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2015年11月 8日 (日曜日)

ハッキングの経済学?

下記の記事が出ている。

 Inside the economics of hacking
 Washington Post: November 5, 2015
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2015/11/05/inside-the-economics-of-hacking/

(余談)

法律学を学んでいると,古典的な論点の1つとして,「犯罪収益等の違法な財産であっても財物として窃盗罪が成立するか?」という問題を習うことになる。法学は経済学とは異なり規範の学なので,社会秩序の維持という観点からものごとを考察することになる(法学を偽装したイデオロギーやデマゴーグの場合を除く。)。

その際,経済学の素養があると比較的簡単に通り抜けることのできる検討課題が幾つかあるのだが(ただし,最近しばしば見かける偽経済学または経済学もどきや偽装されたイデオロギーやデマゴーグの場合を除く。),そうでない学生にとっては苦労することがあるようだ。法学部の教養段階(1~2年)では,可能な限り多くの学問と教養をしっかりと習得してもらいたいと思う。可能な限り広く深い教養を積むことがその後の人生においてどれだけ助けになるのかを高校段階から知っている者だけが結局のところ優位になるのではないかと思う。要領よくショートカットばかり狙うタイプの者は賢いようにみえてかなり巨大な損をしているし自己修復能力をどんどん減衰・欠如させているように見える。

私自身は過去40年間ずっとそのような努力を重ねてきた。それが当たり前のことだと思っている。しかし,どうやら世間はそうではないらしく,安直に回答だけ暗記すれば足りると誤解している者がいて,常に対応に困惑し続けている。そもそもの「構え」が全く違うために指導しようのない場合もある。正直言って「バカではないか」と思うことさえあるのだが,そう思っておしまいにしてしまったのでは教育者として失格なので,どうにか対処しようと努力を重ねる。だから悩むことになる。

(余談2)

経済学者が裏経済または闇経済を研究することにはかなりの困難が伴う。

へたに接近すると,犯罪組織にとりこまれてしまう危険性や殺されてしまう危険性があるからだ。世界には警察や軍隊でさえ負けてしまうような凶暴な犯罪組織がいくらでもあるので,単なる民間人に過ぎない経済学者を殺すことなど朝飯前のことだろうと思う。

なかなか難しい。

(余談3)

歴史学の通説では封建時代として分類している時代について再考の余地があると考えている。個人(君主等)が大きな暴力装置を恣意的に使役し戦闘行為を遂行することのできる社会とそうでない社会との相違に分けたほうがよい。そうすると,進化論的な歴史観が無意味だということに即座に気づくことができる。

現在でも世界の非常に大きな部分が個人によって恣意的に行使される暴力によって支配されていると考えるほうが妥当なのだが,これを封建制かどうか等として議論することは無意味なことで,むしろ,権力の実質である暴力に対して誰がどのような作用を及ぼすことができるかという機能論的な考察に徹底したほうがずっと生産性の高い成果を産むことができると考えている。

何か型にはまったようなテーゼを覚え,その枠組みの中だけでパラメータの交換をして自己満足するようなタイプの思考遊戯は幼稚過ぎると同時に単なる怠惰の一種なのではないかと思っている。

法学にしても同じで,まだ若い判事補のころから機能論的考察の重要性を唱え,判例タイムズ誌等に投稿してずっとそのことを述べてきた。約35年くらいの年月を経て,そろそろ自説をまとめる時期が来ているように思う。

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