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2016年1月 8日 (金曜日)

『東洋文庫862 アルパムス・バトゥル-テュルク諸民族英雄叙事詩』

下記の書籍を読んだ。

 坂井弘紀訳
 東洋文庫862 アルパムス・バトゥル-テュルク諸民族英雄叙事詩
 平凡社 (2015/7/15)
 ISBN-13: 978-4582808629

同一と推定されるアルパムスを主人公とする叙事詩を集めたもので,長いものと短いものとがある。バリエーションが豊富なのだが,基本的な構成は似ている。

読んでみて思ったのだが,古代の小さな部族間の争いは,部族民間での総力戦になるというよりは族長と族長との「力くらべ」のようなもので優劣を決したことが多かったのではないだろうか。負けた族長は殺され,その族長に従っていた人々は新たな族長に従うといった単純な世界だったのかもしれない。そのように考えれば,天孫降臨の際の「力くらべ」によって禅譲(国譲り)が決まってしまうのも当然のことなのではないかと思う。

この叙事詩は,イスラム期のもののようなのだが,そのルーツはかなり古いらしい。おそらく,スキタイの時代に元となる説話があったのだろう。

本書の解説によると,日本には仏典等を通じて伝来しており,幸若舞の「百合若大臣」がそれに該当するとのことだ。

古い仏典の中には様々な説話が含まれている。それらの中には後世に大きな装飾や修正が加えられた可能性の高いものが多く含まれていると推定されるものの,ルーツとしては何らかの古代の共通の説話(神話)や史実に基づいてるものが意外と多数あるのではないかと思う。

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