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2016年1月29日 (金曜日)

アジア考古学四学会編『アジアの考古学2 アジアの王墓』

下記の書籍を読んだ。

 アジア考古学四学会編
 アジアの考古学2 アジアの王墓
 高志書院(2014/11/15)
 ISBN-13: 978-4862151414

非常に良い書籍だと思う。お勧めできる。

本書は,学術書なので,どの部分もしっかりとした検討を踏まえて手堅く書いてあるし,必要事項は全部書いてある。しかし,単なる知識の羅列ではなく,一般の人が読んでも違和感なく受けとめることができるよう,平易な文章につよめ理解しやすくする工夫が凝らされている。本書の著者は,いずれも非常に明晰な頭脳をお持ちなのだろうと思う。

内容的には,1冊の書籍でユーラシア全体の応募比較検討をするという趣旨からして,網羅的ではあり得ないのだが,主要な王墓には全部触れており,その全体像を理解するための日本語で書かれた書籍としては,現時点でベストだと判断する。より詳しい情報については,各章の末尾にある参考文献を手掛かりに専門論文等を順に追っていけば十分だろう。こういうあたりは学術書の良いところだと思う。参照・引用の典拠(出典)を明記しないようなタイプの一般書とは異なるちゃんとした学術書の最大の利点だと考える。

加えて,本書では,日本ではあまり知ることのできない地域の考古学上の発見についても丁寧に解説されており,とても参考になる。

本書の編者であるアジア考古学四学会では,旺盛な研究活動を続けている。今後ますますもって有用な研究成果が明らかにされることを期待したい。

(余談)

本書の284頁には,つばの広いとんがり帽子をかぶったケルトの石像の図(図C)が示されている。

おそらく実物はフェルトの帽子で,つばのない金属製兜は実戦用ということなのだろう。

芝山古墳埴輪のとんがり帽子とかなり似ていると思う。

ただ,本書では,出土地等の記載がなく,外国語文献が引用されているだけなので,早速,海外の古書店から引用されている書籍を購入することにした。

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