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2015年12月11日 (金曜日)

ケンペル『日本誌』の「清水寺境内」

日本では「ケンペル」として知られるケンプファー(Kaempfer)の『日本誌』の中には,非常に精密な図が多数収録されており,とても参考になる。

その中で「清水寺境内」と題する図は,とりわけ興味深い。現在の清水寺とはかなり異なる姿をしているからだ。

 日文研データベース:清水寺境内
 http://db.nichibun.ac.jp/ja/d/GAI/info/GE002/item/039/

無論,別の寺院を清水寺と勘違いして描画した可能性は否定されないが,清水寺であるかどうかの別とは関係なしに,そのプランに着目している。

寺院ということになっているのだが,これは,明らかに山岳要塞の一種だろうと思う。

丁寧に発掘調査をすれば,面白いことが次々と明らかにされるのではなかろうか。

ちなみに,『日本誌』には「祇園神」と題する図も収録されている。祇園神とは牛頭大王のことを指すと思われる。その姿は,牛というよりは羊だ。

中国の「北周史君墓」で発掘された石刻の羊頭有翼人像との関連が疑われる。

おそらく,古代日本の「羊氏」(多胡羊太夫や武蔵國の羊氏等)とは,このような神を信仰した人々なのではないかと疑われる。要するに,西域系の人々だった可能性がある。

なお,牛頭大王の図は,シーボルト『日本』の図譜の中にも収録されているが,これはケンプファーの時代よりもかなり後の時代のものなので,『日本誌』にある図のほうが本来の姿を示すものではないかと思われる。

 福岡県立図書館郷土資料課:『NIPPON』第2冊
 稲荷大明神ほか 拡大
 http://www.lib.pref.fukuoka.jp/hp/gallery/nippon/kg/n2-278k.html

ケンプファーとシーボルトの書籍に収録されている数々の図をながめていると,江戸期の文化がいかに浮世絵的ではなく中華風だったかということを理解することができる。例えば,下記の仏寺の図を見ていると,まるで台湾かシンガポールあたりの寺院ではないかというような錯覚にとらわれる。

 福岡県立図書館郷土資料課:『NIPPON』第2冊
 仏教 禅宗 1福済寺弥勒堂の内部 2崇福寺関帝堂の内部
 http://www.lib.pref.fukuoka.jp/hp/gallery/nippon/hg/n2-305.html

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