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2015年8月 2日 (日曜日)

前之園亮一『「王賜」銘鉄剣と五世紀の日本』

允恭天皇とその時代について調べている間にこの書籍の存在を知り,図書館から借りて読んでみた。

 前之園亮一
 「王賜」銘鉄剣と五世紀の日本
 岩田書院 (2013/03)
 ISBN-13: 978-4872947878

とても勉強になった。

ただし,私は,「刑部」については,少し異なる意見をもっている。

ちなみに,『新撰姓氏録』には,「左京 神別 天孫 大炊刑部造 造 火明命四世孫阿麻刀祢命之後也」とある一方で「河内国 諸蕃 漢 刑部造 造 出自呉国人李牟意弥也」ともあり(牟氏は李氏の別名ともされている。『牟子理惑論』がある。「牟」と「允」は字形が似ている。地名としては,「大牟田」がある。神社には「波牟許曽神社(波牟古曽神社」(大阪府東大阪市長瀬町)がある。「倭牟御祖神社」または「埴牟御祖神社」だったのではないだろうか。),更に,「坂上氏条逸文」では,阿智使臣が伴ったという七姓漢人(朱・李・多・皀郭・皀・段・ 高)の一つである「李」を祖とするとの記述もある。

ここでいう「李」が相当後代の李氏朝鮮の「李」とは全く無関係であることは言うまでもない。

「李」を真の姓としたかどうかは微妙で,『新撰姓氏録』では,表向きの出自を「百済」としておきつつも,真の出自を理解することができるようにするために「李」と記載した可能性がある。いわば暗号の一種のようなものだと言える。ここでいう「百済」もまた,常に主張しているとおり,国名としての「百済」を指すものではなく,「仏教徒の国」という趣旨だったと解釈する。

当時の中国における「李」姓の有力豪族としては,唐の李淵(高祖)がいる。この李氏は,鮮卑系貴族の出身と言われているから,三国時代の魏の支配氏族に近いということができる。

他方,「行部」は「おさかべ」と読む。一般には古代の「部民」の一種とされているけれども,まず間違いであることに間違いない。もっと高貴な一族だったはずで,ただ,後代の重大な政変に伴い,姿を隠したことにしているだけ,あるいは,真の歴史の大部分が隠蔽されているだけなのではないかと推定される。

「長壁」,「長我部」,「忍壁」,「忍坂」,「忍海」,「坂部」,「川部」,「河辺」,「坂川」やそこから分かれた支族等は,「刑部氏」の支族または後裔という可能性がある。さきたま古墳群近くにある「忍」という地名も関連するものだろうと思う。素戔嗚は「忍坂王」とも書き得る。

それら刑部氏の子孫は,現在でも日本の支配階級の一部を構成している。

関連する神社として八重垣刑部神社(千葉県長生郡長柄町刑部)がある。おそらく,神社のすぐ近くにある高星山が本来の御神体だったのではないかと思う(現在,山の西側がゴルフ場になっており,過去であれば「罰当たりな開発をしている」と指弾されたことだろうと思う。)。また,神社周辺には発掘されていない古墳が存在するのに違いない。「八重垣」が天孫降臨神話と関連することも疑うべき余地がない。

(追記)

ずっと以前に面倒をみた学生の中に「刑部」という苗字の青年がいた。礼儀正しく,しっかりとした信頼できる青年だという印象を今でも持ち続けている。彼は,その当時,「有名な刑部氏とは関係のない者です」とへりくだっていたけれども,私は「きっとそうではなく,もしかすると宗家に近い流れを汲む人なのだろう」と思っていた。ずっと気になっていたのだけれど,調べてみてもよくわからず,長い年月をかけてやっと自分なりの考えをまとめることに成功しつつある。現在彼がどうしているのかについては全く知らないが,きっと元気にやっていることだろうと思う。

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