊重すべきことは,国連憲章にも明記してあるとおりだ。

ただし,金儲けのために根こそぎ漁獲してしまうような商業的・営利的な目的での漁業については別の検討を要する。彼らは,生きるために漁業をしているのではない。

これらの問題をごちゃごちゃにしているから,問題を解決できなくなる。

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2016年1月 9日 (土曜日)

米国:ISISによるネット上のプロパガンダに対する対応策を公表

下記の記事が出ている。

 Obama Shifts Online Strategy on ISIS
 New York Times: January 8, 2016
 http://www.nytimes.com/2016/01/09/world/middleeast/white-house-officials-to-meet-with-tech-leaders-on-thwarting-terrorists.html

[追記:2016年1月1日]

関連記事を追加する。

 White House unveils measures to counter IS propaganda
 BBC: 8 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/world-us-canada-35266158

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花見薫『天皇の鷹匠』

以前,論文を書く際に参考とする書籍として購入し読んだものなのだが,ちょっと気になるところがあり,再度読んでみた。読書百篇というか,繰り返し読むことによって得られることは少なくない。

 花見薫
 天皇の鷹匠
 草思社 (2002/12/18)
 ISBN-13: 978-4794211781

元鷹匠だった著者がこれまでの人生を淡々と語るといった内容のものなのだが,さりげなくいろんなことが書いてある。

自然災害の関係では,大正6年に行徳付近を襲った大水害のことや,関東大震災直後の様子,あるいは,戦時中の出来事など,普通の書籍にはあまり書かれていないことがいっぱい書いてある。

また,鳥類の習性について,さすが鷹匠だと感服するようなきめ細やかな観察結果が何となく普通の文章としてさらりと述べられている。

得るところが多い書籍として,お勧めできる。特に学生に読ませたい書籍だ。

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人間の脳内の信号処理を観察するための新技術?

下記の記事が出ている。

 New technique can help us understand signaling direction of brain networks
 ars technica: January 9, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/01/new-technique-can-help-us-understand-signaling-direction-of-brain-networks/

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Om V. Singh (Ed.), Bio-Nanoparticles - Biosynthesis and Sustainable Biotechnological Implications

下記の書籍が届いたので,全体をざっと読み通した上で,調べたいと思っていた部分を精読した。

 Om V. Singh (Ed.)
 Bio-Nanoparticles - Biosynthesis and Sustainable Biotechnological Implications
 Wiley Backwell (2015)
 ISBN-13: 978-1118677681
 http://as.wiley.com/WileyCDA/WileyTitle/productCd-1118677684.html

生態要素であるナノサイズの粒子に関する概説書で,法律書ではない。

叙述は平易で分かりやすい。大学生の教科書用に書かれたものではないかと思う。

「本当か?」と思うようなことが随所に書いてある。既述の論拠となっている論文のデータに問題があるかもしれないので,慎重に読まなければならない。しかし,データが正しいという前提で推論を進めると,様々なことを理解することができる。

現在有効なバイオ特許の中の幾つかが理論的には矛盾を含むものであることを理解した。それを法律論としてどのようにとらえるかが検討対象となる。

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Windows 10による利用者データの収集処理に関するMicrosoftの公式説明?

下記の記事が出ている。

 Microsoft reveals details of Windows 10 usage tracking
 BBC: 7 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35251484

 Windows 10のユーザー追跡データ公開で再燃するプライバシー問題
 Gigazine: 2016年1月8日
 http://gigazine.net/news/20160108-windows-10-microsoft-tracking/

私の理解では,IMEについても同じような問題が依然として続いているように思う。

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Star Wars BB-8の玩具のファームウェアに脆弱性?

下記の記事が出ている。

 Star Wars BB-8 toy in firmware update risk, say UK security bods
 Register: 8 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/08/star_wars_iot_bb8_toy_vuln/

[追記:2016年1月10日]

関連記事を追加する。

 Star Wars BB-8 Toy Vulnerable to Hacking, Nobody Cares, the Toy Is Still Awesome
 Softpedia: January 9, 2016
 http://news.softpedia.com/news/star-wars-bb-8-toy-vulnerable-to-hacking-nobody-cares-the-toy-is-still-awesome-498673.shtml

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消費者庁:民間実務経験者(4年以上弁護士経験を有する者)の募集について

下記のとおり公募が開始されている。申込みの期限は2016年1月22日とのこと。

 民間実務経験者の募集について
 消費者庁:2016年1月8日
 http://www.caa.go.jp/soshiki/saiyou/pdf/151224saiyo005.pdf

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2016年1月 8日 (金曜日)

消費者庁:特定保健用食品に関する質疑応答集

下記のとおり公示されている。

 特定保健用食品に関する質疑応答集について
 消費者庁食品表示企画課長: 平成28年1月8日
 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1523.pdf

 特定保健用食品に関する質疑応答集
 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1522.pdf

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監視用モニタカメラをスマートフォン上のアプリでリモート操作することは危険?

下記の記事が出ている。

 Mobile Apps A Vulnerable Spot For Connected Security Cameras
 DARK Reading: 7 January, 2016
 http://www.darkreading.com/iot/mobile-apps-a-vulnerable-spot-for-connected-security-cameras/d/d-id/1323802

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中国:黄金色の巨大な毛沢東像が・・・

下記の記事が出ている。

 Giant Mao statue 'removed' from Henan village
 BBC: 8 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/world-asia-china-35262798

この毛沢東像は建てられたばかりだった。

 中国の農村に金色の毛沢東像 高さ36メートル
 CNN Japan: 2016年1月7日
 http://www.cnn.co.jp/world/35075878.html

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公開シンポジウム「人類史におけるグローバリゼーションと古代西アジア」

下記のシンポジウムが開催される。

 公開シンポジウム「人類史におけるグローバリゼーションと古代西アジア」
 主催:日本西アジア考古学会
 日時:2016年1月30日(土)13:00~17:00(12:30開場)
 場所:早稲田大学戸山キャンパス36号館382教室
 http://jswaa.org/symposiums_all/symposiums/

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経済産業省「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」

経済産業省のサイトで,下記のとおり公表されている。

 サイバーセキュリティ経営ガイドラインを策定しました
 経済産業省:2015年12月28日
 http://www.meti.go.jp/press/2015/12/20151228002/20151228002.html

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木村正俊『ケルト人の歴史と文化』

図書館にあったので,下記の書籍を借りて読んだ。

 木村正俊
 ケルト人の歴史と文化
 原書房(2012/12/28)
 ISBN-13: 978-4562048731

歴史について語っている骨格部分は通説に従うもので,既に知っていることばかりだったのだが,とりあえず記憶を整理し,知識を確実なものとした。

古代についていろいろと調べ,考えてきた後に何年かぶりでケルトの歴史と文化に関する書籍を読んだこともあって,以前にはあまり気にしていなかったことでも随分と気になってしまう自分に気づいた。

書籍のカバーにある円形の鏡の図柄は,細部の造形の相違を無視すれば,漢代の中国の銅鏡と基本的には同じものだと感じた。そこで,ネットで誰か書いていないかと調べてみたら,さすがに鋭い方がおられる。心底感服する。

 中国漢代鏡とケルト円盤 分割合成図版 作成
 http://revorida.sblo.jp/article/61939025.html

 ケルト円盤等の同心円比較検証
 http://revorida.sblo.jp/article/28435158.html

本書の95頁にあるケルト人のラッパは,アルペンホルンとして現代まで伝承されているものと全く同じものだろうと思う。

本書の202頁にあるドルメンが東アジアにあるドルメンと全く無関係なものとは到底考えられない。どこかでつながっているのに違いない。

本書の205頁にあるニューグレンジの遺跡の写真を見ると,何となく,楯築遺跡(岡山県倉敷市矢部)とその周辺の遺物のことを思い出してしまう。

本書の272頁にある「ダロウの書」と277頁にあるピクト人の石板をみていると,どう見ても大極紋(巴紋)があるように見える。ネットで英語のサイトを調べてみたら,同じようなことを考えている方があるようだ。妙な民族意識等の先入観なしに観察すると,誰でもそのように見えるものかもしれない。

 The Mauri osismiaci
 http://lukeuedasarson.com/NDmauriOsismiaci.html

ケルトの巴紋様に関しては,相京邦宏「ケルト人のMatronae信仰-ケルト・ゲルマン・ローマそしてギリシア,四つ巴の宗教融合」歴史人類19号(1991)178~208頁という論説があるようなのだが,私はまだ読んでいない。今度探して読んでみようと思う。

ちなみに,本書によれば,ピクトとは,英語のPictureの語源となったラテン語と同じもので,要するに「彩色する人々」という意味らしい。中には身体に彩色したものとする見解もあるようだ。この見解に従えば,ピクト人は,『魏志倭人伝』等に描かれている「倭人」と似た要素をもっていたということを示すことになる。ピクト人だと確実に言えるようなDNAサンプルが存在するのかどうか知らないけれども,日本の縄文人や弥生人のDNAサンプルと比較してみると,意外な結果が出たりして・・・と,つい期待してしまう(笑)

本書の161頁には,エポナ神の石像の写真がある。これは,中国の少数民族と同じだと思って調べてみたら,さすが,既に調べて論文を書いている方があった。これまた心底感服する。

 伊藤三朗「貴州省麻江県の“跳馬”について-馬との関りで見た豊饒・成育儀礼-」
 比較民俗研究8(1993)49~70頁
 http://jairo.nii.ac.jp/0025/00005958

ところで,「ケルト人」とは何かという点については,通説の考え方を前提にしても実は多義的だということを理解することができる。基本的には,ヘロドトスの『歴史』,カエサルの『ガリア戦記』等の資料から古代のケルト人の存在と文化が推測されている。考古学上の発見は,そのような概念を絶対的な前提として「あてはめ」により位置づけられていると考えることができる。

しかし,本書を読んで疑問に思ったことが多々ある。

その中でも,特に,「スキタイと完全に区別できるのか?」という点については,相当に疑問だと思う。

例えば,本書にカラー写真としても収録されているケルトのものとされる黄金の兜は,とんがり帽子の形状をしており,これを「スキタイの冑だ」と言って見せられれば「なるほどそうか」と思ってしまうようなものだ。つまり,明確に区別がつかない。

また,例えば,牛や羊の角の問題がある。ケルト人のものとされる遺物の中には羊または牛の角と思われる2本の角をはやしたものがいっぱいある。彼らは,そのようなものを崇拝していたのではなかろうか。キリスト教が邪教と決めつけ,徹底して布教活動を行い,キリスト教化してしまったことには理由があるように思われる。

 リトルトン,マルカー(辺見葉子・吉田瑞穂訳)『アーサー王伝説の起源―スキタイからキャメロットへ』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-3f1c.html

スキタイだけではなく,ユーラシアに広く存在する習俗と関連するものが多々ある。つまり,ケルト文化とされてきたものがアイルランドやブルゴーニュ等の「西洋人」だけのものと考えるのは誤りではないかとも考えられる。その源流は,もっと古いもので,より普遍的なものであったかもしれない。

首狩りの習慣は,その一例だろうと思う。

本書によれば,武力を示すために,敵将等の頭部を切り取って門に飾る風習があったようだ。これは,東アジア~東南アジアにおいても広く見られるもので,日本でも武家政治の時代は基本的にはそのようなものだった。敵将の首をとってくることが大事だったのだ。現代でも,解雇することを「首(くび)」と呼ぶのは,その名残りだとされている。

こういうことを書くと,「とんでも学説」とされるのが普通で,まともに相手にされなくなるのがオチなのだが,まあ何というか,素人の雑駁な直観的印象として述べることくらいは許されるだろうと思う。

(余談)

あくまでも素人の直観的な感想に過ぎないが,「匈奴」及び「契丹(キタイ)」の音は,何となく「ケルト(Celt)」の音と似ているような気がする。

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Stephen L. Young & Francis J. Pierce (eds.), Automation: The Future of Weed Control in Cropping Systems

下記の書籍をざっと読んだ。

 Stephen L. Young & Francis J. Pierce (eds.)
 Automation: The Future of Weed Control in Cropping Systems
 Springer (2013)
 ISBN-13: 978-9400775114

ロボティクスの農業分野への応用に関する概説書だ。

2013年に出版されたものなので,現時点で利用可能な電子技術は更に多様化し高性能化していることを考えると,わずか3年前の書籍でも既に古ぼけ始めているという社会の急激な変化の恐ろしさを感じさせるものではある。

技術仕様に関する記述がややアウトオブデートである点を除き,どのような分野でのロボティクスの応用が考えられてきたかを知るためには非常に便利な書籍だと考える。

技術に関する書籍なので,法学,経済学,経営学,政治学,社会学等に関する記述は基本的に何もない。将来像としても,農民を全て排除してロボットに置き換えるという程度のことしか書いていない。

こういうことが理想の未来だと考えて技術開発をしている人々がいるということを知ることは大事なことだろうと思う。

ちなみに,日本国政府は,「農業後継者がいない」という課題に対する対応として,ロボティクスを含め,普通の農家によらない農業というものを模索している。その関連の予算を得てロボット開発をしている企業は少なくない。

この問題に関しては,私は,実は価値観の問題だろうと思っている。技術の問題ではない。主観的な価値観の問題なので,1円もかけることなく,「達観」によって問題を解決すrことができる。しかし,それでは名目GDPの増加には何も結びつかないので,政府としては,本当のことを熟知していても,一切知らないフリをし続けるしかないといったところなのだろうと思う。

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なるほど

口語の「なるほど」は目上の者が目下の者に対して使う言葉なので,目下の者が目上の者に対して使うのはビジネスマナー違反だとの見解がある。

なるほど,そのように信じている上司に対する個別対応としてはそのとおりだろうと思う。

教養のない上司に対して教養で勝負するのは馬鹿なことで,「長いもには巻かれろ」というフリをするのが最も賢い。そして,適当なタイミングをみてそのような教養のない上司を無事に窓際近辺に御栄転していただけるようするというのが正しい部下道というものだろう。

一般に,言語は一元的ではない。理論的には,人間の数だけ異なる種類の言語が存在し,また,同一の者であっても異なる言語を状況次第で巧妙に使い分けているので,人工的な機械処理による言語処理は難しい課題の一つに属する。

要するに,「相手の実力と感性を素早く見抜く」という能力を育て,TPOに従ってカメレオンの如く素早く巧妙に変化する技法を習得することが大事で,世間によくあるノウハウ本とかハウツー本の類に書いてあることを覚えただけで大丈夫と安心する者は,必ず敗北する。

世間によくあるノウハウ本やハウツー本の類は,その程度の娯楽読み物の一種として楽しめばよろしい。また,世間にはどれだけ教養のない者が存在するか,世間にはどれだけ誤謬を常識と信じている者が存在するか,その誤謬にはどのようなものがあるかを知るためのサンプルを得ることのできる媒体としての利用方法もある。

その種の書籍を読んでいる間に,その書籍の著者の知性レベルを正確に測定できるようになれば立派な社会人になったと自己評価しても構わないだろうと思う。

(余談)

私は「法情報学」という科目を担当している関係で,「語」それ自体の社会的機能についてはいろいろと考える機会が多いほうだろうと思う。正しい考えかそうでないかは別として,とにかく考え続けていることは事実だ。

しかし,一般に,世間の上司というものはそんなに暇ではない。言葉尻をとらえて怒る時間があったら仕事をしていることだろうと思う。

また,最近では,敬語というものの存在それ自体があまり重要視されなくなってきているし,上司は上司で部下とのコミュニケーションの失敗によりパワハラ扱いされて出世の妨げになることを極度に恐れる傾向があることは否定できないので,面倒な問題は全部パスして何も感じないようにしているというのが本当のところではないかと思う(ちなみに,問題のある部下をもった場合には,訴訟を提起される可能性がない,または,提起されても必ず勝訴できるという見込みと合理的根拠をもった時点で,問題の部下を自ら空回りさせるようにし,「やめてやる!」といって依願退職してしまうように上手に仕向ける,というのが現在の社会において比較的普及している上司道というものではないかとも思われる。)。

言葉遣いそれ自体をめぐってごちゃごちゃいうのは,どちらかというと文明レベルの著しく劣る社会の兆候の一つなので,その程度のことだと思って,その場は無難にやり過ごし,内心では徹底的に軽蔑するといったタイプの人もいるだろうと思う。

基本的に,表現の自由も解釈(思想・信条)の自由もあるので,ある「語」についてどのように受け止めるかは各人の自由だと思う。国家が報道統制をして,ある表現について為政者の解釈だけを押し付けるような国家は,民主主義の観念が存在せず世界的に最劣等国であるとの烙印を押されても何も文句は言えない。「基本的価値観」とは,こういうことも含む。

ある表現の解釈をめぐって不一致が生ずるときは,基本的には自己責任の問題として処理せざるを得ない場合が多い(例外:消費者保護法等)。しかし,過敏過ぎる者は,基本的に保護されない。一般的に共通の解釈基準に従って裁判所の判断は形成される。そうでない国もあるようだが,文明レベルとしては,かなり低い国と評価せざるを得ない。

そういうものだということが昔から十分に理解されていることから,弁護士や企業法務部の仕事の中でも契約書作成業務が極めて重要だということになる。どのような文書(書面)が存在しているかによってすべて決まってしまうのが普通だからだ。

相手のレベルが低ければ低いほど,あとでごちゃごちゃ言われないようにがんじがらめにしておくというのが標準的な合意文書形成作法というものではないかと思う。

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『東洋文庫862 アルパムス・バトゥル-テュルク諸民族英雄叙事詩』

下記の書籍を読んだ。

 坂井弘紀訳
 東洋文庫862 アルパムス・バトゥル-テュルク諸民族英雄叙事詩
 平凡社 (2015/7/15)
 ISBN-13: 978-4582808629

同一と推定されるアルパムスを主人公とする叙事詩を集めたもので,長いものと短いものとがある。バリエーションが豊富なのだが,基本的な構成は似ている。

読んでみて思ったのだが,古代の小さな部族間の争いは,部族民間での総力戦になるというよりは族長と族長との「力くらべ」のようなもので優劣を決したことが多かったのではないだろうか。負けた族長は殺され,その族長に従っていた人々は新たな族長に従うといった単純な世界だったのかもしれない。そのように考えれば,天孫降臨の際の「力くらべ」によって禅譲(国譲り)が決まってしまうのも当然のことなのではないかと思う。

この叙事詩は,イスラム期のもののようなのだが,そのルーツはかなり古いらしい。おそらく,スキタイの時代に元となる説話があったのだろう。

本書の解説によると,日本には仏典等を通じて伝来しており,幸若舞の「百合若大臣」がそれに該当するとのことだ。

古い仏典の中には様々な説話が含まれている。それらの中には後世に大きな装飾や修正が加えられた可能性の高いものが多く含まれていると推定されるものの,ルーツとしては何らかの古代の共通の説話(神話)や史実に基づいてるものが意外と多数あるのではないかと思う。

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米国:Goziマルウェアの製作者に対して有罪判決

下記の記事が出ている。

 Gozi virus author finally sentenced – should be out and home soon
 Naked Security: 7 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/07/gozi-virus-author-finally-sentenced-should-be-out-and-home-soon/

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米国:FTCのビッグデータレポート-深刻なプライバシー侵害のおそれを警告

下記の記事が出ている。

 FTC warns companies that ‘big data’ comes with the potential for big problems
 Washington Post: January 7, 2016
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2016/01/07/ftc-warns-companies-that-big-data-comes-with-the-potential-for-big-problems/

レポートは下記のところにある。

 BIG DATA
 A Tool forInclusion or Exclusion?
 Understanding the Issue
 FTC Report
 January 2016
 https://www.ftc.gov/system/files/documents/reports/big-data-tool-inclusion-or-exclusion-understanding-issues/160106big-data-rpt.pdf

ビッグデータの場合,現在の個人情報保護法のようなコントロールの手段が全く機能しなくなる可能性が高いことは既に何度も述べたとおりだ。

ビッグデータを商業利用してはならない・・・と主張してみても誰もやめないだろう。

結局,世界中の政府がごく少数の企業等によって支配されてしまう危険性があると考える。そして,その企業の経営者もまたビッグデータを自律的に管理する人工知能の奴隷となるので,最終的には,人類は破滅へと向かうことになる。

ただし,商業利用を禁止すれば,ビッグデータに対する巨額の投資がなくなるので,ごく小規模なビッグデータしか構築・運用・維持・管理することができない。そのほうが平和な世界だろうと思う。

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米国:Dietary Guidelinesの改訂版

下記の記事が出ている。

 Government unveils its latest revision to dietary guidelines
 ars technica: January 8, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/01/government-unveils-its-latest-revision-to-dietary-guidelines/

ガイドラインは下記のところにある。

 Dietary Guidelines 2015-2020
 http://health.gov/dietaryguidelines/2015/guidelines/

日本の外食産業等にも影響があるかもしれない。

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2016年1月 7日 (木曜日)

電力網のサイバーセキュリティは再検討を要する?

下記の記事が出ている。

 U.S. power companies told to review defenses after Ukraine cyber attack
 REUTERS: January 6, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-usa-utilities-cybersecurity-idUSKBN0UK2MM20160106

 Cyber Security/Power Grid Expert Explains How Malware Attack Caused Power Outage in Ukraine
 News Wise: 6 January, 2016
 http://www.newswise.com/articles/cyber-security-power-grid-expert-explains-how-malware-attack-caused-power-outage-in-ukraine

 Global nuclear facilities 'at risk' of cyber attack
 BBC: 5 October, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-34423419

[追記:2016年1月8日]

関連記事を追加する。

 Ukraine power outages blamed on “hackers and malware” – the lessons to learn
 Naked Security: 6 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/06/ukraine-power-outages-blamed-on-hackers-and-malware/

[このブログ内の関連記事]

 Sandworm (BlackEnergy)の新たな攻撃手法
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/sandworm-blacke.html

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Yahooが大幅な人員削減を計画?

下記の記事が出ている。

 Yahoo looking to slash 10 percent or more of its workforce: Business Insider
 REUTERS: January 7, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-yahoo-redundancies-idUSKBN0UL0EI20160107

 Yahoo - where did it all go wrong?
 BBC: 7 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35243407

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2040年までに超人工知能ロボットが人類に対して宣戦布告するとの見解

下記の記事が出ている。

 Ultra-intelligent robots could declare WAR on humanity by 2040, expert warns
 Daily Mail: 6 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3387761/Ultra-intelligent-robots-declare-WAR-humanity-2040-expert-warns.html

考慮すべき大事なポイントは,普通考えられているようなヒューマノイドだけがロボットではないということだ。

例えば,IoTが極度に進化すると,都市全体が1つの人工的な意思によって統御されるロボットのようなものになる。そこに住む住人(人類)を一挙に抹殺してしまうことはたやすいことだ。

[追記:2016年1月8日]

関連記事を追加する。

 Tech trends 2016: Cybersecurity in the connected world
 BBC: 5 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/business-35220442

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Volkswagenが問題のある自動車を買い戻す見込み?

下記の記事が出ている。

 German paper says Volkswagen will likely buy 115,000 cars back from US owners
 ars technica: January 7, 2016
 http://arstechnica.com/cars/2016/01/german-paper-says-volkswagen-will-likely-buy-115000-cars-back-from-us-owners/

 VW 'close to agreement with US regulators' over emissions scandal
 Guardian: 6 January, 2016
 http://www.theguardian.com/technology/2016/jan/06/vw-close-to-agreement-with-us-regulators-over-emissions-scandal

なお,下記のような記事も出ている。

 A Lawsuit So Big, Maybe VW Should Just Leave the U.S.
 Bloomberg: January 6, 2016
 http://www.bloombergview.com/articles/2016-01-05/a-federal-lawsuit-to-scare-vw-out-of-the-u-s-

 U.S. Sues Volkswagen Over Emissions Scandal
 Wall Street Journal: January 5, 2016
 http://www.wsj.com/articles/u-s-sues-volkswagen-over-emissions-scandal-1451932799

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情報ネットワーク・ローレビュー講演録編:第14回研究大会講演録

本日,大学に出たところ,情報ネットワーク・ローレビュー講演録編が届いていた。

第14回研究大会の講演録だけ別冊として発行されたようだ。

奥付をみると発効日は2015年12月21日となっている。

内容は2014年12月7日に東京電機大学で開催された第14回研究大会の内容を文字化したものだ。

私は,ドローンの関係のセッションでパネルとして参加した。33~71頁に収録されている。

他のセッションの関連のものを読んでいたら,会場からの発言として私の発言内容が収録されていることに気付いた。

なお,大会の様子は学会ホームページ上で音声等が公開されている。

私個人としては,このようなかたちでの(無償の)情報公開にはあまり賛成していない。

なぜなら,会費や参加費を払って研究大会に参加している人を馬鹿にしているように思うからだ。また,公開するコンテンツは学会費から費用支出している。どうも説明がつきにくいのではないかと思う。

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Dellの顧客情報が大量流出したと考えなければ合理的に説明できないような事態が発生中?

下記の記事が出ている。

 Latest tech support scam stokes concerns Dell customer data was breached
 ars technica: January 7, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/latest-tech-support-scam-stokes-concerns-dell-customer-data-was-breached/

 Dell customers targeted by phone scams that might be an inside job
 Extreme Tech: January 6, 2016
 http://www.extremetech.com/computing/220444-dell-customers-targeted-by-phone-scams-that-might-be-an-inside-job

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呉企明點校『蘇氏演義(外三種)』

亜東書店の店頭で立ち読みしておもしろそうだと思って下記の書籍を購入し,読んだ。

 呉企明點校
 蘇氏演義(外三種)
 中華書局(2012/3)
 ISBN13: 9787101079074

本書には,蘇鶚(唐)の『蘇氏演義』,馬縞(五代)の『中華古今注』,李匡文(唐)の『資暇集』,李涪(唐)の『刊誤』が収録されている。

とても面白い。

本草に関しても,これまで知らなかった知見を得ることができた。日本薬局方の記載の中の幾つかについて,ますますもって疑問が深まった。

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米国:約18万人以上のドローン(無人航空機)保有者がFAAのデータベースに登録

下記の記事が出ている。

 More Than 180,000 Drone Users Registered in F.A.A. Database
 New York Times: Janury 6, 2016
 http://bits.blogs.nytimes.com/2016/01/06/more-than-180000-drone-users-registered-in-f-a-a-database/

[このブログ内の関連記事]

 米国:FAAが,小型ドローン(無人航空機)に関する規則案を提示
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/faa-49ba.html

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自家用自動操縦ヘリ?

下記の記事が出ている。

 The MEGADRONE big enough to carry a passenger: Chinese firm says self-flying craft could be used as a smart taxi
 Daily Mail: 6 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3387542/The-MEGADRONE-big-carry-passenger-Chinese-firm-says-self-flying-craft-used-smart-taxi.html

この記事では,スマートタクシーとしての用途を報道している。

しかし,これくらいの大きさになると,完全に航空法の問題となる。

相当大きな敷地を保有する大金持ちの自家用としての販路が最も堅実ではなかろうか。

[追記:2016年1月8日]

関連記事を追加する。

 First passenger drone makes its debut at CES
 Guardian: 7 January, 2016
 http://www.theguardian.com/technology/2016/jan/07/first-passenger-drone-makes-world-debut

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ビルの建築設計でもセキュリティの観点が重要

下記の記事が出てる。

 How to increase security through building design
 CIO: January 6, 2016
 http://www.cio.com/article/3019448/security/how-to-increase-security-through-building-design.html

世間には脳みそパラパラのデザイナーが多いらしく,テロ対策という意味では0点しかつけられない建物が圧倒的に多い。

どうしてそう言えるのかについては,ときどき授業の中で説明しているのだが,納得する学生は多くないかもしれない。

平和なのでテロ攻撃などないと思っているのだ。これを平和ボケという。

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Fitbitに対しクラスアクション

下記の記事が出ている。

 Lawsuit claims Fitbit devices dangerously underestimate heart rate
 ars technica: January 7, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/lawsuit-claims-fitbit-devices-dangerously-underestimate-heart-rate/

 Fitbit hit with class-action suit over inaccurate heart rate monitoring
 Verge: January 6, 2016
 http://www.theverge.com/2016/1/6/10724270/fitbit-lawsuit-charge-hr-surge-incomplete-heart-rate-tracking

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2016年1月 6日 (水曜日)

DroneCops

下記の記事が出ている。

 Police to deploy drones to catch thieves, help break sieges
 ars technica: January 6, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/uk-police-to-deploy-drones-to-catch-thieves/

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米国:FBIは児童ポルノ犯罪者摘発のためにハッキングツールを用いている?

下記の記事が出ている。

 The FBI's 'Unprecedented' Hacking Campaign Targeted Over a Thousand Computers
 Motherboard: January 5, 2016
 http://motherboard.vice.com/read/the-fbis-unprecedented-hacking-campaign-targeted-over-a-thousand-computers

[追記:2016年1月9日]

関連記事を追加する。

 FBI hacked into 'dark web' to bust up largest ever child abuse network
 Independent: 8 January, 2016
 http://www.independent.co.uk/news/world/americas/fbi-hacked-into-dark-web-to-bust-up-largest-ever-child-abuse-network-a6802886.html

 FBI hacked the Dark Web to bust 1,500 pedophiles
 Engadget: 7 January, 2016
 http://www.engadget.com/2016/01/07/fbi-hacked-the-dark-web-to-bust-1-500-pedophiles/

[追記:2016年1月24日]

関連記事を追加する。

 After FBI briefly ran Tor-hidden child-porn site, investigations went global
 ars technica: January 23, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/01/after-fbi-briefly-ran-tor-hidden-child-porn-site-investigations-went-global/

[追記:2016年4月22日]

関連記事を追加する。

 Judge tosses evidence obtained by FBI malware planted on dark website
 Naked Security: 21 April, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/04/21/judge-tosses-evidence-obtained-by-fbi-malware-planted-on-dark-website/

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生物医科学論文の大半に不備がある?

下記の記事が出ている。

 生物医科学論文の大半に不備、信頼性に疑問符
 AFP/BB:2016年1月5日
 http://www.afpbb.com/articles/-/3072132

無作為に抽出した441本の論文中でプロトコルを完全に満たしているものは1本だけだったとのことだ。

かなり深刻な事態が生じていると言える。

資金獲得のためにデータ捏造等がなされている場合には,事案により,詐欺罪の成立が認められる場合もあり得るだろうと思う。

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AirMule

下記の記事が出ている。

 Watch the radical 'AirMule' take to the air: Bizarre 'cargo drone' prototype will fly injured soldiers from the battlefield - or deliver your shopping
 Daily Mail: 6 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3385988/Watch-radical-AirMule-air-Bizarre-cargo-drone-prototype-fly-injured-soldiers-battlefield-deliver-shopping.html

[追記:2016年1月15日]

関連記事を追加する。

 AirMule military drone set to dodge trees in tests
 BBC: 14 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35306209

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和田萃編(田原本町記紀・万葉事業実行委員会監修)『古事記と太安万侶』

下記の書籍を読んだ。

 和田萃編(田原本町記紀・万葉事業実行委員会監修)
 古事記と太安万侶
 吉川弘文館(2014/11/20)
 ISBN: 9784642082617
 http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b182787.html

本書は,2012年11月18日に開催されたシンポジウム「やまとのまほろば田原本」の内容を記録・文字化したものとのことだ。

最近出版された書籍の中では,多氏,多神社等について最も詳しいものではないかと思う。

とても勉強になった。

田原本町は,以前から注目していたところで,2014年2月に趣味の会の雑誌に書いた「阿可利薬」で当時の私見を少し書いた。当時は,『魏志倭人伝』に直結する地域だと考え,そのような考えに基づいていろいろと思いを巡らせていた。

  阿可利薬
  http://cyberlaw.la.coocan.jp/Documents/Akari_kusuri.pdf

本書を読んでみて,検討の足りなかった部分が多々あることに気づいた。

例えば,「少子部連」の検討が十分ではなかった。単純に考えて,「多」=「大」と考えれば,宗家である「多氏」が「大国主」であり,それに付随すると推定される「少子部」が「少彦名」となることを容易に連想することができる。

「田」は「口」と「王」を重ねた字となっているので「田」だけで「国王」を意味すると解釈可能なことはこれまで何度も述べてきた。そして,「王」=「大」=「多」は明らかだと思われる。

「原」は「羅」と同じで,「国」を意味する。

本書の中では「屯田」についても触れられている(8~10頁)。私は,「屯田」というものに着目し,『艸-財産権としての植物(1)』を書いた。着眼点に間違いはなかったと思う。

 艸-財産権としての植物(1) 
 https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/17257/1/horitsuronso_
87_2-3_207.pdf

そして,「屯田」は,古代中国(漢~三国時代頃)の制度なので,やはり,『魏志倭人伝』と直結するのはこの地域なのだろうと思う。

かつて唐古遺跡と呼ばれた遺跡は,田原本町の方向に鍵地区まで伸びていることが判明したため現在では唐古・鍵遺跡と呼ばれている。「鍵」は正に謎を解く鍵ではないかと思う。なぜなら,「狗奴国」の「狗」の音と「鍵」の音とが似ているからだ。推測だが,この地域にもとは「奴国」があったと考える。そして,魏軍に支援され,黄幡を掲げた邪馬台国によって征服が行われたのだろうと推測している。

ただし,タイムマシンがあるわけではないので,単なる空想にとどまる。

唐古・鍵遺跡や纏向遺跡の歴史上の位置づけについては,専門家の間でも意見が分かれている。私見としては,弥生時代の遺跡の住人とは異なる支配者と社会体制によって交代のようなものがあったとの見解を支持したい。考古学上の発見を丁寧に観察していると,どうもそのようにしか考えられない。そのような政治体制は,『古事記』に記された推古朝まで続いたということなのではなかろうか(逆から言えば,その後は王朝交代のような出来事があったと考えざるを得ないことになる。)。

    唐古・鍵遺跡(からこ・かぎいせき)国史跡
    http://www.town.tawaramoto.nara.jp/03_sightseeing/ruins/karako-kagi.html

    纒向遺跡ってどんな遺跡?
    http://www.makimukugaku.jp/info/iseki.html

    纒向遺跡とは? その調査と研究成果が示す全体像
    http://www.bell.jp/pancho/k_diary-10/2014_03_25.htm

本書には,第二部として,寺川眞知夫氏の『古事記』の成立に関する論説,辰巳和弘氏の「ヒイラギの八尋矛」に関する論説,上野誠氏の古代酒宴歌に関する論説,この3氏による鼎談が収録されている。どれも勉強になるものばかりなのだが,上野誠氏の酒に関する論説に特に興味をもった。

(余談)

田原本町には,鏡神社が4つある。その所在地を順に線で結ぶと長方形をしている。

結界の一種のようなものかもしれない。

また、このあたりは桃太郎伝説の発祥の地ともされている。何やら考えたくなる。ちなみに,この周辺では古代から桃が栽培されていたということが考古学上の発見によって証明されている。

田原本町には秦族の地域があり,秦氏を神官とする秦神社もある。秦氏と兎とは切っても切れない関係にあると考えられ,何やら大国主の神話と関連がありそうな気がする。

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Lumosityのbrain-training gameは合理的な根拠なく優良誤認させる消費者保護法違反?

下記の記事が出ている。

 FTC: ‘Brain training’ brand Lumosity didn’t have the research to back up its claims
 Washington Post: January 5, 2016
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2016/01/05/ftc-brain-training-brand-lumosity-didnt-have-the-research-to-back-up-its-claims/

 Lumosity to Pay $2M to Settle FTC Charges Over 'Brain Training' Ads
 NBC: January 5, 2016
 http://www.nbcnews.com/business/consumer/lumosity-pay-2m-settle-ftc-charges-over-brain-training-ads-n490571

 FTC Hits Lumosity With Fine for Deceptive Brain Health Ads
 Wired: January 5, 2016
 http://www.wired.com/2016/01/ftc-hits-lumosity-with-fine-for-deceptive-brain-health-ads/

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OWASP AppSensor

下記の記事が出ている。

 Can enterprises keep mobile security threats from driving customers away?
 CIO: January 5, 2016
 http://www.cio.com/article/3019214/mobile-security/can-enterprises-keep-mobile-security-threats-from-driving-customers-away.html

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ハックされた疑いにより,Linodeが利用者のパスワードをリセット

下記の記事が出ている。

 Cloud host Linode resets user passwords after suspected hack
 ZDNet: January 5, 2016
 http://www.zdnet.com/article/cloud-firm-linode-resets-user-passwords-after-suspected-hack/

 Under-attack Linode resets passwords after logins leak onto web
 Register: 5 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/05/linode_resets_passwords_after_credential_leak/

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Comcast Xfinity Home Security Systemの脆弱性

下記の記事が出ている。

 Comcast Home Security System Vulnerable to Attack
 Threat Post: January 5, 2016
 https://threatpost.com/comcast-home-security-system-vulnerable-to-attack/115774/

 Researchers found a way to break through Comcast’s home security system
 Verge: January 5, 2016
 http://www.theverge.com/2016/1/5/10717062/comcast-xfinity-home-security-vulnerability-trick

 Comcast Xfinity home security system vulnerability lets a hacker become a thief
 ZDNet: January 5, 2016
 http://www.zdnet.com/article/comcast-xfinity-home-security-system-flaw-lets-a-hacker-become-a-thief/

 Comcast security flaw could help burglars break into homes undetected
 ars technica: January 6, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/comcast-security-flaw-could-help-burglars-break-into-homes-undetected/

なお,下記のような記事も出ている。

 The super creepy side of the Internet of Things and smart homes
 Mashable: December 19, 2015
 http://mashable.com/2015/12/18/iot-smart-home-brandspeak/

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Parrot Disco

下記の記事が出ている。

 The superfast 50mph flying wing 'stealth drone' you can launch by THROWING it into the air
 Daily Mail: 5 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3384733/The-50mph-flying-wing-stealth-drone-launch-THROWING-it.html

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欧州の農耕民は8000年前にトルコから移動してきて定着した?

下記の記事が出ている。

 Europe's first farmers came from Turkey: DNA from Anatolian skeletons show farming spread from the region 8,000 years ago
 Daily Mail: 5 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3385337/Europe-s-farmers-came-Turkey-DNA-Anatolian-skeletons-farming-spread-region-8-000-years-ago.html

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2016年1月 5日 (火曜日)

SCADAPassリスト

下記の記事が出ている。

 Researchers Out Default Passwords Packaged With ICS/SCADA Wares
 DARK Reading: January 4, 2016
 http://www.darkreading.com/endpoint/researchers-out-default-passwords-packaged-with-ics-scada-wares/d/d-id/1323755

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「Hell」が復活?

下記の記事が出ている。

 Dark Web hacking forum Hell back online
 The Hill: January 4, 2016
 http://thehill.com/policy/cybersecurity/264664-dark-web-hacking-forum-hell-back-online

 The Dark Web Hacking Forum ‘Hell’ Is Back Online
 Motherboard: January 4, 2016
 http://motherboard.vice.com/read/the-dark-web-hacking-forum-hell-is-back-online

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EU:Network and Information Security Directive (NIS)

下記の記事が出ている。

 Network and Information Security Directive: co-legislators agree on the first EU-wide legislation on cybersecurity
 European Commission Digital Agenda for Europe: 9 December, 2015
 http://ec.europa.eu/digital-agenda/en/news/network-and-information-security-directive-co-legislators-agree-first-eu-wide-legislation

 European Union: EU's Network And Information Security Directive: Regulating "Operators Of Essential Services" And "Digital Service Providers"
 Mondaq: January 4, 2016
 http://www.mondaq.com/unitedstates/x/455264/data+protection/EUs+Network+And
+Information+Security+Directive+Regulating+Operators+Of+Essential+Services+And
+Digital+Service+Providers

 New EU Cybersecurity Rule Means Additional Compliance Obligations for Critical Infrastructure and Tech Companies
 National Law Review: December 12, 2015
 http://www.natlawreview.com/article/new-eu-cybersecurity-rule-means-additional-compliance-obligations-critical

 EU Cybersecurity Rules Increase Liability For Multinationals
 Law360: December 8, 2015
 http://www.law360.com/articles/735622/eu-cybersecurity-rules-increase-liability-for-multinationals

[このブログ内の関連記事]

 EU:サイバー攻撃に関する新規則
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/eu-4f2e.html

 EU:米国企業もNIS指令に従わなければならない
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/eunis-f5c1.html

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ロシア:忘れられる権利(削除請求権)を実装する法律が発効

下記の記事が出ている。

 Russia's ‘right to be forgotten’ bill comes into effect
 RT: 1 January, 2016
 https://www.rt.com/politics/327681-russia-internet-delete-personal/

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オランダ:政府の公式の政策的立場は,暗号化されたプロダクトの監視に反対の立場

下記の記事が出ている。

 Dutch govt says no to backdoors, slides $540k into OpenSSL without breaking eye contact
 Register: 4 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/04/dutch_government_says_no_to_backdoors/

[追記:2016年1月6日]

関連記事を追加する。

 Dutch Government Embraces Encryption, Denounces Backdoors
 Threat Post: January 5, 2016
 https://threatpost.com/dutch-government-embraces-encryption-denounces-backdoors/115778/

[追記:2016年1月8日]

関連記事を追加する。

 Netherlands opposes backdoors, but encryption still under assault
 Naked Security: 6 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/06/netherlands-opposes-backdoors-but-encryption-still-under-assault/

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甘粛省文物考古研究所編『西戎遺珍-馬家塬戦国墓地出土文物』

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 甘粛省文物考古研究所編
 西戎遺珍-馬家塬戦国墓地出土文物
 文物出版社(2014/11)
 ISBN: 9787501041497

遺跡は,張家川馬家塬戦国墓は,現在の甘粛省天水市張家川回族自治県にあり,戦国時代の戎族の墓群とされている。当時の戦車が多数発掘されたことで有名となった。

 古代戎族の車両部品が多数出土 甘粛の馬家原戦国墓地で
 中華通信社:2008年10月21日
 http://www.china-news.co.jp/node/2871

「北周史君墓」も甘粛省にあるので,甘粛省のある地域は,原始時代から相当遅い時期まで「漢人」の地ではなかったと考えるべきだろう。

本書は,その墓群から発掘された出土物の図録で,解説部分は非常に短く,綺麗なカラー写真とその説明の頁が圧倒的多数を占めている。

最初のほうに墓所の図面があるので,どのようなプランで造営された墓所なのかを知ることができる。墓群は,山の斜面を利用して造営されており,何となく日本の阿武山にある墓群を彷彿とさせる部分がある。

写真の頁の最初のほうに発掘された戦車の写真とその復元図面がある。何とも豪華なものなのだが実戦向きとは到底言えないものなので,王が閲兵用・儀式用に用いたものではなかろうか。

33頁以下にある金銀器の写真には圧倒される。

これは,スキタイのものだと言われたら「そうかもしれない」と思ってしまうようなものばかりだ。無論,断定することはできないが,とにかくそういうもののばかりで,驚愕するしかない。

その王は,金髪・碧眼だったのではないかと想像する。

ちなみに,秦の始皇帝が中国全体を征服するまでは,現在の甘粛省天水市張家川回族自治県にある秦邑を主な中心地としていた。

どの大学図書館にも1冊は備えておくべきだろうと思う。

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リトルトン,マルカー(辺見葉子・吉田瑞穂訳)『アーサー王伝説の起源―スキタイからキャメロットへ』

図書館にあったので,下記の書籍を借りて読んだ。

 C. スコットリトルトン,リンダ A. マルカー(辺見葉子・吉田瑞穂訳)
 アーサー王伝説の起源―スキタイからキャメロットへ
 青土社 (1998/9/30)
 ISBN-13: 978-4791756667

非常に面白く,主張の納得度が高い。良書としてお勧めできる。

原型としてのナルト叙事詩と複数の異なる内容の写本のあるアーサー法伝説を比較検討するものなのだが,よくある文学的手法ではなく,ある意味で考古学的手法,民俗学的手法,比較言語学的手法を合理的に用いて総学問的な推論がなされているところが凄い。

ただし,本書は,スキタイの子孫であるアラン人の騎士団がイングランド島に大勢移動させられた時代を帝政ローマ期と推定し,それらの人々によってナルト叙事詩の要素が持ち込まれることになったのではないかと推定しているのだが,この点については,最近の研究成果によれば,中東方面からの移動は(コーカサス経由のものを含め)4000年頃のことと推定されるに至っているので,ナルト叙事詩の導入時期はもっと早い時代を想定すべきものかもしれないと思う。

 アイルランド人は4000年前の中東からの移民の子孫?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/4000-a855.html

読んでいて,様々な連想をすることができた。主観的な連想に過ぎないので,客観的なものではない。

例えば,「聖杯」に関しては,林俊雄『ユーラシアの石人』に収録されている石人写真の中で特殊な杯を特殊な持ち方で示しているものを連想させる。その表情がいかにも満足げなので,その杯を手にすることに非常に大きな意味があるのだろうと思う。

 林俊雄『ユーラシアの石人』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-0811.html

この石人は,チュルク(突厥)以降モンゴルの時代のものとされている。どの時代のものか確定できないにしても,スキタイ~アラン人から更に伝承されたものが変化してこの石人に現れていると考えることは可能ではないかと思う。

一般に,スキタイの兜については円錐形のものだとしており,私が探し求めている芝山古墳埴輪のとんがり帽子のルールは,やはりバクトリア~コーカサスあたりにあるのかもしれない。

 とんがり帽子の埴輪
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-d916.html

  芳賀日出男『ヨーロッパ古層の異人たち-祝祭と信仰』
  http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-5fcf.html

冑で覆われた馬についての考察も面白い。同一の文化圏で徐々に発達したものではなく,アラン人の移動に伴うものだとの仮説が示されている。魏晋南北朝のある時期において中国大陸北部にも突如として冑で覆われた馬が登場する。これも段階的な進化によるものではなく,そのような重装騎馬兵を主力とする民族が移動してきた結果だと考えるほうがずっと合理的なのではないかと思う。

アーサー王で有名な剣についても非常に興味深いことがいっぱい書いてある。石ではなくカナトコに刺してあるという伝承に関しては,鉄のインゴットから鋳造または鍛造により剣をつくりだすことを示しているとのことが示唆されているが,それはそうだろうと思う。普通は石に刺してあることになっている。本書では,アラン人の何らかの儀礼の存在を推定している。要するに,剣が地面に刺してあり直立していることが重要だとの指摘だ。私は,天孫降臨の際の出来事を連想する。

「剣をたてる」+「力くらべをする」という共通のモチーフがそこにはある。

そして,完全に素人的な発想なのだが,アーサー王に従う騎士団と邇邇藝命の天降りに従う五伴緒とは,どこか深いところでつながっているかもしれないと思いたくなる。

黄金の器を争う三人の者の説話は,何となく三種の神器を連想させるところがある。

要するに,天孫降臨のような海の向こうからの倭國に対する武力による征服が実行されたことは史実だろうと思う。しかし,その細部を装飾する伝承は,ユーラシア大陸の諸民族に伝承された神話等を合成してつくられたものと仮定して研究する手法はあり得ると考えるのだ。『日本書紀』の中で抒情的過ぎる部分についてはアジア諸国の伝承を挿入したものだろうとの説が古くからあり,私もそうだろうと思う。しかし,根幹部分にもそういうことがあり得るのではなかろうか。

そのようなことをあれこれと連想しながら読み終えた。

予備知識がない人の場合,読むのに結構時間がかかるかもしれない。しかし,しっかり読めば,トンデモ学説の類ではなく,おそらく現時点で最も正しい見解が示されているのだということを理解することができるだろう。

可能な限り多くの人に読んでもらいたい本だと思う。

(追記)

本書の中では,アーサー王伝説にしばしば現れる「竜」のモチーフについても詳しく述べられている。

「竜」については,芳賀日出男『ヨーロッパ古層の異人たち』でもとりあげられており,同書197頁以下では,出雲の神楽に出てくる「おろち」との対比で面白い考察が述べられている。

私見としては,「龍(水神)」を祀る民族とそうでない民族との抗争があったのではないかと考えている。前者においては「神」として祀られるが,後者においては「悪魔」または「魔物」として扱われることになる。

同じようなことは,「羊頭」または「牛頭」の神についても言える。

北欧のバイキングの王の冑は,スキタイ風のとんがり帽子型をしており,それに野牛の角のようなものを左右に生やした構造をしている。日本の古墳から出土する埴輪の中にも何故か似たようなものがある。

[このブログ内の関連記事]

 フランス:2500年前の王墓?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/2500-ee3e.html

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Shostak, Exposed Science - Genes, the Environment, and the Politics of Population Health

下記の書籍を読んだ。

 Sara Naomi Shostak
 Exposed Science - Genes, the Environment, and the Politics of Population Health
 University of California Press (2013)
 ISBN-13: 978-0520275188

著者は,科学社会学(Ssience sociology)という分野を専攻する人らしい。

内容は,辛辣と言えば辛辣なのだが,かなりまともで重要な指摘に満ちている。読んでみて,いといろと考えるところがあった。

日本の法学では,環境法と医事法が分離している。これは,ものごとの本質に迫る研究者の誕生を阻止するための制度的枠組みだろうと思う。横断的に研究しようとすると,干されるまではないにしても研究予算を全くもらえなくなる。

日本でも米国でも,要するに,金儲け主義が人々の安全や健康よりもずっと優先されているということに尽きる。政府としても名目GDPをとにかく増加させないと,国の借金とのバランスが名目上でも損なわれていることが露見し,財政政策を一切行えなくなってしまうので,架空のものだと熟知していてもGDPの増加にこだわり続けるしかないという状況にある。このようにしてしまったことには,へつらいしか知らないタイプの経済学者や財政学者等に重大な責任があるのだが,彼らが切腹して果てることはあり得ない。

結局,社会における公正や正義といった概念が観念的なものに過ぎず,現実は正反対だということを思い知らされる1冊ではある。

立場により賛否両論があり得ると思う。

しかし,大事なことは,本書の指摘に反対しようがどうしようが,その反対の論者自身も,例外なく,土や水等の外的環境から身体内の内的環境への深刻な汚染の浸透という事実から逃れることができないということだ。既に相当汚染されている。

推測だが,一見清潔そうで快適そうな都市やリゾートにばかり住んでいる人々の汚染度はそうでない人々と比較して,意外と高いのではないかと思う。無論,田舎でも農薬等の化学薬品,遺伝子加工人工生物の栽培,肥料等に含まれる放射性物質等による環境汚染が相当進んでいるので,程度差に過ぎないのだが・・・

人類の未来は,非常に暗い。

(余談)

遺伝子組換え作物について,従来考えられているのとは異なる遺伝子汚染ルートがあり得ることを指摘した部分を含む論説原稿を書いたのだが,公刊されるかどうかは未定。まだ査読結果が返ってきていないのだが,もし査読ではねられた場合には,仕方がないので,別の方法で公表しようと考えている。

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Cisco Jabber for WindowsにSTARTTLSのバグ

下記の記事が出ている。

 Cisco Jabbers in the clear due to STARTTLS bug
 Register: 4 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/04/cisco_jabbers_in_the_clear_due_to_starttls_bug/

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Yahooに対し,商業宣伝広告付メールを大量送信した行為が違法であるとして,クラスアクション

下記の記事が出ている。

 Yahoo must face class action over text messages: U.S. judge
 REUTERS: January 4, 2016
 http://www.reuters.com/article/us-yahoo-classaction-idUSKBN0UI21R20160104

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警察庁:政策調査員,期間業務職員(一般事務)の募集

下記のとおり,公募が開始されている。

 政策調査員の募集について
 警察庁:2016年1月5日
 https://www.npa.go.jp/higaisya/seisaku-bosyu.pdf

 期間業務職員(一般事務)の募集について
 警察庁:2016年1月5日
 https://www.npa.go.jp/higaisya/kikan-bosyu.pdf

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Sandworm (BlackEnergy)の新たな攻撃手法

下記の記事が出ている。

 BlackEnergy cyberespionage group adds disk wiper and SSH backdoor to its arsenal
 CIO: January 4, 2016
 http://www.cio.com/article/3018790/blackenergy-cyberespionage-group-adds-disk-wiper-and-ssh-backdoor-to-its-arsenal.html

 First known hacker-caused power outage signals troubling escalation
 ars technica: January 5, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/first-known-hacker-caused-power-outage-signals-troubling-escalation/

 BlackEnergy by the SSHBearDoor: attacks against Ukrainian news media and electric industry
 WeLiveSecurity: 3 January, 2016
 http://www.welivesecurity.com/2016/01/03/blackenergy-sshbeardoor-details-2015-attacks-ukrainian-news-media-electric-industry/

 BlackEnergy drains files from Ukraine media, energy organisations
 Register: 4 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/04/blackenergy_drains_files_from_ukraine_media_
energy_organisations/

 "Russian" BlackEnergy malware strikes at Ukrainian media and energy firms
 SC Magazine: January 4, 2016
 http://www.scmagazine.com/russian-blackenergy-malware-strikes-at-ukrainian-media-and-energy-firms/article/462916/

[このブログ内の関連記事]

 米国:原子力発電所等の重要インフラのシステムがBlackEnergyマルウェアに汚染されていた?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/blackenergy-544.html

 ロシア:トロイの木馬BlackEnergyの新型がロシアとウクライナのオンラインバンキング顧客を狙っている
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/blackenergy-cdf.html

 ロシア人のサイバースパイ組織Sandworm?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/sandworm-f5a9.html

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16世紀ロシアのイワン雷帝軍所属将校のものとみられるとんがり帽子型兜

下記の記事が出ている。

 Ivan the Terrible's military arsenal discovered: 16th century storehouse holds spiked helmets, sabres and arrows for soldiers of the notorious Tsar's army
 Daily Mail: 4 January, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3383577/Ivan-Terrible-s-military-arsenal-discovered-16th-century-storehouse-holds-spiked-helmets-sabres-arrows.html

当時のロシアは単一民族で構成されていたとみるよりは,異なる諸部族をイワン雷帝が束ねて統治しており,その中の最も有力な豪族がロマノフ家だったと考えるのが合理的だろうと思う。

ロシアはモンゴルの禅譲によって生まれた国家なので,モンゴル諸族の文化を継承している部分がある。

この兜は,芝山古墳の埴輪のとんがり帽子と同じルーツをもつものかもしれない。

直観的な感想でしかないのだが,古代のバクトリア周辺にルーツを探すのがよさそうだ。

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Ransom32

下記の記事が出ている。

 Easy-to-use ransomware code discovered
 BBC: 4 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35224859

 Ransom32 Is a JavaScript-Based Ransomware That Uses Node.js to Infect Users
 Softpedia: 3 January, 2016
 http://news.softpedia.com/news/ransom32-is-a-javascript-based-ransomware-that-uses-node-js-to-infect-users-498342.shtml

 Happy 2016, and here's the year's first ransomware story
 Register: 3 January, 2016
 http://www.theregister.co.uk/2016/01/03/happy_2016_and_heres_the_years_first_
ransomware_story/

[追記:2016年1月6日]

関連記事を追加する。

 Researchers uncover JavaScript-based ransomware-as-service
 ars technica: January 6, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/researchers-uncover-javascript-based-ransomware-as-service/

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2016年1月 4日 (月曜日)

Hildebert Wagner, Gudrun Ulrich-Merzenich (eds.), Evidence and Rational Based Research on Chinese Drugs

2014年6月に下記の書籍を購入し,昨年までかかって読破した。2015年中に読み終えた洋書の中で最も有用だと思う1冊だ。

 Hildebert Wagner, Gudrun Ulrich-Merzenich (eds.)
 Evidence and Rational Based Research on Chinese Drugs
 Springer (2013/2)
 ISBN-13: 978-3709104415

本書は,法律書ではない。

読破するには化学と生理学の知識を必要とする。

しかも,とてつもない労作であり,学術上重要な書籍であることはどうやっても否定しようがないのだが,私見としては,本書に書かれている内容について全面的に賛成できるわけではない。加えて,薬学教授になるつもりはなく,読破したというだけのことで,内容を暗記したわけでもない。

しかし,私にとっては,基本的な戦略を固めるために最も参考となる書籍となった。

本書を読破することにより,何をどう考え,何をすべきかを明確かつ具体的に認識・理解することができるようになった。

本書の著者に心から感謝する。

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西安市文物保護考古研究院編・楊軍凱著『北周史君墓』

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。2015年中に読んだ中国の発掘記録の中では最も感銘を受けたものと言える。

 西安市文物保護考古研究院編・楊軍凱著
 北周史君墓
 文物出版社(2014/1)
 ISBN13:9787501038909

図版と写真はとても鮮明で,考察する上で非常に助かる。

解説も正確かつ丁寧で勉強になることばかりだった。

謎の多いソグド人のことについて,この遺跡とその出土物は非常に多くのことを語っている。そして,その妻として陪葬されている石氏出身の女性のことも。

私は,発掘された墓誌がエジプトのロゼッタ石に匹敵する学術上の価値の極めて高いものだと考える。

今後,この墓誌から出発して,様々な研究が展開されることになるだろう。

他方,墓所の石彫は,まさに多国籍の様相を示しており,その中には日本の古代史と直結するものが多数含まれている。時代としても北魏~北周の時代であり,日本では蘇我氏の時代に相当する。

発掘品は,美術史という側面からも興味深いことがいっぱいある。

とにかくすごい墓が発見されたものだと思う。

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岩本篤志『唐代の医薬書と敦煌文献』

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。2015年中に読んだ本の中で最も勉強になったものをあげるとすれば,この書籍をあげる。

 岩本篤志
 唐代の医薬書と敦煌文献
 角川学芸出版 (2015/3/25)
 ISBN-13: 978-4046536075

岩本篤志氏の著作の多くはネット上でも読むことができる。実は,最初はネット上のコンテンツを読み,本書にまとめられていることを知ったのだった。

 立正大学教員情報:岩本篤志
 http://kgpro-ac.com/riuhp/KgApp?kyoinId=ymdggmykggy

世代のせいもあるのかもしれないが,画面で書籍を読むのは疲れる。

じっくりと,かつ,正確に,かつ,敏速に読むためには,やはり冊子体に限る。

本書は,中国の古い本草書の成り立ちと形成過程を丹念に研究したもので,細部に至るまで納得度が高い。

素晴らしい業績だと思う。

一般に,とかく,古代の有名な本草書をばらばらに理解する傾向がないではないが,実は,元になど祖本のようなものがあり,それに順次加筆訂正を加えながら形成されてきたものだということを説得力をもって論証している。

本書の考証により,既に失われてしまったと考えられている古代の本草書を再現することも不可能ではない。

私の関心事は,どうして祖本が書かれたのかということに尽きるかもしれない。

ここらへんになると謎としか言いようがないのだが,自分の直観を信じて更に研究を続けている。

とても古い時代のことなので「趣味ですか?」と問われることが多い。

私は,説明するのが面倒なので,特に否定もしないで何となく話題をそらすようにしている。

実は,現代の目の前にある重大な問題と直結する研究をしている。

しかし,誰にも理解されることはない。

それでよいと思っている。

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劉義慶(井波律子訳注) 『世説新語』

『世説新語』には幾つかの和訳があるが,下記のものを読んだ。結構時間がかかった。

劉義慶(井波律子訳注)
東洋文庫843 世説新語1
平凡社 (2013/11/8)
ISBN-13: 978-4582808438

 劉義慶(井波律子訳注)
 東洋文庫845 世説新語2
 平凡社 (2014/1/10)
 ISBN-13: 978-4582808452

 劉義慶(井波律子訳注)
 東洋文庫847 世説新語3
 平凡社 (2014/3/20)
 ISBN-13: 978-4582808476

 劉義慶(井波律子訳注)
 東洋文庫849 世説新語4
 平凡社 (2014/5/9)
 ISBN-13: 978-4582808490

 劉義慶(井波律子訳注)
 東洋文庫851 世説新語5
 平凡社 (2014/7/10)
 ISBN-13: 978-4582808513

原文はそんなに長くない。しかし,それだけに豊富な教養がないと「いったいどこが面白いのか?」を感ずることさえできない場合が多い。

この東洋文庫の版の和訳では,解説が非常によくできていて楽しく読ませるようになっている。素晴らしい解説だと思う。

ところどころに登場人物の家系図があり,非常に有用だと思う。また,5冊目の巻末には年表と人名索引があり,これだけでもかなり役立つと思う。

さて,魏晋南北朝あたりの中国の歴史と古代日本の歴史とでシンクロしている部分があるのではないかとの仮説をたて,関係ありそうな書物をかたっぱしから読んできた。まだまだいくらでもある。道は長い。

大学の正月休みも終わりとなるので,読書三昧の日々はいったん終わりとし,本来の仕事のほうに精を出すことにする。

(余談)

国家システムとしての法制度を調査・研究することは可能だ。その実際について法社会学的な検討を加えることも可能だ。そして,法思想について,法哲学的に思索することも可能だ。

しかし,現実(歴史上実際に起きた出来事)はどうだったのかと問われると,なかなか難しい。

『世説新語』を読む限り,官僚の世界は別として,為政者には「正義感」のようなものが全くなかったのではないかと思う。その意味では「法の支配」はなかった。それゆえ,そのような意味での古代中国の「法」を研究することは無意味なことだと思う。

「為政者において現実に存在していたのは,欲望と暴力だけだった」という説明でもって,ほぼ全てを説明することができるだろう。

(余談2)

曹氏と王氏の鮮卑姓は,「阿」だったのではないかというような気がする。

歴史のある時点で,系統が分かれ,「曹」,「司馬」,「王」との漢姓を用いるようになったのではなかろうか。

そして,「曹」は,実際には氏または姓というよりも官職名のようなもので,また,「司馬」は,漢代の官職名に由来するものではなく「鮮卑」そのものの本来の音からきているのではないかと想像される。「王」は,戦国時代の王氏とは関係がなく,「阿」の音に由来するとも考えられる。

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人工知能の発達により法律家は滅ぼされる?

下記の記事が出ている。

 The End of Lawyers? Not So Fast.
 New York Times: January 4, 2016
 http://bits.blogs.nytimes.com/2016/01/04/the-end-of-work-not-so-fast/

「固有名詞だけ違っていて,あとは全て金太郎飴的な仕事」は,コンピュータに代替される可能性があるのではないかと思う。

しかし,そうでない仕事もある。

そのような例外的な難しい仕事を適切に取り扱うことのできる法律家は少ない。

まして,将来を予測して予防法学的な仕事を適切に遂行することのできる法律家はもっと少ない。

さて,人工知能はどこまで代替できるのだろうか?

(余談)

フリチョフ・ハフトは,法情報学の世界では知らない人がない。著書の和訳も多数出ている。私は,たぶん全部読んだ。

しかし,フリチョフ・ハフトの主張する「レトリック法学」をコード化することは難しいのではないかと思っている。

そのことは,ハフト自身も気づいていただろうと推測している。

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MyCaptR

下記の記事が出ている。

 CES 2016: MyCaptR app 3D-scans homes using an iPad
 BBC: 4 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35210019

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林俊雄『ユーラシアの石人』

芝山古墳の埴輪のとんがり帽子のルーツを探して,いろんな本を読んでみている。下記の書籍を読んだ。

 林俊雄
 ユーラシアの石人
 雄山閣 (2005/3/10)
 ISBN-13: 978-4639018803

非常に面白い書籍で,夢中になり,あっという間に読んでしまった。

ユーラシア大陸にある石人についてはよく知らなかった。調べてみると,石人と関連する日本語の書籍はほとんど出版されていないようだ。

本書は,研究内容として立派なことは言うまでもなく,書籍としても貴重なものだと思う。

さて,本書には多数の石人の図版や写真が収録されているけれども,芝山古墳の埴輪の帽子と形状が完全に一致するものはなかった。ただ,幾つか類似すると考えてもよさそうなものがあった。

チュルク(突厥)のものと推定されてきた石人,ドイツの古墳にあった石人,南ロシアの石人などにはとんがり帽子のようなものがそれに該当する。

しかし,なかなか難しい。

本書の本文を読んでみると,そもそも石人がつくられた年代や目的等についてはまだまだ謎の部分ばかりということらしい。ただ,石壁で四角形い囲った場所に石人がたっていたらしいということで,その区画の写真を見る限り,日本の古代の神籬(ひもろぎ)や玉垣(たまがき)と一脈通ずるところがあるように思う(「神籬(ひもろぎ)」の由来については,笹生衛『神と死者の考古学-古代のまつりと信仰』の中で示されている見解が最も合理的ではないかと思う。)。

更に探索が続く。

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菅本大二「中国古代における法概念の形成-比較法概念形成史」

下記の論文を読んだ。

 菅本大二
 中国古代における法概念の形成-比較法概念形成史 
 中国研究集刊 雨号(39号)85~98頁

長尾龍一氏の見解を出発点にして,古代の中国法における「賞」と「罰」について論じている。サブタイトルでは「比較法概念形成史」となっているが,実質的内容としては中国古代法哲学のみを扱っている。

結論としては長尾龍一氏の見解とほぼ同じということのようにも読めるが,はっきりしない。

私は,刑事法に関しては,平野龍一『刑事訴訟法の基礎理論』(日本評論社,1964)の1~3頁に書かれていることで全てが語りつくされていると考えている。

そのような前提で(「罰」ではなく)「賞」というものを考えてみると,これは,国家の恩恵にほかならない。

最近,このような観点をやや重視して論説原稿を書き始めている。今年の3月末ころまでにはその最初のものが世に出ることになるだろう。

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Statip Yuthayotin, Access to Justice in Transnational B2C E-Commerce

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Statip Yuthayotin
 Access to Justice in Transnational B2C E-Commerce - A Multidimensional Analysis of Consumer Protection Mechanisms
 Springer (2014)
 ISBN-13: 978-3319111308

オーソドックスなスタイルの法律書なのだが,消費者保護と小口の電子商取引における紛争解決手段について特に詳細に述べているところに特徴がある。

参考になる。

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シンガポール:サイバーセキュリティを強化

下記の記事が出ている。

 Cyber Security Agency looking to strengthen online security in every sector
 Channel News Asia: 1 January, 2016
 http://www.channelnewsasia.com/news/singapore/cyber-security-agency/2392484.html

 Security, economy, social cohesion among the main issues for Singapore in 2016: DPM Teo
 Channel News Asia: 28 December, 2015
 http://www.channelnewsasia.com/news/singapore/security-economy-social/2381084.html

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ベトナム:情報犯罪が深刻化?

下記の記事が出ている。

 Info security threats more serious
 VietNam News: December 26, 2015
 http://vietnamnews.vn/economy/280416/info-security-threats-more-serious.html

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Hooman Samani, Cognitive Robotics

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Hooman Samani
 Cognitive Robotics
 CRC Press (2015/10)
 ISBN-13: 978-1482244564

評判になった新刊書だ。

表紙はヒューマノイドなのだが,ヒューマノイドについて書いてあるのは基本的には最後の章の部分だけで,大部分は自律型ロボットの基礎的技術の概念,研究状況,実例,問題点の指摘等をわかりやすく章立てし,簡潔に述べるものだ。

概説書としては,この分野の専門家でない読者でも比較的容易に読むことができるよう配慮がなされており,とてもよい出来栄えのもので,推奨できる。

とりわけ,関連する参考文献等がほぼ網羅的にまとめられているので,更に深く研究したいと考える読者にとっても有用性が高いのではないかと思う。

とは言っても,この分野はまさに日進月歩なので,常に最新の情報を自力で収集する努力を続けていないと,たちまちおいてきぼりを食ってしまうという怖さがある。しかも,あとでまとめてパクれば足りるというような従来の普通の企業のようなやり方では全く歯がたたなくなってしまう可能性が高いのではないかと推定している。そうなりたくなければ,常に勉強と研究を続けるしかない。

雑駁な読後感としては,現時点での自律型ロボットの状況は,SF小説などで書かれているようなものと比較するとずっと幼稚なレベルにとどまっているので,その意味では期待し過のは愚かなことだと思う。しかし,ヒューマノイドにこだわらなければ,一般に想像されているよりもはるかに先のところを既に走っているので,世界は確実に変容しつつあると認識することができる。そこらへんのギャップを埋めるものが真の意味での「教養」というものなのだが,残念ながら,現在の受験競争の世界や文科省の政策論ではそういう最も大事なところが欠落しているので,日本国がこの分野の根幹部分で世界をリードできる可能性はほとんどないのではないかと思う。

(余談)

技術論としてではなく哲学というベースで考えた場合,ロゴスを追及することも必須なのだが,仏陀の悟りのようなものを経験しようと試みないと一皮むけないということがある。

なかなか難しいものだと思う。

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Jai Galliot, Military Robots - Mapping the Moral Landscape

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Jai Galliot
 Military Robots - Mapping the Moral Landscape
 Ashgate (2015)
 ISBN-13: 978-1472426628

軍事技術の解説書ではなく,軍用ドローンの運用と関連する法的・倫理的な責任,その運用を正当化(合法化)する論理について論じたものだ。

この種の書籍を何冊か読んだのだけれども,誰でも考えることのできる一般論を述べるだけのものが比較的多い。

本書では,やや深い考察が見られる。また,本書の特徴として,人間がリモートでドローンを運用する場合(完全に自律的なドローンではない場合),それは,単純に操縦しているという環境ではなく,仮想技術を駆使した仮想空間で操縦していることになるとの趣旨の認識を前提にして,非常に興味深い考察をめぐらせている。

法律論としては,このような場合の「故意」をどのように考えるべきかが問題となる。

従来は,生体脳の中での錯乱のようなものとしてのみ考察されてきた。しかし,仮想現実世界が実在する現実ではないが,脳内には存在し,しかも自己の能力の拡張(延長)の一部として存在している。従来の法学上の故意論では,このような問題について一切考えてこなかった。閉じた空間としての生態脳だけを理解してきたのだ。

しかし,リモートで操作されるドローンの問題を考える場合,このような仮想空間と合成された脳内には現実に存在する「事実」のようなものを前提にものごとを考えなければならない。

ここでは,古典的な意味での錯誤論は全く通用しなくなるだろう。別のタイプのアプローチが必要となる。

私見は既にあるが,ブログで不完全なかたちで書くと誤解を招くので,いずれ論説で正式に公表しようと思う。

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三次元プリンタ(3D Printer)によるセラミックス繊維製造技術

下記の記事が出ている。

 Company 3D prints ceramics that can withstand 1700ºC temps
 ars technica: January 4, 2015
 http://arstechnica.com/science/2016/01/company-3d-prints-ceramics-that-can-withstand-1700oc-temps/

複合素材の領域は更に急激に変化するかもしれない。

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Ruciano Floridi, The Fourth Revolution - How the infosphere is reshaping human reality

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Ruciano Floridi
 The Fourth Revolution - How the infosphere is reshaping human reality
 Oxford University Press (2014)
 ISBN-13: 978-0199606726

「個人」というものの本質に関して,私見と同じような個人の本質を「記憶」としてとらえるような発想から始めて,現代の科学が「個人」の本質に及ぼす深刻な影響について多角的に論じている。

本書の中で比喩として用いられているオデッセウスの逸話はまことに象徴的で的を得ていると思う。

私は,これまで,以下のようなことを考えてきたし,その一部は既に論文等として公表している。

すなわち,従来,「個人」は,動物の物理的単位としての「個体」という概念から出発して,動物の中のヒトの場合だけを「個体」ではなく「個人」と呼ぶというものとし,その概念を基礎として個人データ保護法制が構築されている。

しかし,物理的な「個人」が多層の「ペルソナ」によって構成されていることは古代ギリシアからずっと知られてきたことなので,その属性値は一定しない。それでも物理的な「個体」としての「個人」が識別可能な限り,現在の個人データ保護法制は機能し得るだろう。

問題は,ICTの発達により,「ペルソナ」が異なる場所に散在するようになり,しかも,それが独立に社会的実存として機能しているということ,更には,物理的な「個体」と全く同価の別個体が複数併存し得るようになったこと,それらが複合的・多重的に併存する状況となっていること,そのような状況を踏まえ,ビッグデータ解析等による物理的な「個体」としての「個人」を把握するための技術が高度に開発されてきていることなどの状況変化にある。

社会の統治者としては,仮想の実存としての「ペルソナ」が多数存在しているとしても,物理的な個体としての「個人」を把握し,必要に応じて対処すれば統制が可能だと考えている。確かに,普通の市民のレベルだとそうかもしれない。しかし,社会的に強い力をもつペルソナが存在している場合,肉体が滅びてもペルソナは生き続ける。例えば,イエス・キリストや仏陀を想像してみれば理解することができるだろう。単に記憶として存続するというだけではなく,その信奉者達がより理想化し強化したペルソナを構築(再構成)し,伝承していくことになる。このようなことを考えると,いずれ「デジタル・ジェノサイド」のようなことが発生するのではないかと思う。

他方で,遺伝子技術の発達はクローン製造を容易なものとし,また,人工知能技術の発達は記憶の移転を可能とするようになるかもしれない。細胞レベルでのクローンを製造しても記憶の移転がなければ「個人」の複製とは言い難い部分があるが,記憶も同一であれば物理的にも観念的にもクローンと言えるだろう。そのような時代になると,物理的な「個体」としての「個人」を把握しているだけでは,統治者としては個人を全く把握できていないのと同じことになる。観念的には,ほぼ全ての統治システムが機能不全に陥ることになるだろう。

ロボットには,それらの問題が集中的に現れる。

現時点における法学者の多くは,求められるレベルに達していない。問題の本質の理解にまで至っていない。行政庁の法制担当者はもっとそうだ。それゆえ,常に,社会的に機能しそうにない法制ばかり構築し続けることになる。本当は,本質は,もっと別のところにあるのだ。

私は,これまでずっと以上のような問題を考え続けてきた。

本書においても私見と同様の検討がなされており,それらの問題の本質について実に明晰に述べられている。

文章力においては,とても素晴らしく,私などは足元にも及ばない。

本書の著者は,とても頭の良い人なのだと思う。私よりも10歳ほど若いので,今後,非常に多くの業績を残すことができるだろう。

古典的な「ペルソナ」を現代の科学技術で構成された社会の中での表現型として見事に描き出していると評価することができる。

本書は,いずれ名著として評価されることになるのではなかろうか。

プライバシー法や個人情報保護法の研究者にとっては必読の文献の1つだと言える。

ただ,現実の事態は更に先のところにまで進んでいると考える。

「ヒト」だけを考えていれば足りる時代は既に終わっている。

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2016年1月 3日 (日曜日)

PayPalの脆弱性

下記の記事が出ている。

 Brian Krebs criticises PayPal's security as authentication flaws exposed
 Register: 30 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/30/krebs_paypal_hack_criticism/

 2016 Reality: Lazy Authentication Still the Norm
 Krebs on Security: December 28, 2015
 http://krebsonsecurity.com/2015/12/2016-reality-lazy-authentication-still-the-norm/

[追記:2016年1月8日]

関連記事を追加する。

 CES 2016: 'PayPal' of smart devices puts users in control
 BBC: 7 January, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35255732

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新井白石(原田信男校注)『東洋文庫865 蝦夷志 南島志』

下記の書籍を読んだ。主として原文だけ読み,必要に応じて解説の部分を読んだ。

 新井白石(原田信男校注)
 東洋文庫865 蝦夷志 南島志
 平凡社 (2015/11/18)
 ISBN-13: 978-4582808650

改めて新井白石の博学を思い知る。

本書には,『蝦夷志』と『南島志』が一緒に収録されている。附圖の白黒写真もついている。

『蝦夷志』の圖の中で,アイヌの着物であるアツシの図には驚いた。曲線的な雲流紋と鶴,松,龍が描かれている。全体としてみると,清朝の中国人の服のようにも見える。夫婦図には「ハダシ(裸足)」とあり,どう見ても入墨の類が全くない。

最初からしっかりと読むと,北海道南東部を蝦夷地として支配するに至る経過がどのような典拠によって論証できるのかを知ることができる。

他方,『南東志』にはひっかかる部分が多々ある。

新井白石の理解によると,邪久國=多邇國=琉球ということになるのではないかと思う。

中国の史書によれば,琉球は,古代の中国諸王朝からたびたび遠征を受け,人々が奴隷として連れ去られることが度々あったことが窺われる。

にもかかわらず,新井白石は,琉球(南西諸島)の地理について詳密に知っており,それを記載している。つまり,遅くとも新井白石の時代には,琉球全域が徳川幕府の支配下にあるものとして日本国領土の一部だったということを知ることができる。

このような認識に対しては感情的な反応をする人があるだろうと思う。

しかしながら,客観的にみて何が記述されているかが大事だと思う。

「そうではない」というのであれば,そうではないということを示す何らかの根拠を提供しなければならない。

私が古代の中国正史を読んで理解している限り,古代の中国諸王朝の認識としては,「奴隷狩りのための場」と考えていたらしいということしか言えないように思う。

現代でもそうなのかどうかは知らない。

いずれにしても,一度は読んでおくべき書籍だと思う。

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中沢隆・河原一樹・宮路淳子「日本の古墳からの出土品に含まれる絹試料の質量分析-質量分析による絹の特定とその古代的考察-」

下記の論説がある。

 中沢隆・河原一樹・宮路淳子
 日本の古墳からの出土品に含まれる絹試料の質量分析-質量分析による絹の特定とその古代的考察-
 古代学(奈良女子大学古代学学術研究センター)4号52~59頁
 http://nwudir.lib.nara-wu.ac.jp/dspace/bitstream/10935/3677/1/AA12405683V4pp52-59.pdf

ここに書かれているような研究を推進すれば,様々なことがわかる。

しかし,それを妨げている社会的要因も多々ある。

私は,妨げている人々にとっては既に答えが完全にわかっているけれども,それを明かしてもらっては困るということなのだろうと想像している。

しかし,私は,困るような結果にはならないだろうと考えている。

むしろ,現代の情勢の下においては,国益に大きく寄与することになるだろうと思う。

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高槻市教育委員会編『藤原鎌足と阿武山古墳』

下記の書籍を読んだ。

 高槻市教育委員会編
 藤原鎌足と阿武山古墳
 吉川弘文館 (2015/3/1)
 ISBN-13: 978-4642082693
 http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b190501.html

本書の冒頭にある「凡例」によれば,本書は,平成25年12月22日に開催されたシンポジウムの記録に基づき加筆等を施した上でまとめられたものだそうだ。そのため,基調報告の記録に続き,各分野の専門家による講演記録が続き,最後にパネルディスカッションの記録が収められている。

どれも非常に興味深い内容なのだが,89~110頁に収録されている森田克行「鎌足墓と摂津三島の阿威山-乾漆棺、乾漆像の世界と漆部氏」から特に学ぶところが多かった。

全体を読みとおしてみて様々なことを考えた。

おそらく,「阿武(あふ)」と「阿威(あひ)」と「阿閉(あへ)」とは全く同じだろうと思う。したがって,「阿倍」または「阿部」とも同じと考えることができる。

次に,本書に収録されている写真に示されている遺骨の形状からして,倭人ではないと考えられる。脚部が長すぎる。解剖学をベースとして考古学を専攻している研究者であれば,当時撮影された遺骨写真及びX線写真が多数残されているので,それを仔細に観察することにより,写真鑑定だけでおおよその判断をつけることができるだろう。

更に,墓室の構造が,地下に空間を築造し,その空間内に墓所を構築する,つまり,地下の空間内に宮殿のようなものをつくるという構成になっている。これは,明らかに古代の中国の多数の王墓や貴族墓等でごく普通に見られる様式であり,日本の様式ではない。実際の阿武山古墳では,地下の空間の中に墳丘が造営され,その中に石室があり,その石室に棺が埋納されているという構造になっている。中国の墳墓の多くでは,この墳丘の部分が石材等でつくられた小型神殿のようなものとなっていることが比較的多いのだが,棺の上にかぶせる構造物はその地域によって異なるので,倭國では小型神殿ではなく墳丘と石室という形式をとったということに過ぎないのではないかと思う。

なお,この遺跡は,発掘途中で憲兵から「不敬罪にあたるおそれがある」として中止を命ぜられ埋め戻されたまま再発掘はなされていないのだそうだ。既に崩壊してしまっているかもしれないが,現代では憲兵も不敬罪も存在しないので,再発掘した上で,遺骨のDNA鑑定をすれば,かなり多くのことを理解することができるだろうと確信する。

所管官庁は,私見とほぼ同じ推測をしているので発掘をしようとしないのだろうと思う。ある程度勉強した人なら誰にでもできるごく平凡な推測だ。

(余談)

日本の古代史の中でも白村江の戦前後の時代について論じている人の中には,中臣鎌足は中国(唐)から進駐してきた将軍その人であり倭人ではないという説がある。

この説の当否を判断するだけの能力も知識も持ち合わせてはいないが,仮にこの説が正しいとした場合,「中臣」とは,読んで字の如く「中華の臣」という意味になるだろう。

藤原氏の家伝によれば,中臣鎌足(藤原鎌足)の居宅は近江(淡海)にあったとされているようだ。『扶桑略記』によれば,白村江の戦の後,唐からの進駐軍が近江に駐屯したらしいということを知ることができる。非常に興味深い。

[このブログ内の関連記事]

 仮説
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-2207.html

 林博通『大津京跡の研究』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-87d3.html

 『扶桑略記』中の天智天皇に関する記述
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-1f07.html

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安斎正人『気候変動と縄紋文化の変化』

下記の書籍を読んだ。

 安斎正人
 気候変動と縄紋文化の変化
 同成社(2014/8/15)
 ISBN-13: 978-4886216748
 http://homepage3.nifty.com/douseisha/kouko/joumonn/joumonn.html#kikouhenndou2

非常に多数の考古学上の発見(石器や土器等)を丹念に調べ,それぞれの時代の海水面に合わせた地図上で遺跡等の位置を配置して図示し,骨の折れる作業を積み重ねた結果としての業績書だ。頭が下がる。

図はとてもわかりやすく,素人でもすぐに理解できるように工夫がなされている。

縄文時代にも寒冷期と温暖期とがあり,温暖期には現在の平地(低地)の大半が海の底だった。また,温暖期には現在の台地がかなり小さな島状に散在しているようになっているところが多く,おそらく現在の日本よりは現在のフィリピンやインドネシア等の国々とよく似た感じの地域だったのだろうと推定することができる。そのようなイメージをもちながら本書を読んでみると,出土する遺物の変化について「なるほど」と納得できる部分が多い。

一般に,黒墨(くろぼく)と呼ばれる黒土は,1万年以上の長きにわたる焼畑の化石のようなものだと理解されているけれども,その黒墨は低地ではなく山地などのやや標高の高いところに多く存在している。それもそのはずで,当時海だったところでは焼畑をしたくてもできない。低地の多くは,火山活動で噴出した極めて大量の火砕流や火山灰等が流れ下り堆積してできていると理解すべきで,そのために赤土のところが多い。

本書に収録されている資料は膨大なもので,それを暗記したくてもとてもできるような分量ではない。大づかみのところで概念を理解し,必要に応じて該当する頁にある資料を検索して考えるといったような使い方に適していると考える。

労作だと思う。

(余談)

過去数万年の間に日本列島は大きな地殻変動を何度も経験しているので,地形がまるっきり変わってしまったところが決して少なくないと言える。比較的最近の例としては,根尾谷断層(岐阜県本巣市根尾地域)があり,地震によって5メートル以上の段差がついてしまった。このような例は,風化によってわかりにくくなってしまっているかもしれないが日本国内にいくらでもあるのだろうと思う。

今後の研究としては,全国一律に海水面が高いまたは低いというレベルから更に発展して,地殻変動による垂直方向・水平方向への局地的な変化も加味した上でのより正確な歴史地図を作成するという面でも重質したものとすべきだろう。

そのようにして得られるより正確な知見は,現在の高校の授業等で用いられている歴史地図等に示されているものとは相当異なるものとなる可能性が高い。

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BBCのサーバに対してサイバー攻撃をしたのは反ISISグループ?

下記の記事が出ている。

 Anti-Isis hackers claim responsibility for BBC cyber-attack
 Guardian: 2 January, 2016
 http://www.theguardian.com/media/2016/jan/02/bbc-cyber-attack-anti-isis-hackers-claim-responsibility

 Group Claiming to Oppose ISIS Says It Committed Cyberattack on BBC
 New York Times: January 2, 2015
 http://www.nytimes.com/2016/01/03/world/europe/group-claiming-to-oppose-isis-says-it-committed-cyberattack-on-bbc.html

[このブログ内の関連記事]

 BBCのWebサイトに対して大規模サイバー攻撃
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/bbcweb-ecc6.html

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Electronic Commerce - A Managerial and Social Networks Perspective

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Efraim Turban, David King, Jae Kyu Lee, Ting-Peng Liang, Deborrah C. Turban
 Electronic Commerce - A Managerial and Social Networks Perspective
 Springer (2015/2)
 ISBN-13: 978-3319100906

本書は,法律書ではない。

電子商取引の実際を事細かに調査した結果を整理して述べた,どちらかというと辞書的な書籍だ。現時点で最も詳しいのではないかと思う。

本書の特徴としては,電子通貨やソーシャルメディアにも多くの言及があることで,外見上では商売と無関係にみえる様々な出来事がいかに商売と結びついているかを理解することができる。

単に知識を得るという意味だけでもその有用性は高いと思う。

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デジタル秘書

下記の記事が出ている。

 I have five digital ‘personal assistants’ and still can’t get anything done
 Washington Post: January 1, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2016/01/01/i-have-five-digital-personal-assistants-and-still-cant-get-anything-done/

非常に便利だろうと思う。機械的な事務処理であれば,人工知能によって処理することが可能な時代となってきている。

しかし,真の問題は,そのようなサービスがクラウドから提供されるということだ。デジタル秘書またはデジタルアシスタントという名からは自分に従属する者だとの印象を受けやすい。しかし,そのようなサービスを提供しているのはクラウドの管理者なので,実は,その利用者のほうが従属していることになる。少なくとも,利用者の行動の全てをクラウドの管理者は把握していることになる。

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アリの脳内記憶の人為的な書き換えは可能-人類のコントロールも可能か?

下記の記事が出ている。

 Scientists reprogram the brains of ants to change their behaviour - and the technique could one day be used to control HUMANS
 Daily Mail: 31 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3380396/Scientists-reprogram-brains-ants-change-behaviour-technique-one-day-used-control-HUMANS.html

 Slightly creepy experiment with ants shows that drugs can permanently alter behavior
 ars technica: January 3, 2015
 http://arstechnica.com/science/2016/01/slightly-creepy-experiment-with-ants-shows-that-drugs-can-permanently-alter-behavior/

仮に記憶の移し替えが完全にできるとすれば,事実上,不死になることができる。ボディがポンコツになってしまったら,別のボディに乗り移れば良いからだ。

つまり,「個人」とは記憶のことを意味する。物体としての「ヒト」の個体のことではない。

このことは松本恒雄・齋藤雅弘・町村泰貴編『電子商取引法』の第3章で述べたとおりだ。

しかし,実際には,記憶の完全な移転は無理だろうと思う。

近未来において現実性があるのは,政府に反抗的な人々の脳内の記憶の一部を強制的に書き換え,従順な者に修正してしまうことだろうと思う。かなり現実的なことだと考える。

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2016年1月 2日 (土曜日)

福田哲之「簡帛『老子』諸本の系譜学的考察」

下記の論部を読んだ。

 福田哲之
 簡帛『老子』諸本の系譜学的考察
 中国研究集刊第60号記念号(称号)53~72頁

とても勉強になった。

『老子』に限らず,古典を読むときには,「これはオリジナルの文か?」との疑問との闘いが常につきまとう。無論,自分の勉強不足のためにそう思ってしまう場合もある。しかし,後の考古学上の発見により,「やはりそうか」と合点が行くこともある。

本論文は,近年発掘がめざましい簡帛文献の解析を通じて,『老子』のオリジナルを推測しようというもので,実にきめ細かい作業を経た上で,全ての系統の写本の祖となる原型のようなものが存在していたということを明らかにしている。相当の時間をかけた考察結果なのではないかと思う。

木帛資料が限定されていることもあり,『老子』の全篇について比較検討がなされているのではないけれども,論旨は非常に説得力があり,納得できる結論だと思った。

『老子』は,日本でも何度も和訳されているし文庫本でも出ている。私は,何種類かの和訳を読んだし原文でも読んだ。本論文で指摘されているところを踏まえ,更に考えてみようと思う。

(追記)

このココログにはバグがあることがわかった。

これまで使ったことのなかった機能を試しにいじってみたら,わかった。

ブログ記事の公開時刻をいったん設定した後に「今すぐに公開」としてアップロードすると,画面上の表示順と公開時刻のタイムスタンプが先に設定した時刻のままとなってしまう。

非常にちくはぐな表示となるので,バグ修正をしてもらいたいと思う。

公開時刻設定をやめて「今すぐ公開」とした場合,自動的に設定をリセットする仕様とするのが正しい。

更に実験をしてみたところ,任意の年月日・時刻に設定し直すことができることがわかった。

これではブログ記事の公開日・時刻のタイムスタンプの信頼性はゼロだ。

この機能は修正を要すると考える。

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岡野誠「唐代における法制度と医学史の交錯」

昨年図書館で下記の論説のコピーを入手し,昨年中にざっと読んだ。今年の研究の気合をいれるため,その論説を精読した。

 岡野 誠
 唐代における法制度と医学史の交錯
 法律論叢73巻2・3号99~128頁

冒頭には「これまで医学史の研究は、大学の医学部を卒業し現代医学の知識をもつことが暗黙の前提とされてきた。しかし四苦(生・老・病・死)はまさに人生の重大問題であり、これらを歴史学の問題として取り扱うことは、十分可能であり、また大変意義深いことでもある」と書かれている。全く同感としか言いようがない。

とりわけ古代の医学については,化石植物学や分子生物学の知識も含め,生物学や生態学等に関する豊富な知識を踏まえず,悪い意味での訓詁学的な本草学だけに頼っていると大きな間違いを起こすことになる。また,疾病の概念についても,歴史上の諸文献に現れている様々な思想を了解・会得することなしには理解できない部分が非常に多い。これらは,一見すると理系の学問のように見えるが実は文系の学問であり,より正確には,理系・文系の相違とは無関係な高く広く深い教養に基づく全人格的判断に基づくのでなければ必ず間違う。ゆえに,医学部卒業生だけの特権と考えるのは明らかに時代錯誤というべきだろう。

他方で,本論文でも明確に指摘されているとおり,古代の医制に関して研究する場合には,法源とその典拠の確実性に関する検証が何よりも大事となる。ここらへんになると法制史の専門家でなければ手も足も出ないことが多くなるのだが,私は私なりに小指の指先位は出せないものかと苦心を重ねている。まだまだ道は遠い。

本論文は,唐の太宗の逸話を踏まえ,当時の特殊な刑罰の実相に迫ろうという野心的なもので,何度か読み返してみて納得できる部分が多かった。素晴らしい論説だと思う。

私は,日本の『医心方』の中で何種類かの薬草(本草)に関する研究を重ねてきたのだが,正式の論文を公表するときは,岡野先生を見習い,テキストをきちんと考証・検証し,手堅く論説をまとめることを心がけようと思う。

(余談)

問題の特殊な刑罰は,則天武后の時代に執行されたものらしい。

私自身もテキストを丹念に読んでみたのだが,かなりおぞましい刑だったように思う。

とてもまともな人間が考えるような刑ではない。

則天武后の時代とは,すなわち白村江の戦の時代ということになる。

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石田隆義『山陰の民俗と原始信仰』

だいぶ前に古書店から購入し,何度も読み返している書籍をまた読んだ。

 石田隆義
 山陰の民俗と原始信仰 
 私家本(1965/6/1)

奥付によると,著者の石田隆義氏は,本書刊行当時,島根県立邇摩高等学校の教諭だった方のようだ。島根県出身で立正大学卒とのこと。

私家本ということなので普通の書店では流通しなかったものだろう。しかし,その内容はすこぶる示唆に富み,何度読んでも何らかの発見がある。素晴らしい業績だと思う。

とにかく丹念に調べていることと着眼点のすばらしさには感嘆する。

本書の前半部分は,山陰地方で行われていた祭祀とその解釈を述べるもので,おそらく現時点では消滅してしまったものが少なくなく,残っていても当時とは相当異なるかたちで残されていると推定されることから(本書中にも,かつて行われていた様式が既に滅びてしまって簡略化されているとの記述が何か所かある。),民俗学上の記録としての重要性は高い。

本書の後半部分は,古代の信仰について,古代のアジアに共通する地母神信仰を措定した上で,天照大神等の神々の位置づけを考察したものだ。結論について賛否はあると思う。しかし,その考察のプロセスを追っていくと,普通はあまり気に留めないようなところに結構重要なヒントが伏在していることに気づくことができる。その意味で貴重な論考だと思う(一般に結論の賛否や当否だけで論考全体の価値を決めてしまうような向きが全くないわけではないが,これはよくないと思ってきた。)。

私家本のゆえに現存する部数はそんなに多くないだろうと想像する。良い本を入手することができ,幸運だったと思う。

更に勉強を重ねることにする。

(余談)

一般に,私家本とされているものの中には,唯我独尊的であまり参考にならないものもあるけれども,非常に優れたものを見つけることができる場合もある。

他方,当該分野の専門家により正式に学術書として出版された書籍の多くは,当然のことながら,さすが専門家が人生をかけて研究した成果だけあって素晴らしいものが多数あるけれども,中には愚かとしか言いようのないものや他人の著作物をパクっただけの違法物(剽窃物)を見つけることのできる場合もある。

しかるに,一般に,図書館では,専門家が正式に刊行した書籍については無条件で収蔵するけれども私家本については無視または冷遇する傾向が強い。民俗学を専攻する学芸員が在籍している博物館等では必ずしもそうではない。

結局,選書委員の知識・教養・能力の程度に比例して収蔵品の良否が決まるということなのだろうと思う。

調べてみたところ,この書籍は,国立歴史民俗博物館の図書室書庫には収蔵されているようだ。

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芳賀日出男『ヨーロッパ古層の異人たち-祝祭と信仰』

芳賀日出男氏の著作に興味をもち,Amazon経由で古書店に注文したところ,すぐに下記の書籍が届いた。速い。

 芳賀日出男
 ヨーロッパ古層の異人たち-祝祭と信仰
 東京書籍 (2003/3/1)
 ISBN-13: 978-4487798322

注文してみた動機は,表紙写真にあった。そこには非常に長いとんがり帽子の写真が用いられている。芝山古墳の帽子とはだいぶ異なるが,とにかく読んでみたかった。

本文中を探してみると,その写真は118頁にあり,ブルガリアの祭祀で用いられるものだということが分かった。その前後の写真をずっと追っていくと,実に埴輪の頭部にある様々な形状の冠と似たようなものがある。おそらく,ルーツは同じところにある。この書籍に写真にある文化は,現在では比較的寒いブルガリアのものとなっているが,もともとは別の地域のものであったかもしれないと思う。

更に本書をくまなく読んでみた。非常に面白い。

雑駁な印象としては,羊頭,山羊頭,牛頭等の仮面をつけた祭祀が多数残っている。キリスト教ではルシファーとみなされるかもしれない。要するに,もともとは角のある動物を神聖なものとし,それと同化するための祭祀が存在したのではなかろうか。旧石器時代の洞窟壁画等には鹿等の動物の皮をかぶって踊る人物像が残されているが,原始的な状態では実物の動物の皮を着ぐるみのようにして用いたのだろうと想像する。このことは既に何度も書いてきたことで,岩手県に残る鹿踊りなどもそのようなものが変化して現在に至っているのではないかと思う。

スイスの「美しいクロイセ」は,日本の田楽で用いられる花笠と基本的には同じもので,その中でも四角いものは埴輪の巫女の頭上にある板状のものと同じルーツをもつものだろうと思う。

第一次世界大戦前の欧州にはもっと多様な文化が存在したことは第一次大戦前の古い写真によって推測することができる。その大部分は既に失われてしまった。

しかし,欧州は,英国やドイツだけでできているわけではないし,むしろ非常に複雑な少数民族の集合体として存在している。観念的なものとしてのみ「ヨーロッパ」は存在する。おそらく,古代においては,部族毎に王国をつくり,それぞれ異なる文化をもっていたのだろう。それが後代に至り,キリスト教の教義のゆえに,こうした素朴な祭祀は禁圧されてしまったのだろう。そうしなければキリスト教の指導者に権力が集中しないからだ。つまり,宗教的な理由ではなく,単純に政治力学の問題だと解釈する。

本書には宗教学的なことや政治学的なことは何も述べられていない。

しかし,本書に収録されている写真は非常に多くのことを語っているように思う。

本書の読後感として,三角のとんがり帽子は,結局,キリスト教の聖人とされるサンタクロースの三角帽子として現代に至るまで生き延びているのだろうと確信するに至った。皮肉なことだと思う。

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無線通信用スイッチの特許に関するCOMMIL対CISCO事件でCisco勝訴の判決

下記の記事が出ている。

 Cisco gets a big patent win despite Supreme Court loss, overturns $64M verdict
 ars technica: December 31, 2015
 http://arstechnica.com/tech-policy/2015/12/cisco-gets-a-big-patent-win-despite-supreme-court-loss-overturns-64m-verdict/

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芳賀日出男『日本の民俗 祭りと芸能』

近隣の書店の書棚に下記の書籍が並んでいるのを見つけて購入し,早速読んだ。

 芳賀日出男
 日本の民俗 祭りと芸能
 角川ソフィア文庫 (2014/11/25, 再版2015/11/30)
 ISBN-13: 978-4044094744

本書のオリジナルは,クレオから1997年に刊行されていたものなのだが,2014年に角川ソフィア文庫の中の1冊として文庫版で再発行されたとのことだ。私が購入したものは,2015年11月に再版になったものなので,かなり人気のある書籍と言えるのではないかと思う。

内容は,昭和9年頃から平成8年頃に至る日本の普通の人々の写真を集成したもので,学術的には民俗学の範疇に入る。巻末の解説を読みながら写真をながめていると「なるほど」と思うことが多い。

写真のタッチとしては,萩原秀三郎氏のほうがよりリアリティを追求するタイプのように思われ,芳賀日出男氏はよりストーリー性を重視するような感じがする。どちらを好むかは,読者の趣味・嗜好によるのでどちらがよいとも悪いとも言えない。確実に言えることは,両氏が撮影してきた「日本」はかつて普通に存在していたものだったのだが,現在ではその大半が消滅してしまったものだということだ。

古代史に限らず,現代史においても,ほんの少し前までの日本は現時点の日本とは相当異なるということをこのような写真から感じとることができる。そして,とりわけ古代史を研究する場合,いま存在している日本の姿を前提にものごとを考えては全くダメで,このような写真を1枚でも多く見てよく考えるという地道な作業を積み上げなければならない。

既に滅び去った日本の姿が写真として残されたことについて,この分野を生涯の仕事と考えずっと続けてきた写真家の方々には心から敬意を表したい。こういう写真集こそ,真の意味での文化遺産と言える。文化遺産を観光資源として金儲けの種にしようとする低俗な世界とは全く異なる何かがそこにはある。

(追記)

文庫版の『日本の民俗 祭りと芸能』は,元は『日本の民俗・上』として出版されていたもので,『日本の民俗・下』として出版されていたものの文庫版も角川ソフィア文庫の中の1冊として出ている。Amazonに注文したところ,すぐに届いたので読んでみた。

 芳賀日出男
 日本の民俗 暮らしと生業
 角川ソフィア文庫(2014/11/25)
 ISBN-13: 978-4044094751

こちらも非常に興味深い。

191頁に「箱そり」の写真があり,とても懐かしかった。小さい頃,近所の大工さんにつくってもらい,これに乗って遊んだものだ。ワインセラー栽培で有名なI氏によれば,この箱そりの原型は江戸時代の木製の「石台」にあるのではないかという。私もその可能性が高いと思っている。日本の優れた大工は,建物をつくるだけでなく,何でもかんでも作れる優れた技能を有していたものなのだが,某大手建築会社が「建築」という営みそれ自体をバラバラに解体してパーツ化してしまったため,日本の優れた文化の一つがほぼ消滅してしまった。基本的には,ごく少数の商人が広域の市場を独占しようとすることからそういう結果になってしまうのだが,日本だけ規制しても世界の経済活動というものはそもそもそういうものなので,文化の多様性が次第に奪われ消滅するという運動を止めることはできない。このことは,資本主義でも社会主義でも共産主義でも変わることはない。そのことは,中国の動向をずっと見ているとよくわかる。中国においても本来の中華文明は既に滅びたと考えてよいだろうと思う。

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Debra Wilson, Genetics, Crime and Justice

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Debra Wilson
 Genetics, Crime and Justice
 Edward Elgar Pub (2015/10)
 ISBN-13: 978-1783478811

法学及び法律実務に携わる者であれば必須の知識が淡々と述べられている。必読の1冊と言える。

米国刑事司法における歴史を踏まえ,現代における議論までほぼ網羅的に触れられているのではないかと思う。

古典的な生来的犯罪人説の再来とでもいうべきか,遺伝子上の問題(いわゆるXYY症候群等と呼ばれるXYY染色体だけでなく,XXY,XXX,XXYYの場合など)が犯罪学に対して及ぼしている影響は大きい。論者の中には科学的知見を正確かつ適正に踏まえることなく,何となく感情論で議論を展開している者も散見されることを憂慮している。本書では,冷静に事実を叙述し,科学的に証明されていることとそうでないこととを明確に識別した上で自論を展開しているところがとても良い。ただし,「見解の相違」を含め,本書で示されている見解に対する批判的な意見も当然にあり得ると考える。

本書の叙述は簡潔でくどくどしていないので,当該専門分野について予備知識がないと理解しにくい部分があるけれども,司法試験合格レベルの者であれば一応法学全分野について一定以上の素養を有していることになっているので,読みこなすことができるだろうと思う。

成人の刑事司法だけではなく少年法の分野についても示唆するところが極めて多く,良書と言えると思う。

どこかの出版社から是非とも日本語訳を出してもらいたいものだ。そうすれば,普通の法学部学生でも読むことができるだろう。

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Jacqueline Lipton, Rethinking Cyberlaw - A New Vision for Internet Law

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Jacqueline Lipton
 Rethinking Cyberlaw - A New Vision for Internet Law
 Edward Elgar Pub (2015/4)
 ISBN-13: 978-1781002179

インターネット上のプライバシー保護及び誹謗中傷等による個人の被害に焦点を当て,現在の法的課題は何かを明らかにし,サイバー法としてのフィールドを明確にするという点では参考になる書籍だと思った。日本の類書では触れられていない論点が多数提示されており,若い研究者にとっては役にたつかもしれない。

しかし,私個人の感想としては,かなり食い足りない。掘り下げが甘いのだろうと思う。

また,サイバー法の将来像としてもかなり陳腐だと思う。

私自身の中にある基本方針が私以外の世界中の誰にもないもので,今後もこの基本方針に基づき自信をもって進めるべきものだということを再確認することのできた1冊だった。

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中国軍が宇宙戦の準備?

下記の記事が出ている。

 Is China preparing for a SPACE war? Nation may be creating a military unit to 'achieve control of low Earth orbit', claim experts
 Daily Mail: 31 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3380665/Is-China-preparing-SPACE-war-Nation-creating-military-unit-achieve-control-low-Earth-orbit-claim-experts.html

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現在考えられている生活習慣病や食事療法は,そもそも間違っているかもしれないとの見解

下記の記事が出ている。

 The surprising thing ancient mummies tell us about what to eat
 Washington Post: December 31, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/wonk/wp/2015/12/31/the-surprising-thing-ancient-mummies-tell-us-about-what-to-eat/

全て遺伝子が決めていることなのではないかと思う。

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人工知能は人類を救うか?

下記の記事が出ている。

 ‘Superintellingence’ of AI and humans working together could solve climate change and end wars, researchers claim
 Daily Mail: 31 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3380709/Superintellingence-AI-humans-working-solve-climate-change-end-wars-researchers-claim.html

何となくイルミナティ的な香りがする。

なお,下記のような記事も出ている。こちらは普通の記事。

 Can AI solve information overload?
 CIO: December 29, 2015
 http://www.cio.com/article/3017959/software/can-ai-help-with-information-overload.html

[追記:2016年5月21日]

関連記事を追加する。

 Artificial intelligence will create a ‘useless class’ of humans as machines take over, historian warns
 Daily Mail: 20 May, 2016
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3601514/Artificial-intelligence-create-useless-class-humans-machines-historian-warns.html

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植物工場は普及するか?

下記の記事が出ている。

 Can growing lettuces in the cloud help feed the world?
 BBC: 22 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/business-35098045

この記事の文末でも触れられているとおり,電力供給がない国(地域)では植物工場を設置・運営することができない。

また,水の管理のできないところでは,必ず汚染が発生して失敗する。

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2016年1月 1日 (金曜日)

P2Pファイルシェアリングはマルウェア感染の温床?

下記の記事が出ている。

 P2P File-Sharing Actually Sharing Malware and Botnets
 IT Business Edge: 31 December, 2015
 http://www.itbusinessedge.com/blogs/data-security/p2p-file-sharing-actually-sharing-malware-and-botnets.html

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コスタリカ:政府のWebサイトがハックされたらしい

下記の記事が出ている。

 Costa Rica Government Website Hacked by Pro-ISIS Group
 Costa Rica Star: December 24, 2015
 http://news.co.cr/costa-rica-government-website-hacked-by-pro-isis-group/43541/

より拡散してわかりにくい状況になってしまう危険性はあると考える。

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ドローンを用いた山林管理

下記の記事が出ている。

 林業無人化 下草刈りバギーやドローン研究 九州工業大
 毎日新聞: 2016年1月1日
 http://mainichi.jp/articles/20160101/k00/00m/040/069000c

昨年10月にこのことと少し関係する論説原稿を書いた。諸般の事情により,刊行されるのは2016年3月末日になる予定。世間はのろい。

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Apple Watchを用いたドローン等の機器類の操作

下記の記事が出ている。

 Using The Force? No, it's an Apple Watch flying this drone
 REUTERS: December 31, 2015
 http://www.reuters.com/article/us-apple-watch-drone-idUSKBN0UE14Q20160101

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「匿名化」は成立しない

下記の記事が出ている。

 Forget anonymity, we can remember you wholesale with machine intel, hackers warned
 Register: 31 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/31/automated_stylometry_can_deanonymise_
programmers_binaries/

 Coding Styles Survive Binary Compilation, Lead Investigators Back to Programmers
 Softpedia: 30 December, 2015
 http://news.softpedia.com/news/coding-styles-survive-binary-compilation-lead-investigators-back-to-programmers-498237.shtml

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穂積裕昌『古墳時代の喪葬と祭祀』

下記の書籍を読んだ。

 穂積裕昌
 古墳時代の喪葬と祭祀
 雄山閣 (2012/5/30)
 ISBN-13: 978-4639022220

素晴らしい研究成果だと思う。

古代の水辺を中心とする祭祀に関しては他の類書でも触れられているところなのだが,本書では,「井泉」を中心とする祭祀について,詳細な検討がなされている。類似遺構を大量観察して共通点を見出すという手法がとられており,私も大いに賛同できる部分が多い。

更に,埴輪群像のような場合を含め,1セットの祭祀遺構等について多角的に検討を加え,そのような考古学上の発見から出発して文献資料の意味付けや価値評価を試みるている。私が特に着目したのは,本書183~191頁あたりで述べられている考察結果で,とても勉強になった。ここで引用されている『令義解』巻四十・養老喪葬令親王一品条等を丁寧に読んで考えてみようと思う。おそらく、ここに書かれているものは,古墳時代の葬礼から変化したものだろうと推定される。

他方で,日本の古代における「庭園」というものについて,実に納得度の高い解釈が重厚に述べられている。基本的に賛成だ。無論,中国から輸入された中華様式の庭園があったことも事実だ。本書で述べられているのはそういうことではない。私の直観的な理解としては,現在でも存在している寺院の石庭等につながるものがあるのではないかと思う。

考える素材が満載なので,何度も読み直しながら自分なりに考えてみようと思う。

[このブログ何の関連記事]

 大阪府立近つ飛鳥博物館編『埴輪群像の考古学』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-cc39.html

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Phytotechnologies - Remediation of Environmental Contaminants

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Naser A. Anjum, Maria E. Pereira, Iqbal Ahmad, Armando C. Duarte, Shaid Umar, Nafees A. Khan (eds.)
 Phytotechnologies - Remediation of Environmental Contaminants
 CRC Press (2013)
 ISBN-13: 978-1439875186

植物と土壌汚染の関係,植物を用いた汚染除去等について詳細に論じたもので,現時点で最も詳しいのではないかと思う。ただし,その後更に様々な論文が出ているので,最新の科学的知見は若干違っている部分があるかもしれない。

大いに勉強になった。

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Thomas K, Clancy (ed.), Cyber Crime and Digital Evidence - Materials and Cases (2nd edition)

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Thomas K, Clancy (ed.)
 Cyber Crime and Digital Evidence - Materials and Cases (2nd edition)
 LexisNexis (2014)
 ISBN 978-1-6328-0915-5

サイバー犯罪と関連する電子証拠について述べた書籍としては,現時点で最も詳しいものではないかと思う。この分野の研究者にはお勧めできる。

サイバー法,インターネット法,情報法等の名称で様々な書籍が刊行されており,一応手に取って読んでみることが多い。

しかし,感心しないものが少なくない。

それぞれ立論は自由なのだが,法執行という観点が欠落していて全く役立たずのものがあるからだ。その原因としては,著者が「証拠」や「証明」の本質を全く理解していないということがあるかもしれない。そういうものでは単なる空理空論に堕してしまう。

法解釈学は,法制度を対象とする学問である以上,現実的な「執行可能性」という観点を欠くと,学問として成立しなくなる。成立していないのに法解釈学だと称する行為は,場合によっては詐欺類似行為となる。

法哲学であれば別なのだが,その場合には,実定法とは無関係の法哲学として執筆し書籍を刊行すべきものだろうと思う。

本書は,米国のケースメソッドを前提にしているので,判例法の何たるかについて基礎的な素養がないと理解できない部分もあるかもしれないが,判例に示された規範のようなものを考究することは日本国の法令の解釈上でも大きな有用性がある。

判例法である以上,現実の事件を前提にして法の適用を論じているので,架空の事例を想定した空理空論よりもはるかに大きな有用性をもっているのではないだろうか。

読者が個々の判決の中から一般法則や一般原理を抽出するのにはそれなりの専門知識と技能と訓練を要するので,一般向けの書籍ではないが,少なくとも米国のロースクールの学生はこの程度の書籍を読みこなし理解した上で弁護士になっていくので,日本の法科大学院の授業内容の粗末さを嘆くような気持ちしかわいてこない。

日本国でもどうにかできないかと考え,米国流のやり方も加味しながら「サイバー犯罪の研究」を書き続けている。連載8回目がまもなく刊行される(形式的な刊行日は2015年12月だが現物はまだ届いていない。)。2016年中に連載9回目を刊行する予定で準備している。

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Ronald Ross Watson & Wictor R. Preedy (eds.), Genetically Modified Organisms in Food - Production, Safety, Regulation and Public Health

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読み終えた。

 Ronald Ross Watson & Wictor R. Preedy (eds.)
 Genetically Modified Organisms in Food - Production, Safety, Regulation and Public Health
 Academic Press (2015/8)
 ISBN-13: 978-0128022597

この分野に関する書籍の中では最も網羅的で信頼できるものではないかと思う。

全部読むことを目的とせず辞書的な使い方をする場合でも十分に有用性を発揮するだろう。

お勧めできる。

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後藤健『メソポタミアとインダスのあいだ-知られざる海洋の古代文明』

新年最初の読書をした。

 後藤健
 メソポタミアとインダスのあいだ-知られざる海洋の古代文明
 筑摩書房 (2015/12/14)
 ISBN-13: 978-4480016324
 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480016324/

インダスとメソポタミアとの間に交易関係があったということは結構昔から知られていることだ。小学生の頃,亡き父から世界古代史のような書籍を買ってもらい,夢中になって読んだことがある。その本には既に書いてあったし,エジプトとの交易の可能性についても示唆されていた。その後,「海のシルクロード」なるものが有名となり,中国との関係においても海洋交易路の重要性が次第に世間的にも知られるようになってきたように記憶している。

本書では,最近の考古学上の発見に基づき,これまで仮説に過ぎなかった部分を実証のレベルで論じている部分が多い。古代の粘土版に記述された文書の解読結果が随所に現れるのだが,それを読むだけでも想像力がもりもりと湧き上がる。これまで世界の考古学の動きについては注意深く観察を続けてきたので,本書中の記述では素直に理解できる部分が多いということはあるが,それにしても本書で示される古代の資料(史料)の数々にはいやでも好奇心が刺激される。

ところで,本書の冒頭でも示唆されているように,いわゆる「四大文明」なるものは,キャッチフレーズの一種に過ぎず,実像とは無関係のものではないかと思う。

既に知っていることがかなり多かったので,そういう部分はさっと読み飛ばし,ちゃんと検討したことのなかった部分については精読するというような感じで読んでみた。

本書で触れている事柄の中で,「真珠採取」は通常想像されているよりも重要なことではないかと思う。倭國の古代史とも直接の連関を有するものかもしれない。海路はつながっているし,これまで考えられてきた以上に広域に航海がなされていたことは確実で,エジプト~メソポタミア~インド~東南アジア~台湾~琉球~倭國との間での海路を用いた人々の往来が結構普通にあったと考えることもできる。古代の海洋民族の本質そして古代の中国南部の人々の実質については,最も重要な部分で再検討を要するかもしれない。

「シャハダートのスタンダード」には特に好奇心を刺激される。これと関連する神話的要素の中でも特に重要なものとして樹木がある(私は,直観的には「扶桑」に通ずるのではないかと思う。)。

また,メソポタミアから輸出された工芸品にある神話的な図像の多くが周辺民族に大きな影響を与えたことは疑いがない(私は,メソポタミア以外の地域から出土している類似の神話的図像との関係に常に興味をもってきた。)。

本書を読む上で留意しなければならない点は,本書が主としてアラビア湾周辺の遺跡調査結果を基礎として他の地域(特にイランやインダス川周辺)との交易を推定しているということだ。これはこれで非常に重要な研究成果であることは言うまでもないのだが,より広域で文化や物資の交流(交易)をとらえるという立場からはかなり限定的な内容になっている。それゆえ,別の資料(史料)に基づいて推論すると別の推定もなり立ち得るということは常に念頭に置いておく必要がある。

以上のようなことを考えながら,本書を読み終えた。

交易関係を示す地図,当時の社会の変動を示す年表等が効果的に用いられているし,参考文献が巻末に列挙されていて更に深い研究のために有用ではないかと思う。

素朴に考えてみて,「四大文明」なるものがそれぞれ独自に発生したと考えるほうが少し頭がおかしいのではないかと思う。異なる地域の古代社会が相互に刺激し合いながら成長したと考えるほうが妥当だ。人類は「模倣」によって文明を発展させてきたのであり,それは人類の遺伝子の作用によるものだ。今後は,どの地域の何がモデルとなって作用したのかを推論するような研究が大幅に発展することを期待したい。

データベースやビッグデータ解析は,本来,こういう学術研究の分野で用いるべきもので悪徳商法のために用いるべきものではない。

また,過剰な民族意識のようなものは,独裁者を助ける役割を果たすために存在しているもので,世界平和に逆行するものであると同時に,学問上の真理探究についても深刻な悪影響を及ぼすものだと理解している。

(余談)

日本の古墳に描かれた壁画の中で,太陽神と舟と推定されるものとしては,鳥舟塚古墳(福岡県うきは市)と珍敷塚古墳(福岡県うきは市)のものが有名だ。

 屋形古墳群(珍敷塚・原・鳥船塚・古畑)
 http://www.city.ukiha.fukuoka.jp/imgkiji/pub/detail.aspx?c_id=71&id=18

 鳥船塚古墳-2個の石材だけになった装飾古墳-
 http://blog.livedoor.jp/warabite/archives/50057822.html

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マリーアントワネットの4人の子供達の中の2人の父親はスウェーデンの貴族フェルゼン?

下記の記事が出ている。

 Two of Marie Antoinette's four children were fathered by her Swedish diplomat lover during 20-year affair, secret love letters reveal
 Daily Mail: 31 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-3380115/Secret-love-letters-reveal-Marie-Antoinette-s-daughter-Sophie-illegitimate-love-child-Swedish-lover.html

貴族は何でもすることができる。庶民は何もすることができないように法制度を構築する。そうしなければ貴族としての優越感が成立しないからだ。このことは現代社会でも全く変わらない。

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CRISPR

下記の記事が出ている。

 Gene editing tech named Science magazine’s Breakthrough of the Year
 ars technica: January 1, 2015
 http://arstechnica.com/science/2015/12/gene-editing-tech-named-science-magazines-breakthrough-of-the-year/

[追記:2016年9月19日]

関連記事を追加する。

 That Other CRISPR Patent Dispute
 The Scientist: August 31, 2016
 http://www.the-scientist.com/?articles.view/articleNo/46921/title/That-Other-CRISPR-Patent-Dispute/

 CRISPR cuts out $90M IPO bid as another gene editing biotech goes public
 Fierce Biotech: September 12, 2016
 http://www.fiercebiotech.com/biotech/crispr-cuts-out-90m-ipo-bid-as-another-gene-editing-biotech-goes-public

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謹賀新年

本年もよろしくお願い申し上げます。

2016年 元旦

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