性産業に関するアムネスティの新方針
ちょっと古いニュースだが,下記の記事が出ている。
アムネスティ新方針「性的労働者を犯罪としないよう求める」 女性人権団体反発「性産業に味方するのか」
産経ニュース:2015年8月12日
http://www.sankei.com/world/news/150812/wor1508120054-n1.html
性産業は「犯罪ではない」 アムネスティが方針表明
CNN Japan: 2015年8月12日
http://www.cnn.co.jp/world/35068765.html
女性人権団体が反対の態度をとることは理解できる。性的搾取やそれを目的とする壬申売買等が横行しやすいからだ。しかし,性的搾取とは全く関係なく本人の主体的な意思に基づく場合でも違法とするには根拠が乏しいようにも考えられ,とりわけ,女性ではない者による売春の場合に,「女性保護」という名目は全く通用しなくなってしまうことになる。「いかなる態様のものについても全て売春は違法だ」ということを明確に論証できないと,アムネスティの方針を覆すことは難しいのではないかと思う。
ちなみに,この関連で,男性人権団体が売春禁止を訴えているという話題を目にしたことはない。
もし「女性だけを別格にする」という主張であるのだとすれば,それは単なる差別主義に他ならない。禁止するのであれば,性を一切問わないということにしなければならないし,反対の場合でもそうでなければ差別となる。
(余談)
非常に近い将来,定型的業務や肉体労働の大半がロボットによって代替されてしまう時代が必ず到来する。
そうなったとき,人類に残されているのは,賭博産業,麻薬産業,性産業のような快楽産業だけということになる可能性はある。
まじめに考えないと,本当にそうなってしまうので,ごく普通の法学者でもロボットや性産業について本気でまじめに考えるべきだと理解している。
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