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2016年1月 4日 (月曜日)

Hooman Samani, Cognitive Robotics

昨年,下記の書籍を購入し,昨年中に読んだ。

 Hooman Samani
 Cognitive Robotics
 CRC Press (2015/10)
 ISBN-13: 978-1482244564

評判になった新刊書だ。

表紙はヒューマノイドなのだが,ヒューマノイドについて書いてあるのは基本的には最後の章の部分だけで,大部分は自律型ロボットの基礎的技術の概念,研究状況,実例,問題点の指摘等をわかりやすく章立てし,簡潔に述べるものだ。

概説書としては,この分野の専門家でない読者でも比較的容易に読むことができるよう配慮がなされており,とてもよい出来栄えのもので,推奨できる。

とりわけ,関連する参考文献等がほぼ網羅的にまとめられているので,更に深く研究したいと考える読者にとっても有用性が高いのではないかと思う。

とは言っても,この分野はまさに日進月歩なので,常に最新の情報を自力で収集する努力を続けていないと,たちまちおいてきぼりを食ってしまうという怖さがある。しかも,あとでまとめてパクれば足りるというような従来の普通の企業のようなやり方では全く歯がたたなくなってしまう可能性が高いのではないかと推定している。そうなりたくなければ,常に勉強と研究を続けるしかない。

雑駁な読後感としては,現時点での自律型ロボットの状況は,SF小説などで書かれているようなものと比較するとずっと幼稚なレベルにとどまっているので,その意味では期待し過のは愚かなことだと思う。しかし,ヒューマノイドにこだわらなければ,一般に想像されているよりもはるかに先のところを既に走っているので,世界は確実に変容しつつあると認識することができる。そこらへんのギャップを埋めるものが真の意味での「教養」というものなのだが,残念ながら,現在の受験競争の世界や文科省の政策論ではそういう最も大事なところが欠落しているので,日本国がこの分野の根幹部分で世界をリードできる可能性はほとんどないのではないかと思う。

(余談)

技術論としてではなく哲学というベースで考えた場合,ロゴスを追及することも必須なのだが,仏陀の悟りのようなものを経験しようと試みないと一皮むけないということがある。

なかなか難しいものだと思う。

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