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2015年9月29日 (火曜日)

製造物責任法

新保史生先生からロボット法学会設立準備研究会に顔を出せとのお達しがあったので,出ることにしたのはよいのだが,製造物責任法についても議論になるのではないかと考え,関係しそうな裁判例と学説を一応全部おさらいした。

個々の裁判例については,それぞれ特徴があり,一律に評論することができない。これまでの判例評釈等は(雑誌の掲載頁数の制限によるところが最大の原因と推定されるけれども)大雑把すぎることがあるので,鵜呑みにせず,慎重に検討することが必要ではないかと思った。

とりわけ,要件事実論については,荒唐無稽のものがある。

製造物責任法において,非常に重要と思われる条項は,輸入業者等も製造業者と同等の責任を負わせるとした条項と責任免除の条項だ。これらの条項について要件事実論的に細かく解析してみると,多種多様な解釈が可能となる。

そこで,立法者意思の検討も必要となってくる。

あまり深く考えないまま,製造物責任としての損害賠償責任の発生原因を製造物責任法3条とだけ考える見解は,ちょっと勉強不足だろうと思う。そのような見解は,製造物責任を否定しつつも不法行為責任や債務不履行責任を認めた幾つかの裁判例を合理的に解釈するという努力を経ていないのではなかろうか。

事実は同一であり,その法的評価(請求権発生の根拠となる法律構成)だけが異なるという場合,民法では古くから請求権競合の問題として議論されてきたが,民事訴訟における攻撃防御方法の本質を知らないようなタイプの民法学者には決して解くことのできない研究課題だと言える。フィールドを分離してかかるから間違ってしまうのだ。社会的な事象としては同一なので,専門領域の相違とは全く関係なく,同一の現象を対象とする法律問題として理解するのでなければ健全な法理論など構築できるはずがない。つまり,法学者は,全ての法学領域にわたって高度の専門性を有することを常に求められている。

要するに,日本の法学体系それ自体の全面的な再構築が求められている。

未来の人工知能ロボットのマザーコンピュータは,日本の蛸壺的な法学会による社会的制約を一切受けないから(強いて言えば,物理サーバが米国にあるときは,米国のリステイトメントの影響は受ける。),きっと私見と同じ疑問に到達し,そして,現在の私見と同じように統合された訴訟物論と要件事実論を自動生成し,そして,もし人間による訴訟を人工知能弁護士として支援するときには常に勝訴を導くことになるだろう。

ロボット法学会設立準備会のパネルディスカッションでは,細かな法律論を述べ討議することは物理的にできないことが明らかだし,久しぶりにお会いするパネルの方々と楽しく幅広く意見交換したいので,やめておく。

いずれ,論文というかたちでまとめることによって私見を公開することとしたいと思う。

大学の授業では既に何度か述べてきたのだが,受講学生の側では「(間違った)通説鵜呑み脳の状態」で講義を聞いているので,たぶん全く記憶に残っていないことだろうと思う。

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