Brian M. Mazanec, The Evolution of Cyber War - International Norms for Emerging-Technology Weapons
下記の書籍を読んだ。
Brian M. Mazanec
The Evolution of Cyber War - International Norms for Emerging-Technology Weapons
Potomac Books (2015/11)
ISBN-13: 978-1612347639
国際的な規範(international norm)という概念を用いて,何が善で何が悪であるのかを解明しようとするものだ。
私見によれば,私戦と国家間の戦争とを識別することはできない。つまり,国際法の問題ではない。
本書も,それゆえに法(law)という概念を用いずに規範(norm)という概念を用いるのだろうと推測する。しかし,その規範の根拠として「ある価値観」を必須の前提としているので,その価値観を承認しない立場にたつと無意味な論理展開となってしまう。難しいところだと思う。
それはさておき,読み物としては非常に面白く,文章も平易なので,あっという間に読み終えることができた。
今後の見通しについて随所に所見が開示されており,私も賛同できる部分が多い。
現在のサイバー法の世界では,より多角的に仮説としての予測をたてることができるかどうかで完全に勝負がついてしまうようなところがある。日本で最近刊行されている関連書籍を何冊か読んでみている。良いものもあるが,そうでないものも少なくない。
本書は,法学上の理論構築に成功しているかと問われれば「否」と答えるしかないのだけれども,書籍(読み物)として成功しているかと問われれば「とても面白い」と答えたい。
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