天理大学附属天理図書館編『日本書紀 乾元本』
下記の書籍を読んだ。
天理大学附属天理図書館編
日本書紀 乾元本 一 (新天理図書館善本叢書2)
天理大学出版部 (2015/4/24)
八木書店発売
ISBN-13: 978-4840695527
天理大学附属天理図書館編
日本書紀 乾元本 二 (新天理図書館善本叢書3)
天理大学出版部 (2015/6/24)
八木書店発売
ISBN-13: 978-4840695534
原本を精密に撮影したカラー写真で構成されている。
従来は,その分野の学者が校訂した後の原稿を活字化した書籍が一般的だった。校訂は,その学者の判断結果を示すものなので,当然,当該校訂を行った者の誤解や錯誤のようなものが混入し得る。過去の学者の見解は大事なのだが,それは一つの見解に過ぎないので,金科玉条とすべきではない。あくまでも,原資料を渉猟し,深く考察し,自分の頭で判断しなければならない。そして,過去の学者と異なる見解に到達したときは,過去の学者の見解よりも自分の見解のほうが妥当だということを明確に論証できなければならない。これが極めて大変なのだが・・・
それはさておき,『日本書紀』の原本の写真で構成された書籍等はほとんどなく,存在するとしても白黒写真のもので,細かいところがわかりにくいという難点があった。今後,このような技術的な問題は大幅に改善されることだろうと思う。『日本書紀』だけではなく他の古記録の写本についても,全部,鮮明なカラー写真版を提供してもらいたいものだと思う(既に「e国宝」等のサイトで公開されているものも多数ある。)。
以上のような次第で,「ありがたい」と思いながら,これまで疑問に思っていた部分を中心に精読した。
「なるほど」と思った部分もあるし,更に謎が深まってしまった部分もある。
他の写本との比較検討を含め,更に考察を極めなければならない。
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