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2015年11月 8日 (日曜日)

ある御礼状

仕事として,裁判所に提出する意見書を書くことがある。その中の1つは,依頼者である原告代理人から承諾を得た上でこのブログでも公開している。

それとは別の事件でずっと前に依頼を受けて意見書を書いたことがある。

私の仕事は、1~2週間で5万~10万字程度の意見書を書くというのが普通なので,かなりしんどく,もう少し時間をもらえたらもっと裁判所を納得させるだけのものを書けるのではないかと思うのだが,それでも誰よりも質の高い意見書を提供すべく,最善の努力を尽くしてきた。

残念ながら,これまでの経験では,訴訟の当初から依頼を受け時間をかけて検討するというパターンの受任がなく,せっぱつまってから依頼を受けるということが多いので,内心忸怩たるものがあることは否定しない。

それはさておき,以前受任して意見書を書き提出した事件が比較的最近なってやっと終了した。そのことは報道等を通じて知っていた。

裁判所には裁判所の考えがあるので,私の意見どおりというわけにはいかないのは当然のことなのだが,やや悔いの残る結論となった。

問題となった争点の中の幾つかについては,更に研究した上で,可能であればいずれちゃんとした論文を書きたいと思っていた。

先日,大学に書簡が1通届いていた。その事件の依頼者である企業の常務からのものだった。丁重な御礼の内容だった。

私は仕事で意見書を書いて提出しただけなので,まさか常務から御礼状を頂戴するとは全く予想していなかった。正直言って驚いた。

社会人としての経済人としては当然のことなのだろうと思うけれども,これまでの経験では,結果のよしあしとは別に,大企業のトップから書簡で御礼状を頂戴する機会は滅多になかった。

いろいろと考えてみると返礼の書簡をお送りするというのも却って失礼になるかもしれないので,ありがたく頂戴するだけにしたいと思う。

生意気な言い方が許されるとすれば,このように節目できちんとした対応を重ねている企業人であれば,今後次々と押し寄せてくる巨大な荒波を乗り越えていくことができるだろうと思う。非常に近い将来,どんなに巨大な超有名企業であっても存立の危機となるような極めて難しい課題と何度も直面することになるだろう。恐るべき困難な状況がすぐ目の前にある。

しかし,経済活動と言っても,結局は,人間対人間の関係が一番大事で,そこらへんをきちんとしている限り,どうにかこうにかやっていくことができる。

常務からの御礼状に感謝し,私も襟を正して更に学問に打ち込もうと思う。

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