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2015年12月31日 (木曜日)

BBCのWebサイトに対して大規模サイバー攻撃

下記のとおり。

 Web attack knocks BBC websites offline
 BBC: 31 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35204915

[追記:2016年1月1日]

関連記事を追加する。

 BBC Websites Said to Be Target of Online Attack
 New York Times: December 31, 2015
 http://www.nytimes.com/2016/01/01/business/media/bbc-websites-said-to-be-target-of-online-attack.html

 Twitter users complain of apocalypse after BBC iPlayer and website 'hacked'
 Evening Standard: 31 December, 2015
 http://www.standard.co.uk/news/uk/twitter-users-complain-of-apocalypse-as-bbc-iplayer-and-website-crash-a3146386.html

 BBC hit by widespread outages taking website and iPlayer offline
 Guardian: 31 December, 2015
 http://www.theguardian.com/technology/2015/dec/31/bbc-suffers-widespread-outages-taking-website-and-iplayer-offline

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とんがり帽子の埴輪

千葉県・芝山古墳と栃木県・甲塚古墳からは,とんがり帽子の埴輪が出土している。

 芝山古墳群(殿塚・姫塚)出土埴輪
 http://www.town.shibayama.lg.jp/0000001838.html

 芝山古墳群(殿塚・姫塚)出土埴輪
 https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/bunkazai/p181-011.html

 甲塚古墳出土埴輪
 http://www.city.shimotsuke.lg.jp/ct/other000024600/kabutotukasyutudoha
niwarejyume.pdf

どちらもデフォルメされていると考えるのが妥当なので,実物と全く同じと考えないほうが良いけれども,それにしても三角帽子が存在していたことは事実だろうと思う。

ところが,東アジアの少数民族の装束を丹念に調べてもなかなか類似のものを見つけることができない。

強いて言えば,ずっと遠くのバクトリア~ペルシア等には先端がとがった三角帽子状のものがある。

最も有名なのはアケメネス朝ペルシアの王ダレイオス1世のベヒストゥン碑文にある彫刻で,命乞をする王らの列の最後に「サカ王」というとんがり帽子の者が描かれている。

この「サカ」は,一般に,スキタイのことだと解されている。

別の解釈としては,「シャカ族(サハ族)」ともされる。

私見では,全部同じで,主に古代バクトリアあたりを拠点として栄えた民族だろうと思う。

このサカ王だけでなく,スキタイと推定される遺跡からはとんがり帽子が発掘されているので,実際にとんがり帽子が王権を示すものとして存在していたのだろうと推定される。たぶん,高さが高ければ高いほど偉い。

さて,スキタイのとんがり帽子と芝山古墳及び甲塚古墳のとんがり帽子とはどのような関係にあるのだろうか?

ちなみに,李氏朝鮮の貴族の帽子とは全く無関係のものと考える。

[このブログ内の関連記事]

 中村格「「采女」と春日山木縁起」
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-6640.html

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Microsoftが,Outlook.comの利用者に対し,電子メールが特定の国家によってハックされている可能性を警告

下記の記事が出ている。

 Exclusive: Microsoft to warn email users of suspected hacking by governments
 REUTERS: December 30, 2015
 http://www.reuters.com/article/us-microsoft-hacking-exclusive-idUSKBN0UE00720151231

[追記:2016年1月1日]

関連記事を追加する。

 Microsoft to warn of nation-state hacks
 BBC: 31 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35204917

 Microsoft to notify users of government spying after Chinese Hotmail hack goes public
 Verge: December 31, 2015
 http://www.theverge.com/2015/12/31/10692924/microsoft-state-sponsored-hacking-notification-policy

 Microsoft to warn users if it thinks governments are trying to hack into their accounts
 Washington Post: December 31, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2015/12/31/microsoft-to-warn-users-if-it-thinks-governments-are-trying-to-hack-into-their-accounts/

 Microsoft to start notifying victims of 'state sponsored' hacking
 Guardian: 31 December, 2015
 http://www.theguardian.com/technology/2015/dec/31/microsoft-will-tell-you-if-youre-hacked-into-by-a-government-after-failing-to-do-so

 Microsoft to Notify Users of Government Hackings
 New York Times: December 31, 2015
 http://www.nytimes.com/2016/01/01/technology/microsoft-to-notify-users-of-government-hackings.html

 Microsoft pledges to inform users of state surveillance, account hacking
 ZDNet: December 31, 2015
 http://www.zdnet.com/article/microsoft-pledges-to-inform-users-of-state-surveillance-account-hacking/

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小野健吉『日本庭園の歴史と文化』

下記の書籍を読んだ。

 小野健吉
 日本庭園の歴史と文化
 吉川弘文館 (2015/10/20)
 ISBN-13: 978-4642016513
 http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b201443.html

本書は,著者が専門論文として公表してきたものなどを対象とする庭園の年代順にまとめ直したものだ。本書の元になった論文は既に全部精読済みだったので,「まとめるとどういう仕上がりになるのか?」といった興味をもって読んだ。

収録されている写真はカラー写真でとても綺麗だ。古典園芸に興味のある人は,145頁に収録されている「御花畠」の図(カラー写真)に狂喜するかもしれない。こういう図が存在するということは意外と知られていない。この図を丁寧に観察すると,様々なことを理解することができる。私は,スカシユリのような感じのユリの仲間の植物の姿(一見するとヘメロカリスのようにも見えるが,葉が全く異なる。花序のつき方からしてコオニユリの仲間でもないと考える。)をみて笑ってしまった。これも渡来品の品種なのだろう。

それはさておき,古代の庭園を可能な限り精密に知ろうとする努力は,日本の古代というものの本質を認識・理解する上で極めて重要なことだと考える。

空想だけでも『懐風藻』や『万葉集』等の解釈はできる。

しかし,実物の遺構を知った上で,それでも維持できる解釈論でなければ単なる空想またはエッセイの類に過ぎない。

(余談)

京都に出張するときは,できるだけ古い庭園や寺社を訪問して見聞を広めるようにしてきた。しかし,それと同時に,そのような素晴らしい場所がどのような建物に囲まれて存在しているのかもしっかりと見るようにしてきた。要するに,庶民の暮らしもしっかりと観察し続けたし,記憶しきれない部分は写真に収めてきた。

私が思うには,古代の庭園は,竪穴式住居やそれを少し改良したくらいの粗末な建物が密集する都市の中にあって,障壁によって隔絶された特別の空間だったのだと考える。そのことは,現在の寺社でも基本的には変わらない。

もう少し範囲に拡張して考えてみると,洛中と洛外とでは全く異なる社会が存在しているように思う。このことは,奈良に都があった当時でも同じだったろうと思う。

どうしてそのようになったのかを考えるところから歴史学の旅が始まる。

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川畑純『武具が語る古代史-古墳時代社会の構造転換』

Amazonに注文していた下記の書籍が届いたので,早速読んでみた。まだ精読はしていない。

 川畑純
 武具が語る古代史-古墳時代社会の構造転換
 京都大学学術出版会 (2015/3/31)
 ISBN-13: 978-4876986682

古代の兜(冑)に関する考察がかなり多く,興味深く読んだ。

特徴のある兜を個別にばらばらに観察すれば,それなりの考察をすることができる。例えば,奈良県五条猫塚古墳出土の冑は「蒙古鉢形眉庇付胄」と名付けられている。

 蒙古鉢形眉庇付胄(奈良県五条猫塚古墳出土) 
 奈良国立博物館:収蔵品データベース
 http://www.narahaku.go.jp/collection/d-730-1-1.html

全身像を復元する場合でも同じだ。

 挂甲をつけた武将
 風俗博物館
 http://www.iz2.or.jp/fukushoku/f_disp.php?page_no=0000010

これが蒙古のものなのかどうかについては冷静に考えてみる必要がある。元寇の際に対馬の人々を虐殺し博多湾周辺でも大量虐殺をして侵略行為を行った兵士の大半は,朝鮮半島の者と江南の者の混成軍であり,本来の意味での蒙古軍本体とは限らないからだ。

そして,朝鮮半島の古代史については,現在まで普通に理解されているところが実は間違っているということが様々な考古学上の発見により次第に明らかにされつつある(ただし,韓国の学者の中には死んでも認めない者があるかもしれない。しかし,韓国の学者の中でもまともな学者はそうではない。)。

要するに,倭式のものが元の時代まで残っていた可能性はある。

しかしながら,本書では,非常に多数の考古学上の発見に基づく大量観察により,その変化を丁寧に観察し,一定の見解を示している。とても勉強になった。労作と言える。

本書を読み終えてから考えたことがある。

形状や製造方法の細部の変化は「改良」ということで理解できる。

しかし,基本的な形状のアイデアについては,それが自然発生的なものだとはとても考えられない以上,何かを参考にして模倣したものと推定される。

では,どの時代のどの国のものを模倣したのだろうか?

この点に関しては,中国大陸における考古学上の発見の成果の公表をしばらく待つしかない。中国内の国情もあって,発見されたものが速やかに公開される場合とそうでない場合とがあり,なかなか難しい。

他方,高句麗が滅亡した後,貴族階級の者や軍人等がかなり大きな集団として日本国に亡命したらしいということは,ほぼ間違いのない事実だと考える。このことは,文献資料によっても考古学上の発見によっても裏付けられるところだ。

そのような貴族や上級将校の遺品が古墳等に収納される例はあったと考えられるから,そういうものを明確に識別する必要がある。年代的に古いものであっても,代々受け継がれてきた先祖の遺品を後になって埋葬する例もあっただろうと推定される。

こういうことがあるものだから,ある古墳で何らかの特徴のある遺品が発見されても,それだけで直ちに歴史が確定するとかそういうわけにはいかないのだ。

面倒な世界ではあると思う。

しかし,それゆえに興味が尽きない。

そして,古い歴史をより正確に知ろうとしない者は,いま目の前にある課題を正確に理解することもできない。

そういうものだと認識している。

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水野章二『里山の成立-中世の環境と資源』

下記の書籍を読んだ。

 水野章二
 里山の成立-中世の環境と資源
 吉川弘文館 (2015/10/1)
 ISBN-13: 978-4642082846

示唆に富む良書だと言える。

論証は,顕微鏡を用いたものを含め考古学上の客観的な資料や各種文献資料を総合的に用いるもので,古典的な縦割りの「学術」とは相当異なるが,説得力が極めて高い。

私見としては,縦割りでとにかく深く掘り下げ続けるべき学術分野とそうでない学術分野とがあり,それぞれの特性に応じた研究体制の構築とその支援が必要だと理解している。

それはさておき,従来から里山に関する研究は結構多数あるのだが,主として江戸時代以降を前提にしたものが多い。中世の里山に関する研究は比較的少ないと思われ,その意味でも貴重な書籍なのではないかと思う。

本書に収録されている図を見ると,中世というよりは古代における「國」のあり様もこのようなものだったのではないかと想像をめぐらせることのできるものもある。

本書の,第6章(167~188頁)には特に注目して精読した。現在の環境保護行政の問題点を明確に指摘していると思う。私見ともほぼ一致する。無論,法律学または行政学の書籍ではないので,直接的にそのように述べているわけではない。しかし,そこに書かれていることを前提にものごとを順に考えると,結局,単純に柵で囲って人の出入りをしないようにしてしまうような保護策は実は絶滅促進策だということを理解することができる。現時点において「野生動物種」と認識されている動植物の大多数は,実は園芸目的で交配・作出された人工品種の子孫なので人間の手が入らなくなると絶滅する。また,野生の動植物にしても,放置すれば火山活動や大地震等による自然の攪乱が発生するまでは極相化(遷移)が進行し,ごくごく少数の種類の動植物種しか生き残れない。これは生態学の初歩の初歩に属する。人間が人為的かつ積極的に撹乱を起こしているからこそ,多種多様な動植物が里山周辺に存在しているのだ。

更に,本書を読んで,「森林」というものの本質についても考えさせられることが多々あった。更に勉強を重ねたいと思う。

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深谷淳『尾張の大型古墳群 国史跡 志段味古墳群の実像』

Amazonに注文していた下記の書籍が届いたので,早速読んだ。

 深谷淳
 尾張の大型古墳群 国史跡 志段味古墳群の実像
 名古屋市教育委員会文化財保護室・六一書房(2015/3/15)
 ISBN-13: 978-4864450638
 https://www.book61.co.jp/book.php/N52138

この遺跡は,ヤマトタケル伝説でも有名な白鳥古墳を含む多数の古墳からなる志段味古墳群について,写真と図版を効果的に用い,非常にわかりやすく解説したものだ。

志段味古墳群には是非とも行ってみたいと思っているのだが,なかなか自由な時間をとることができず,残念ながら現在に至るまで実物を見ないままでいる。

せめて写真だけでもと思ってこの書籍を購入した。

ネット上でも様々な写真や解説を入手することができる。しかし,さすが専門家が体系的にきちんと整理して解説したものはどこか違うというような感じがする。

古墳の見取図に関しては,特に被葬者の埋葬位置に注意して丹念に読んでみた。極めて興味深い。

倭国のもとの支配勢力の中心地の1つがこの地域にあったことは疑いようがない。その後,中国大陸から別の勢力がやってきて別の様式の墳墓を構築したのだろうという仮説をもっているのだが,ますますもって確信を深めることができた。

出土品である銅製品(鈴鏡)についても着目し,ずっと検討してきた。韓国の学者は基本的に賛成しないだろうと思うが,朝鮮半島南部から出土する同種の銅製品は,倭國が朝鮮半島において大きな精力を確保していた時代に倭國からもたらされたものだろうと思う。

また,同様のものは現在の群馬県等の遺跡からも発掘されているので,ある時期においては,東国の太平洋側全体が緩やかな意味で同一の勢力圏の範囲内にあったと推定することは可能ではないかと思う。まさに「東(=日本)の國」と言える。ただ,関東平野の勢力は,榛名山の大噴火により噴出した火砕流により壊滅したのだろうと思う。群馬県の巨大な扇状地を上空からながめてみると,河川の作用で長い時間をかけてつくられた部分があることは否定しないが,骨格部分は火砕流によって一挙につくられた可能性のほうを肯定したい。同様の例は,富士山周辺にもみられる。今後,金属探知機等を用いて丹念に調べれば,火砕流や火山灰の地層の下から重要な遺跡が発見される可能性が十分にあると予測している。

被葬者については確定すべき文献資料が乏しいと言わざるを得ないのだが,私は,『先代旧事本紀』に書いてあると考えている。

ただ,強いて難を言うとすれば,弥生時代における海岸線の推定位置が少し甘いのではないかと思う。後代の土砂の堆積によって現在のレベルが高くなっておりかなり曖昧になってしまっている部分があるけれども,2000年~3000年分の堆積推定量を全て除去すると,レベルはもっと下がる。その結果,当時の海岸線はもっと北にあったと推定すべきだろうと考える。熱田神宮のあたりは細長い半島状に海に突き出ていたと推定される。ここがまさに軍事的な要衝なのであり,龍の頭にも該当し,その本体は後背地である志段味古墳群所在地あたりにあったと推定すべきだろう。東谷山を守護神の座所とし,その前面に王都が広がっていたと考えることもできる。

有用な情報がいっぱいつまった良書と言える。

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かながわ考古学財団編『海浜型前方後円墳の時代』

下記の書籍を読んだ。

 かながわ考古学財団編
 海浜型前方後円墳の時代
 同成社(2015/3/31)
 ISBN-13: 978-4886216922
 http://homepage3.nifty.com/douseisha/kouko/kohunn/kohunn.html#kaihinn

わかりやすく解説されており,納得度が高い。『常陸國風土記』にある地名をマッピングした当時の地形図には感激を覚える。

これまで多数の考古学関連書籍・論文を読んできた。中には「古墳の下には水田が広がり・・・」云々と書かれているものの,当時の地形から考えると海でなかったはずがなく,「いったいこの著者は何を考えているのだ?」と憤りを感じたことも多々ある。

現代の地形と古代の地形とは異なる。一般的には,海水面は現在よりも相当高く,現在の平野部(低地)の大半は海または河川の底だったと推定して間違いない。そのような前提で,当時の豪族等の支配可能な範囲を推定し,また,当時の最も優れた交通・運搬手段だったと推定される船の航路を推定しなければならない。そして,軍船の船団が風雨を避け,軍団を陸揚げして駐屯するのに適した地域を見つけ出さなければならない。

そういう前提で,当時は海を見渡すことのできる場所にあり,遠くからやってくる船団を見張るための施設としても大型古墳が存在していたのではないかというのが私の仮説だ。加えて,古墳と古墳との間で鏡やかがり火などを用いた光通信がなされていたのではないかとの仮説をたて,趣味の会の雑誌等に論説を書いてきた。

本書を読んでみて,私の仮説の大部分が間違っていなかったことに安堵の気持ちを覚える。仮説は仮説に過ぎないからだ。

本書が成立するまでには地道な基礎作業の積み重ねが必須なので,多大なる労苦の末に結晶した書籍なのだと思う。敬意を表する。

今後は,火山活動に伴う火砕流や土石流による広域の全滅(=主要な居住者の総入れ替え)という事実をも加味し,非単調な古代史の構築のための努力を続ける必要がある。

何となく古代から現在までそのまま進化・・・のような甘い考えをもってはならない。

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黒須重彦『『楚辞』と『日本書紀』-「こえ」から「文字」へ』

下記の書籍を読んだ。

 黒須重彦
 『楚辞』と『日本書紀』-「こえ」から「文字」へ
 武蔵野書院 (1999/10/14)
 ISBN-13: 978-4838601851

この書籍は,「『楚辞』の蘭」を執筆した際に,楚辞に含まれている詩(賦)の発音が気になり,その関連の部分(第2章)だけ読んだのだが,前半の『日本書紀』や『先代舊事本紀』等と関連する部分(第1章)はざっと読んだだけだったので,改めて精読し直した。

音によって伝えられてきた伝承等を文字化するということ,また,文字化された作品を写本や編集という作業を経ながら伝承するということ,そして,伝承された作品を現代において解釈するということの認識論的な意味での作用・機能を再確認させられる。

非常に勉強になった。

単調な解釈論だけではどうにもこうにも手も足もでない世界なのだが,実際には,権威ありそうな論文でも単調な解釈論だけで形成されている場合が決して少なくない。

しかし,1000年以上も伝えられてきた作品がオリジナルのままであるはずがなく,様々な夾雑物が混入しており,場合によってはオリジナルとは相当異なる姿になっていることさえ十分にあり得るので,単調な解釈は無力だ。非単調な「寄せ鍋」のようなものとして理解すべきだろう。

本書は,比較的短いもので,多数の論点について結論とその例証を簡潔に示しているだけなので,実際に『日本書紀』や『楚辞』を解釈しようと格闘を重ね,へとへとになった経験を有している人でないと真意を理解しかねる部分があるかもしれないが,示唆するところは非常に多いと考える。

(余談)

「『楚辞』の蘭」を収録した雑誌は,2015年12月中に発行予定となっているのだが,現時点でまだ届いていない。発行日付は2015年12月となるだろうと思うが,現物が届くのは来年になるのではないかと思う。

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自分の行為が無効または違法であることの想定

一般に,個人または組織において,自己の行動が無効または違法であることを想定した規範を設けることは珍しい。(他の組織における文書のコピペなどにより設けられた場合などのように)形式的に存在していることはあり得るが,まさかそのような事態になるということは想定していない。

しかし,民事訴訟法や刑事訴訟法には,裁判所の判断が無効または違法である場合を想定し,それを是正するための条項が多数ある。

人間のやることなので間違いもあるということを当然の前提にしているのだ。

個人情報保護委員会にはそのような仕組みがビルトインされていない。

個人情報保護委員会も人間によって構成される組織である以上,当然,間違いはある。

行政処分に該当する行為については,通常の行政訴訟法及びこれと関連する法令による不服申立ができる。

私が述べているのはそういうものではなく,行政処分に該当しない行為について述べている。

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AVGのWeb TuneUp

下記の記事が出ている。

 AVG's Web TuneUp put millions of Chrome users at risk
 BBC: 30 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35198435

 Google probes AVG Chrome widget after 9m users exposed by bugs
 Register: 29 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/29/avg_google_chrome_extension/

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2015年12月30日 (水曜日)

infosecurity-magazineのサイトがセキュリティソフトによりブロックされているようだ

警告が出て接続が禁止される。

infosecurity-magazineのサイトが汚染されているのか,それとも,セキュリティソフトのエラーなのか,何とも判別し難い。

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Facebookに対して,投資家らからのクラスアクション

下記の記事が出ている。

 Facebook class action lawsuits to go ahead
 BBC: 30 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/business-35196706

 Facebook must face shareholder class actions over IPO
 REUTERS: December 29, 2015
 http://www.reuters.com/article/us-facebook-classaction-idUSKBN0UC1TP20151229

 Facebook Class Action Case Given Go-Ahead
 Sky News: 30 December, 2015
 http://news.sky.com/story/1614184/facebook-class-action-case-given-go-ahead

収穫の時期到来ということかもしれない。

起業というものはこういうものだ。

[追記:2016年1月1日]

関連記事を追加する。

 Facebook will appeal against two shareholder class actions
 Inquirer: December 31, 2015
 http://www.theinquirer.net/inquirer/news/2440230/facebook-will-appeal-against-two-shareholder-class-actions

[このブログ内の関連記事]

 オーストラリア:Facebookに対するクラスアクションの適法性に関する議論
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/facebook-2a09.html

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Windows 8.1以降,MicrosoftはWindows利用者の暗号化鍵を知っている?

下記の記事が出ている。

 Microsoft may have your encryption key; here’s how to take it back
 ars technica: December 30, 2015
 http://arstechnica.com/information-technology/2015/12/microsoft-may-have-your-encryption-key-heres-how-to-take-it-back/

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改正個人情報保護法24条

改正個人情報保護法24条は,「個人情報取扱事業者は、外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)(個人の権利利益を保護する上で我が国と同等の水準にあると認められる個人情報の保護に関する制度を有している外国として個人情報保護委員会規則で定めるものを除く。以下この条において同じ。)にある第三者(個人データの取扱いについてこの節の規定により個人情報取扱事業者が講ずべきこととされている措置に相当する措置を継続的に講ずるために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に適合する体制を整備している者を除く。以下この条において同じ。)に個人データを提供する場合には、前条第一項各号に掲げる場合を除くほか、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意を得なければならない。この場合においては、同条の規定は、適用しない。」と規定している。

「基準」は,個人情報保護委員会規則により定めることとされている。

この「外国」の政府の方針として,当該国の国家主権の及ぶ範囲内の組織に対しては,全ての情報内容の開示・提供を要求することができ,拒む者に対しては刑事罰をもって臨むとされている場合,日本国の「基準」は全て無効化されることが国家法により定められていることになるので,当該外国にある「第三者」それ自体としては「基準」に適合しているように見える場合でも,全体として観察するときは,「基準」に適合しないものとして解釈し,そのように運用しなければ違法行為となると解する。

したがって,日本国の個人情報取扱事業者は,当該外国の組織における個人データの取扱いを個別の検討するだけでは全く足りず,当該外国の国家体制及び法制度全般を検討した上でなければ当該外国にある第三者に対して個人データを提供してはならないという結論以外の結論はあり得ない。

また,仮に上記の結論に反するような「基準」が存在する場合,その「基準」は無効である。この場合の「無効」とは,基準に従わなくてもよいという意味ではなく,「基準」に適合していることを理由に改正個人情報24条所定の簡易な手続の利益を受けることができないということを意味している。

そして,上記の意味で「基準」が無効である場合,当該基準に基づくいかなる適合性認証も自動的に無効となる。

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周祖亮・方懿林『簡帛医薬文献校釋』

しばらく前に入手した書籍なのだが,ときどき書棚から引っ張り出して読んでいる。

 周祖亮・方懿林
 簡帛医薬文献校釋
 学苑出版社(2014/5)
 ISBN: 9787507744996

読み度に新しい発見があって非常に面白い。しばらくは,このような状態が続きそうだ。

ところで,古代の簡帛の中には薬草として用いられていた植物の名が示されていることがある。

いろんな本を読んでいるのだが,例えば,漢代の木簡に書かれている名の意味について,清代の『康煕字典』だけを頼りに同定することがバカげたことだということは誰でも理解できる。

無論,『康煕字典』は非常に優れた辞書だと思う。しかし,『康煕字典』の構成と本質からして,『康煕字典』において引用するかたちで示されている文献の原典に順にあたって,もうこれ以上調べようがないというところまで調べ尽くした上でないと,文字の解釈という範囲内においてさえ同定ができていないことになる。

まして,文字と実体とが異なっている場合には全く同定ができていない。

こう書くと誰でも「そのとおりだ」と言うだろうと思うのだが,現実には,そういう妙な同定をしている「専門書」がかなり多数ある。

気を付けなければならない。

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健康保険証番号が大量に流出して流通?

下記の記事が出ている。

 健康保険証番号10万人分が流出  医療機関から漏れた可能性
 共同通信:2015年12月30日
 http://this.kiji.is/54614982557681142?c=39546741839462401

名簿業者を通じて流通しているらしい。

改正個人情報保護法83条は,「個人情報取扱事業者(その者が法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。第八十七条第一項において同じ。)である場合にあっては、その役員、代表者又は管理人)若しくはその従業者又はこれらであった者が、業務に関して取り扱った個人情報データベース等(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と規定している。

医療機関(従業者や元従業者)から情報が流出した場合,同条の適用があり得ることは疑いがない。

問題は名簿業者なのだが,有償で情報を提供した場合には,原則として,同条の該当性ありと解釈するのが妥当だと考える。有償で他人の個人データを売買することについて基本的に適法性は全くないので(例外として,個別に物体としての書籍や冊子を売買することに伴い必然的に個人情報が移転してしまう場合は適法行為となる。例えば,古書店で物体としての同窓会名簿や学術論文等が個別に売買される場合などがその典型例となる。書籍や冊子からデータを抜きだしてリスト化したようなものの売買は個別の書籍等の売買に該当しない。),常に「不正な利益」を得る目的があると認定すべきである。

例外として違法性が阻却される場合としては,当該個人情報データベース等に含まれる個人データの本人から完全な同意を得ている場合等に限定して解釈すべきだろう。

ただし,ものごとの事理弁別能力のない一部の者は違法性はないと主張し,そのような論説を書くだろうと予測されるので,世の中そんなに簡単ではない。

今回の事例は健康保険証番号だが,米国では健康保険番号が日本のマイナンバーと同じような社会的機能を果たしているので,マイナンバーの流出と同じ社会的範疇に属する出来事だと理解することもできる。

なお,古書店には古物営業法の適用がある。

 警察庁:古物営業法の解説
 http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetuzuki/kobutu/kaisetu.htm

名簿業者の場合,純粋に個人データの売買だけだと古物営業法の適用はないと解されるが,物体である書籍や書類等を売買しているときには,古物営業法の適用のある場合があり得ると考えられる。

内容的に個人データに該当するものでも純粋な電磁的記録のみの無権限取得の場合,窃盗罪や贓物罪が成立しないことは言うまでもない。この点については,「サイバー犯罪の研究(二)」及び「サイバー犯罪の研究(三)」で述べたとおり。

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燕生東『商周時期渤海南岸地区的塩業』

下記の書籍を読んだ。

 燕生東
 商周時期渤海南岸地区的塩業
 文物出版社(2013/9)
 ISBN: 9787501035359

主要な対象地は,山東半島及びその周辺の海岸地帯及び内陸部だ。

本書の最初の部分では,当時における地形を理解するために地層調査の結果を踏まえて当時の海岸線を推定し,遺跡等の分布との対応関係を考察している。

それに続き,土器や銅器等の検討結果から製塩業の成立可能性等について詳細な考察を行っている。

土器についてはとりわけ注目すべき見解が多く含まれているように思う。日本の日本海側の遺跡で発掘された土器等と比較しながら読んだ。

古代の日本の製塩業の歴史については,まだまだよくわからない部分が圧倒的に多い。塩は税制度とも直結する物品でもあるので,非常に興味深い分野ではある。

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イブはアダムの陰茎骨(baculum)からつくられたとするキリスト教神学上の議論

下記の記事が出ている。

 God made Eve from Adam's penis and NOT his rib, claims religious academic
 Daily Mail: 29 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3377487/God-Eve-Adam-s-PENIS-not-rib-claims-religious-academic.html

旧約聖書には,神がアダムから骨を1本とり,その骨からイブをつくったと書いてある。どの骨なのかはわからないのだが,通常の翻訳では肋骨の中の1本と解釈した上での訳を示している。

一般に,人類以外の哺乳動物の中には陰茎骨(baculum)をもつものがあるが人類にはない。

それは,神がアダムから奪い去りそれを用いてイブをつくったという解釈になるのだろう。

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アイルランド人は4000年前の中東からの移民の子孫?

下記の記事が出ている。

 Irish people originate from the MIDDLE EAST: Celtic DNA shows farming led to a 'wave of immigrants' entering Ireland 4,000 years ago
 Daily Mail: 29 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3377264/Irish-people-descendants-farmers-MIDDLE-EAST-Ancient-Celtic-DNA-shows-agriculture-caused-wave-immigrants-Ireland.html

海路や陸路を用いて日本列島にもやってきていたと推定するほうが自然だろうと思う。

中国の文明をつくったのもそういう人々だったかもしれないと思う。

(余談)

4000年前頃,メソポタミアでは都市国家間の戦闘が続いていた。

インドにはアーリア人が侵入した。ギリシアにはアカイア人が侵入した。

バクトリアには王朝が勃興した。エジプトでは王朝の交代があった。

中国では龍山文化が滅亡した。日本では三内丸山古墳周辺の文化が終焉を迎えた。

これらは全部連動している出来事ではなかろうか?

[追記:2016年1月2日]

関連記事を追加する。

 Ireland's population underwent a dramatic change 4,000 years ago
 ars technica: December 30, 2015
 http://arstechnica.com/science/2015/12/irelands-population-underwent-a-dramatic-change-4000-years-ago/

[追記:2016年1月10日]

関連記事を追加する。

 Irish DNA originated in Middle East and eastern Europe
 Guardian: 28 December, 2015
 http://www.theguardian.com/science/2015/dec/28/origins-of-the-irish-down-to-mass-migration-ancient-dna-confirms

 Neolithic and Bronze Age migration to Ireland and establishment of the insular Atlantic genome
 Slatkin, University of California, Berkeley, CA
 November 18, 2015
 http://www.pnas.org/content/early/2015/12/22/1518445113

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改正個人情報保護法に規定する匿名化された個人データは中国では保護されない

中国ではテロ対策として新しい法律が制定された。

 China's new anti-terror law: No backdoors, but decryption on demand
 ars technica: December 29, 2015
 http://arstechnica.com/tech-policy/2015/12/chinas-new-anti-terror-law-copies-uk-no-backdoors-but-decryption-on-demand/

 China wants encryption cracked on demand because ... er, terrorism
 Register: 28 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/28/chinese_government_now_wants_your_
encryption_keys_because_terrorism/

この法律では,暗号化された通信を禁止している。つまり,政府が常に完全に通信内容を把握することができるような仕組みとなっている。

それゆえ,暗号化等により匿名化されているからという理由で個人データを流通させることもできない。

EUの個人データ保護指令との適合性にも明らかな齟齬があることになると解されるので,EU個人データ保護指令の適用を前提としている限り英国との貿易もできない。残念ながら,中国と英国は,つい最近妥結したばかりの貿易協定を破棄しなければならないことになるだろう。米国と日本国も同じで,中国との間のほぼ全ての取引を断念しなければならないことになる。

企業の営業秘密その他の企業秘密と関連する通信や日本国政府の外交関連の機密通信も同様と考えられる。

要するに,中国においては,機密通信の自由を含め,通信の自由が保障されない。

なお,直接の関係はないが,下記のような記事も出ている。非常に複雑で面倒くさい状況になってきてしまっている。

 EU privacy watchdog calls for new controls on surveillance tech export
 Register: 25 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/25/eu_privacy_watchdog_calls_for_new_controls_
on_the_export_of_surveillance_and_interception_technologies/

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2015年12月29日 (火曜日)

前漢の昌邑王劉賀墓とみられる遺跡から『論語』と推定される大量の木簡が発見されたらしい

下記の記事が出ている。

 南昌市の海昏侯墓、主は前漢の第9代皇帝劉賀か
 人民網日本語版:2015年12月24日
 http://j.people.com.cn/n/2015/1224/c95952-8995133.html

 Gold plates and coins among valuable haul unearthed by archaeologists at 2,000-year-old royal tombs in China
 Daily Mail: 27 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-3375474/Gold-plates-coins-valuable-haul-unearthed-archaeologists-2-000-year-old-royal-tombs-China.html

他の報道等も総合して考えると,たぶん『論語』だろうと思う。

現在まで伝来している『論語』には後世に書き換えられた部分があると推定されるから,今回発見された木簡の解読作業が待たれる。

また,発掘品である屏風には人物像が描かれており,孔子かもしれないと報道されている。報道写真ではよくわからないので,復元図のようなものが公開されるまで待たなければならない。ちなみに,孔子は身長190センチ以上の大男だったとの報道があり,中には身長220センチ以上の大男との報道もあるが,よくわからない。仮にそうだったとして,孔子は,漢人ではなく,インドアーリア系に属する人だったかもしれないと考える。

加えて,この遺跡からは,「上」との文字のある金製品が出土している。日本の神(上・守)にも通ずるものがあり,非常に興味深い。

[追記:2016年1月30日]

関連記事を追加する。

 Tomb mystery: is this the grave of an Emperor?
 Telegraph: 27 January, 2016
 http://www.telegraph.co.uk/sponsored/china-watch/culture/12123162/emperors-tomb.html

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武樹臣(植田信廣訳)『中国の伝統法文化』

法(灋)の語源について,様々な中国の書籍を読み,標準的な理解を会得することができた。学生に書籍を紹介するにあたり何か良い日本語訳のものはないかと探していたところ,下記の書籍に丁寧に書かれていることがわかった。

 武樹臣(植田信廣訳)
 中国の伝統法文化
 九州大学出版会 (2003/9/20)
 ISBN-13: 978-4873787916

「法(灋)」は,「水」+「廌」+「去」で構成されている。

本書の11~34頁には「廌」の標準的な説明がある。ここでは,普通理解されているように,一角の牛,羊または鹿のような動物を想定している。標準的な説明としてはそれで十分ではないかと思う。

しかし,「一角」というのは後世の作り話の一種で,もともとは2本の角の生えている動物を想定していたものと推定される。そのことは,「廌」に相当する金文資料を検討してみると,全て2本の角で構成された動物の姿を示していることから理解することができる。

「廌」は神獣とされるので,神聖性を強調するために1角とするようになってしまったのだろうと想像される。

さて,2本の角のある神獣を検討してみると,やはり,羊頭をもつ神のあたりをぐるぐると廻ってしまうことになるのだが,悪しきを成敗してしまうという説話は別の経路から流れてきたものが混入しているのではないかとも考える。

それは,「ファラリスの雄牛(brazen bull)」だ。

古代ギリシアと古代中国とは,非常に遠いようで密接な関係にあると考えることは奇妙なことではなく,古代の遺物をみればみるほど関連性が疑われるのだ。

それはさておき,本書は,とても読みやすくわかりやすい。

漢文(中文)を解することのできない学生にも勧めることができるので,そうしようと思う。

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笹生衛『神と死者の考古学-古代のまつりと信仰』

下記の書籍を読んだ。奥付の日付は2016年1月1日となっているが,既に販売されている。

 笹生衛
 神と死者の考古学-古代のまつりと信仰 
 吉川弘文館 (2016/1/1)
 ISBN-13: 978-4642058179
  http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b213027.html

本書は,古代の祭祀について,最新の考古学上の発見を踏まえて平易に解説したものだ。しかし,単なるガイドブック的なものではなく,かなり興味深い論述が随所にみられる。勉強になった。

特に注目して読んだのは「神籬(ひもろぎ)」に関する部分だ。通説とは異なるが,私は著者の見解に基本的に賛成したい。

歴史的には,古代のどこかの時点で祭祀の基本的方法が変更になったと推定される。それを公式なものとして国家的な祭祀の基本とすべく,『日本書紀』の中に幾つかの祭祀儀礼を意図的に挿入してあると考えることもできる。例えば,仲哀天皇(足仲彦天皇)八年春正月己卯朔壬午条に「時岡縣主祖熊鰐 聞天皇之車駕 豫拔取五百枝賢木 以立九尋船之舳 而上枝掛白銅鏡 中枝掛十握劒 下枝掛八尺瓊 參迎于周芳沙麼之浦 而獻魚鹽地 因以奏言」云々とあり,また,「筑紫伊覩縣主祖五十迹手 聞天皇之行 拔取五百枝賢木 立于船之舳艫 上枝掛八尺瓊 中枝掛白銅鏡 下枝掛十握劒 參迎于穴門引嶋而獻之 因以奏言」云々とあるのは,その例ではないかと考えられる(ただし,古来のやり方も部分的に残ることになったと推定される。)。「足仲彦」は「息長彦」と読むべきものかもしれない。つまり,別の時代の別の出来事が仲哀天皇の事跡として記録されている可能性がある。ちなみに,『播磨國風土記』の「賀古郡」には「昔 大帯日子命 誂印南別嬢之時 御佩刀之八咫剣之上結爾八咫勾玉 下結爾麻布都 鏡繋 賀毛郡山直等始祖息長命一名伊志治為媒」云々とある。

「幣(みてぐら)」に関する記述も興味深い。その奉納様式の検討から,先の「神籬(ひもろぎ)」の本質を解明しようとする手法は説得力があると考える。

これに続く論述に関しても納得できる部分が多く,例えば,『禮記』との関連については,私も趣味の会の雑誌の中で述べてきたことなので,「同じような考えをもつ人がいるのか」と多少なりとも心強く思った。

祭礼の場としての水辺に関する記述は,屈原の『楚辞』の中のある詩を彷彿とさせる部分があり,とても興味深い。

火山活動と祭祀との関連についてはこれまであまり考えていなかったので,とても勉強になった。

全体としてすんなりと理解できる内容だったし,既に認識・理解していることや趣味の会の雑誌等で私見を披露してきたことと一致する内容の部分が多かったので,かなりの速度で読み終えることができた。

本文中には出典等の記載はないが,巻末に参考文献一覧があるので,更に深く研究する際にはそれを手掛かりとすることができる。

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ヘラクレス対ヒドラ

下記の記事が出ている。

 The battle that created a river god: Ancient Turkish altar shows son of Hercules battling hydra - just like his father
 Daily Mail: 28 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3376663/The-battle-created-river-god-Ancient-Turkish-altar-shows-son-Hercules-battling-hydra-just-like-father.html

龍または水神を祀る民族とそうでない民族との間の抗争があったと推定するのが妥当ではなかろうか。

ちなみに,中国の古代神話に出てくる神の中には,人頭蛇身のものが多い。

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ZVTプロトコルの脆弱性

下記の記事が出ている。

 Common payment processing protocols found to be full of flaws
 ars technica: December 29, 2015
 http://arstechnica.com/security/2015/12/common-payment-processing-protocols-found-to-be-full-of-flaws/

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Red Star OS

下記の記事が出ている。

 Analysis of North Korea's computer system reveals spy files
 BBC: 28 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/world-asia-35188570

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大阪府立近つ飛鳥博物館編『埴輪群像の考古学』

以前購入して読んだ本なのだが,再度丁寧に読んでみた。

 大阪府立近つ飛鳥博物館編
 埴輪群像の考古学
 青木書店(2008/1/25)
 ISBN-13: 978-4250208027

埴輪群像が一定の(いくつかの)パターンを持ち,セットとして古墳を装飾していたというところまではほぼ異論がないと思われるが,その実像については分からない部分が多い。

私見では,被葬者の埋葬時に設置しておしまいということではなく,毎年ある時期に祖先と祖神を祀るといったような祭礼が行われていたのではないかと思う。

そこでいつも連想してしまうのが,桃の節句(上巳の節句)だ。新暦の3月3日には桃の花が開花しているはずがないので,旧暦で考えなければならない。『懐風藻』や『扶桑略記』に出てくる春の宴も新暦の3月3日ではなく新暦の4月頃に実施されたと考えないと物理的にあり得ない空想となってしまう。

では,なぜ桃の節句を連想するかというと,それは雛飾りにある。

雛飾りの由来については諸説あり一定していない。

しかし,私は,大型古墳造営のような厚葬が禁止された後,禁止前には埴輪群像として祭礼の装飾とされてきたものが小型化・ミニチュア化され室内で飾られるようになったというのが雛飾りのルーツになっているのではないかと想像するのだ。

あるいは,古墳における祭礼に際して,参列者が武人や楽人等の正装をして参列するということが当時存在しており,それが後代まで続いたが,そのミニチュア模型だけが雛壇として残り,人間が正装して祭礼を挙行するという習慣が消滅してしまったと考えることもできる。

雛飾りには,埴輪群像に見られるような武人と楽人が存在する。また,埴輪群像には食糧としての鳥や牛などが生きた姿で並べられるが,雛飾りでは加工した食品のミニチュア模型として並べられる。埴輪群像には内裏様とお姫様がないが,これは,後代になって宮中の遊びとなってから追加されたもので,本来は,古墳に埋葬されている祖先と抽象的な存在である道教の真武大帝(北極星・太秦)が最上段に位置すべきものとして存在していたのではなかろうか。また,古墳で祭礼が行われていた当時は,現在でも墓前に食事をそなえる習慣が残っていることからも理解できるように,実物の食事(加工した食品)が並べられたのではないかと思う。

古代には春に櫻を愛でる習慣がなく,中華流の梅と桃と蘭しかなかったと推定される。春の蘭は,報歳蘭か春蘭しかあり得ない。

藤袴はやっと芽が出ているかどうかというくらいなので藤袴が「蘭」であるとする通説の見解は,それが春の花を示すものである限り,100%誤謬だ。物理的に成立しない。

おそらく,古代の古墳には中国から持ち込まれた春蘭が植えられており,春になると自然と高貴な香りを漂わせ,桃の花の季節と一致している地方では供物として捧げられる枝に咲く桃の花が艶やかさを添えたものだろうと想像する(円筒形埴輪は花器のような用途があったかもしれないと考える。桃が食用として大量に栽培されていたことは考古学上の多数の発見によりほぼ証明されている。)。そして,周濠には蓮が植栽され,食糧とされるとともに花の季節には極楽浄土を示すものとされたのかもしれない。

このように雛飾りから内裏様とお姫様を取り除いてみると,雛飾りと古墳の埴輪群像との間には非常に近似した類似性があるように思われるのだ。

古いことだしタイムマシンが存在しない以上確認しようもないのだが,これまで出土した考古学上の遺物の中で用途等がよくわかっていないものについて再検討してみると,意外とヒントが隠されているかもしれないと思う。

(余談)

桃は,秦~漢の頃に渡来したものだろうと推定される。

種子を数個袋につめて舟に乗れば容易に持ち込むことができる。

問題は,ユーラシア大陸では基本的に樹木を栽培・増殖するための高度な技術と知識をもった人々がその後消滅してしまったということだ。おそらく,ジェノサイドされてしまったのだろう。日本人は,世界でも稀な草木を育てることのできる民族であり,古代において世界中で迫害された後にやっと倭國にたどりつき安住の地を得たということではなかろうか。五十猛命の植林神話がそのことを伝えていると考える。

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仮説

『古事記』と『日本書紀』については,偽書説もあったが,現在では否定されている。

しかし,それらがオリジナルの文章のままかどうかという点に関しては確証が何もない。中には,桓武天皇の時代に大幅な改竄がなされているのではないかとの見解もある。

『國史大系』に収録されている「日本書紀私記」などを読むと,オリジナルの姿を推測することが可能だが,これまた写本の際に改竄された可能性は否定し切れないので,何とも言えない部分がある。

そこで,中国の正史に目を転じてみる。

唐朝以降の正史を読むと,当時,日本国から何らかの書物が届けられていたらしく,唐朝以降の正史には『古事記』や『日本書紀』と符合する記述がある。全くの空想では書くことのできないものなので,当時,中国内において,日本国の歴史を記述した何らかの資料が存在したことだけは100%確実と言える。

しかし,完全に一致しているわけではない。

例えば,神宮皇后は神宮天皇とされ,天武天皇は天智天皇の子とされ,持統天皇は持総天皇と記述されている。日本の学者は,ほぼ全員これらを誤記として解釈してきたのだが,その根拠とするところは,「『日本書紀』が正しい」ということに尽きる。しかし,底本がオリジナルのものであるという点について確証が存在しない以上,実は全く論拠になっていない。

すると,仮説としては,中国の正史が正しいとする確率が50%,『日本書紀』が正しいとする確率が50%で,要するに,どちらとも言えないという結果になる。

ところで,従来の日本国における研究のほぼ全ては,『日本書紀』の記述が正しいという前提でなされてきた。

反対に中国の正史の記述のほうが正しいと仮定して研究してみたらどういうことになるのか,思考訓練としてやってみるだけの価値はあるのではないだろうか?

***

一般に,歴史学における学説には仮説しか存在し得ない。

タイムマシンが存在しない以上,限られた資料(史料)に基づく推論しか成立し得ないからだ。

通説なるものは,そうした仮説の中で最も有力だと評価されている「1つの仮説」に過ぎない。したがって,「通説である」ということは「真実である」ということと同義ではない。

ガリレオの例をひくまでもなく,世界中でたった1人の言説だけが正しく,それ以外の者の言説が全部間違いまたは嘘ということだってあるのだ。

[追記:2016年1月2日]

「壬申の乱」については,これまでのところ,その存在を実証する物的証拠(考古学上の資料・史料)が何ひとつ発見されていない。関連すると推測可能なものはある。しかし,それは,『日本書紀』の記述が正しいということを前提にしないと成立しないものだ。

そこで,思考訓練として,「壬申の乱」が史実ではなく存在しなかったという前提で(特に『日本書紀』巻28は,特異な存在として,史実を正確に記述したものとしては受け止めないという姿勢で)仮説を構築してみるとどういうことになるかを考えてみることは有用なことだと思う。

私見としては,『日本書紀』等にある壬申の乱の顛末に関する記述の中で,氏素性の全く分からない登場人物に着目すべきではないかと考えている。そのような登場人物に限って,奇妙な名前をしていたり,そもそも読み方がわからなかったりすることが多い。そのような不思議な登場人物こそが正に真に存在した人物であり,それ以外は全部捏造という仮説をたててもちゃんと立論できるだろうと思う。

ちなみに,『古事記』や『日本書紀』にある古い時代に関する記述について,壬申の乱の史実をもとにして捏造したものだとの見解がある。読んでみると,なるほどと思うところが少なくない。妙に符合しているからだ。

しかし,逆もまた真ではなかろうか?

古い時代の伝承が存在しており,それを元にして壬申の乱に関する記述を捏造しても,やはり同じ結果となるからだ。

ちなみに,徳川家康が忍者の助けを得て伊賀越えで逃げ帰ったという伝承も同じようなものではないかと考えることがある。

[追記:2016年1月3日]

白村江の戦の当時,唐には則天武后がいた。

白村江の戦の戦後処理の時代は天武天皇の時代に相当する。

「天武」は淡海三船による漢風諡号とされるが,「天武」と「則天武」とはやけに似過ぎている。

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2015年12月28日 (月曜日)

中国:天気予報士がロボット化?

下記の記事が出ている。

 China unveils its first ROBOT weather presenter: Microsoft's Xiaoice has become an instant TV personality
 Daily Mail: December 24, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3373498/China-unveils-ROBOT-weather-presenter-Microsoft-s-Xiaoice-transforms-TV-personality.html

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テロ攻撃に対する防御のためのドローンジャミング装置

下記の記事が出ている。

 Drone-jamming equipment to be deployed at public events to stop terrorists using cheap unmanned aircraft in killer attacks
 Daily Mail: 27 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-3375753/Drone-jamming-equipment-deployed-public-events-stop-terrorists-using-cheap-unmanned-aircraft-killer-attacks.html

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Brian M. Mazanec, The Evolution of Cyber War - International Norms for Emerging-Technology Weapons

下記の書籍を読んだ。

 Brian M. Mazanec
 The Evolution of Cyber War - International Norms for Emerging-Technology Weapons
 Potomac Books (2015/11)
 ISBN-13: 978-1612347639

国際的な規範(international norm)という概念を用いて,何が善で何が悪であるのかを解明しようとするものだ。

私見によれば,私戦と国家間の戦争とを識別することはできない。つまり,国際法の問題ではない。

本書も,それゆえに法(law)という概念を用いずに規範(norm)という概念を用いるのだろうと推測する。しかし,その規範の根拠として「ある価値観」を必須の前提としているので,その価値観を承認しない立場にたつと無意味な論理展開となってしまう。難しいところだと思う。

それはさておき,読み物としては非常に面白く,文章も平易なので,あっという間に読み終えることができた。

今後の見通しについて随所に所見が開示されており,私も賛同できる部分が多い。

現在のサイバー法の世界では,より多角的に仮説としての予測をたてることができるかどうかで完全に勝負がついてしまうようなところがある。日本で最近刊行されている関連書籍を何冊か読んでみている。良いものもあるが,そうでないものも少なくない。

本書は,法学上の理論構築に成功しているかと問われれば「否」と答えるしかないのだけれども,書籍(読み物)として成功しているかと問われれば「とても面白い」と答えたい。

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人工知能の投資分野

下記の記事が出ている。

 人工知能分野の投資環境、最前線を分析
 Tech Crunch Japan: 2015年12月27日
 http://jp.techcrunch.com/2015/12/27/20151225investing-in-artificial-intelligence/

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黄正建主編『《天聖令》與唐宋制度研究』

下記の書籍のうち,第四篇醫療與休暇の部分(特に273~288頁の第二章)を精読し,残りの部分をざっと読んだ。

 黄正建主編
 《天聖令》與唐宋制度研究
 中国社会科学出版社(2011/3)
 ISBN13:9787500486992

「養老令」と「大宝令」そしてその復元作業について調べるため様々な論文を読んでいる間にこの書籍の存在を知り,入手した。

とても勉強になった。

更に研究を進めることができる。関連書籍を全部読んでみようと思う。

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渋谷申博『諸国神社 一宮・二宮・三宮』

下記の書籍を読んだ。

 渋谷申博
 諸国神社 一宮・二宮・三宮
 山川出版社 (2015/7/30)
 ISBN-13: 978-4634150867

本書の著者も書いているように,一宮制度の由来は不明の部分が多いというよりもほとんどわかっていない。私は官衙または国衙としての社会的・政治的機能をもつ神社(上の社・守の社)を一宮としたのではないかと考えてきたのだが,本書の著者も同じような発想で考えているようだ。

学術書というよりは全国各地にある一宮・二宮・三宮のガイドブック的なもので,それぞれの神社の縁起や祭神等について要領よくまとめて書いてある。一般向け書籍としての読みやすさ,網羅性,検索性という点では類書の中でも随一と評価できるものではないかと思う。

あえて難を言うとすれば,参考文献として列挙されているものが比較的最近のものだけに限られており,重要な文献でも古いものは掲げられていない。推測だが,一般の人が入手することの困難な文献についてはあえて省略し,参考文献として掲げた文献から自力で探索し図書館等で読むということを期待しているのではないかと思う。学術書ではない一般向け書籍としてはむしろ好ましい対応かもしれない。

全部読みとおしてみて,私なりに感ずるところが多々あった。こういう感覚は,ミクロ的な詳細検討・微細な分析によってではなくマクロ的な大量観察によって得られることが多い。

國によってはある種の特性が顕著に示されているところがある。例えば,美濃國,周防國などがそうで,基本的には鉱山・冶金の神を祀る構造になっている。これは,単に当時の支配者の祭神だったということだけでは説明のつかないことで,その國の当時における主要な産業がそのようなものだったと推定したほうが合理的に説明しやすいのではないかと思う。

美濃國については特に興味をもったので,宝賀寿男・桃山堂『豊臣秀吉の系図学-近江,鉄,渡来人をめぐって』(桃山堂,2014)を読み直してみた。いろいろと考えるところがあった。

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崔永東『簡帛文献与古代法文化』

下記の書籍を読んだ。

 崔永東
 簡帛文献与古代法文化
 湖北教育出版社(2003/1)
 ISBN13:9787535134226

小型の書籍で,たぶん中国の大学法学部等の教科書として書かれたものだろうと思う。

内容は簡潔で,どちらかというとガイドブック的なものとなっている。

詳細な情報を得る目的には向かないが,脚注に書かれている出典資料等を調べれば更に詳しいことを知ることができる。

ざっと目を通し,これまでちゃんと読んでいなかった簡帛資料を見つけることができた。そのような検索目的ではかなりの有用性がある。ただし,出版が2003年なので,最近の考古学上の発見は反映されていない。

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エイリアンは実在する?

下記の記事が出ている。

 Aliens, bunny-killing rovers, and a Moon base: What all is NASA “hiding”?
 ars technica: December 27, 2015
 http://arstechnica.com/science/2015/12/aliens-bunny-killing-rovers-and-a-moon-base-what-all-is-nasa-hiding/

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女子高生の制服を盗む犯罪

マスコミではいろいろと騒がれている。

制服フェチというのかどうか知らないが,昔からそういう犯罪はある。異常性欲の一種として理解されることも多い。そういう面があり得ることは否定しない。

私は,窃盗犯である以上,その経済的な意味での被害に着目したい。

一般に,高校の制服は安くない。基本的に,比較的高価なものだ。

家庭に資金的余裕があるのであれば新調すれば良いだろう。しかし,景気低迷が続き,賃金が低下している現下の状況の下では,制服1着を買うだけで家計に大打撃を受けてしまうような世帯がいくらでもある。

事案の話題性にとらわれて,制服窃盗による経済的な被害を軽く見積もってはならない。

中には経済的余力がなく,しばらくの間,制服を新調できなかった家庭もあるだろう。

制服が定められている高校では,制服を着用しないで登校すると,生徒自身に何の責任もなくても担任教員等から叱責されたり,周囲から妙な目で見られたりすることがある。生徒自身が非常に嫌な気分を味あわされ,場合によっては登校拒否といった事態に至ることもあり得る。そのような副次的被害が発生し得るということも理解しなければならない。

この事件の担当担当裁判官がどのように考えようと,それは裁判官の自由なのだが,私は以上のように考える。

マスコミとしては,事案の面白さだけを強調するのではなく,このような事案がいかに悪質な窃盗事犯であり,その経済的打撃が深刻なものとなり得るかということを十分に理解した上で報道してもらいたいものだ。話題性だけで記事を書くことなら,どこかの三流国の新聞等でもできることではないか。

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2015年12月27日 (日曜日)

中村格「「采女」と春日山木縁起」

下記の論文を読んだ。勉強になった。

 中村格
 「采女」と春日山木縁起
 日本文学42巻4号13~26頁
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110009917416

古墳から出土する埴輪の装束について調べている。

古代から現代を行ったり来たりしている。

どの時代においてもインチキやイカサマだらけのような感じがする。

そういうものなのだろうと思うので,それはそれとして,古墳時代の埴輪のモデルを探究する意義はある。

何となく答えが見えてきた。

隠岐・西ノ島町の美田八幡宮の例大祭で奉納される「十方拝礼」で用いられる長方形で板状の田楽笠が重要なヒントを与えてくれるものと考える。他の地域では円形で板状の田楽笠が用いられるが,これは後代に変化してそのようになったもので,もともとは四角形をしていたものではなかろうか。例えば,田下駄のようなものを頭にくくりつけて豊穣を祈念したといったことなどを想像することができる。考古学上の発見(または再評価)が待たれる。

また,住吉大社の御田植神事で神楽女が頭上に載せる飾りも平板状をしており,古代の様式の片鱗を残すものと考えることもできる。住吉大社の御田植神事で植女(うえめ)がかぶる山高帽子のようなものは,千葉県・芝山古墳出土の埴輪に見られる山高帽子と類似しているように思う(芝山古墳出土の埴輪の中には,現在の田植笠と全く同形のものもある。)。この山高帽の形状と似た様式のものは古代ギリシア以外ではなかなか見つからない。

なお,中国の「冕冠」は日本の埴輪の頭上にある四角形の板状のものと同じルーツをもつものとも考えられる。

(追記)

續群書類從巻第三百十六・裝束部六の「裝束圖式」を調べてみたところ,その最初に,天皇の「御五冠」として「冕冠」に近いものの図があった。

歴史学者が知らないはずがないので,これまで,埴輪の頭上にある板状のものについて「御五冠」または「冕冠」に類するものとして指摘してこなかったのは,自分の立場が悪くなることを危惧してのことかもしれないと推測したくなる。特に戦前においては,半裸の巫女が「御五冠」または「冕冠」に類するものを頭上に飾っていたなどと迂闊に口に出そうものならば,直ちに憲兵によって検挙され,不敬罪により処罰されてしまう危険性が現実のものとして存在していたと推定される。

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消費者庁:インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について(平成27年7月~9月)

消費者庁のサイトで,下記のとおりに統計結果が公表されている。

 インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について(平成27年7月~9月)
 消費者庁:2015年12月25日
 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/151225premiums_1.pdf

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鈴木靖民・金子修一編『梁職貢図と東部ユーラシア世界』

下記の書籍を読んだ。

 鈴木靖民・金子修一編
 梁職貢図と東部ユーラシア世界
 勉誠出版 (2014/5/10)
 ISBN-13: 978-4585220602

極めて興味深い内容で面白く,何の苦もなく吸い込まれるようにしてすらすらと読めたので,かなりの短時間で全部読み切った。かなりお勧めの良書だと思う。

本書の最初のほうには,清の張庚「諸番職貢圖巻」の本文写真が収録されており,その倭國の部分を読んだところ,『後漢書』では「禾稻麻紵」となっているところが「諸番職貢圖巻」では「稻禾麻芋」となっていることを理解した。

「紵」ではなく「芋」が正しいと考える(『魏略』には,そのように書かれていたのだろうと推定する。)。考古学上の発見に基づく当時の主要農産物と合致するからだ。すると,「麻紵」を熟語として「紵麻」と理解し,カラムシの類と解釈する説は誤りということになる。正しくは,当時の倭國の農産物(栽培作物)は,「栗(禾)」,「稲」,「麻」及び「芋」であり,これらは全て現時点における考古学上の知見と一致する。「麻」は,カラムシではなくアサを意味するものと解すべきだろう。

そういう細かい点を含めて,非常に興味深い内容となっている。

議論のある「高句麗」,「新羅」,「百済」,「扶余」に関する論説と読み下し文は,古代史に興味をもつ人にとって多大の示唆を与えるものだと信ずる。

無論,張庚「諸番職貢圖巻」等にある記述を真実からかけ離れていると評価する立場では,何ともくだらない書籍ということになるかもしれないが,それは立場の相違によるものなので仕方のないことだろうと思う。

私は,張庚「諸番職貢圖巻」にある記述は十分に信頼するに値するものだと思う。

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烏力吉『遼代墓葬芸術中的捺鉢文化研究』

下記の書籍を読んだ。

 烏力吉
 遼代墓葬芸術中的捺鉢文化研究
 文化芸術出版社(2013/12)
 ISBN13:9787503957581

本書は,契丹族の国家とされている遼の墳墓に残されている壁画等を手掛かりとして,当時の文化とりわけ祭祀を推定するというものだ。著者は蒙古族出身ということなのだが,表紙カバー裏に印刷されている著者の肖像写真を見る限り,何となく日本にもたくさんいそうな顔をしていて妙に親しみを覚える。

考古学上の発見と文献資料を駆使して誠実に推論を重ねている。ただ,四季の変化に伴って遊牧地を移動する「捺鉢(なば)」と呼ばれる習俗が契丹人の文化の基底をなしているという素朴な結論になっているところは何となく食い足りず,学術論文としての発見はあまりないように思う。しかし,網羅的に検討対象としている資料とその典拠を見ると,更に深く研究するためには何を読んだらよいかを知るための重要な手掛かりを多数得ることができるという意味では良書だと思う。

本書には代表的な壁画等が多数カラー写真で収録されており,文字の論述ではわかりにくい部分を理解することができる。

「飲食圖」(圖51)なるものを見ると,現在の中国でも代表的な料理の1つとされる饅頭や包子の類が更に並べられている様子が示されており,こういうものを主食にしていたらしいということを理解することができる。

侍從圖(圖53)は,道教の思想を示すものと推定されるが,大極を示す雲流紋の下に太一を示すものと推定される建鼓があり,その左右に丹頂鶴が描かれている。観念それ自体としては,何やら日本の神社(伊勢神宮等)にもあるように思う。

貴族と推定される男性の服装は,明らかに騎馬民族のものなのだが,日本では奈良時代以前にはあったかもしれないようなもののように見える。ところが,社会的階級の別を問わず,男性の頭は全て剃られている。これは,日本の「さかやき(月代)」に類似するもので,非常に興味深い。シュメールの王と推定される像などでも同じように頭の毛を剃っているものがあり,いろいろと思うところがある。

日本において,平安時代後半ころには「さかやき(月代)」が存在していたと推定されるのだが,その時代は「遼」の栄えた時代と一致する。

これに対し,女性の習俗は,日本の女性の習俗とは全く異なると言ってよいのではないかと思う。

この契丹族に限らず,古代の男性の習俗だけみるとユーラシア大陸の古代民族と似ているのだけれども女性の習俗をみるとそうではないといったような例が多々ある。実は,このことこそが日本の古代史を理解するための重要な鍵の一つになっているのかもしれないと考えることがある。

他に「鷹匠」と思われる像が多数あるので,契丹族の貴族は鷹狩を高貴な趣味として楽しんでいた可能性が高い。ただし,その装束は,日本のものとはかなり異なる。現在の日本の鷹匠にまでつながる鷹匠の装束は,三国時代の魏・晋のころの鷹匠にルーツをもつものに間違いなく,それは鮮卑族のものと理解するのが正しい。民族や国家が異なっても中国北部では鷹狩が好まれたと仮定すると,それは,騎馬民族の王侯・貴族に共通の楽しみとして鷹狩の文化があったということを示しているのだろうと推定する。

鷹というとどうしても古代エジプトのホルス神を連想してしまうのだが・・・鷹狩それ自体は,おそらくメソポタミア~ペルシアあたりに起源を有し,それが古代エジプトの信仰にも影響を与えたと考えるほうが妥当かもしれない。よくわからない。

なお,島田正郎『契丹国-遊牧のキタイの王朝(新装版)』(東方選書,2014)では,契丹族の本来の名前を「キタイ」とし,蒙古族(タルタル族)とは異なるとの見解が示されている。こういう問題については古代人骨のDNA解析結果の集積をまつしかないのだが,仮にこの見解が正しいと仮定した場合,遅くとも遼の時代までの中国東北部は蒙古系人種(その子孫と推定されている女真族等)とは基本的に関係のない人々が支配していたと理解するのが正しそうだ。

[追記:2015年12月30日]

西域には「キジル」,「クシュ」などメソポタミアの古代王国「キシュ」と似た名前の地がたくさんある。

紀元前1000年~紀元前後ころのもともとの意味合は,象徴的な意味で「キシュの王の血をひく」または「キシュの王」といったようなものだったのではないかと想像したくなる。仮にそうだとして,「キタイ」もまた「キシュ」から変化してきたものではないかと考えたくなる。

なにぶんにも古い時代のことなので,よくわからない。

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阿倍美香「翻刻 隠岐高田神社所蔵『高田大明神縁起』(丹表紙本)」

下記の資料を読んだ。

 阿倍美香
 翻刻 隠岐高田神社所蔵『高田大明神縁起』(丹表紙本)
 學苑889号88~113頁
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110009863985

神社の縁起を記録した文書ということで,中世思想を理解するための貴重な資料の1つと考えられているようだ。

私が注目したのは天孫降臨前後の事柄に関する記述で,伊弉諾尊(陽神)と伊弉冉尊(陰神)が稲負鳥の教えにより夫婦となり,日神、月神、蛭、素盞烏を産んだ,その後,磐烈根烈の御子である武詼命が出雲国に来て西国を征服し,また,常州鹿島に下向して東国を征服した云々との記述がある。

ここで注目したいのは,武詼命(『日本書紀』では「武甕槌」)が征服したとされる地の中に畿内と美濃~東海が全く含まれていないことだ。それほど古くない時代の出来事を超古代のこととして史書の中に挿入したと解する余地があるかもしれない。このように解する場合,中央政権の意向に従わず恭順しなかった有力豪族が出雲と常陸には存在していたということになりそうだ(つまり,武詼命は,大和から派遣された将軍ということになり,ヤマトタケルの伝承と重なる部分がある。)。出雲と常陸には比較的長い風土記が残されていることには大きな意味があるのかもしれない。

なお,「武詼」は「ムケ(ムカイ)」または「ブケ(ブカイ)」としか読めないのだが,「タケミカヅチ」と読ませるらしい。無理にそう読ませているだけで,本来の読みは異なるのではないかと思う。「詼」は「戯れる」という意味を有する。戯れに出雲と常陸を成敗したとは考えにくいので,様々な解釈が考えられるのだが・・・単に「タケル」と読み,武人という意味しないないと解するのが正しいのかもしれない。「タキ」または「タケ」の音は「多紀臣」との関連を疑わせる。

「磐烈根烈」は,「大きな古墳の石室を破壊し,扶桑樹を根こそぎ倒した者」という意味にもとり得るのだが,たぶん,巨岩を砕き巨木をもなぎ倒すような強力な将軍というような意味を有するものではないかと思う。

また,伊弉諾尊(陽神)と伊弉冉尊(陰神)の結婚と出産のあたりも興味深い。『古事記』では2神の話し合いにより結婚したことになっている。しかし,ここでは「稲負鳥」の教えにより結婚したことになっている。後代の挿入かもしれないが,最初からそうだったのかもしれない。最初からそうだったと仮定した場合でも,「稲負鳥」の意味は不明だ。和歌の世界では,一般にはセキレイのことを指すと理解されている。しかし,鳥類の観察経験豊富な人であれば,セキレイの行動を見ても夫婦の交わりの方法を習得することはできないことを素直に理解することができるだろう。少なくとも,『古事記』にあるような婚姻の儀式とは全く無関係だと言える。むしろ,ここでは民俗学的なアプローチのほうが有用だと思われる。『古事記』にある婚姻儀礼は現在でも中国南部の少数民族等に類似のものが残されている。「稲負鳥」とは中国南部等から渡来して稲作を伝えた民族またはその子孫であって稲作のための神事を執り行う人々(神官・巫女等)のことを指すと解するほうが素直ではないだろうか。ただ,神話としては,2神の前に人が存在していてはつじつまが合わなくなってしまうことから「鳥」としたものではないかと思う。無論,「鳥」は中国南部の少数民族においても重要なシンボルであり,日本では神社の「鳥居」として現在まで残されている。

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湯浅邦弘「銀雀山漢墓竹簡『守法守令等十二篇』の思想史的意義」

下記の論文を読んだ。とても勉強になった。

 湯浅邦弘
 銀雀山漢墓竹簡『守法守令等十二篇』の思想史的意義 
 中国研究集刊 (辰13)993~1016

掲載雑誌は大学の図書館に収蔵されていない。そこで,読みたいと思っていた論文のリストを作成し,図書館経由でコピーの送付を依頼していたものが届き,それを順に読んでいる。かなり短時間に届いた。図書館相互の協力関係を実現するためのシステムが円滑に機能しているということなのだろう。

ところで,一般に,良い論文があっても,Cinii等でデジタル公開されているものとそうでないものとがある。

デジタル公開されていない論文の中にはとても優れたものが少なくないので,できるだけ丁寧に調べた上で図書館に収蔵されていればそれを読み,他の近隣の図書館にあれば出かけて行って読み,近くに現物がなければ取り寄せをし・・・というようなことを繰り返している。

この論文との関連では,近年の考古学上の発見がめざましく,従来の通説を揺るがせるものさえ少なくない状況にあるので,できるだけ木簡等の写真を入手して読んでいるのだが,その意味を理解できても学術上の位置づけについては専門外でもあるのでなかなか理解し難いことが珍しくない。そこで,関連する専門分野の論文を集めてまとめ読みする。

世間には,「学術研究にはやるべきことが残っていない」との妄言を平気で吐いているような恥ずかしい者(=極めて不勉強の者)もあるけれども,実際にはわからないことばかりだ。

取り寄せた論文をしっかりと読み,更にじっくりと考えてみようと思う。

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2015年12月26日 (土曜日)

コバルトブルーのガラス玉は単なる偶然?

下記の記事が出ている。

 新谷赤田遺跡 弥生期の鉄器作り解明に光 国内最古級の鍛冶工房跡、発見 今治 /愛媛
 毎日新聞:2015年12月11日
 http://mainichi.jp/articles/20151211/ddl/k38/040/603000c

 Did Vikings love to wear BLING? Iron Age settlement reveals feared warriors had a soft spot for delicate glass and amber beads
 Daily Mail: 24 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3373170/Did-Vikings-love-wear-BLING-Iron-Age-settlement-reveals-feared-warriors-soft-spot-delicate-glass-amber-beads.html

多種多様な解釈ができそうだ。

なお,下記のサイトにも青色ガラス玉の写真がある。

 北見市:ところ遺跡の館展示案内:続縄文時代
 http://www.city.kitami.lg.jp/docs/7285/

 山梨県教育委員会埋蔵文化財センター:遺跡トピックスNo.0398金の尾遺跡県内最古のガラス玉
 http://www.pref.yamanashi.jp/maizou-bnk/topics/301-400/0398.html

 特選情報2010:京都・平等院本尊から正倉院と同種のガラス玉
 http://kanagawabunnkaken.web.fc2.com/index.files/topics/toku2010.html

 大阪歴史博物館:河内平野の弥生王墓
 http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2014/yayoioubo.html

 岡山県古代吉備文化財センター:彩り鮮やかな玉から時代の色を読む
 http://www.pref.okayama.jp/kyoiku/kodai/saguru2-7.html

 伊万里の歴史や文化、自然の手帳
 http://rekimin.sagafan.jp/d2011-02-25.html

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池田善文『長登銅山跡-長門に眠る日本最古の古代銅山』

下記の書籍を読んだ。

 池田善文
 長登銅山跡-長門に眠る日本最古の古代銅山
 同成社(2015/7/31)
 ISBN-13: 978-4886217011
 http://homepage3.nifty.com/douseisha/kouko/iseki/iseki.html#i49

結構面倒くさいことを図を効果的に用いて非常に平易に論述してあり,鉱山・冶金等に関して全く知識のない人でも容易に読める良書だと思う。

本書で述べられている長登銅山等の発掘に関しては,長登銅山文化交流館の展示で知ることができるように整備されているようだ。

 長登銅山文化交流館
 http://www.c-able.ne.jp/~naganobo/index.html

本書の中には,いわゆる「ふるさと創生事業」による1億円の交付金が有効に用いられてこの交流館の成立に至っている経緯も述べられており,興味深かった。他の自治体の中には浪費しただけのところもあるので,雲泥の差があると言える。

この銅山遺跡から大量に発掘された木簡資料等の解読により,この古代の銅山で得られた大量の銅を用いて東大寺の大仏が鋳造されたことが判明したという経緯が丁寧に説明されている。

それ自体としても非常に面白いのだが,私は,それ以上に非常に様々な点について興味をもつことができた。

例えば,光明子宛に送られたことを示す木簡資料の中に施薬院や悲田院等の存在を示すものがあるとの記述はとても興味深い。本書では,大仏造営のための銅の確保を光明子が仕切っていた可能性を示唆している。そうだろうと思う。しかし,それだけではなく,施薬院や悲田院において「本草」の一種として鉱物を基原とする薬方が用いられていた可能性を考えたい。中国の本草書では当たり前のことであるにもかかわらず,従来の日本の本草学ではあまり触れられてこなかったように思う。そもそも施薬院の存在それ自体について否定的な見解が通説だったので無理もないことではあるけれども・・・

ちなみに,光明子という名からは,大日如来を連想し得るけれども,私は,どうしても拝火教のほうを連想してしまう(笑)。

他方で,『日本書紀』の中で別の時代のこととして書かれているいくつかの出来事との関連が気になった。この銅山は,おそらく青銅器時代には知られていただろうと思う。その支配をめぐってかなりひどく血なまぐさい征服劇と大虐殺があったのではなかろうか。例えば,「塵倫」のくだりがそうだ。石見神楽はそれを現代に伝えるものかもしれないと考え,ずっと検討を続けている。石見国一宮・物部神社との関連を含め時間をかけて考え続けたいと思う。

本書の中では,秋吉台付近で発掘されたという統一新羅時代の様式の土器のことなどについても触れられている。これもかなり気になる。

更に,銅と言えば「和同開珍(和同開珎)」として知られる銅銭のことを連想してしまうのだが,これは秩父から良質の銅が出たので鋳造できるようになったというのが通説だ。本当だろうか。やや疑問に思い,これまた検討を続けている。

そもそも「和開同珍(和開同珎)」と読むものかもしれず,あるいは,「珍(珎)」は「金」を示し(「珍」ではなく「寶」と読む場合でも「珍寶」または「寶」=「金」との意味に解することができる。),左右合わせて「銅」を意味するものとして図案化されたものかもしれないと考えることもある。「和開」は,「日本国にも貨幣使用による文明国家としての道が開かれた」という趣旨に理解することが可能だろうと思っている(「珍(珎)」+「同」=「金」+「同」=「銅」が成立可能と仮定した場合,全体として上から下に読み「和銅開」と解することも可能だろう。)。素人の「珍説」だと言って笑われるだろうが,「富本銭」については漢籍に典拠があるのに対して「和同開珍(和開同珎)」についてはそれが存在しないということが非常に気になるのだ。おそらく「和同開珍」との読みは誤りだ。

加えて,銅山で採掘・精錬された銅は,播磨國の秦族によって運搬された可能性があるということが示唆されている。播磨國という場所の本質を考える上で非常に興味深い。播磨國と密接な関係を有する古代の天皇のことも気になる。

更に,木簡資料に名のある古代の氏族について,素人の直観に過ぎないのかもしれないが,従来の通説に基づく理解のみでは説明が難しいと思われるところがあるように感じた。古代の政治的・社会的な組織構造は,現在考えられているものとは少し異なる要素を含むものかもしれない。無論,時代変化による変遷等も十分にあり得るのであまりに単純化して考えることは危険だと思うが,それにしても,かなり気になる点が多数あった。

蛇足だが,実際に発掘作業に従事し,大発見をしたときのことを述べているあたりは,やけにリアルで臨場感に富み,その感激がダイレクトに生き生きと伝わってくる。考古学の道を歩む人々の素直な心情の一端を知ることができたような気がする。

そんなことなどをあれこれ考えながら読み終えた。

本書は,全体として資料価値も高く,発掘された木簡資料の読み方を理解するための導入としても有用であり,良書としてお勧めできると思う。

[追記:2015年12月27日]

島田正郎『契丹国ー遊牧の民キタイの王朝(新装版)』(東方選書,2014)を読んでいたら,117頁に契丹国で流通していた貨幣の図があった。その図を見る限り,貨幣上に鋳造・刻印されている文字は,時計まわりに,上右下左の順に読むべきものだということが明らかだと思われる。「和同開珍(和同開珎)」も契丹風に時計回りに読むべきものだとすれば,やはり「和同開珍(和同開珎)」が正しいということになる。すると,どうして契丹国と日本国(倭国)では同じように時計まわりに読む仕様になったのかが問題とならざるを得ない。

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渡辺滋『古代・中世の情報伝達-文字と音声・記憶の機能論』

下記の書籍を読んだ。

 渡辺滋
 古代・中世の情報伝達-文字と音声・記憶の機能論
 八木書店(2010/10/10)
 ISBN-13: 978-4840620734
 http://www.books-yagi.co.jp/pub/cgi-bin/bookisbn.cgi?isbn=ISBN978-4-8406-2073-4

一般に,この種の書籍はほとんど売れないので著者自身が全部買い取りのようなことになってしまうことが決して少なくない。しかし,本書は違うようだ。私が入手したものは,初版第二刷(2012/4/15)となっているので,かなり成功した出版例と言えるのではないかと思う。

内容は,著者の学位論文の後半部分をまとめ直したものとのことで,律令がどのようにして実施されたのかを問題意識の基点として,中世に至るまでの文書による情報伝達というものの本質を実証的に検討した結果をまとめたものだ。

無論,膨大な量に及ぶ古代~中世の文献全てを渉猟した結果であるはずがないので,考古学上の発見を含め,別の資料を基本として考察すると異なる見解が得られる部分もあるだろうと思う。

しかし,基本的なアプローチについては私も賛同したい。素晴らしい研究業績だと思う。

この種の研究業績は,単なる古代史のレベルにとどまるものではなく,様々な分野に波及する重要な事柄を含んでいる。

例えば,現代の情報システムを考えた場合,現時点で標準的なパケット通信や暗号技術を前提にするのではなく,それとは異なる情報通信を考える場合,大いに参考になる考察結果が大量に含まれている。

同様のことは,集中管理される官庁の行政文書ではなく,世界中に散在する私人の個人的文書をどう考えるべきかという点でも重要となる。

それゆえ,単に古代文書の研究としてのみ評価するにはかなりもったいないものだと考える。

他方,私の個人的な興味関心と関連する部分としては,「医疾令」がどのようにして実施されたのか(または,現実には実施されなかったのか)に関して文献研究をする際に,留意すべき事項が多数示唆されており,とても参考になった。

古代の医制や薬方等は,歴史学の中にだけあるのではない。それは,現代の厚生労働行政の中に暗黙知のようなものとして大量に包含されているのだ。その暗黙知のようなものの健全性評価はほとんどなされていない。暗黙知のようなものの情報構造の解析がそもそも全くなされていないからだ。誰かが本気で研究しはじめると困ることになる人々が多数存在していることから,そのようなことになっているのかもしれないが,それにしても全くない。同様のことは,農林水産行政においても環境行政においても言うことができる。

私は,そういう問題意識から森羅万象に思いをめぐらせつつ,地道に研究を積み重ねる。

あと10年くらい研究を続けていれば,それなりの成果を出すことができるだろう。

常に資金不足に悩まされ続けてきたが,過去5年間は,中山信弘先生に情けをかけていただき,比較的多数の高額書籍を購入することができた。まだ全部読み切ってはいないが,必要なものについては全部目を通し,とりあえず小さな論文にまとめることのできるものはパーツ的な論文として公表し,まだまだアイデアのレベルにとどまるものは論文中の脚注等で問題意識を示唆し,それよりももっと未熟なものについては趣味の会の雑誌論説等で私見を公表してきた。

「日暮れて道遠し」の感が日々強まる。

しかし,焦らずに研究を続けようと思う。

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ISISによる大規模サイバー攻撃の可能性?

下記の記事が出ている。

 Security Experts and Officials Diverge on ISIS as Hacking Threat
 New York Times: December 24, 2015
 http://www.nytimes.com/2015/12/25/technology/security-experts-and-officials-diverge-on-isis-as-hacking-threat.html

(余談)

この記事の信憑性の有無は判断しようがないが,仮にISISがそのようなサイバー攻撃の能力を保有していないとしても,どこかの国やグループが日夜研究開発を続けていることだけは100%確実だ。

したがって,東京オリンピック等の国際イベントに関しても,可能な限り電子化を避け,レガシーな方法によるべきだと思う。

「東京オリンピックのころにはISISの問題が解決している」と主張する者もあるが,私は相当に頭の悪い人ではないかと判定している。ISISの攻撃能力が問題なのではなく,「どこかの誰かが大都市を一瞬で全滅させてしまうようなサイバー攻撃の手段を保有しているかどうか」が問題なのだ。

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Cisco IOS XE 16.1.1

下記の記事が出ている。

 Cisco cops to enterprise IOS XE vulnerability
 Register: 23 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/23/cisco_ios_xe_vuln/

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これは猥褻画像か?

BBC NewsのWebサイト上にあった商業宣伝広告なのだが,遠くからみるとわいせつ画像のように見えるかもしれない。しかし,画像を拡大すると,わいせつ画像ではない。

画像の要素を文字だけで表現することはできないので,著作権法上適法行為である必要不可欠な部分だけの公正な慣行に従う引用として画像(部分)を示すことにする。閲覧年月日は2015年12月26日だ。

 http://cyberlaw.la.coocan.jp/Documents/HuaweiP8.jpg

この画像のように,ある対象の属性値は主観的評価基準の相違によって異なる結果をもたらし得ることが少なくない。文脈的理解が必要な場合にはその複雑性と困難性が何倍にもなる。

それゆえ,判断は慎重でなければならない。

まして,刑事司法は謙抑的でなければならない。

実例としては,事件発生当時においても現時点においても少しも猥褻ではないものを猥褻物として評価した伊藤整訳『チャタレイ夫人の恋人』に関する裁判事例がある。

学説の多くは,「わいせつ性」の判断について,事実認定の問題ではなく法律解釈の問題だと解している。事実認定の問題でないことについてはそのとおりだが,法律解釈の問題とする点は誤っている。この問題は,法律解釈の問題ではなく,判断者(裁判官)が自分の個人的な趣味・嗜好を他人に強制することのできる権力を有しているかどうかの問題に過ぎない。

つまり,猥褻性の有無に関しては,それがどのような判断であっても常に個人的な趣味・嗜好の域を出ることがあり得ない以上,権力によって強制される恣意の一種に過ぎず,そもそも学問の対象とならないのだ。

日本国の憲法は,そのような恣意を強制することのできる司法権を国家組織として設定しているので,このような問題を根本的に解決するためには,日本国憲法を一部改正しなければならない。

結局のところ,とことん突き詰めたレベルでの法情報学を会得し,それを用いることのできる者が非常に少ないということに尽きるのではないかと思う。

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2015年12月25日 (金曜日)

氣賀澤保規編『遣隋使がみた風景-東アジアからの新視点』

以前,図書館から借りて通読した下記の書籍を購入し,必要な箇所を特に丁寧に読み直してみた。

 氣賀澤保規編
 遣隋使がみた風景-東アジアからの新視点
 八木書店 (2012/2/10)
 ISBN-13: 978-4840620352

多数の共著者による共著の書籍なので論調に差異があるように見える部分もあり,また,納得できる部分とそうでない部分とがある。

その前提で,本書において,『隋書』には比較的詳しく倭國のことが書かれているのに唐代以降の正史ではそうではないのはなぜなのかという問いに関する論述の部分には何度も目をとめてしまう。

様々なことを考えることができる。

最大のポイントは,隋と唐の支配階級がいずれも鮮卑族と推定されるものの,皇帝やそのとりまきとしての有力な部族に交代があったと推定されることから,そのような要素を考える必要があるのではないかと思いつつある。なぜなら,日本国内(倭國内)にも同族の鮮卑族豪族が当然多数存在していたはずで,そういう「血のつながり」という要素が極めて大きく作用することがあり得るからだ。

「漢族」が中華を支配し続け,純粋な「日本人」が日本国を支配し続けてきたと単純に考える馬鹿はいないだろうと思うが,それにしても,五胡十六国~隋・唐の時代の民族の移動と交流はこれまで考えられてきたよりもはるかに活発で複雑なものだったのではないかと思う。

他方,『日本書紀』には「隋」との名が伏せられ「唐」として記載されていることは大きな謎の一つとされてきた。私は,現在の『日本書紀』がオリジナルのものだとは考えないが(後代に大幅に書き換えられたと推定する見解も多数ある。),それにしても奇妙だ。私は,対唐戦に敗北した結果がもたらしたものではないかと思う。つまり,白村江の戦いは,百済支援のための外征としてのみ理解されているが,隋の遺臣が倭國軍に多数参加する極めて複雑な様相を呈するもので,その戦闘に敗北した以上,まずいことは全部消去してしまう必要があったのではないかと想像をめぐらせたりしている。ここでもまた,当時の日本の支配階級が純粋な「日本人」のみによって構成されていたという幼児的な考えを捨てることが大事だと思う。無論,あまりにも単純な百済説も論外だと思う。

そういうことなどもいろいろと考えながらこの書籍を読んだ。

本書の巻頭にはカラー図版が多数収録されているけれども,その中には隋の時代だけのものというよりは魏晋南北朝の複数の国家に見られるものが含まれており,また,人物像の顔の特徴が胡人(トルコ人,ペルシア人,ギリシア人など)ではないかと思われるようなものが含まれていることに留意すべきだと思う。少なくとも,普通素朴に考えられているような「漢人」ではない。

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「蕭繹職貢図」にある倭人図

梁代に原本が作成されたと伝えられ模写だけが残る「蕭繹職貢図」に倭人の図があり,これまで何度も見ては首をひねり,考え,そしてまた考えるということを繰り返してきた。

どうみても胡人(ソグド人?)に見えるからだ。

日本にバクトリアあたりからソグド系の人々がやってきていて拝火教やヒンヅー教を伝えたことは100%間違いないし,その子孫が現在まで続いていることもまた100%間違いないのだが,なぜ倭人図にあるのか?

現時点での仮説としては,中国の諸王朝の中でも五胡十六国の時代には胡人が支配階級となることがしばしばあり,言語の問題もあって,胡人を使者として派遣したほうがうまくいくと考えられたからではないだろうか?

最近,このような状態は,実は魏のころから始まっており,隋の時代ころまで続いていたと推定したほうが良いと考えるようになった。中国で発掘された墳墓に残されている壁画や彫刻等を可能な限り多数見ているうちにそのように思うようになってきたのだ。

「漢人」なるもののイメージを一度完全にリセットして考え直したほうがよいと思う。

(余談)

張庚「諸番職貢圖巻」にある斯羅国(新羅)の記述は正しいと考える。高句麗広開土王碑の碑文とも内容的に一致している。

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友廣哲也『土器変容にみる弥生・古墳移行期の実相』

下記の書籍を読んだ。

 友廣哲也
 土器変容にみる弥生・古墳移行期の実相
 同成社 (2015/10/18)
 ISBN-13: 978-4886217004
 http://homepage3.nifty.com/douseisha/kouko/kohunn/kohunn.html#dokihennyou

主として群馬県内出土の土器(特に石川田式土器)を丹念に調べ,系統付けた上で,この地域における文化交流を推論している。何本かの論文をまとめたものらしく若干重複する記述が目立つが,内容的には全体として充実しており,参考になる部分が少なくなかった。著者の努力の積み重ねの結晶と言えるだろう。

ところで,著者の友廣哲也氏は,本書の中で,「入植民」による文化の発生という考え方に驚きを覚えたという趣旨のことを書いている。しかし,私にはどうして驚くのかわからない。それ以外にあり得ないのではないだろうか。

本書の中で何度も出てくる浅間山噴火の噴出物である軽石Cの存在や,その後の榛名山大噴火による噴出物の存在を考えると,絶滅または壊滅的打撃(=無人化またはほぼ無人化)を繰り返してきた地だと推定するしかない。

無人の荒野には他所から必ず入植者がやってくる。辛うじて生き残った人々は新たな入植者達によって奴婢とされたのかもしれない。そういうことを繰り返して現在に至っているのだろう。

それゆえ,土器の様式にも断絶のようなものが見られると考えると,全体像を容易に説明できるのではないかと思う。

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日高慎『東国古墳時代の文化と交流』

下記の書籍を読んだ。

 日高慎
 東国古墳時代の文化と交流
 雄山閣 (2015/10/10)
 ISBN-13: 978-4639023814

大型本なのだが内容に乏しくガイドブック程度のものでしかない。期待外れだった。お勧めできない。

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栗田茂敏『黄泉の国の光景 葉佐池古墳』

下記の書籍を読んだ。

 栗田茂敏
 黄泉の国の光景 葉佐池古墳
 新泉社 (2015/10/15)
 ISBN-13: 978-4787715333

未盗掘の墳墓として発掘された貴重な遺跡を紹介している。この遺跡は,公園として整備され公開されている。

 葉佐池古墳公園
 https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisetsu/bunka/hazaikekofunkoen.html

墳丘の構造もさることながら,墓室,埋葬様式,副葬品のどれをとっても興味深いものばかりだ。直観的には,中国大陸から渡来したばかりの人々の墳墓のように見える。副葬品は,古代中国のある時代のもののように見える。

そういう人々が当時の郡または國の長をしていたと仮定すると,いろいろと面白いことを推論することができる。

被葬者は6世紀~7世紀の頃の人物と推定されている。2号墳では,墓室内が意図的に破壊されて攪乱が発生した状態のままになっていた。本書の著者は,死者のよみがえりを阻止するための祭祀の一種と推定している。しかし,政治情勢と権力構造の極端な変化に伴い,当該地域の首長墓に対する「辱め」のようなことが行われたという推定(仮説の提示)や被葬者が誰なのかわからなくしてしまうための意図的な破壊行為という推定(仮説の提示)も可能なのではないかと思う。

第二次世界大戦の直後においても,進駐軍(GHQ)による摘発・逮捕を免れるため,全国各地において武具・武器等の隠匿や破壊がなされた。

ずっと平和でのんびりとした状態で地域社会が継続していたという前提のみでものごとを考えると基本的な部分で誤る危険性がある。なにしろ,倭國が白村江の戦で唐に負けたころの出来事だ。唐の軍隊は,瀬戸内海を通って大津京~近江に至ったと推定されるのだが,この古墳はその通過点に位置している。

万葉集に残されている歌の幾つかは,全く逆の意味内容を示すものとして解釈しても合理的に意味が通るので,根本的な再検討を要するのではないかと考えている。

  熟田津と伊予温泉
  http://www7a.biglobe.ne.jp/~kamiya1/mypage-n.htm

熟田津の所在地については不明とされるが,現在の松山市古三津のあたりのような気がする。

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イエス・キリストの素顔?

下記の記事が出ている。

 What did Jesus really look like?
 BBC: 24 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/magazine-35120965

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光通信技術を用いたCMOSチップの開発

下記の記事が出ている。

 Progress! New CMOS chip can process both light and electricity
 ars technica: December 24, 2015
 http://arstechnica.com/science/2015/12/big-first-step-single-chip-handles-both-optical-and-electrical-signals/

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2015年12月24日 (木曜日)

Hyatt Hotelsのクレジットカード読み取り装置でマルウェアが発見されたらしい

下記の記事が出ている。

 Malware-Driven Card Breach at Hyatt Hotels
 Krebs on Security: 23 December, 2015
 http://krebsonsecurity.com/2015/12/malware-driven-card-breach-at-hyatt-hotels/

[追記:2015年12月25日]

関連記事を追加する。

 Hyatt hotel visitors hit by payments system hack
 BBC: 24 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35175263

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Juniperのファイアウォールのバックドア問題

下記の記事が出ている。

 Juniper firewall fiasco is a major blow-up for government's backdoor rhetoric
 ZDNet: December 23, 2015
 http://www.zdnet.com/article/juniper-flaw-is-a-major-backfire-for-governments-backdoor-plans/

 NSA suspected in Juniper firewall backdoor mystery, but questions remain
 ZDNet: December 23, 2015
 http://www.zdnet.com/article/nsa-suspected-in-juniper-firewall-backdoor-mystery-but-questions-remain/

 ジュニパー脆弱性、NSAとGHCQが関与か--The InterceptがNSA従業員による文書入手
 ZDNet Japan: 2015年12月24日
 http://japan.zdnet.com/article/35075440/

 NSA Helped British Spies Find Security Holes In Juniper Firewalls
 Intercept: December 24, 2015
 https://theintercept.com/2015/12/23/juniper-firewalls-successfully-targeted-by-nsa-and-gchq/

 Juniper's VPN security hole is proof that govt backdoors are bonkers
 Register: 23 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/23/juniper_analysis/

[追記:2015年12月25日]

関連記事を追加する。

 NSA knew about Juniper backdoors and kept quiet about them
 TNW: December 24, 2015
 http://thenextweb.com/us/2015/12/24/nsa-knew-about-juniper-backdoors-and-kept-quiet-about-them/

[追記:2015年12月29日]

関連記事を追加する。

 Juniper Networks' security issue raises more questions about backdoors
 Market Watch: December 28, 2015
 http://www.marketwatch.com/story/juniper-networks-security-issue-raises-more-questions-about-backdoors-2015-12-28

[追記:2016年1月10日]

関連記事を追加する。

 Juniper promises to scrap firmware code that granted NSA backdoor access
 TNW: January 9, 2016
 http://thenextweb.com/insider/2016/01/09/juniper-promises-to-scrap-firmware-code-that-granted-nsa-backdoor-access/

[追記:2016年1月11日]

関連記事を追加する。

 Juniper drops NSA-developed code following new backdoor revelations
 ars technica: January 11, 2016
 http://arstechnica.com/security/2016/01/juniper-drops-nsa-developed-code-following-new-backdoor-revelations/

[追記:2016年1月28日]

関連記事を追加する。

 Government Agencies Audit for Juniper Backdoor
 Threat Post: January 26, 2016
 https://threatpost.com/government-agencies-audit-for-juniper-backdoor/116021/

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孫清標『媽祖圖志』

亜東書店で下記の書籍を購入し,早速読んでみた。

 孫清標
 媽祖圖志
 江蘇古籍出版社(2001/10)
 ISBN 9787806434970

この書籍は,清代の孫清標が編纂したものを復刻・出版したものだ。

清代に「標準化」された媽祖伝承だけではなく,様々な関連伝承も収録されていて,非常に興味深い。

雑感としては,元になる伝承はかなり単純だったものが随分と多数の枝葉をつけたものへと人為的に形成されたものとの印象を受ける。

現代においても,世界文化遺産との関係で,中国政府により媽祖伝承が再度「標準化」され,観光資源化されているのだが,中国人の強烈なバイタリティのようなものを痛感せざるを得ない。

日本の古墳から出土する埴輪の服飾との関係で媽祖に着目したのだが,関連論文を多数読んでみた結果,更に別の角度から検討すべき余地があるように思った。

それはさておき,この書籍に収録されている伝承それ自体としては非常に面白いものなので,日本語訳を出版したら結構売れるのではないかと思った。

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滝沢誠『古墳時代の軍事組織と政治構造』

下記の書籍を読んだ。

 滝沢誠
 古墳時代の軍事組織と政治構造
 同成社(2015/11/30)
 ISBN-13: 978-4886217042

労作だと思う。

古墳時代の遺跡から発掘される短甲の技術仕様の細部の変遷を丁寧に検証しながら,当時の時代状況の変化を推論する内容となっている。短甲と小規模古墳に特に注目した考察がなされており,とても興味深く読むことができた。

短甲についてはこれまでも優れた研究が幾つかあり,既に全部読んでいる。また,馬の兜である馬冑については下記の論文があるので,今回,丁寧に読み直してみた。

 太田博之
 埼玉将軍山古墳出土馬冑資料の基礎研究
 日本考古学
 Vol.1 (1994)  No.1  P. 103-125
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nihonkokogaku1994/1/1/1_1_103/_article/-char/ja/

戦前の古典的な理解によれば,武具を含め,古墳時代当時の最先端技術は全て朝鮮半島(百済國)から渡来したものとされていたのだが,現時点ではほぼ全て間違いという結論になりそうだ。

極東の古代史は,根本的な部分で見直しが求められているように思う。農耕技術北上説と同様,武具等の工芸技術についても更に研究が深められるべきだろう。その大前提として,倭國の支配領域が最大限でも朝鮮半島の南端部にしか及んでいなかったという理解をいったんリセットしてしまう必要があるように思う。

ただし,学術としてはまだまだ過渡期にあるように思われ,結論を急ぎ過ぎると,とりわけ韓国の国民感情を逆なでするようなこととなって難しい問題を発生させる結果となりかねないので,この分野の研究者は論述に細心の注意を払わなければならない。とにもかくにも難しい時代だと思う。

しかしながら,観念によって事実を曲げることは許されない。むしろ逆に,間違った観念や誤解のようなものは事実によって是正されなければならない。その意味で,客観的な考古学資料による推論という手法は極めて重要であり,今後ますますもってこの分野の研究予算を増加し,研究者の数を増やすための国家的な努力が尽くされるべきだろうと思う。

また,この書籍を読んでみて思うことなのだが,この書籍で採用されているようなミクロ的な観察は極めて貴重であるものの,もっとおおっざっぱなマクロ的な観察も重要なのではないかと考える。

短甲についても,細部の相違は別として,基本的な構造がほとんど異ならず,しかも,それがほぼ日本国内のみで出土しているという点はかなり重要なことだと考えるからだ(例外的に,高句麗式という標題で倭式短甲の写真を掲載する中国の書籍があり,その書籍には出典が何ら記載されていないため,誤謬や作為の可能性も含め慎重に検討を続けている。)。

そのような前提で考えてみると,このような倭式短甲のルーツは一体どこにあるのだろうか?

非常に古い時代からあったと考えるのではなく,意外と比較的新しい時代にあるのではないかとの仮説をたててみると,『国造本紀』にある「国造」の分布との関連が疑われ,ある種の好奇心がむらむらとわいてくる。そして,その「国造」なるものの伝承も従来考えられてきたよりもぐっと新しい時代のもので,ある種の権威付けのために形成されたものではないかと考えることもできる。

基本的には,『古事記』や『日本書紀』に記載されている年代を一応無視し,主として中国の史書に記載されている年代との符合性を重視してみると,全体として(少なくとも大宝の時代すなわち西暦700年頃よりも前の時代については)日本国の歴史を相当圧縮して考えないといけないことになるのではないか(その結果,天皇の治世等も修正して考えなければならないのではないか)と思われる。これらは単なる想像の域を出ないのだけれども,仮説として成立可能かどうかを更に検討してみたいと思う。

そういうことなどをあれこれ思い浮かべながら読み終えた。

蛇足だが,本書で触れられている小型古墳の中には実際に現地に赴いて見てきたものが少なくなく,そういう意味でも感慨深かった。

本書の資料としての価値は極めて高い。

良い書籍と出逢えたと思う。

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ホエーリング攻撃が増加?

下記の記事が出ている。

 Over Half of Firms Report Spike in Whaling Attacks
 infoSecurity: 23 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/over-half-firms-report-spike/

企業が保有する機密データだけではなく,政府が保有する機密データなどがまるごと全部奪われてしまう危険性はかなり高度の蓋然性をもって存在していると考える。そのような機密データの中には国民の個人データも含まれる。

通信の秘密との関係で,個人情報しか考えることのできない者が多すぎるから法学上では非常にちぐはぐな事態が発生している。しかし,機密情報には企業秘密や国家機密も当然に含まれる。

他方で,技術面についてみると,軍事行動としてのサイバー攻撃に対しては,普通の防御手段では対応しきれない事態の発生が予測される。ところが,現実には,軍事行動としてのサイバー攻撃が日常化している。つまり,平時だけを考えた情報セキュリティはほとんど無力化していると言える。

結局のところ,とにかくデジタル情報化しないこと(されないこと)が大事で,それを求めるための「デジタル情報化されない権利」を確立しなければならない。

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最初期のコーラン?

下記の記事が出ている。

 Birmingham's ancient Koran history revealed
 BBC: 23 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/business-35151643

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侮蔑的な商標(disparaging trademarks)

下記の記事が出ている。

 Asian-American band “The Slants” overturns USPTO rule on “disparaging” trademarks
 ars technica: December 24, 2015
 http://arstechnica.com/tech-policy/2015/12/federal-circuit-judges-say-rule-against-disparaging-trademarks-is-unconstitutional/

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藤田勝久『中国古代国家と社会システム-長江流域出土資料の研究』

下記の書籍を読んだ。

 藤田勝久
 中国古代国家と社会システム-長江流域出土資料の研究
 汲古書院(2009/9/25)
 ISBN-13: 978-4762925849

収録されている資料読解の細部についてまで精読・検討はしなかったのだが,大意はつかめたので概ね全部理解することができた。その中で,船舶を紛失した際の始末書のような文献資料については特に好奇心が刺激された。楊泓・李力『中国古兵二十講』には古代中国の大型軍船についての解説があり,図や発掘写真が多数収録されているのだが,それらを参照しながら読んでみると,様々なことを考えることができる。

それはさておき,本書は,比較的最近発掘された古代中国の行政文書を手掛かりにして,秦や楚の行政情報システムを再構築(推論)するという狙いでまとめられたものだと理解することができる。資料の限界という問題はあるけれども,読む限りにおいてはかなりの程度の説得力をもって論証に成功しているのではないかと思う。「なるほど・・・」と思う部分が多数あった。素晴らしい業績だと思う。

一般に,「行政組織」というものは,権力関係や権力構造を中心に研究されることが多い。しかし,中国の戦国時代以降の大規模な行政組織により広域を支配・統治するという国家的な営みを実現するためには,迅速かつ正確な情報システムが存在しなければならない。そうでなければ「上命下服」も成立し得ない。

現代の中国政府においてさえ,経済目標を達成するための「事実を統計的に把握する」ということが国家行政情報システムの機能不全のためにうまくいっていないと理解することは可能なので,情報伝達のための道具が木簡からインターネットに変わっても基本的な事情に変化はないのだろうと思う。

また,長い歴史の中で度々発生した内乱や反乱等は,そのような情報システムの阻害という要素なしにはちょっと考えにくいのではないかと思う。特定の外戚や宦官等が国家行政・統制上の重要な情報を全て握ってしまうと,皇帝といえども「ただの人」に過ぎない。

そして,「現代の日本の場合はどうか?」と考えると,かなり情けない気持ちになってしまう部分があることは否定しようがない。

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2015年12月23日 (水曜日)

米国:Web上の商業宣伝広告に関するFTCの新ガイドライン

下記の記事が出ている。

 Regulators have a warning for ads that masquerade as real content
 Washington Post: December 22, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2015/12/22/regulators-have-a-warning-for-ads-that-masquerade-as-real-content/

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米国:ソフトウェアのバグによる計算違いの結果,3200名以上の服役者を刑期よりも早く出獄させてしまったらしい

下記の記事が出ている。

 US prisoners released early by software bug
 BBC: 23 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35167191

今回の件についてはソフトウェアのバグによるものとされている。

しかし,同じ結果は,ハッキングによっても発生させることができる。

[このブログ内の関連記事]

 米国:コンピュータ制御されている米国の刑務所にはStuxnetのような攻撃で陥落してしまう重大な脆弱性があるとの指摘
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/stuxnet-960b.html

 ハッカーは,リモートで刑務所の錠をあけてしまうかもしれない
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-bcad.html

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陳建明主編『馬王堆漢墓研究』

下記の書籍を読んだ。特に「太一将行圖」の部分を丁寧に読んだ。

 陳建明主編
 馬王堆漢墓研究
 岳麓書社(2013/10)
 ISBN 9787553801643

非常に興味深い。「太一将行圖」の中には「社」の字が残されており,日本の神社と何らかの関係があるかもしれない。

巻末にカラー図が収録されている。そこに描かれている「太一神」とその従神の姿は,日本で考えられている神というよりは鬼に近い。古代の蜀の地にある三星堆遺跡出土の像(特に2号祭祀坑出土の銅製座像)の造形と類似・共通するところがあるように思う。

日本語でも「鬼神」という表現があるので,古代の「ある時期」以前においては鬼のような形相をした神を崇拝していた可能性があるのではないかと思う。その「ある時期」以降には,古い神(上・守)は新しい神(上・守)によって退けられてしまったのだろう。

『魏志倭人伝』には,卑弥呼が「鬼道」を行ったという趣旨のことが書いてある。現代風に言えば般若の面をつけて祭祀を挙行していたと想像すると,三星堆の神と類似したことをしていたことになるかもしれない。中国の三国時代・魏の時代と古代の蜀の時代との間にはかなりの隔たりがあるものの,例えば,壱岐の「原の辻遺跡」出土の青銅器等が中国の戦国時代の様式のものだと推定されていることや,魏の文化が基本的には西方または北方の文化であるのに対し,蜀や倭の文化が南方の文化であることを考慮に入れると,特段奇妙なことではないのではないかと思う。ただし,一般には,「鬼道」とは道教の祭祀のようなものではないかと想像されている。いずれの見解にしても想像だけしかなく,確たる証拠が存在しないところがかなり厳しい。

他方,この鬼のような角を生やした神は,祇園神ないし牛頭大王との関連も疑わせるに十分だ。ケンペルが残した祇園神の図や「北周史君墓」の羊頭神の彫像などを考えてみると,非常に興味深い。

この「太一将行圖」の解釈はとても難しい。しかし,『楚辞』の解釈を丁寧に行おうとすると,どうしても気になる図の1つだ。石川三佐男氏は,1号墓出土のT字型の絹衣の図案を重視して『楚辞新研究』をまとめている。私は,その絹衣と併せて「太一将行圖」の検討を重ねてみようと思う。

日本国においては,「太一」の信仰は,伊勢神宮と極めて深い関係にあり,日本の古代史を理解する上でも必須の部分だと思っている。

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小沢健志『レンズが撮らえた 150年前の日本』

少し前に購入した書籍なのだが,ときどきパラパラめくって写真をながめている。

 小沢健志
 レンズが撮らえた 150年前の日本
 山川出版社 (2013/8/20)
 ISBN-13: 978-4634150478
 http://www.yamakawa.co.jp/product/detail/2219/

類書は多数あるのだが,小型の書籍なのですぐに手にとってながめることができるという利点があるように思う。

『百年前の日本-モースコレクション』の初版が出たときに購入した。内容的には非常に優れており,現在でもときどき参照する。ただし,初版出版当時は大型本で高価だった。

大学の学生には,こうした古い写真,絵画,版本の挿絵等を見るように勧めている。文字だけでは実像が全くわからないはずで,1個でも多く具体的なイメージを獲得したほうが良いにきまっている。

しかし,なかなか理解されない。

文字だけで「わかったつもり」になってしまうのかもしれないが,文字だけですぐに理解できるのであれば誰も苦労はしないのだ。

一般に,とりわけ表音文字は「符号」または「符号列」に過ぎず,それ自体としては特に意味をもっているわけではない。表意文字の場合でも,概念内容を全く知らない者にとっては,単なる「符号」または「符号列」に過ぎない。そんなものをいくら暗記したところで少しも頭脳が明晰になるわけがない。

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小畑弘己『タネをまく縄文人-最新科学が覆す農耕の起源』

Amazonで予約していた下記の書籍が届いたので早速読んでみた。奥付の発行年月日は2016年1月1日になっているけれども,実際には既に発売されている。

 小畑弘己
 タネをまく縄文人-最新科学が覆す農耕の起源
 吉川弘文館(2016/1/1)
 ISBN-13: 978-4642058162
 http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b213026.html

コンパクトな書籍なのだが,最近の目覚ましい考古学上の発見等を踏まえ,とりわけ,キビやアワ等の脱穀・粉砕技術,コクゾウムシの痕跡,土器の形状等を総合的に検討しながら客観的な考察を進めている。根拠とする資料等は巻末にまとめられており,更に深く研究する場合の手掛かりとなるだろう。

近年,農耕技術が朝鮮半島から倭國に伝来したという従来の説には物理的な根拠が欠けるということが指摘され,逆に,考古学上の発見を重視する限り倭國から北上して朝鮮半島に農耕技術が伝来したと推定するほうが合理的だという見解が普通になっている。韓国の学者は決して同意しないかもしれない。しかし,空理空論ではなく物理的・客観的資料を重視すれば,農耕技術北上説のほうが妥当だと考える。

私見では,いわゆる「三韓国」なるものは遼東半島付近にあったと考えるので,農耕技術北上説は私見とも一致する。非常に心強い。

ちなみに,「吉備」の語源は「キビ(黍)」であり「阿波・安房」の語源は「アワ(粟)」にあるとの推論は結構古くからあり,私見も基本的には同じだ。本書を読んで,その感を更に深めた。

『古事記』や『日本書紀』にある「国譲り」は「禅譲」の一種なので,中国の三国時代~隋あたりの時代の中国諸王朝における「禅譲」とシンクロしていると推定しているのだが,更に検討を深めたい。

更に,『古事記』や『日本書紀』では神武天皇の「征服」によって現在にまで至る日本国が始まったということになっている。この「征服」の本質についてもいろいろと考えることがある。「アワ」や「キビ」を主体とする国家から「イネ」を最も重視する国家への変貌は,そのような事情を背景するものではないかと思う。

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我孫子昭二『東京の縄文学-地形と遺跡をめぐって』

下記の書籍を読んだ。

 我孫子昭二
 東京の縄文学-地形と遺跡をめぐって
 之潮(2015/11/13)
 ISBN-13: 978-4902695274

情報量が多く,非常に有用な書籍だと思う。お勧めできる。

普段,東京で暮らしていても,その地下に様々な遺跡が存在していることに気づくことは少ないし.大きなビルのある場所等では既に遺跡が破壊されていて存在しない。

しかし,東京の台地には過去1万年以上にわたって人々が住んでおり,大規模災害によって全滅すれば無人の荒野となった地域に新たに人々が集落をつくって生活するということを繰り返してきた。その痕跡である遺跡が多数存在する。しかし,低地は海または川だったので,基本的には遺跡が存在しない。

低地にも例外となる遺跡があるが,それが存在している原因は様々だ。縄文時代の大海進前の遺跡が水没した例は理解しやすい(一般に,氷河期には現在よりも100メートル以上水位が下がったと推定されている。)。しかし,なかなか理解し難い例もある(局所的な地盤の隆起や沈降のあったことは否定できない。ただし,現在の地質学の通説では,そのような極めて局所的な地盤の変化の存在は無視されている。へたに指摘すると,地価の低下を招き,開発の阻害要因となるので,政府から睨まれる可能性が高いと判断した結果かもしれないと考えることがある。)。

本書では,縄文時代の海水面が現在よりも3メートル程度高かったと推定し,推測される当時の陸地(河川・海)の範囲を明示する図面を用いているので,当時の立地を理解しやすい。

当時の海水面の高さについて3メートル程度としているのは,現在のデベロッパーや建設会社等の利益を考慮した相当控えめなものだろうと思う。多くの人々は,4~7メートル程度高かったと考えている。

そして,更に考えなければならないことは,堅固な堤防等が全く存在しない時代だったので,毎年何度も発生する台風や高潮などに伴って通常の水位よりも5メートル以上高いところまで波浪が押し寄せ全てを洗い流した可能性は十分にあり,更に,大津波があれば,更に10メートル程度高いところまで壊滅的な打撃を与えただろうということは容易に想像することができる。このような状態は,基本的には江戸時代まで続いていたと推定できる。

要するに,現在の海抜で20メートル程度のところまでの低地では,人々は完全な全滅を繰り返してきたということになる。全滅して無人の泥地になったところに別の人々がやってきて村や町をつくり,それがまた完全に壊滅し・・・ということを繰り返してきたのだろう。

結果として,現在まで残されている遺跡の多くは,海抜20メートル以上の台地上に集中している。

私は,考古学の世界でも正直であるべきだと思う。「低地に住んではいけない」という当たり前のことを明確に提示することもまた,学者の重要な社会的責務の一部だろうと信ずる。

この書籍に含まれている情報が極めて有用なものだけに,若干惜しまれる。

(追記)

関東地方の低湿地や河川敷等には「***の自生地」等として保護されている場所が少なくなく,しかも,そのような場所で保護されている植物は「何万年も前から自生している」等々と説明されることが珍しくない。しかし,その圧倒的多数の例において失笑を禁じえない。なぜなら,縄文時代以降の非常に長い年月にわたり河川や海の底だった土地であり,その後の(主に江戸時代以降の)干拓等によって陸地化したところでもかなりひどい水害がたびたび発生していたことが記録によって証明可能だからだ。

私見では,そうした「****の自生地」なる場所に生えている植物の多くは,コケ類や非常に小型の水生植物等を除き,基本的には人為的な植栽によるものの子孫だろうと考えており,しかも,種としても野生種というよりは人工交配による品種だろうと推定したほうが合理的な場合が多いと考える。

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斎野裕彦『富沢遺跡-東北の旧石器野営跡と湿地林環境』

下記の書籍を読んだ。

 斎野裕彦
 富沢遺跡-東北の旧石器野営跡と湿地林環境
 同成社(2015/9/15)
 ISBN-13: 978-4886217103

宮城県仙台市にある富沢遺跡の発掘調査結果をわかりやすく丁寧に解説した書籍で,良書と言えると思う。

この遺跡は,現在では,地底の森ミュージアムとして保存されている。

  仙台市:地底の森ミュージアム
  http://www.city.sendai.jp/kyouiku/chiteinomori/

日本の旧石器時代遺跡に関しては,「神の手」として知られる捏造事件があった。日本の考古学に大打撃を与えた事件だったのだが,現在でもその影響が残っている。本書においてもそのことが触れられており,捏造の有無を意識した丹念な考察が重ねられている。

私の意見によれば,石器については何とも言えないが,野営地跡の痕跡に関しては捏造することが極めて難しいのではないかと思う。

それ以上に興味をひいたのは,過去20000年にわたり蓄積した地層の解析結果を踏まえ,20000年前の地層部分に残された樹木の根の化石や動植物の微細な化石に対する綿密な調査結果が示されていることだ。

研究結果によれば,当時の仙台市周辺の気候は,現在のロシア・ウラジオストクとほぼ同じということだ。かなり寒い。現在の日本の植生に関しては「氷河期の残存物」なる説明がなされていることが少なくないのだが,そのような植物の中にはロシアのウラジオストクでは寒すぎて100%間違いなく死滅してしまうようなタイプのものが数多く含まれているところが笑える。従来の植物学の中には誤謬が蔓延している。

他方,20000年前の地層と縄文時代の地層との間にはぶあつい砂・粘土層がある。北海道の遺跡では恵庭火山の噴火により全面絶滅をもたらした火山灰等により形成されたものであることが判明しているところもあるようなのだが,おそらく,富沢遺跡も同じだろうと思う。要するに,20000年前の植生と現在の植生との間には全面絶滅により断絶がある。当然のことながら,ヒトを含む動物もほぼ全面的に死滅したものと推定される。現時点で存在している北方系の動植物は,日本列島の火山噴火活動が沈静化した後の時代に再度進出してきたものではないかと推定され,最も新しい時代としては,鎌倉時代にあたる小氷期ころに再度進出してきたものではないかと考えられる。この点でも,現在の植物学は根本的な見直しを迫られていると考える。

少なくとも,カンアオイの類は,氷河期の残存物では絶対にあり得ない。古墳時代以降に中国大陸から薬草として人為的に移入されたものと推定され,しかも,その大半は,江戸時代ころに観賞用として交配された人工交配品種を野山に植えて育てていたものの子孫だろうと推定できる。このことは,他の有用植物でも言えることで,遺伝子解析の結果をうまく説明できないものの大半は,そのような人工交配品の子孫だと仮定して考え直してみるとたちまち説明可能になるものばかりだ。それゆえ,日本の環境行政は,行政庁としての存立の可否をわけるような極めて重要な本質的な部分で再検討を迫られていると言えるのだが・・・

本書の感想に戻ると,論述は極めて丁寧かつ誠実で好感をもてる。

日本の旧石器時代に感心のある人だけではなく,日本の動植物学に興味をもつ人にも是非とも一読をお勧めしたい書籍だと考える。

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上條信彦『縄文時代における脱殻・粉砕技術の研究』

下記の書籍を読んだ。

 上條信彦
 縄文時代における脱殻・粉砕技術の研究
 六一書房(2015/10/20)
 ISBN-13: 978-4864450621
 https://www.book61.co.jp/book.php/N55834

労作と言える。

近時,「縄文時代」なるものの見直しが進んでおり,多数の書籍が刊行されるようになった。よいことだと思う。

権威者の権力だけで学説を押し付ける時代は終わりにしなければならない。

地道な実証的研究の積み重ねが尊重されるべきだ。

本書の主たる考察対象は,何のへんてつもない石器の用途に関する徹底した研究なのだが,石器や土器に残された痕跡を研究し尽くし,縄文時代と呼ばれてきた時代の農業や社会の実相を更に鮮明にしている。論述は説得力があり,納得できる部分が多い。

私見によれば,本書で扱われているような古代の文化が相当遅くまで残っていたのではないかと思う。子供の頃に育った岩手県の山村部にはそのような文化の痕跡が残存していたことを私は現実に知っている。

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2015年12月22日 (火曜日)

他人の記憶の移転は可能か?

下記の記事が出ている。

 Could we soon IMPLANT memories into other people? Electrodes in the brain may make Star Trek-style 'mind melds' a reality
 Daily Mail: 22 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3370113/Could-soon-IMPLANT-memories-people-Electrodes-brain-make-Star-Trek-style-mind-melds-reality.html

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Java SE

下記の記事が出ている。

 Nearly a billion PCs run this notoriously insecure software. Now Oracle has to clean it up.
 Washington Post: December 21, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2015/12/21/nearly-a-billion-pcs-run-this-notoriously-insecure-software-now-oracle-has-to-clean-it-up/

 Oracle settles with FTC over Java's “deceptive” security patching
 ars technica: December 22, 2015
 http://arstechnica.com/information-technology/2015/12/oracle-settles-with-ftc-over-javas-deceptive-security-patching/

[追記:2015年12月23日]

関連記事を追加する。

 Java plug-in malware alert to be issued by Oracle
 BBC: 22 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35159851

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政府による監視を実現するための新HTTPプロトコル

下記の記事が出ている。

 Error 451: The new HTTP code for censorship
 ZDNet: December 21, 2015
 http://www.zdnet.com/article/error-451-the-new-http-code-for-censorship/

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2015年12月21日 (月曜日)

米国:イランのハッカーが2013年にニューヨーク近郊のダムのコンピュータシステムをサイバー攻撃していたらしい

下記の記事が出ている。

 Iranian hackers 'targeted' New York dam
 BBC: 21 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35151492

 Report: Iran hacked into a New York dam in 2013
 the Hill: December 21, 2015
 http://thehill.com/policy/cybersecurity/263898-report-iran-hacked-into-a-new-york-dam-in-2013

ダムの管理システムの制御が奪われた場合,急激な放水等によって下流域に甚大な被害を発生させることができるほか,広域に停電を発生させることもできる。

同じようなことは,原発や化学プラントでもいうことができるのだが,こちらのほうの被害は回復不可能な規模になる可能性がある。

2013年の事件が現時点で報道されている原因については,冷静に考えてみるべきだと考える。

なお,下記のような記事も出ている。

 The DOOMSDAY plan: Military bosses reveal survival system that is in place if America's power systems are wiped out by cyber attacks
 Daily Mail: 18 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3366563/The-DOOMSDAY-plan-Military-bosses-outline-survival-America-s-power-systems-wiped-cyber-attacks.html

[追記:2016年3月11日]

関連記事を追加する。

 U.S. plans to publicly blame Iran for dam cyber breach
 CNN: March 10, 2016
 http://edition.cnn.com/2016/03/10/politics/iran-us-dam-cyber-attack/

[このブログ内の関連記事]

 ドイツ:電力会社の送電網に対するDDoS攻撃があったらしい
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/ddos-193f.html

 米国:電力網はテロ攻撃に弱いとの指摘
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-bca0.html

 インド:インドの電力網はサイバー攻撃に弱いとの指摘
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-59d3.html

 Anonymousは米国の電力網を麻痺させることができる
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/anonymous-8936.html

 ICS/SCADAを狙うStuxnet類似のサイバー攻撃
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/icsscadastuxnet.html

 SCADAに対する新たな攻撃?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/scada-0755.html

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軍用機用レーザー光線兵器

下記の記事が出ている。

 US Air Force will have laser weapons on planes by 2020: Claims Star Wars technology is at a 'tipping point' - and there are even plans for a force field protection bubble
 Daily Mail: 17 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3364972/Air-Force-laser-weapons-planes-2020-Claims-Star-Wars-technology-tipping-point-plans-force-field-protection-bubble.html

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航空機と衝突するのはドローン(無人航空機)よりも亀のほうが多い?

下記の記事が出ている。

 Airplanes have hit more turtles than drones
 Mashable: 19 December, 2015
 http://mashable.com/2015/12/18/turtles-vs-drones-airplane-hit/

ドローンよりも動物のほうが個体数が多いので,当然と言えば当然のことではないかと思う。ただし,近未来的には飛行中の航空機がドローンと衝突して墜落事故を起こすといったことが必ず起きると予想される。滑走路を走行中の航空機が地上走行中のドローンを踏みつぶしてもそれほど大きな事故にはならないだろうが,エンジンが小型ドローンを吸い込むと直ちに失速の危険性が生ずるからだ。

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高橋郁夫・梶谷篤・吉峯耕平・荒木哲郎・岡徹哉・永井徳人編『デジタル証拠の法律実務Q&A』

下記の書籍の寄贈を受けたままちゃんと読んでいなかったのだが,大学の2015年内の講義が次第に終了となり時間に余裕が出てきたので,全部読んでみた。

 高橋郁夫・梶谷篤・吉峯耕平・荒木哲郎・岡徹哉・永井徳人編
 デジタル証拠の法律実務Q&A
 日本加除出版(2015/9/14)
 ISBN-13: 978-4817842480
 https://www.kajo.co.jp/book/40597000001.html

この分野の書籍の出版には難しさがある。それは,文系の人間にとっては技術的事項がよくわからず,理系の人間にとっては法解釈論がよくわからないので,両方とも満足させることのできる書籍を執筆することが非常に難しいということに起因している。

私は,かつて,『ITセキュリティソリューション大系』という大型の専門書籍の出版に関与したことがあり,自分でも分担執筆をしたことがあるので,その難しさがよくわかる。

『デジタル証拠の法律実務Q&A』では,図版を多く用いて文系の読者でも技術的な事項に関する具体的なイメージをつかみやすいように工夫されている点が非常に良いと思う。

実務書であり理論書ではないので,刑訴法上の法解釈論という面では深みに欠ける印象を受けるけれども,何が問題でありどのように考えればよいかというきっかけのようなものを知るためにはかなり有用な書籍だと評価できる。

内容のレベル(理解する上での難易度)としては,大学法学部や大学院等で使用するとちょうど良い感じがする。

なお,刑訴法上の論文としては,だいぶ前に法学教室誌上に掲載された井上正仁「コンピュータ・ネットワークと犯罪捜査」があるけれども,最近はあまり良い論文がない。

私は,『Q&Aインターネットの法務と税務』で少し書いている。そこでは克服不可能な理論上・運用上の困難が存在していることを示唆している。これも実務書のようなものなので,再来年あたりにちゃんとした法律論文を書こうかと思う。

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2015年12月20日 (日曜日)

経済産業省:渋谷私書箱トミーに対する犯罪による収益の移転防止に関する法律違反行為是正のための行政処分

下記のとおり公示されている。

 犯罪による収益の移転防止に関する法律違反の特定事業者(郵便物受取サービス業者)に対して行政処分を行いました
 経済産業省:2015年12月17日
 http://www.meti.go.jp/press/2015/12/20151216003/20151216003.html

これによると,「国家公安委員会による意見陳述及び経済産業省による立入検査の結果、渋谷私書箱トミーは、犯罪収益移転防止法が施行された平成20年3月1日以降に、顧客との間で締結した郵便物受取サービスに係る契約について、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律(平成23年法律第31号)による改正前の犯罪収益移転防止法(以下「旧犯罪収益移転防止法」という。)第4条第1項及び第2項に基づく本人確認並びに同法第6条第1項及び第2項に基づく本人確認記録の作成及び保存並びに犯罪収益移転防止法第4条第1項及び第4項に基づく取引時確認並びに同法第6条第1項及び第2項に基づく確認記録の作成及び保存を行っていない」と認められたとのこと。

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特許庁:臨時職員の募集

下記の募集がある。応募締め切りは,平成28年1月4日(月曜日)必着(持参の場合は12時まで受付)とのこと。

 【意匠課】臨時事務補助職員(パートタイム)(月14日勤務)募集について
 特許庁:2015年12月18日
 https://www.jpo.go.jp/shoukai/saiyou/rinji_20151218_isho.htm

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総務省:戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の平成28年度研究開発課題の公募

下記の公募がある。公募期間は,平成28年1月12日(火)から同年2月12日(金)17:00までとのこと。

 戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の平成28年度研究開発課題の公募
 総務省:2015年12月18日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000151.html

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IPA:「先進的IoTプロジェクト支援事業」に係る公募

下記の公募がある。提出期間は,2016年1月13日(水)から 2016年1月15日(金) 12時00分まで(正午)とのこと。

 「先進的IoTプロジェクト支援事業」に係る公募
 独立行政法人情報処理推進機構
 https://www.ipa.go.jp/about/kobo/kobo20151218.html

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河南省文物考古研究所・永城市文物旅游管理局編『永城黄土山与酇城漢墓』

下記の書籍を読んだ。

 河南省文物考古研究所・永城市文物旅游管理局編
 永城黄土山与酇城漢墓
 大象出版社
 ISBN: 9787534757525

被葬者は,前漢時代の梁國の王とその后ではないかと推定されているようだ。

墓室に残されている石彫や副葬品が極めて素晴らしく,前漢(西漢)時代の文化を知るために非常に役立つ。

遺物の特徴は,全体として,漢風というよりはヘレニズムの一種として理解したほうが良いように思う。特に動物の造形がそれを示している。

陵墓のある山の詳細な平面図がないので残念なのだが,表紙写真にある側面図を見る限り,長型の方墳のような形をしているように見える。

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人類はロボットを管理可能かどうかに関するワシントンポストの記事

下記の記事が出ている。

 The billion-dollar robot question — how can we make sure they’re safe?
 Washington Post: December 18, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/innovations/wp/2015/12/18/the-billion-dollar-robot-question-how-can-we-make-sure-theyre-safe/

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古代の鮮卑族の復姓

ちょっと気になるものだけまとめてみた。

   鮮卑姓  漢姓  類似和名 備考

   素和氏  和氏  諏訪
   賀蘭氏  賀氏  多賀
   賀賴氏  賀氏  多賀
   叱盧氏  祝氏  磐井
   賀葛氏  葛氏  葛城
   大野氏  李氏  大野    唐
   是連氏  連氏  連
   賀屯氏  屯氏  村主
   宥連氏  雲氏  出雲
   阿伏干氏 阿氏  阿閉
   伊婁氏  伊氏  伊賀
   羽弗氏  羽氏  羽鳥
   丘林氏  林氏  林
   屋引氏  房氏  安房
   須卜氏  卜氏  卜部
   莫蘆氏  蘆氏  蘆名
   阿鹿桓氏 鹿氏  鹿嶋
   車焜氏  車氏  車持
   是樓氏  高氏  高倉    北斉
   賀兒氏  兒氏  可児
   歩六狐氏 陸氏  陸奥
   乞扶氏  扶氏  扶余
   宇文氏  慕容氏 宇部    北周
   尒錦氏  錦氏  錦織
   直勒氏  謝氏  与謝
   破落那氏 那氏
   叱門氏  門氏
   獨孤氏  劉氏
   歩大汗氏 韓氏
   拓跋氏  元氏         北魏
   烏丸氏  桓氏
   叱呂引氏 呂氏
   紇骨氏  胡氏
   普乃氏  周氏
   拔拔氏  長孫氏
   達奚氏  奚氏
   兵敦氏  丘氏
   万俟氏  亥氏
   乙旃氏  叔孫氏
   兵穆氏  穆氏
   賀樓氏  樓氏
   僕闌氏  僕氏
   万恆干氏 干氏
   若干氏  苟氏
   拔列蘭氏 梁氏
   拔略氏  略氏
   叱羅氏  羅氏
   普六如氏 茹氏
   他駱拔氏 駱氏
   薄奚氏  薄氏
   是賁氏  封氏
   吐谷渾氏 渾氏
   是云氏  云氏
   叱利氏  利氏
   如羅氏  如氏
   出連氏  畢氏
   賀拔氏  何氏
   莫那婁氏 婁氏
   慕輿氏  輿氏
   屈突氏  屈氏
   沓盧氏  沓氏
   吐難氏  山氏
   侯莫陳氏 陳氏
   歩鹿根氏 歩氏
   破多羅氏 潘氏
   叱奴氏  狼氏
   烏洛蘭氏 蘭氏
   若口引氏 寇氏

一般に,鮮卑族の直接の子孫は中国の少数民族・錫伯族(シベ族・シボ族)とされている。私見では,「鮮卑」とは,古い時代にバクトリアなどの西方から移動してきた人々が他の民族を吸収し混血を繰り返しながら形成された民族の総称ではないかと考えている。鮮卑には多種類の民族(部族)が含まれており,単一民族であるとは到底考えられない。

「錫伯」と「司馬」は同じだろうと考えている。古代日本の「嶋」も同じだろうと考える。

「島」ではなく「嶋」を用いるのは,古代の王侯貴族の楽しみだった狩猟と関連していると考える。

「嶋」の字は「山」+「鳥」で構成されている。

魏晋南北朝時代の中国の貴族の高貴な楽しみとして狩猟(鷹狩)があり,主にキジ(雉・山鳥)を狩猟の対象とした。

日本の古墳には,明かに魏晋南北朝時代の鷹匠の姿をうつしたものと思われる埴輪がある(例:茨城県石岡市・丸山4号墳墓出土埴輪など)。また,埼玉県のさきたま古墳群出土の兜のように,明らかに雉(山鳥)の尾羽を飾ったものと推定されるものが多数出土している。鷹狩をする武人の姿をうつした埴輪も出土している(例:高槻市の今城塚古墳など)。

キジやヤマドリは,日本国固有種とされているが,古代の中国から狩猟用に搬入され改良された品種が野生化して適応した個体の子孫と推定される。トキもまた同じ。

なお,鮮卑族の氏姓に関する網羅的な研究書としては,王仲牽(鄭宜秀整理)『王仲牽著作集 鵲華山館叢稿續編』(中華書局、2007/11)がある。

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BBCが日本とロシア向けに自動翻訳による番組配信

下記の記事が出ている。

 BBC to machine-translate TV news into Japanese and Russian
 ars technica: December 20, 2015
 http://arstechnica.com/business/2015/12/bbc-to-machine-translate-tv-news-into-japanese-and-russian/

日本の放送局もこういうことをすれば良いのに・・・という意見があるかもしれないが,番組内容が空虚または俗悪過ぎてあまりにも恥ずかしいので,海外への情報発信はやめたほうがよいと思う。

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2015年12月19日 (土曜日)

Microsoft Officeを狙うマクロウイルスの再来?

下記の記事が出ている。

 New, improved Macro malware hitting Microsoft Office
 SC Magazine: December 18, 2015
 http://www.scmagazineuk.com/macro-malware-hitting-microsoft-office-16-years-later/article/460255/

 Macro Malware Is Back
 DARK Reading: December 15, 2015
 http://www.darkreading.com/partner-perspectives/intel/macro-malware-is-back/a/d-id/1323570

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人類の活動によって生物の種類が激増?

下記の記事が出ている。

 Humans have been harming Earth for 6,000 years: Spread of farming caused a tipping point that 'irreversibly' changed the world
 Daily Mail: 17 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3363879/Humans-harming-Earth-6-000-years-Spread-farming-caused-tipping-point-irreversibly-changed-world.html

これまで野生の動植物だと信じられてきたものの中には,かなり多数の人工品種が含まれている。

日本の場合,江戸時代以降に顕著となっていると推定される。

環境省によって絶滅のおそれのある野生種として指定されている動植物の中にも人工的に作出された動植物の子孫が含まれている。

それは,自然保護なのだろうか?

私は,農水省所管の品種保護のほうが妥当だと考える。

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EU:スパイウェアによるプライバシー侵害に対する対応

下記の記事が出ている。

 Things we should regulate: Spyware cowboys – EU Data Protection Supervisor
 Register: 17 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/17/eu_regulator_spyware_alarm/

EDPSの文書は,下記のところにある。

 Dissemination and use of intrusive surveillance technologies
 EDPS: 15 December 2015
 https://secure.edps.europa.eu/EDPSWEB/webdav/site/mySite/shared/Documents/
Consultation/Opinions/2015/15-12-15_Intrusive_surveillance_EN.pdf

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ビッグデータによる個人データの生成

「個人情報を個人情報として取得し,分類・整理して記録すると個人データになる」という図式で考えられており,法制もそのような理解を前提にしている。

しかし,雑多なデータをとにかく網羅的に収集・蓄積した上で,後に解析を加えるビッグデータのモデルでは,少なくともデータの収集者には「個人情報の取得」という認識がない(ただし,厳密には,概括的・未必的故意のようなものを認めることは可能。)。

そのような認識がなくても,属性値を基準として分子生物学を応用した生物分類学的な手法により「名寄せ」をすると,個人データを自動的に「生成」することができる場合がある。これは,法の想定している「取得」とは異なるし,事前に目的を明示することもできない。単に自動的に生成されるというだけのことであり,具体的な使用目的が存在しないからだ。生成された後の個人データについては,新たに目的を設定することができるけれども,それは自動的に保有してしまった個人データを具体的に利用するという行為に該当し,これまで法の想定している個人データの取得や利用とは異なる態様となる。

このようにしてデータの自動生成により推定可能なデータの中には「マイナンバー」も含まれるので,仮にマイナンバーそれ自体が無権限で取得されておらず機密性を維持している場合であっても,何ら保護していないのと同じ状況が発生することはあり得る。

他方で,ビッグデータ全体の保有者(管理者)と解析者(利用者)とが全く異なる法人格を有する場合,誰が「個人情報取扱事業者」となるのかが曖昧になる(ただし,理論的には確定できる場合があり得る。)。そして,仮に個人情報取扱事業者と推定すべき者を確定できたとしても,その者が日本国の国家主権に服する者とは限らず,日本国の国家主権の及ばない者である場合には,当然のことながら,日本国の個人情報保護法が適用されることもない。日本国の法制は,このような事態の発生も想定していない。

にもかかわらず,ビッグデータの利活用を促進しようとすると,どのような社会的弊害が発生するのかについて明確に論ずる者が少ない。明確に論ずると「ほされる危険性」があるからだ。

何とも八方塞がりの状況となりつつある。

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EU:全企業中の少なくとも5社に1社はサイバー攻撃によってデータを奪われている?

下記の記事が出ている。

 At Least 1 in 5 European Enterprises Loses Data Through Targeted Cyber Attacks
 infoSecurity: 18 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/blogs/data-losses-through-targeted-cyber/

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歐陽修の「日本刀歌」

歐陽修(宋)に「日本刀歌」というものがある。

 昆夷道遠不復通 世傳切玉誰能窮
 寶刀近出日本國 越賈得之滄海東
 魚皮裝貼香木鞘 黃白閒雜鍮與銅
 百金傳入好事手 佩服可以禳妖凶
 傳聞其國居大島 土壤沃饒風俗好

 其先徐福詐秦民 採藥淹留丱童老
 百工五種與之居 至今器玩皆精巧
 前朝貢獻屢往來 士人往往工詞藻
 徐福行時書未焚 逸書百篇今尚存
 令嚴不許傳中國 舉世無人識古文

 先王大典藏夷貊 蒼波浩蕩無通津
 令人感激坐流涕 繡澀短刀何足云

岡田正之『近江奈良朝の漢文詩』(東洋文庫、1929)は,北畠親房の『神皇正統記』にある徐福渡来に関する記述(出典不明)について,この「日本刀歌」に依拠するものではないかとの説を示している。私もそうかもしれないと思う。

「先王大典藏夷貊」を重視すると,「百済國」は「夷貊國」の後裔であり,(『日本書紀』によれば,五経博士によって「百済」から)経典・経書の類が日本国(倭國)に伝来して残ることになったと解することもできそうなのだが,「百済」の意義については慎重に検討すべき部分が多過ぎる。

[このブログ内の関連記事]

 韓吉紹校釈『黄帝九鼎神丹経訣校釈』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-3a56.html

 埴輪の頭にある板状のものは爵弁か?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-2572.html

 林博通『大津京跡の研究』
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-87d3.html

 『扶桑略記』中の天智天皇に関する記述
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-1f07.html

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ブラジル:WhatsAppの禁止に関する議論

下記の記事が出ている。

 Brazil's ban on WhatsApp is lifted less than 24 hours after it began
 Washington Post: December 17, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2015/12/17/brazil-silences-whatsapp-message-service-for-48-hours-but-nothing-stops-the-outrage/

[追記:2016年7月20日]

関連記事を追加する。

 Annoyed at crypto, Brazilian judge orders mobile carriers to block WhatsApp
 ars technica: July 20, 2016
 http://arstechnica.com/tech-policy/2016/07/annoyed-at-crypto-brazilian-judge-orders-mobile-carriers-to-block-whatsapp/

[追記:2016年7月21日]

関連記事を追加する。

 WhatsApp blocked, back up again after third court-order in Brazil
 Naked Security: 20 July, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/07/20/whatsapp-blocked-back-up-again-after-third-court-order-in-brazil/

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中国の馬鹿洞人

下記の記事が出ている。

 Bone of mysterious 'Red Deer Man' found in Chinese cave may belong to new species of primitive human that lived until just 14,000 YEARS ago
 Daily Mail: 18 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3364509/Did-primitive-humans-survive-14-000-year-ago-Thigh-bone-mysterious-Red-Deer-Man-species-suggests-early-relatives-lived-far-later-believed.html

[追記:2015年12月31日]

関連記事を追加する。

 The human migration out of Africa left its mark in mutations
 ars techinica: December 31, 2015
 http://arstechnica.com/science/2015/12/the-human-migration-out-of-africa-left-its-mark-in-mutations/

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Uberと契約している運転手の個人データ流出事件

下記の記事が出ている。

 Exclusive: U.S. Justice Department probes data breach at Uber - sources
 REUTERS: December 18, 2015
 http://www.reuters.com/article/us-uber-tech-lyft-probe-exclusive-idUSKBN0U12FF20151218

 US reportedly pursuing criminal investigation for Uber data breach
 Verge: December 18, 2015
 http://www.theverge.com/2015/12/18/10621854/uber-investigation-DOJ-lyft-data-breach

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HIV患者データの外部流出事件

下記の記事が出ている。

 HIV clinic fined £250 for data breach
 BBC: 18 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35131543

 ICO slaps HIV support group with £250 fine following email blunder
 Register: 18 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/18/ico_slaps_clinic_responsible_for_hiv_email_
blunder_with_250_fine/

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2015年12月18日 (金曜日)

第9回アジア考古学四学会合同講演会「アジアの鉄」

下記の講演会が開催される。

 第9回アジア考古学四学会合同講演会「アジアの鉄」
 日時:2016年1月9日(土)
 場所:明治大学駿河台キャンパス リバティータワー1階1011教室
 http://jswaa.org/symposiums_all/symposiums/

[追記:2016年1月9日]

この講演会を聴いてきた。大盛況だった。

講演はどれも素晴らしいもので,講演要旨もしっかりとしたものだった。

とりわけ,基調講演「東アジアの鉄・鉄器生産技術の系譜と特質」村上恭通(愛媛大学教授)は非常に勉強になった。

太一余糧の本質について,古代の製鉄業と関連するものではないかとの仮説をたて,「『楚辞』の蘭」に書いたのだが,少しだけ自説に自信ができた。

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JIPDEC感謝の集い2015

JIPDECから何故か招待状が届いていたので,参加してみた。六本木のラフォーレが会場で,昨日18:00ころに会場に到着。盛会だった。

会場には企業関係者が多かった。知り合いとしばし歓談した後,某氏と近くのレストランに移動し意見交換を継続。

終電にどうにか間に合ったものの,帰宅したのは午前零時30分過ぎで,少し疲れた。

つらつら考えるのだが,JIPDECの本体業務は非常に重要なものなので,今後もしっかりやってほしいと思う。ただ,将来のビジョンがかなりしょぼい。

これはJIPDECの問題というよりも経産省の問題で,現実問題として,未来を正しく見通せる人材がいないのだろうと思った。

私は,経産省とは関係がないので,自分流で更に研究を進めることにする。私の問題意識にまで達している人材が少なくとも日本国内では皆無だということを再確認できたので,更に自信をもって研究を進めることができる。

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椙山敬士・上沼紫野・市川穣・曽根翼・片山史英『著作権法実戦問題』

椙山敬士先生から下記の書籍を寄贈していただいた。

 椙山敬士・上沼紫野・市川穣・曽根翼・片山史英
 著作権法実戦問題
 日本加除出版 (2015/11/30)
 ISBN-13: 978-4817842725

学術書ではないので専門論文や判例等の参照が比較的少ないが,一般向けの書籍としては過不足ないと思った。

ネット上で生ずる著作権法上の主要な問題についてQ&A形式で書かれているもので,最新の話題(論点)についても多く触れられており,企業だけではなく個人としてブログ等を運営している読者にとっても大いに参考になる書籍ではないかと思う。

当事者が複数存在する場合の法的救済手段に関する部分といわゆるキュレーションに関する部分を特に丁寧に読んでみた。標準的な解説としては十分ではないかと思う。ただ,これらの論点に関しては,もっと掘り下げて考察・検討しなければならない課題が山積しており,私が実例として知っている事例等においては相当深刻な事態が生じていることもあるので,今後更に研究が尽くされるべきだろうと思う。現時点では,研究それ自体が全体としてまだまだ未成熟ではないかというような印象をもつ。その根源的理由としては,知的財産権法を民法とは別系統の独立した領域であるとの誤解が存在していることにあるのではないかと思う。民法,民事執行法,民事保全法等についての研究を尽くさなければ,真の解決策を示すことができないし,学術としても成熟しない。

以上のような感想をもったのだが,さすが椙山先生が中心となってまとめた書籍だけあって,手堅く仕上げているというのが全体的な感想だ。

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S.オオノ(山岸秀夫・梁永弘訳)『遺伝子重複による進化』

古い書籍なのだが,基本的文献の1つなので,オンデマンド版を購入して読んだ。

 S.オオノ(山岸秀夫・梁永弘訳)
 遺伝子重複による進化
 岩波書店 (1977/11/22)
 ISBN-13: 978-4000050388

非常にわかりやすく論述されており,私のような素人でも短時間で完全に理解することができた。現時点においても入門書として最適ではないかと思う。

この分野では新しい論文がどんどん出ており,毎日のようにそれらを斜め読みしながら考察を重ねている。

技術論としても,古典的な「遺伝的アルゴリズム」の考え方の致命的な欠陥を理解することができる。要するに,「遺伝」の本当の本質を全く知らないでこの理論が構築されているので空理空論に近い。

他方で,生物がいかにインチキをしながら生きている物体であるかを理解することができる。「インチキ」は生物の本質ということになるのだろう。もしそうだとすれば,かなり多くの種類の犯罪行為は避けることができないものという意味で現在の刑法理論(意思責任論)では対処することのできない現象だと認識しなければならないことになる。ただし,刑法学者は一切認めないだろうと思う。ちょっとでも認めてしまうと自己の存在根拠を自ら否定してしまうことになるからだ。

私自身は,刑法学者ではなく,いかなる刑法学説の支配・影響も受けないで真理を探究することのできる立場にある。本当によかったと思う(笑)。

ともあれ,来年公表する予定で準備を進めているある論説の大まかな構想をほぼ固めることができた。更に勉強を重ねて細部を仕上げようと思う。

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匿名化された個人情報は本当に識別不能か?

改正個人情報保護法28条1項は,「本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの開示を請求することができる」と規定している。

ある俗説によれば,匿名化された個人情報であれば「識別されない」として該当性なしとのこと。愚説だと思う。

完全に識別不能であれば,個人データではなく,単なるゴミだ。そんなものを事業者が管理するわけがない。機密保持のために匿名化されていても識別可能なものとして処理可能でなければ意味がないという当たり前のことを理解すべきだろう。

つまり,電子的に匿名化されているという事実は,法的にはほとんど意味がないと考えるべき場合が圧倒的に多いということを知るべきだ。しかも,非常に近い将来,量子コンピュータが普及し,普通の方法による暗号化が全く意味をもたなくなってしまう時代となるので,技術的な意味でも無意味なことだと認識すべきだと考える。

他方で,請求があった場合に事業者が請求に対応した開示等の可否を正確に判断できるかというとかなり疑わしい場合が少なくない。企業の規模にもよるが,専門セクションを設置・運用するだけの余力のある企業がどれだけあるか相当に疑問だ。しかも,司法試験に合格していない素人の判断は危ない場合が予想され,かつ,弁護士ではない者が業務としてコンサルティング等をする場合には弁護士法違反の問題が直ちに発生する。さりとて,請求の当否について常に顧問弁護士等に相談するとなると,コスト(タイムチャージ)の問題が発生し,余力のない企業にはとても耐えられない。

ベターな解決方法としては,「裁判所で請求してください」と返答して,裁判官の判断に丸投げしてしまうというのがせいぜいの防御策ということになるのではないかと思う。

立法者は,そういう実情を理解して法改正をしたのかどうか,私は疑問に思う。

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スパマーはDropboxとGoogle+を悪用して誘導している?

下記の記事が出ている。

 Spammers Use Dropbox And Google+ To Send Spam Lure Messages
 infoSecurity: 17 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/spammers-use-dropbox-to-send-spam/

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古代ローマ人は北米大陸に到達していた?

下記の記事が出ている。

 Did the ROMANS discover America? Radical theory claims sword found on Oak Island suggests ancient mariners set foot on the New World before Columbus
 Daily Mail: 17 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3364818/Did-ROMANS-discover-America-Sword-Oak-Island-suggests-ancient-mariners-set-foot-New-World-Columbus-according-radical-theory.html

[追記:2016年1月25日]

関連記事を追加する。

 More Evidence that Ancient Romans May Have Made It to Oak Island, Canada
 Ancient Origin: 24 January, 2016
 http://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/more-evidence-ancient-romans-may-have-made-it-oak-island-canada-005233

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自作の自動操縦自動車を公道で走行させることができるか?

下記の記事が出ている。

 The First Person to Hack the iPhone Built a Self-Driving Car. In His Garage
 Bloomberg: December 16, 2015
 http://www.bloomberg.com/features/2015-george-hotz-self-driving-car/

 Hacker hacks off Tesla with claims of self-driving car
 ars technica: December 18, 2015
 http://arstechnica.com/cars/2015/12/hacker-hacks-off-tesla-with-claims-of-self-driving-car/

日本の場合,道路交通法上禁止と考えるしかないことと車検制度が自動操縦自動車に全く対応していないことから,無理だろうと思う。

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米国:iYogiに対し,消費者に対する欺瞞行為幇助の疑いで訴追?

下記の記事が出ている。

 US state accuses tech support firm of scamming users
 BBC: 17 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35120932

 ワシントン州、テクニカルサポート詐欺でテクニカルサポート世界最大手のインド企業を告訴
 Business Newsline: 2015年12月17日
 http://www.businessnewsline.com/news/201512172250280000.html

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2015年12月17日 (木曜日)

改正個人情報保護法2条3項の「要配慮個人情報」

改正個人情報保護法2条3項は,「要配慮個人情報」の定義として,「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」と規定している。「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実」は例示に過ぎず,不当な差別を生ずるおそれのある情報は全て「要配慮個人情報」に含まれ得る。

欧米では比較的容易に定義できるかもしれない。

しかし,漢字を用いる東アジアでは異なる。

漢字1文字だけである特定の少数民族しか用いない姓や名であることが判明してしまうことがあるからだ。

解決策としては,漢字による情報の取得を全面的に禁止し,ローマ字による取得のみを認めることとするしかないように思う。

他方,本人確認のために免許証の提示を求める場合,その裏面を読むこと及びその裏面のコピーを提出させることは違法となる場合があり得る。私は「優良」運転手であり,裏面には何の記載もないが,交通違反歴を有する者の場合にはその記載があるからだ。これも「要配慮個人情報」となる。

更に,男女の別についての情報取得は原則として禁止すべきだろう。世間には,外貌,本人の意識,遺伝子の全部が食い違っていて一致していない人々が結構多数存在する。つまり,男女の相違を示す情報は,差別の原因となり得る。

こういう具合に数えきれないほど多数の問題がある。

蛇足になるが,「政令」によって差別の可能性のある情報の種類を限定してしまった場合,それ以外の種類の情報により著しい差別が発生したときは,国家賠償責任の原因となり得ると考える。無能に起因して政令の規定を誤った場合には,当該政令等を策定した公務員も厳しく罰せられるべきだろう。

たぶん,象形文字である漢字文化や東アジアの長きにわたる苛烈な歴史を知らず,生物学や遺伝子科学を全く知らない人々が空理空論で個人情報保護法制を論じているからこういうことになるのだろうと思う。

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税関係の書類は全部違法かもしれない

給与所得者は扶養控除等の年末調整のための申請書を提出する時期になっている。

この申請書を含め,日本に存在するほぼ全部の書式等が違法かもしれない。

なぜなら,個人番号を記載する欄があるのに,それが第三者の目に触れないようにする仕様にはなっていないからだ。

明らかに書式それ自体が違法だと言える。

つまり,個人番号制度は,現実には実施できない。

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大地震の発生は魚類の進化を促進している?

下記の記事が出ている。

 Earthquake Forced Rapid Evolution in Fish
 Discovery News: December 16, 2015
 http://news.discovery.com/earth/weather-extreme-events/earthquake-forced-rapid-evolution-in-fish-151216.htm

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EU:児童の個人データの取得制限を含め,個人データ保護の大幅強化を目的とする個人データ保護指令等の改正動向

下記の記事が出ている。

 Europe Approves Tough New Data Protection Rules
 New York Times: December 15, 2015
 http://www.nytimes.com/2015/12/16/technology/eu-data-privacy.html

 EU agrees draft text of pan-European data privacy rules
 Guardian: 16 December, 2015
 http://www.theguardian.com/technology/2015/dec/16/eu-agrees-draft-text-pan-european-data-privacy-rules

 Ban teens from Snapchat, Facebook, Google? That's Europe's new ruling
 ZDNet: December 16, 2015
 http://www.zdnet.com/article/ban-teens-from-snapchat-facebook-google-thats-europes-new-ruling/

日本の個人情報保護法は改正されたばかりなのだが,急いで再改正しなければならない。

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地球に存在する生物の祖先は海水中ではなく陸地の淡水中で誕生した?

下記の記事が出ている。

 Researchers claim first plants DIDN'T come from the sea and lived on land hundreds of millions of years earlier than thought
 Daily Mail: 16 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3363310/How-plants-conquered-planet-Researchers-algae-lived-land-hundreds-millions-years-earlier-thought-DIDN-T-come-sea.html

[追記:2015年12月20日]

関連記事を追加する。

 Life may have 'trickled' across Earth rather than exploding into existence: Oxygen levels took 100 million years to rise enough to trigger evolution
 Daily Mail: 18 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3365610/Life-trickled-Earth-exploding-existence-Oxygen-levels-took-100-million-years-rise-trigger-evolution.html

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米国:カリフォルニア州で,自動操縦自動車について運転免許を有するドライバーの同乗を義務付ける規則案

下記の記事が出ている。

 Self-driving cars 'must have driver', regulators insist
 BBC: 16 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35117652

[追記:2015年12月18日]

関連記事を追加する。

 California D.M.V. Stops Short of Fully Embracing Driverless Cars
 New York Times: December 16, 2015
 http://www.nytimes.com/2015/12/17/technology/california-dmv-stops-short-of-fully-embracing-driverless-cars.html

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韓吉紹校釈『黄帝九鼎神丹経訣校釈』

亜東書店で下記の書籍を購入し,早速読んでみた。極めて面白い。

 韓吉紹校釈
 黄帝九鼎神丹経訣校釈
 中華書局(2015年8月)
 ISBN: 9787101108934

古代の道教の研究者や本草の研究者のみならず,日本の古代史を研究する者には必備ではなかろうか?

この書籍の中には『九轉琉珠神仙九丹經』も収録されている。『九轉琉珠神仙九丹經』の著者は,道教の老師であり,葛氏道と関連しているといわれる太清真人とされている。

道教の三皇經は「天皇」、「地皇」、「人皇」で構成されるといわれ,『古事記』等における,天神,地神等と対応しているように思う。ケンペルの『日本誌』に収録されている江戸時代の刷り物(神社で配布されていたもの)の記載によれば,江戸時代の日本の人々の間においては,「天神八神」とは「尭・舜・禹」から「秦始皇帝」に至る中国の皇帝を指すと考えられていたことを知ることができる。

日本の姓における「真人」の初代は,天武天皇(天渟中原瀛真人天皇)なのだが,「天渟中原瀛」と「太清」とは同義と考えることができるので,「天渟中原瀛真人」は「太清真人」そのものと考えることが可能だ。つまり,「天渟中原瀛真人」との倭風諡号は少しも倭風ではない。倭風諡号がつくられたのは持統天皇のころが最初とするのが通説なのだが,たぶんそうだろうと推定される。それ以前には,倭風諡号が存在しないと考えるべきだ(=そのような名をもつ者は存在しなかった。)。ただし,別の名をもっていた者に対して故事にちなんで倭風諡号が追贈されたと推定されることから,その故事の由来を丁寧に考えることが重要ではないかと思う。

「葛氏」は葛城氏に通ずる。道教を基礎とする部族集団という趣旨なのだろう。

(付記)

古代の葛城氏に属する人物として最も有名なのは葛城襲津彦だ。襲津彦は,朝鮮半島に進出して高句麗と交戦した王と推定する見解が多い。私見では,「襲津彦」は「熊津彦」と同義ではないかと思う。「熊津」は万葉仮名では「久麻那利」と書き「くまなり」と読ませるから,意味的には「くま(熊,球磨,隈)の里」となるのではないかと思う。つまり,「くま」と読む都城が朝鮮半島~遼東半島付近に存在したのだろう。そのような支配・統治の実質があったからこそ,当時の倭王は,「安東将軍」等の称号を欲したのに違いない。

「襲津彦」の時代と推定される時期に対応する記述は,『日本書紀』の応神天皇3年と仁徳天皇41年3月にあり,「紀角宿禰」が当時の実質的な権力者で,「襲津彦」はその有力な武将だったと考えるしかないように思う。

そして,『日本書紀』の記述を前提とする限り,当時の情勢としては,「百済」に対して政治的圧力をかけて王を交代させることもできるまでに倭國が強かったと理解するしかなさそうだ。例えば,阿花王(阿莘王・阿芳王)の例がある。「阿花」は「阿倍」,「阿閉」,「阿保」等に通ずる。「阿莘王」の「莘」は,『隋書』にある「秦王国」に通ずるのだが,その所在地を周防(周芳)と推定すると,「阿芳王」の「芳」に通ずる。また,「阿保」にも通ずる。

「五経博士」に関しては,「百済」から倭國に派遣されていたと解するのが通説なのだが,上記のような国際的な力関係からすると,倭王の命により百済國から派遣されていたと理解するしかないように思う。

「五経博士」は仏教と文字を日本にもたらしたとするのが通説となっている(古代の中国では「五経博士」とは儒教を講ずる者であったはずが,倭國では仏教とされている点が興味深い。)。しかし,そこでいう仏教とは,今日考えられているものとは異なるものだったと推定される。

「五経博士」の名としては,継体天皇の時代の「楊爾」と「漢高安貞」,欽明天皇の時代の「柳貴」と「馬丁安」と「王道良」が知られている(欽明天皇の時代には醫博士、採藥師、藥師も来訪したとされている。)。「漢高安貞」は非常に奇妙な氏名で実名ではない可能性が高い(『抱朴子』に「漢高」が幾つかみえる。)。「楊」と「柳」と「馬」と「王」は,いずれも漢人の可能性が高く,百済から来訪した者ではないと解するほうが妥当と思われる。

また,推定としては,ここでいう「百済」とは国名を指すものではなく,「仏教を奉ずる国」という意味で,おそらく,中国の王朝(北魏など)の中のどれかが該当するのだろうと考えられる。

北魏の医学(薬学)に関する書物には『齊民要術』がある。

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聖俗二重王権の統治形態

トンガの王朝の歴史を調べていて思った。

『隋書』にある倭国の統治形態と似ている部分がある。

聖俗二重王権が存在したのではなかろうか?

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2015年12月16日 (水曜日)

男性のDNAをもつ古代ローマ時代の女性人骨

下記の記事が出ている。

 The Roman woman with MALE DNA: Analysis of 2,000-year-old skeleton reveals it has physical female traits but is genetically a man
 Daily Mail: 15 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3361146/The-Roman-woman-MALE-DNA-Analysis-2-000-year-old-skeleton-reveals-physical-female-traits-genetically-man.html

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林博通『大津京跡の研究』

下記の書籍を読んだ。

 林博通
 大津京跡の研究
 思文閣(2011/3/20)
 ISBN: 9784784210732
 http://www.shibunkaku.co.jp/shuppan/shosai.php?code=4784210733

この書籍の3分の2くらいは,これまでの研究史を丹念に調べ整理したもので,引用文献等を含め,有用性が非常に高いと思った。

最後のほうのところにオンドル遺構についてまとまった記述と考察がある。

オンドルは中国東北部(旧満州)などに見られる暖房施設なのだが,大津京周辺に遺構が存在することは大いに注目すべきだろうと思う。

『扶桑略記』の天智天皇7年(668年)には「大唐人郭務悰等 三千餘人來朝 令居近江國蒲生郡」とあるので,第二次世界大戦後の進駐軍(GHQ)による統治のような時代がしばらく続いた可能性があり,大津宮はそのための官衙だったかもしれない。それゆえ,倭國の本来の官衙のことを「倭京」と称して区別したと推定することもできる。

更に,各地に残る「朝鮮式山城」なるものは,対唐防衛のための施設ではなく,唐軍のための要塞施設だったと考えることは可能と思われる。近畿地方にある古い寺社の中で同様の石組み基壇をもつものも当時においては石組の山城(要塞)の一種だったかもしれないと考える。

大津宮は「淡海宮」とも記され,「淡海三船」との関連が疑われるのだが,仮に「淡海宮」が駐屯軍のための施設であるとすれば,淡海三船は,「唐から派遣された将軍の3代後の子孫」といった意味を有すると解することもできる。

オンドルは,進駐軍を構成する中国東北部の部族に属する将兵が起居するための家屋に付随する設備と考えるのが妥当だろう。

『扶桑略記』に「近江國蒲生郡」とあるのは,大津宮が廃止された後に移動した駐屯地を示すものかもしれない。大津宮付近で将兵が主に居住した地域は,「唐津」付近ではないかと思う。そもそも「唐津」と「大津」とが同義である可能性も否定できない。「大津」の古名は「古津」とされているのだが,「古津」と「唐津」とは近似している。

「近江國蒲生郡」は,現在の龍王町付近を指し,その周辺の古墳等から出土する遺物は倭風ではなく唐風ではないかと思うことが多い。「龍王」とは,読んで字の如く,「唐から派遣された将軍」を意味するものと解するのが妥当だろう。その子孫が「清華家」の祖となった可能性がある。

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Comcastの利用者を狙ったマルウェア

下記の記事が出ている。

 Comcast customers targeted in sophisticated malvertising scheme
 ZDNet: December 15, 2015
 http://www.zdnet.com/article/comcast-customers-targeted-in-sophisticated-malvertising-scheme/

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Ashley Madisonの利用者に対する脅迫メール

下記の記事が出ている。

 Ashley Madison Blackmailers Turn to Snail Mail Threats
 infoSecurity: 15 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/ashley-madison-blackmailers-snail/

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Facebookのオープンソース人工知能型コンピューティング

下記の記事が出ている。

 Facebook’s open-sourcing of AI hardware is the start of the deep-learning revolution
 ars technica: December 16, 2015
 http://arstechnica.com/information-technology/2015/12/facebooks-open-sourcing-of-ai-hardware-is-the-start-of-the-deep-learning-revolution/

利用者がFacebook上に蓄積し続けるメッセージ等のデータを栄養として育つシステムということなのだろうと思う。要するに,利用者は肥料だ。

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2015年12月15日 (火曜日)

遼寧省文物考古研究所編『凌源小喇嘛溝遼墓』

下記の書籍(解説付図録)を読んだ。

 遼寧省文物考古研究所編
 凌源小喇嘛溝遼墓
 文物出版社(2015/10)
 ISBN: 9787501042876

第1号墓からは立派な彫刻のある石璧板が出土している。

解説によると,被葬者は契丹系の貴族階級に属する者と推定されているようなのだが,石壁板のモチーフを見る限り,どうもシュメールまたはアッカドの文化が変形しながら残存しているような感じに見える。

山田康弘『つくられた縄文時代』では,明治時代の学説として,日本人にはアッカド人の血が流れているという説があったということが紹介されているのだが,あながち荒唐無稽とは言い難いのではないかと思う。

更に驚くべきことには,第1号墓の彫刻の中には女性のようにも見える4人の若者が横に並んだ彫刻があるのだが,その髪型は、100%確実に「角髪(みずら)」だ。

「角髪(みずら)」は,日本の神話等に登場し,いわゆる聖徳太子画像の両脇に立っている2名の者の髪型として知られているものなのだが,この古墳に石彫として残されているところをみると,「角髪(みずら)」は,日本固有のものではなく,かつ,かなり後代になってから日本に導入されて神話の中に盛り込まれたものである可能性が出てくる(ただし,日本の古代の古墳から出土する埴輪の中には「角髪(みずら)」に似たものがあるので,遼の時代には契丹人と呼ばれた古代の鮮卑族の子孫の文化と共通する文化が古い時代に日本に渡来していたと考えるほうが妥当だろう。)。

なお,この遺跡からは,アガメムノン王の黄金マスクのような仮面や,正倉院の魚型佩と同じようなデザインの魚型装飾品も出土しており,非常に興味深い。

極めて重要な遺跡及び出土物だと思う。

(付記)

「遼」は中国東北部に存在した国家で,西暦900年頃~1000年頃に栄えた。

初代は,「耶律阿保機」で,「天皇帝」と称した。

「阿保」は,日本にもある氏(姓)の1つで,「阿倍」,「阿閉」等と同じとされている。

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2020年までに世界の全人口の25パーセントの個人データが侵害される可能性があるとの予測

下記の記事が出ている。

 Data breaches will affect 25 percent of world's population by 2020, IDC predicts
 CIO: December 14, 2015
 http://www.cio.com/article/3014617/security/data-breaches-will-affect-25-percent-of-worlds-population-by-2020-idc-predicts.html

私は,甘すぎる予測ではないかと考える。既に25パーセント以上に達していると推定するのが妥当だ。

例えば,日本のマイナンバーと同じ国民番号を導入した結果,韓国では100%以上(重複を含む)が中国に情報流出し,番号による個人識別それ自体が無意味な状態となってしまっている。日本でも,あっという間に同じことが起き,全て破綻してしまうことが確実だ。

庶民が利用することのできる対応策としては,可能な限り通信販売やクレジットカード払いやポイントカード等の利用を全面的にやめ,即時に決済が終わってしまう現実売買(店頭での現金による物品の購入)だけにすることではないかと思う。

一般に,利便性の高い社会は,安全性の高い社会ではない。なぜなら,犯罪者にとっても利便性の高い社会だからだ。

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Torrentサイトで流通している海賊版ソフトウェアがマルウェア感染の温床になっている?

下記の記事が出ている。

 Torrent websites infect 12 million users a month with malware
 ZDNet: December 14, 2015
 http://www.zdnet.com/article/torrent-websites-infect-12-million-users-a-month-with-malware/

Torrentサイトに限らず,海賊版ソフトウェアの中にはマルウェア感染しているものが比較的高率で存在しているように思う。

要するに,「餌」で釣る作戦ということになるのだろう。

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オックスフォード大学がオーストラリア・メルボルンにサイバーセキュリティセンターを開設

下記の記事が出ている。

 Oxford University to launch cybersecurity centre in Victoria
 ZDNet: December 14, 2015
 http://www.zdnet.com/article/oxford-university-to-launch-cybersecurity-centre-in-victoria/

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次世代超音速ステルス戦闘機

下記の記事が出ている。

 The stealth superwing: Next generation 'Air Dominance' fighter jet that will have built in laser weapons and could even travel at supersonic speeds revealed
 Daily Mail: 14 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3359934/The-stealth-superwing-generation-Air-Dominance-fighter-jet-built-laser-weapons-revealed.html

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Moonfruitに対するサイバー攻撃の結果,多数の企業サイトが停止しているらしい

下記の記事が出ている。

 Moonfruit takes websites offline after cyber-attack threat
 BBC: 14 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35091534

ホスティングをしているサーバが攻撃を受けて停止すると,そのホスティングサービスを受けて構築・運営されている多数のサイトも停止してしまうのは当然のことなのだが,規模の問題がある。

非常に大きな規模のホスティングサーバやクラウドサーバが停止すると,最悪の場合,世界の経済に深刻な影響が発生し得る。このことも当たり前過ぎることなのだが,あくまでも机上の想定だと考えることしかできない愚か者が余りにも多すぎるという事実こそが,正に真の問題点だと言える。

なお,下記のような記事も出ている。

 83 Percent of Tech Firms Say Excessive Sharing in the Cloud Is a Top Concern
 eSecurity Planet: December 14, 2015
 http://www.esecurityplanet.com/network-security/83-percent-of-tech-firms-say-excessive-sharing-in-the-cloud-is-a-top-concern.html

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2015年12月14日 (月曜日)

EU:ランサムウェアの被害が深刻化

下記の記事が出ている。

 Gamer ransomware grows up, now infecting UK, Euro businesses
 Register: 14 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/14/gamer_ransomware_grows_up_now_popping_
uk_euro_businesses/

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瀬間正之『記紀の表記と文字表現』

三省堂で注文していた下記の書籍が届いたので,早速読んでみた。

 瀬間正之
 記紀の表記と文字表現
 おうふう(2015/2/26)
 ISBN: 9784273037628
 http://www.ohfu.co.jp/book/b194073.html

私の知らない読み方が多数書かれており,古典を読む場合の留意点を多数知ることができたので,その意味でとても参考になった。

ただ,疑問点もある。

例えば,日本の古語と百済語や新羅語との対比をしている部分について,現代朝鮮語の発音をベースにした考察がなされている。しかし,どうして同じような発音だと言えるのだろうか?

当時の百済や新羅の人々が現在と全く同じような人々という意味での朝鮮人だったという確証は何もない(歴史的には,元による征服以降の時点で相当程度の遺伝子上及び文化上の混淆が発生していると考えるほうがむしろ合理的だろう。遼東半島~朝鮮半島では,それ以前の時点でも漢,魏,隋,唐などによる征服が行われている。白村江の戦の直後の状況について,『旧唐書』巻二百十一には、「麟德二年 封泰山 仁軌領新羅及百濟 耽羅 倭四國酋長赴會」と書かれているので,その時点で百済と新羅の両王国が滅亡しており,それ以降の新羅国は全く別の国だと考える余地もあるのではないかと思う。)。仮に朝鮮語族だったとしても,現代の発音とは相当かけ離れた発音であった可能性を否定することができない。そうでないとも言い得るが,どちらの仮説にしても確証は何もない。つまり,何も確実なことは言えないので,単純比較はできない。

そういうあたりがかなり気になった。

以上のような問題点はあるが,丁寧に考察が尽くされており,一度は読んでおくべき書籍ではないかと思う。

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Twitterアカウントが国家機関(中国または北朝鮮?)によってハックされている?

下記の記事が出ている。

 Twitter warns of government 'hacking'
 BBC: 13 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/business-35089309

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セックス用ロボットの未来

下記の記事が出ている。

 Sex, love and robots: is this the end of intimacy?
 Guardian: 13 December, 2015
 http://www.theguardian.com/technology/2015/dec/13/sex-love-and-robots-the-end-of-intimacy

男女を問わず人間の性欲が衰えることがないという前提で考えた場合,人間のパートナーには「劣化」という問題と「飽き」という問題が不可避的に発生する。ロボットは,このいずれの問題も発生させない。交換すればよいからだ。人間の場合には,「人権」の問題が発生するのでそうそう簡単に交換することができない。とりわけキリスト教的な精神的束縛の強いところでは,離婚できないので,ますますもって婚姻しない事実上のカップルが増えることになるだろう。婚姻していなければ離婚もないのでキリスト教の教義に反することにもならない。

結局,今後,ロボットの技術が高度化し人間によるセックスよりも大きな快楽を提供するようになると,人々は人間とのセックスを好まなくなるだろうと思う。

必然的な結果として,子供も生まれなくなる。たぶん,必要に応じ,工場において人工胎盤によって人間またはミュータントの子供が生産されることになる。

しかし,そのような未来がユートピアであるとは考え難い。

世界的な規模での基本的な哲学や宗教観の変更が必要だと思う。

けれども,それはできない。

したがって,事態はこのまま進行し,人々は人間とのセックスをしなくなる。

 

 

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近未来の靴製造業

下記の記事が出ている。

 Adidas’s ‘speedfactory’ hints at the future of shoe manufacturing
 Washington Post: December 11, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/innovations/wp/2015/12/11/adidass-speedfactory-hints-at-the-future-of-shoe-manufacturing/

かつては,靴はオーダーメイドで職人が製造するものだった。

私の小さい頃にはたくさんあり,店舗には顧客の足型に削りだした木型が並べられていたものだった。

その後,文明が荒廃し,合成樹脂製の既製品が普通になった。文明の退廃とも言える。

本来,足の形状には個人差があるので,靴はオーダーメイドでなければならない。顧客の足型に対応して個別に靴を製造し提供するのが文明社会というものだ。

ロボットによってそれが復活しようとしている。

おそらく,非常に広範囲にわたり,オーダーメイドが復活することになるのではないかと思う。

野蛮で奴隷的な大量生産品を消費するだけの時代は終わりとしなければならない。

理想的には,ロボットによってではなく多数の職人による社会を復活させるべきだろう。

ロボットは人間の「仕事」を生みださないからだ。

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2015年12月13日 (日曜日)

通典「邊防序」

下記のようにある。

 通典「邊防序」

 覆載之内 日月所臨 華夏居土中 生物受氣正

 李淳風云 談天者八家 其七家 甘氏 石氏 渾天之類

 以度數推之 則華夏居天地之中也

 又歷代史 倭國一名日本 在中國直東

 扶桑國復在倭國之東 約去中國三萬里 蓋近於日出處

 貞觀中 骨利幹國獻馬 使云 其國在京師西北二萬餘里 夜短晝長 從天色暝時煮羊胛 纔熟而東方已曙 蓋近於日入處

 今崖州直南水行便風十餘日到赤土國 其國到五月 亭午物影卻在南 一日三食 飯皆旋炊 不然 逡巡過時 即便臭敗

 熱氣特甚 蓋去日較近

 其地漸遠轉寒 蓋去日稍遠

 則洛陽告成縣土圭居覆載之中明矣

 唯釋氏一家論天地日月 怪誕不可知也

 其人性和而才惠 其地産厚而類繁 所以誕生聖賢 繼施法教 隨時拯弊 因物利用

 三五以降 代有其人

 君臣長幼之序立 五常十倫之教備 孝慈生焉 恩愛篤焉

 主威張而下安 權不分而法一

 生人大賚,實在於斯

 三代以前 天下列國更相征伐 未嘗暫寧

 陪臣制諸侯 諸侯陵天子 人斃鋒鏑 月耗歳殲 自秦氏罷侯置守 兩漢及有隋 大唐 戸口皆多於周室之前矣

 夫天生烝人 而樹君司牧 語治道者 固當以既庶而安為本也

いろいろと興味深い。

なお,下記の論説を読んでみると,更に興味深い。

 蓮沼啓介
 異称日本伝注釈(梁書編)
 神戸法學雜誌 54(2), 207-238
 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_81004981

 蓮沼啓介
 異称日本伝注釈(呉志編)
 神戸法學雜誌 54(4), 329-341
 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_81004994

 蓮沼啓介
 異称日本伝注釈(宋書編)
 神戸法學雜誌 55(3), 45-73
 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_81005007

 蓮沼啓介
 異称日本伝注釈(晋書編)
 神戸法學雜誌 55(4), 41-60
 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_81005009

『通典』のテキストは,ネット上では下記のところで読める。

 通典
 http://www.guoxue123.com/shibu/0101/01tdf/index.htm

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全唐詩巻八百四十六「寄金陵幕中李郎中」

戯れに探してみたら,次のような詩があった。

 全唐詩巻八百四十六「寄金陵幕中李郎中」

 龍門支派富才能 年少飛翔便大鵬
 久待尊罍臨鐵甕 又從幢節鎮金陵
 精神一隻秋空鶴 騷雅千尋夏井冰
 長憶相招宿華館 數宵忘寢盡寒燈

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英国:著作権法改正により混乱が発生?

下記の記事が出ている。

 UK citizens may soon need licenses to photograph some stuff they already own
 ars technica: December 13, 2015
 http://arstechnica.com/tech-policy/2015/12/you-may-soon-need-a-licence-to-take-photos-of-that-classic-designer-chair-you-bought/

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人間の脳内におけるコーヒーの作用は?

下記の記事が出ている。

 How coffee REWIRES your brain: Researcher gives himself an MRI scan two days a week for 18 months - and it shows the incredible effect of caffeine
 Daily Mail: December 12, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3356785/How-coffee-REWIRES-brain-Researcher-gives-MRI-scan-two-days-week-18-months-shows-incredible-effect-caffeine.html

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Guardianの古いコンテンツにマルウェアが仕組まれていた?

下記の記事が出ている。

 Guardian article on cybercrime serves up Angler Exploit Kit
 ZDNet: December 11, 2015
 http://www.zdnet.com/article/guardian-article-on-cybercrime-serves-up-malvertising/

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LATENTBOT

下記の記事が出ている。

 LATENTBOT: Trace Me If You Can
 FireEye: December 11, 2015
 https://www.fireeye.com/blog/threat-research/2015/12/latentbot_trace_me.html

 Latentbot: A Ghost in the Internet
 DARK Reading: 11 December, 2015
 http://www.darkreading.com/vulnerabilities---threats/latentbot-a-ghost-in-the-internet-/d/d-id/1323537

[追記:2015年12月14日]

関連記事を追加する。

 Memory-resident modular malware menaces moneymen
 Register: 14 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/14/latentbot_memory_resident_malware/

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自動車の電子化された制御装置等は容易にハック可能?

下記の記事が出ている。

 Hundreds of thousands of engine immobilisers hackable over the net
 Register: 11 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/11/hundreds_of_thousands_of_engine_immobilers_
hackable_over_the_net/

同様の記事は過去に何度も出ており,ずっと警告がなされていたのだが,基本的には何も改善されていないので,私の自家用車を含め,世界中のほぼ全ての自動車が危険な状態にあるということができるかもしれない。

同じことは,自動車に限らず,ほぼ全ての種類の電子化された物品についていうことができる。

要するに,売れればよいので,安全性などほとんど考慮されていないというのが現実というものだ。

商売というものは本質的にそういうものなので,改善される見込みは全くない。

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Open AI

下記の記事が出ている。

 Tech giants pledge $1bn for 'altruistic AI' venture, OpenAI
 BBC: 12 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35082344

 Artificial intelligence: Elon Musk backs open project 'to benefit humanity'
 Guardian: 12 December, 2015
 http://www.theguardian.com/technology/2015/dec/12/artificial-intelligence-elon-musk-backs-open-project-to-benefit-humanity

[追記:2015年12月14日]

関連記事を追加する。

 Artificial-Intelligence Research Center Is Founded by Silicon Valley Investors
 New York Times: December 11, 2015
 http://www.nytimes.com/2015/12/12/science/artificial-intelligence-research-center-is-founded-by-silicon-valley-investors.html

[追記:2015年12月25日]

関連記事を追加する。

 5 things you should know about the plan to open source artificial intelligence
 Washington Post: December 24, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/innovations/wp/2015/12/24/5-things-you-should-know-about-the-plan-to-open-source-artificial-intelligence/

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2015年12月12日 (土曜日)

日本臨床カンナビノイド学会編(佐藤均監修)『カンナビノイドの科学-大麻の医療・福祉・産業への利用』

下記の書籍を読んだ。

 日本臨床カンナビノイド学会編(佐藤均監修)
 カンナビノイドの科学-大麻の医療・福祉・産業への利用
 築地書館(2015/10/16)
 ISBN-13: 978-4806715016
 http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1501-6.html

わかりやすく解説している書籍で,とても勉強になった。

[追記:2015年12月13日]

大麻草の薬効及びカンナビノイドの薬効に関しては,下記の書籍も出ている。これらも参考になる。

 福田一典
 医療大麻の真実-マリファナは難病を治す特効薬だった
 明窓出版 (2015/10/20)
 ISBN-13: 978-4896343571

 レスリー・L. アイヴァーセン(伊藤肇訳)
 マリファナの科学
 築地書館 (2003/5/20)
 ISBN-13: 978-4806712664

なお,『カンナビノイドの科学』及び『医療大麻の真実』には大麻取締法制定の経緯について書かれている部分がある。これを読んみても,立法理由については正確なところがわからず,謎のままということができる。

それだけに,法解釈論としては,大麻取締法には,GHQの指令及び単一条約に基づくという以外には明確な立法事実が存在しない(=無効な法律)ということを理解することができる。米国においては,医療目的での大麻草利用禁止を違憲とする判決が存在しており,また,各州において大麻草を合法化する動きが更に顕著化していることから,少なくとも米国においては単一条約それ自体が既に無効化していると考えることもできるだろう。

この問題については,「植物分類体系の変化が法制度に与える影響-大麻規制法令を中心とする考察-」法律論叢84巻4・5号91~112頁において述べたとおりなのだが,THCそれ自体の有毒性について再検討すべき段階に入っていると考えられるので(同論文の中では一定量以上のTHCが有毒であるという説を前提とした考察を加えている。),全面的に補訂する趣旨の新たな論文を書くことになるかもしれない。そのためには,自然科学の分野におけるTHCの薬理に関する研究成果がもう少し欲しい。違法でなければ自分で栽培して自分で分析してしまうのだけれども,栽培行為は現行法下では違法行為となるので,栽培も研究もできない。日本の研究者では同様に研究それ自体が難しいので,海外の研究成果の公表と集積を待って補訂の趣旨の論文を書くことになるだろう。

雑駁な感想的な意見としては,日本国は,まだGHQの特定の係官と癒着した米国の某勢力(=それらと癒着した日本国内の特定の企業群)によって支配され続けているということくらいしかできないかもしれない。

日本の研究者が大麻取締法によって研究を阻害されている間に,大麻草関連特許の大半が外国企業によって支配される事態が生じているし,様々な薬品の開発も外国企業によって行われるに至っており,同法の存在それ自体が大いに国益を害する状態が存在していることは誰も否定しようがないのではないかと思う。

生物の細胞壁における化学物質の作用と機能に関する多数の書籍や論文を読み考え続けてきた。大麻草及びそれに含まれる化学成分はテストベッドとして最適なものの一つだと考えられる。しかし,日本国内ではその研究が禁止されてい以上,日本の生命工学や認知工学等に未来は全くない。日本の科学者は気の毒だし,現行法のままでは優秀な頭脳の海外流出を大いに促進することはあっても阻止することは全くできない。そのようにして日本の科学技術が世界最高レベルを誇るような事態の発生を阻止することもまた,大麻草禁止の政治的・経済的な大きな理由の一つなのではないかと思う。

おそらく,本来は東洋人の得意技であった薬草の栽培と利用の権利を西欧列強が全て奪い,東洋人及びその企業を奴隷化しようとする国際的な政策がかつて存在しており,それが全く改められないままで今日に至っているということなのだろうと想像している。肉食人種にとって薬草の利用は得意技であるとは言えない。そのような問題を克服するために,何十年にもわたる「時間かせぎ」が西欧列強主導の国際条約の下で行われてきたという具合に,未来の歴史家は20世紀史を書くことになるかもしれない。

ただし,私は,薬理の本質を理解しない無分別な薬品や健康食品の安易な氾濫には大反対の立場をとっている。この点に関しては,かなり大きな論文をまとめて現在ゲラ校正の段階にある。2016年2月ころに刊行されることになるだろう。

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警視庁のドローン部隊

下記の記事が出ている。

 ドローンでドローン捕獲 警視庁、不審機対策で新部隊 
 日本経済新聞:2015/12/10
 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG10H7I_Q5A211C1CC1000/

 Drone squad to be launched by Tokyo police
 BBC: 11 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35070818

ドローン対策としては電磁的な兵器が最も有効なのだが,非電磁的なものとしては,かすみ網と鳥餅が最も効果的であることは言うまでもない。警察庁のドローン捕獲用ドローンでは,かすみ網方式を採用したようだ。

しかし,サイバー攻撃の手段としてドローンが用いられる場合,基本的には電子戦となる可能性が高いので,電子兵器でないと対応できない場合が増えることだろう。そもそも警察庁のドローンが電子的にハイジャックされ兵器として利用されてしまう可能性もある。

[追記:2015年12月13日]

関連記事を追加する。

 Japan unveils net-wielding police drones for air patrol
 Register: 11 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/11/japan_unveils_netwielding_police_drones/

[このブログ内の関連記事]

 首相官邸に生物化学兵器もどきとスパイ装置もどきを装備したドローン(無人ヘリ)が無許可着陸
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-c1ef.html

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ドイツのサイバー犯罪者が構築した闇市場

下記の記事が出ている。

 German Cybercriminals Develop Flourishing Local Black Market
 infoSecurity: 11 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/german-cybercriminals-local-black/

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2015年12月11日 (金曜日)

トロイの木馬Spy BankerがGoogle CloudとFacebookを介して感染?

下記の記事が出ている。

 Spy Banker Trojan Being Hosted On Google Cloud
 DARK Reading: December 10, 2015
 http://www.darkreading.com/attacks-breaches/spy-banker-trojan-being-hosted-on-google-cloud/d/d-id/1323517

 Banking Malware Moving Over Facebook Hosted in Cloud
 Threat Post: December 10, 2015
 https://threatpost.com/banking-malware-moving-over-facebook-hosted-in-cloud/115628/

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秦始皇帝兵馬俑の力士像

東京国立博物館で兵馬俑展が開催中だ。

 特別展「始皇帝と大兵馬俑」
 東京国立博物館
 2015年10月27日~2016年2月21日
 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1732

兵馬俑の多くは甲冑を身に着けたものなのだが,中には力士のような褌だけの大男の像(俑)もある。

甲冑を身に着けた兵士の列の中に褌だけの力士が混じるというプランそれ自体がいろいろと想像力を掻きたてるもので興味深いのだが,同じようなプランに基づく俑(埴輪)の列が日本の古墳でも発見されていることには更に好奇心を刺激される。

無論,秦始皇帝兵馬俑と比較すると全く問題にならないくらい規模が小さい。しかし,大事な視点は,基本的なプランを認識することにあると思われる。

秦始皇帝兵馬俑と同じような基本的プランをもつ遺物が出土した日本国内の代表的な遺跡としては,今城古墳(大阪府高槻市)の埴輪(俑)の群像がある。そして,それを一回り小さくしたような埴輪(俑)の群像としては八幡塚古墳(群馬県高崎市)がある。

基本的な部分において同じ系統に属する文化・社会組織の観念に基づくものと考えるのが妥当だろう。

着目すべきポイントは,力士像(俑)にあると考える。

そして,力士像は,例えば,金剛力士像として仏寺を守護するように配置されて現存しているものがあるということには特に注目すべきだろうと思う。

中国で発掘された「北周史君墓」の石刻像にも大きな力士像があるが,これは古代インドの様式を濃厚に残しているもので,おそらく,それがルーツのようなになっているのではないかと思われる。ソグド人の活動範囲を推測することができると同時に,中国の五胡十六国時代当時の精神文化が拝火教・バラモン教・仏教・景教・神仙等の混合したものだった可能性が示唆される。

「北周史君墓」の被葬者がソグド語を用いるソグド人であり,バクトリア方面から移動してきた人々の一員だということは同所で発掘されたソグド文・漢文対訳の墓誌から明らかにされている(バクトリアのキシュ出身の石族に属する妻を追葬)。

この墓誌は,エジプトのロゼッタ石と同様に非常に高い考古学的価値を有するものだと思う。

***

秦軍の将校と思われる武人の甲冑が秦始皇帝陵周辺その他の地域で出土している。

基本的な構造や設計思想において,日本の古墳において埴輪として出土する武人像の兜や冑との共通点が多いように思われる。

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ケンペル『日本誌』の「清水寺境内」

日本では「ケンペル」として知られるケンプファー(Kaempfer)の『日本誌』の中には,非常に精密な図が多数収録されており,とても参考になる。

その中で「清水寺境内」と題する図は,とりわけ興味深い。現在の清水寺とはかなり異なる姿をしているからだ。

 日文研データベース:清水寺境内
 http://db.nichibun.ac.jp/ja/d/GAI/info/GE002/item/039/

無論,別の寺院を清水寺と勘違いして描画した可能性は否定されないが,清水寺であるかどうかの別とは関係なしに,そのプランに着目している。

寺院ということになっているのだが,これは,明らかに山岳要塞の一種だろうと思う。

丁寧に発掘調査をすれば,面白いことが次々と明らかにされるのではなかろうか。

ちなみに,『日本誌』には「祇園神」と題する図も収録されている。祇園神とは牛頭大王のことを指すと思われる。その姿は,牛というよりは羊だ。

中国の「北周史君墓」で発掘された石刻の羊頭有翼人像との関連が疑われる。

おそらく,古代日本の「羊氏」(多胡羊太夫や武蔵國の羊氏等)とは,このような神を信仰した人々なのではないかと疑われる。要するに,西域系の人々だった可能性がある。

なお,牛頭大王の図は,シーボルト『日本』の図譜の中にも収録されているが,これはケンプファーの時代よりもかなり後の時代のものなので,『日本誌』にある図のほうが本来の姿を示すものではないかと思われる。

 福岡県立図書館郷土資料課:『NIPPON』第2冊
 稲荷大明神ほか 拡大
 http://www.lib.pref.fukuoka.jp/hp/gallery/nippon/kg/n2-278k.html

ケンプファーとシーボルトの書籍に収録されている数々の図をながめていると,江戸期の文化がいかに浮世絵的ではなく中華風だったかということを理解することができる。例えば,下記の仏寺の図を見ていると,まるで台湾かシンガポールあたりの寺院ではないかというような錯覚にとらわれる。

 福岡県立図書館郷土資料課:『NIPPON』第2冊
 仏教 禅宗 1福済寺弥勒堂の内部 2崇福寺関帝堂の内部
 http://www.lib.pref.fukuoka.jp/hp/gallery/nippon/hg/n2-305.html

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米国:大勢の政府職員が色仕掛けメールにひっかかってアカウントを奪われたらしい

下記の記事が出ている。

 US embassy worker hacked for sex images
 BBC: 10 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35060119

常識論的には,「男性は女性のヌード写真等による罠にひっかかりやすい」ということができるだろうと思う。しかし,男性だけがそうだと考えることは明らかな誤りだ。性の意識や性欲等は社会生活によって左右される部分があるので,男性と女性とが平等に同じような仕事や生活をしている場合には男女差が全く出なくなるかもしれない。

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船舶の航海データ記録装置はハック可能?

下記の記事が出ている。

 Hacked at sea: Researchers find ships’ data recorders vulnerable to attack
 ars technica: December 11, 2015
 http://arstechnica.com/information-technology/2015/12/hacked-at-sea-researchers-find-ships-data-recorders-vulnerable-to-attack/

海難事故等の審理の際,このデータだけに頼ると危ないということを意味している。データの改変があり得るからだ。

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2015年12月10日 (木曜日)

瀬間正之『風土記の文字世界』

オンデマンド版として販売されていた下記の書籍を購入して読んでみた。

 瀬間正之
 風土記の文字世界
 笠間書院 (2011/2/28)
 ISBN-13: 978-4305705419

非常に勉強になった。

ただ,若干気になることが出てきた。

「当時の普通の漢人は,果たして厳格に文法と語彙を守った漢文を書くことができたか?」という疑問だ。無論,宮廷の官吏はちゃんと読み書きができただろうと思う。しかし,武人や庶民もそうだったという保証は全くない。このことは,現代の日本人でも同じで,普通の日本国民が文法上及び語彙上で完全に正しい日本語の読み書きができるという保証は全くない。

また,三国時代~五胡十六国の時代ころには様々な民族が入り乱れていたと推定されることから,どの国の誰でも完全に正しい漢文の読み書きができたとは到底考えられない。

すると,風土記に見られるような「正しくない漢文」を倭人が書いたという保証もないことになる。例えば,ネイティブの言語としては主にソグド語ないしバクトリア語を用いる胡人の官僚が漢人として倭國に渡来して帰化した場合,本来の漢人と同様まで完全な漢文の読み書きをすることができなかったかもしれないと考えられる。

このことは,例えば,現代の日本に居住して英語教師をしている米国人が文法上及び語彙上完全に正しい英文の読み書きができるとは限らないということと似ている。

仮説はいくらでも考えることができるのだが,タイムマシンが存在しない以上,確定することには困難が伴う。

更に勉強を重ねることにする。

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HTTPSに脆弱性?-航空会社等の予約に関する個人データが漏洩?

下記の記事が出ている。

 Airline Customers' Data Exposed by HTTPS Hole – Report
 infoSecurity: 9 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/airline-customers-data-exposed/

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EU:著作権法改正の動き

下記の記事が出ている。

 Making EU copyright rules fit for the digital age - QUESTIONS & ANSWERS
 European Commission: 9 December 2015
 http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-15-6262_en.htm

 Netflix and other services to be available on holiday
 BBC: 9 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35051054

 Consumers And Global Tech, Online Content/Publishing Industries Hit With Major New EU Initiatives
 Forbes: December 9, 2015
 http://www.forbes.com/sites/lisabrownlee/2015/12/09/consumers-and-global-tech-online-contentpublishing-industries-hit-with-major-new-eu-initiatives/

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いよいよ量子コンピュータの時代が到来か?

下記の記事が出ている。

 Google, NASA: Our quantum computer is 100 million times faster than normal PC
 ars technica: December 10, 2015
 http://arstechnica.com/information-technology/2015/12/google-nasa-our-quantum-computer-is-100-million-times-faster-than-normal-pc/

量子コンピュータの登場により,在来の普通の暗号方式は意味をもたなくなるとされており,私もそうだろうと思っている。

対応策として,基本的には,「機密性の高いデータは電子化しない」ということに尽きる。

[追記:2015年12月11日]

関連記事を追加する。

 Why Google’s new quantum computer could launch an artificial intelligence arms race
 Washington Post: December 10, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/innovations/wp/2015/12/10/why-googles-new-quantum-computer-could-launch-an-artificial-intelligence-arms-race/

[追記:2016年2月18日]

関連記事を追加する。

 Is D-Wave's quantum processor really 10⁸ times faster than a normal computer?
 ars technica: February, 2016
 http://arstechnica.com/science/2016/02/is-d-waves-quantum-processor-really-10%e2%81%b8-times-faster-than-a-normal-computer/

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CO2地球温暖化説はドグマか?

下記の記事が出ている。

 Senate Science Committee hearing challenges “dogma” of climate science
 ars technica: December 10, 2015
 http://arstechnica.com/science/2015/12/senate-science-committee-hearing-challenges-dogma-of-climate-science/

私は金儲けのために捏造された偽学説の一種だと思っている。

[このブログ内の関連記事]

 温暖化
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/12/post-699b.html

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2015年12月 9日 (水曜日)

自家発電型の超小型センサーチップ

下記の記事が出ている。

 Tiny chip that powers itself from radio waves
 BBC: 8 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35038430

 Remarkable new sensor chip pulls power out of the air so it never needs to be charged
 FOX News: December 8, 2015
 http://www.foxnews.com/tech/2015/12/08/remarkable-new-sensor-chip-pulls-power-out-air-so-it-never-needs-to-be-charged.html

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短期雇用の従業員は情報セキュリティ上のリスク要素?

下記の記事が出ている。

 The Risks of Hiring Temps: Over a Third of U.S. Retailers Don't Know Which Systems Their Temporary Workers Have Accessed
 eSecurity Planet: December 8, 2015
 http://www.esecurityplanet.com/network-security/the-risks-of-hiring-temps-over-a-third-of-u.s.-retailers-dont-know-which-systems-their-temporary-workers-have-accessed.html

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サイバー恐喝

下記の記事が出ている。

 Cyber Extortion, DDoS-For-Bitcoin Campaigns Rise
 DARK Reading: December 7, 2015
 http://www.darkreading.com/attacks-breaches/cyber-extortion-ddos-for-bitcoin-campaigns-rise--/d/d-id/1323448

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米海軍の最新鋭戦闘艦

下記の記事が出ている。

 US Navy's largest ever 'stealth' destroyer heads out to sea on its maiden voyage
 Daily Mail: 7 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-3349443/Largest-destroyer-built-Navy-headed-sea-testing.html

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無線通信可能な電子玩具は危ない?

下記の記事が出ている。

 Why smart toys are a dumb gift idea -- and how to protect your kids if they already have them
 ZDNet: December 8, 2015
 http://www.zdnet.com/article/why-smart-toys-are-a-dumb-gift-idea/

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EU:サイバー攻撃に関する新規則

下記の記事が出ている。

 First EU-wide rules to improve cybersecurity: deal with EP
 Neurope: December 7, 2015
 http://neurope.eu/wires/first-eu-wide-rules-to-improve-cybersecurity-deal-with-ep/

 Europe agrees response to cyber-attacks
 BBC: 8 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35038424

 New EU cybersecurity rules neutered by future backdoors, weakened crypto
 ars technica: December 8, 2015
 http://arstechnica.com/tech-policy/2015/12/new-eu-cybersecurity-rules-neutered-by-future-backdoors-and-weakened-crypto/

 Mandatory Breach Notifications on Way as EU Security Directive Agreed
 infoSecurity: 8 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/breach-notifications-eu-security/

「戦時と平時が常に共存する状況」が終わらない限り,このような傾向が更に強化されることになるだろう。

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Linksysの無線ルータに脆弱性

下記の記事が出ている。

 Linksys routers vulnerable through CGI scripts
 Register: 8 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/08/linksys_routers_vulnerable_through_cgi_scripts/

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2015年12月 8日 (火曜日)

Nemesis

下記の記事が出ている。

 “Nemesis” malware hijacks PC’s boot process to gain stealth, persistence
 ars technica: December 8, 2015
 http://arstechnica.com/security/2015/12/nemesis-malware-hijacks-pcs-boot-process-to-gain-stealth-persistence/

 Windows' Nemesis: Pre-boot malware pwns payment processors
 Register: 7 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/07/bootkit_malware_targets_payment_processing_
firms/

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2015年12月 7日 (月曜日)

山田康弘『つくられた縄文時代-日本文化の原像を探る-』

Amazonに注文していた下記の書籍が届いたので早速読んでみた。

 山田康弘
 つくられた縄文時代-日本文化の原像を探る-
 新潮選書(2015/11/25)
 ISBN 978-4-10-603778-8
 http://www.shinchosha.co.jp/book/603778/

非常にわかりやすく納得度が高い。

お勧めの一冊と言える。

***

ジャン・ジャック・ルソーが主張するような自然状態など存在するはずがなく,ホッブズのほうがリアルであることは(社会主義者を含め)大方の認めるところだろうと思う。

しかし,日本の縄文時代論は,ルソーの自然状態論と同じくらい架空のものだということを認める学者は少ないし,高校の教科書にも書いていない。

現実にはもっと違うものであることは明らかだ。

よほど優れた哲人でない限り,人間は,基本的に自分だけしか愛せないし,自己の欲望の充足しか考えない。これは遺伝子に起因するものなので制御できない。

***

以上のような当たり前のことを踏まえて書かれた書籍が意外と少ない中で,この書籍は客観的な資料に基づき,手堅く論述を重ねていると言える。

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『ナショナル ジオグラフィック特別編集 生き物の不思議な力』

昨日は,ある会合に参加するため出かけていた。電車の発車時刻まで少し時間があったので駅前のビルの中にある書店に寄って雑誌をながめていたら,下記の雑誌が出ているのを見つけ,早速購入した。電車の中で全部読んだ。

 ナショナル ジオグラフィック特別編集 生き物の不思議な力
 ISBN:9784863133426

これは格別にお勧めの1冊だと言える。

時代の大きな変化を感じさせる。

世間には妙な思想や理屈に固執するのみで事実を直視しようとしない者が少なくない。そのような低レベルの者にならないためには,とにかく事実を直視する努力を重ねなければならない。直接にアクセスすることのできない事実については写真等によって間接的にアクセスするしかないが,それでも「符号(文字)」だけで知ったかぶりをして空理空論を振り回すよりはまだマシだと考えている。

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2015年12月 6日 (日曜日)

Dell, Toshiba, LenovoのPCに深刻な脆弱性

下記の記事が出ている。

 Dell, Toshiba, and Lenovo PCs at risk of bloatware security flaws
 ZDNet: December 4, 2015
 http://www.zdnet.com/article/millions-of-lenovo-pcs-vulnerable-to-multiple-security-flaws/

 Lenov-lol, a load of Tosh, and what the Dell? More bad holes found in PC makers' bloatware
 Register: 5 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/05/dell_lenovo_toshiba_vulnerabilities/

[追記:2015年12月8日]

関連記事を追加する。

 デル、東芝、レノボ製PCのブロートウェアに脆弱性--概念実証コードが公開
 CNET Japan: 2015年12月7日
 http://japan.cnet.com/news/service/35074540/

 Lenovo, Dell, Toshiba PC Vulnerability Exposes Millions to Attack: Report
 NDTV: 7 December, 2015
 http://gadgets.ndtv.com/laptops/news/lenovo-dell-toshiba-pc-vulnerability-exposes-millions-to-attack-report-774800

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改正個人情報保護法83条の適用範囲

改正個人情報保護法83条は,個人情報データベースの全部または一部を利得目的で第三者に売却する行為を処罰するものとしている。

このブログでは,私見として,直罰条項の設置を強く求め続けた。かなり評判が悪かったが,部分的にせよ,法改正で私見が採用されたことについては歓迎する。

この点に関する私見に対する辛辣な批判は全て網羅的にデータ化し保存してあるので,更に検討した上でいずれ論文に書こうと思っている。ざっとながめてみると,いかに勉強不足の者ばかりかということが如実に浮彫になっており,非常に興味深い。これは,あとのお楽しみ。

それはさておき,今回の改正法83条は,広い意味で情報横領行為を処罰するものと理解することができる。しかし,情報背任行為の全部を含まない。

そもそも背任罪の罪質に関しては,検討の結果,従来の刑法学説が1つ残らず全部誤っていると考えるに至った。

この点に関して,大型研究(代表・中山信弘氏)として行ってきた情報財の法的保護との関連で論文を書き,目下,再校ゲラ段階にある。来年1月ころに法律論叢掲載の論説として公表される予定。

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米国:連邦全体を統括するプライバシーコミッショナー制度を創設?

下記の記事が出ている。

 White House to Establish Privacy Council
 infoSecurity: 4 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/white-house-to-establish-privacy/

日本国の制度では改正個人情報保護法に基づく個人情報保護委員会と同じようなものかもしれない。

なお,消費者庁創設の際の権限分配でも同じだったのだが,個人情報保護に関しても委員会が全面的に権限を有するわけではなくかなり骨抜きになる見込みだ(改正個人情報保護法44条)。

これは,日本国が民主国家ではなく,真実は律令国家であることに起因する。国家行政制度に関する限り,日本国憲法は聖徳太子の十六條憲法と同じようなものに過ぎない。

大臣の地位と権限の序列(古の冠位・職位)がそのまま残っている。

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改正個人情報保護法26条1項

改正個人情報保護法26条1項は「本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないときは、当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を請求することができる」と定めている。

反対解釈として,当該保有個人データの内容が事実(真実)であるときは削除請求をすることができないということになる。

つまり,EUにおける「忘れられる権利(right to be forgotten)」が明確に否定されている。

この権利は,当該個人データの内容が事実(真実)だからこそ意味がある。

不実の場合には現行の民法723条によってストレートに対処可能な場合に含まれると考える。

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2015年12月 5日 (土曜日)

改正個人情報保護法34条3項の解釈

仮処分の場合において,仮処分の内容及び保全の必要性の性質・程度によっては,事前に個人情報取扱事業者に対して請求し2週間を経過することを要せず,自動的に,受領を拒否した場合と同じように取り扱うべきことがあるので,そのような解釈論が必要となる。

また,同条による個人情報取扱事業者に対する請求をしなくても,訴状送達の後2週間を経過すれば自動的に瑕疵が治癒されることになるので,事実上,訴訟要件ではないという解釈論が妥当と思われる。

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似非法解釈学

法解釈学の方法論には多種多様なものがあり得る。

それらの中には,法解釈学ではないのに法解釈学だと錯覚されているものもある。

例えば,ある学説の研究に過ぎないのに法解釈学だとして扱われているものがある。

学説は,法解釈学における見解の一つに過ぎない。

法解釈をする場合において,多種多様な学説を検討することを要する場合があるが,必ずしも必須というわけではない。過去に存在した見解(学説)を一切参照しなくても法解釈をすることができる場合があるしそうしなければならない場合もあるからだ。

そして,ある特定の学説のみに基づく学問を法解釈学と呼ぶことには大きな弊害がある。それは,他の見解を認めないことになるからだ。見解は見解に過ぎないので,絶対的なものではない。それゆえ,裁判官は,学説とは関係なしに自己の責任で法解釈を行うし,そうしなければならない。

また,ある学説についていくら研究したところで,その学説の系の範囲内における応用・組み合わせによる複雑化は発生し得ても学問におけるブレークスルーは絶対に生じない。

必要なことは,法情報としての法規範それ自体及び当該法情報が適用可能な対象それ自体を直接に考察することなので,ある特定の学説(世界観)のみにしがみついて世界を見渡すことではない。

このような初等論理学に属する問題を理解しようとせず,かつ,妙な権威欲に支配されている限り,明るい未来は全くない。

とりわけ,規範の適用対象である事実について無知であることは致命的な欠陥となり得るもので,見解(学説)それ自体が荒唐無稽・砂上楼閣となる最も大きな原因を形成することになる。

見解(学説)とは,誰かが過去に思考した内容を符号化したものの一つに過ぎない。

参照すべき場合はあるが,拘束されなければならない理由は全くない。思想信条の自由に反する。

思考は,自分の頭脳を用いてなされるべきものだ。

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Chimeraランサムウェア

下記の記事が出ている。

 Ransomware Chimera is back, offering victims commission
 SC Magazine: December 4, 2015
 http://www.scmagazine.com/trend-micro-researchers-spot-chimera-making-job-offers-in-the-wild/article/457697/

 Chimera Ransomware Tries To Turn Malware Victims Into Cybercriminals
 International Business Times: December 4, 2015
 http://www.ibtimes.com/chimera-ransomware-tries-turn-malware-victims-cybercriminals-2211638

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韓国:Samsungでインサイダー取引?

下記の記事が出ている。

 9 Samsung Executives Are Subject of Insider Trading Investigation
 New York Times: December 4, 2014
 http://www.nytimes.com/2015/12/05/business/international/samsung-insider-trading-investigation-korea.html

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Cryptowall 4.0

下記の記事が出ている。

 Domination: Crims steal admin logins, infect sites, drop Cryptowall 4
 Register: 4 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/04/domination_crims_steal_admin_logins_
infect_sites_drop_cryptowall_4/

 Cryptowall 4.0: Update makes world's worst ransomware worse still
 Register: 9 November, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/11/09/cryptowall_40/

[追記:2016年1月11日]

関連記事を追加する。

 Ransomware evolution: Another brick in the CryptoWall
 Naked Security: 11 January, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/01/11/ransomware-evolution-another-brick-in-the-cryptowall/

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Dorkbot

下記の記事が出ている。

 White hats, FBI and cops team up for Dorkbot botnet takedown
 Register: 4 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/04/dorkbot_botnet_takedown/

[追記:2015年12月7日]

関連記事を追加する。

 Tech Firms Join Police to Take Down Dorkbot Botnet
 infoSecurity: 7 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/tech-firms-join-police-to-take/

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同時多発的な大規模自然災害

日本列島は複雑な地殻構造をもっており,常に大規模な地殻変動のリスクを抱えながら存在している。火山活動と地震とは密接な関連がある。このことについては異論が全くない。

ところで,大規模自然災害の発生により,住民が大量に避難をしなければならない状態が発生した場合,その行く先を予め決めておくことが有効とされていることから,自治体間で協定が結ばれている例が少なくない。原発事故に対する備えとしてもそのような協定がなされている。

しかし,例えば,Aという自治体とBという自治体との間で相互に避難先とする協定が結ばれている場合において,A及びBの両方について同時に多発的な大規模自然災害が発生した場合(Aでは巨大地震により原発に問題が発生し,Bでは大規模火山噴火が発生し,A及びBのいずれについても国から避難指示が出たような場合)にはどういうことになるのだろうか?

要するに,大規模自然災害に関するリスク評価の問題となるのだが,現在の基本的な考え方は,かなり局地的な被害しか想定していない。

しかし,これではいけない。

例えば,関東全域,東日本全域,西日本全域といったレベルでの相当大きな範囲で壊滅的な被害を発生させるような大規模災害の発生を想定しなければならない。

このような広域にわたり被害が発生する場合,避難先が基本的に存在しないので,その場で生き残った人々の生存を確保し,被災地で自前で再建することを容易にするような方策を考える以外にはない。

にもかかわらず,そのような発想はほとんどみられない。

何とも呑気な国だと思う。

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2015年12月 4日 (金曜日)

中国:クローン生物を用いた食糧増産

下記の記事が出ている。

 What happens when Chinese supermarkets start selling beef from a test tube
 Washington Post: December 3, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/innovations/wp/2015/12/03/what-happens-when-chinese-supermarkets-start-selling-beef-from-a-test-tube/

あまりにも当たり前すぎることなので書くのも馬鹿らしいのだが,一応コメントしておくと,同一の遺伝子をもったクローンでは同一の脆弱性が存在する。当該遺伝子をもった個体が特定のウイルス,細菌,菌類等の微生物に対する脆弱性を有している場合,そのクローン全部が同じ脆弱性を有する。

その結末は,明らかだと思う。

防止策として大量の化学薬品が用いられることになることは誰の目にも明かだ。

異なる遺伝子タイプを有する個体が混在していることは,優良品種を生みだすためには必ずしも寄与することがないけれども,全体としてフェイルセーフの機能を果たすことになるので,種としての絶滅を防止することができる。

ところが,人間は厄介な存在で,単一の思考や理論を正しいと信ずるとそれだけに依拠してクローンをつくりたがる。どの国にも馬鹿がいくらでもいる。

社会の基本秩序を破壊しようとするものでない限り,異端の存在こそがフェイルセーフの要だ。

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心臓ペースメーカーはサイバー攻撃に対して安全と言えるか?

下記の記事が出ている。

 Could hackers break my heart via my pacemaker?
 BBC: 3 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-34899713

この記事にもあるとおり,何年も前に製造したものと比較すると現在のものの安全性は向上している。

しかし,コンピュータによって動作する機械装置であるということには変わりがないので,サイバー攻撃に対する防御という点ではほぼ皆無に近いものが多い。

また,この記事にあるとおり,バグ等の発見の手段が確立されていない。発見されても修正のための手段が確立されていない。

更に,共通の手段が確立されると共通の攻撃手段も成立してしまうというジレンマがある。

たぶん,「そのときはそのとき」という諦念が終着点となるのではないかと思う。

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井樋三枝子「【アメリカ】カリフォルニア州尊厳死法の制定」

下記の論説が出ている。

 国立国会図書館海外立法情報課 井樋三枝子
 【アメリカ】カリフォルニア州尊厳死法の制定 
 外国の立法No.265-2(2015年11月)
 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9531500_po_02650202.pdf?contentNo=1

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イスラエル:ヒゼキア王の名を示すシール

下記の記事が出ている。

 A mark of power! Tiny 2,700-year-old royal seal of Judah's 'greatest king' Hezekiah found in ancient rubbish dump in Jerusalem
 Daily Mail: 3 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3344295/A-mark-power-Tiny-2-700-year-old-royal-seal-Judah-s-greatest-king-discovered-ancient-rubbish-dump-Jerusalem.html

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サイバー犯罪者はNetflixのアカウントを狙っている?

下記の記事が出ている。

 Has YOUR Netflix account been HACKED? How to find out and how to fix it
 Express: December 3, 2015
 http://www.express.co.uk/life-style/science-technology/623726/Netflix-Account-Online-Hacked-Find-Out-Fix

 50c buys you someone else's password for Netflix, Spotify or ...
 Register: 2 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/02/carder_xmas_gifts_hacked_netflix_spotify_
sports_accounts_for_50c/

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LinkedInのアカウントを偽装したサイバー攻撃?

下記の記事が出ている。

 Fake LinkedIn profiles used by hackers
 BBC: 3 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-34994858

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香港:報道機関に対して大規模サイバー攻撃?

下記の記事が出ている。

 Chinese APT Group Uses Dropbox to Target Hong Kong Media
 infoSecurity: 3 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/chinese-apt-group-dropbox-hong/

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2015年12月 3日 (木曜日)

つらつら考えるに

要するに,ちゃんとわかっている人がほとんどいないということなのだろう。

様々な個人情報保護方針を読んでいてそう思う。

「1日でも早くパクりたいから何か書いてくれ」という要請はしばしば受ける。

応ずるはずがない(笑)

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電磁的破壊兵器

下記の記事が出ている。

 Could a hi-tech 'doomsday weapon' wipe out America? New report warns military has 'failed to keep pace' with China and Russia in electromagnetic warfare
 Daily Mail: 2 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3343354/Could-hi-tech-doomsday-weapon-wipe-America-New-report-warns-military-failed-pace-China-Russia-electromagnetic-warfare.html

既に実用化され,実戦配備されているものと推定される。

社会においてくまなく電波を完全に遮断した通信網と情報システムを構築しなければならない。

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英国:クラウドストレージサービスに関して独占禁止法違反の疑いで調査

下記の記事が出ている。

 UK Regulator to Investigate Cloud Storage Complaints
 infoSecurity: 2 December, 2015
 http://www.infosecurity-magazine.com/news/uk-regulator-investigate-cloud/

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オーストラリア:政府コンピュータシステムに対し中国からサイバー攻撃?

下記の記事が出ている。

 Report fingers China for assault on Australian weather supercomputer
 Register: 2 December, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/12/02/report_fingers_china_for_assault_on_australian_
weather_supercomputer/

 China blamed for 'massive' cyber attack on Bureau of Meteorology computer
 ABC: 2 December, 2015
 http://www.abc.net.au/news/2015-12-02/china-blamed-for-cyber-attack-on-bureau-of-meteorology/6993278

[追記:2015年12月4日]

関連記事を追加する。

 China denies Australia Bureau of Meteorology 'hack'
 BBC: 2 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/world-australia-34990807

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温暖化

下記の記事が出ている。

 「地球温暖化のウソ」に騙されるな。国民は各世帯で毎年20万円を盗られている【理学博士・深井有】
 日刊SPA!: 2015年11月30日
 http://nikkan-spa.jp/987957

ここに書かれていることは全て正しい。

逆に,気温の上昇とCO2による影響を実証することは極めて難しい。

地殻変動と太陽の活動による影響(人口密集地域・都市部では部分的にヒートアイランド現象やPM2.5等による影響)を考えるのが正統派の考え方だと信ずる。

そうでなければ,人類が誕生するはるか昔からの大規模気象変動を説明することができない。

[追記:2015年12月4日]

関連記事を追加する。

 Is El Niño linked to global warming? Cooler conditions during Little Ice Age caused an increase in extreme weather, says study
 Daily Mail: 3 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3345158/Is-El-Ni-o-linked-global-warming-Cooler-conditions-Little-Ice-Age-caused-increase-extreme-weather-says-study.html

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2015年12月 2日 (水曜日)

ソディウムイオン電池

下記の記事が出ている。

 Phones could soon be powered by SALT: Sodium-ion batteries are cheaper and last longer than cells currently used in gadgets
 Daily Mail: 1 December, 2015
 http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3340982/Phones-soon-powered-SALT-Sodium-ion-batteries-cheaper-longer-cells-currently-used-gadgets.html

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ガソリンスタンドに設置されているクレジットカード読み取り装置のスキミング

下記の記事が出ている。

 Gas Theft Gangs Fuel Pump Skimming Scams
 Krebs on Security: November 30, 2015
 http://krebsonsecurity.com/2015/11/gas-theft-gangs-fuel-pump-skimming-scams/

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VTechがハックされ,児童の写真が大量に奪われたらしい

下記の記事が出ている。

 VTech's data breach debacle: Almost 6.4 million kid profiles hit
 ZDNet: December 1, 2015
 http://www.zdnet.com/article/vtechs-data-breach-debacle-6368509-kid-profiles-hit/

 'Pictures of children' 'in Vtech hack
 BBC: 1 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-34971337

 Security Breach at Toy Maker VTech Includes Data on Children
 New York Times: November 30, 2015
 http://www.nytimes.com/2015/12/01/business/security-breach-at-toy-maker-vtech-includes-data-on-children.html

ネット上で写真等のデータを共有または保存している場合,基本的に機密性が全く保証されないと考えるのが妥当なので,それが犯罪者の手に渡ると危険なものである場合には,決してネットを利用しないというのが賢明な判断になる。

[追記:2015年11月3日]

関連記事を追加する。

 VTech hack: Four crucial takeaways for every parent and CEO
 ZDNet: December 2, 2015
 http://www.zdnet.com/article/vtech-hack-four-lessons-every-parent-and-executives-should-learn/

[追記:2015年12月16日]

関連記事を追加する。

 Man held in UK in VTech hacking probe
 BBC: 15 December, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-35100735

[追記:2016年1月10日]

関連記事を追加する。

 Hacked Toymaker VTech Now Makes Home Monitoring Tech
 Wired: January 9, 2016
 http://www.wired.com/2016/01/security-news-this-week-hacked-toymaker-vtech-now-makes-home-monitoring-tech/

[追記:2016年2月11日]

関連記事を追加する。

 Parents urged to boycott VTech toys after hack
 BBC: 10 February, 2016
 http://www.bbc.com/news/technology-35532644

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2015年12月 1日 (火曜日)

倭語

古代史を研究していて気づいたことがある。

それは,「これまでの研究においては倭語が単一だという暗黙の前提があったのではないか?」ということだ。

無論,北方系や南方系の言語が存在したことは推定されているが,それらは,例えば,蝦夷や隼人の言語として少数言語のようにとらえられてきたと考えられる。

しかし,根本的な誤りがあると考える(蝦夷や隼人などが少数民族だったとも思わない。)。

倭国には50余國があったとされているから,最大で50種類の言語が存在した可能性があると考えるほうが合理的だ。実際にはそんなに多くはなく共通しているとしても,津軽弁と薩摩弁と京都弁くらいの差異は当然に存在しただろうと思う。

日本の古代の文献は全て漢文または擬似漢文で書かれている。

万葉集の中にはほぼ完全な漢文として理解したほうが合理的なものもあれば,表音文字としての万葉仮名として理解したほうが合理的なものもある。

一般的には,まず日本語が存在し,文字がなかったので漢文を習得し,次第に漢字を表音文字として用いるようになったとされている。

しかし,公用文書はほぼ全て相当後代に至るまで漢文なのだ。

私は,古代の中国語(漢語)を公用語=共通語として使っていたと考える。

だからこそ,倭國からの使者は,中国の皇帝と謁見することも可能だったのだろう。

その後,明治維新における標準語の形成の場合と同じように,人工言語としての共通倭語が開発され,その過程における実験の一種として様々な和語的文書(万葉仮名的文書)が作成されることになったのだろう。つまり,公用の大和言葉は人工言語だと考える。

過去のことなので,タイムマシンでもない限り,本当のことは誰にもわからない。無論,私にもわからない。

しかし,より合理的な説明を構築するための努力が尽くされなければならないと考える。

既成概念をいったん全部リセットして考えてみることは,かなり有用な手段の一つではないかと思う。

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モノのインターネット(IoT)には全く同じ鍵がいっぱい

下記の記事が出ている。

 Millions of Internet Things are “secured” by the same “private” keys
 Naked Security: November 30, 2015
 https://nakedsecurity.sophos.com/2015/11/30/millions-of-internet-things-are-secured-by-the-same-private-keys/

自分のマンションのドアの鍵と同じ鍵が無数に存在しているのと同じことになる。つまり,何も守られていない可能性が高い。

無線通信により接続可能な機器類が増加すると必然的に発生する出来事だ。

現に自動車の無線式ドアロックではそういうことが起きている。

このような「事実上の共通鍵の爆発」という現象を回避する手段はない。

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Amazonの新型drone(無人航空機)

下記の記事が出ている。

 Jeremy Clarkson unveils new Amazon delivery drone
 BBC: 30 November, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-34963684

 Amazon、新型Prime Airドローンを公開、今度はハイブリッド設計だ
 Tech Crunch Japan: 2015年11月30日
 http://jp.techcrunch.com/2015/11/30/20151129amazon-shows-off-new-prime-air-drone-with-hybrid-design/

[追記:2015年12月2日]

関連記事を追加する。

 Why Amazon drone delivery could wind up being the anti-Costco
 Washington Post: December 1, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2015/12/01/why-amazon-drone-delivery-could-wind-up-being-the-anti-costco/

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忘れられる権利(right to be forgotten)の行使によりGoogleが個人データを削除したサイト等の統計結果

下記の記事が出ている。

 Google removes 440k links under 'Right to be Forgotten' ruling
 SC Magazine: November 27, 2015
 http://www.scmagazine.com/google-removes-440k-links-under-right-to-be-forgotten-ruling/article/456386/

 Google has evaluated 1.2 million URLs under Right to be Forgotten ruling
 V3: 27 November, 2015
 http://www.v3.co.uk/v3-uk/news/2436834/google-has-evaluated-12-million-urls-under-right-to-be-forgotten-ruling

 Googleが「忘れられる権利」の行使で実際に削除を行ったドメインのリストが公開される
 GIGAZINE: 2015年11月26日
 http://gigazine.net/news/20151126-google-right-to-be-forgotten/

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