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2015年12月27日 (日曜日)

中村格「「采女」と春日山木縁起」

下記の論文を読んだ。勉強になった。

 中村格
 「采女」と春日山木縁起
 日本文学42巻4号13~26頁
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110009917416

古墳から出土する埴輪の装束について調べている。

古代から現代を行ったり来たりしている。

どの時代においてもインチキやイカサマだらけのような感じがする。

そういうものなのだろうと思うので,それはそれとして,古墳時代の埴輪のモデルを探究する意義はある。

何となく答えが見えてきた。

隠岐・西ノ島町の美田八幡宮の例大祭で奉納される「十方拝礼」で用いられる長方形で板状の田楽笠が重要なヒントを与えてくれるものと考える。他の地域では円形で板状の田楽笠が用いられるが,これは後代に変化してそのようになったもので,もともとは四角形をしていたものではなかろうか。例えば,田下駄のようなものを頭にくくりつけて豊穣を祈念したといったことなどを想像することができる。考古学上の発見(または再評価)が待たれる。

また,住吉大社の御田植神事で神楽女が頭上に載せる飾りも平板状をしており,古代の様式の片鱗を残すものと考えることもできる。住吉大社の御田植神事で植女(うえめ)がかぶる山高帽子のようなものは,千葉県・芝山古墳出土の埴輪に見られる山高帽子と類似しているように思う(芝山古墳出土の埴輪の中には,現在の田植笠と全く同形のものもある。)。この山高帽の形状と似た様式のものは古代ギリシア以外ではなかなか見つからない。

なお,中国の「冕冠」は日本の埴輪の頭上にある四角形の板状のものと同じルーツをもつものとも考えられる。

(追記)

續群書類從巻第三百十六・裝束部六の「裝束圖式」を調べてみたところ,その最初に,天皇の「御五冠」として「冕冠」に近いものの図があった。

歴史学者が知らないはずがないので,これまで,埴輪の頭上にある板状のものについて「御五冠」または「冕冠」に類するものとして指摘してこなかったのは,自分の立場が悪くなることを危惧してのことかもしれないと推測したくなる。特に戦前においては,半裸の巫女が「御五冠」または「冕冠」に類するものを頭上に飾っていたなどと迂闊に口に出そうものならば,直ちに憲兵によって検挙され,不敬罪により処罰されてしまう危険性が現実のものとして存在していたと推定される。

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