とんがり帽子の埴輪
千葉県・芝山古墳と栃木県・甲塚古墳からは,とんがり帽子の埴輪が出土している。
芝山古墳群(殿塚・姫塚)出土埴輪
http://www.town.shibayama.lg.jp/0000001838.html
芝山古墳群(殿塚・姫塚)出土埴輪
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/bunkazai/p181-011.html
甲塚古墳出土埴輪
http://www.city.shimotsuke.lg.jp/ct/other000024600/kabutotukasyutudoha
niwarejyume.pdf
どちらもデフォルメされていると考えるのが妥当なので,実物と全く同じと考えないほうが良いけれども,それにしても三角帽子が存在していたことは事実だろうと思う。
ところが,東アジアの少数民族の装束を丹念に調べてもなかなか類似のものを見つけることができない。
強いて言えば,ずっと遠くのバクトリア~ペルシア等には先端がとがった三角帽子状のものがある。
最も有名なのはアケメネス朝ペルシアの王ダレイオス1世のベヒストゥン碑文にある彫刻で,命乞をする王らの列の最後に「サカ王」というとんがり帽子の者が描かれている。
この「サカ」は,一般に,スキタイのことだと解されている。
別の解釈としては,「シャカ族(サハ族)」ともされる。
私見では,全部同じで,主に古代バクトリアあたりを拠点として栄えた民族だろうと思う。
このサカ王だけでなく,スキタイと推定される遺跡からはとんがり帽子が発掘されているので,実際にとんがり帽子が王権を示すものとして存在していたのだろうと推定される。たぶん,高さが高ければ高いほど偉い。
さて,スキタイのとんがり帽子と芝山古墳及び甲塚古墳のとんがり帽子とはどのような関係にあるのだろうか?
ちなみに,李氏朝鮮の貴族の帽子とは全く無関係のものと考える。
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http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-6640.html
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