東京地裁が,Bitcoinの所有権は認められないとして所有権に基づく引渡請求を棄却する判決
下記の記事が出ている。
ビットコイン「所有権対象外」=顧客への返還認めず-東京地裁
時事通信:2015年8月5日
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2015080500862
Japan court rules against Bitcoin compensation plea
BBC: 7 August, 2015
http://www.bbc.com/news/technology-33816664
私が担当の判事でも全く同じ内容の判決をしただろうと思う。
Bitcoinは物体ではないので,所有権は認められない。
強いて言えば,ある種の契約に基づく関係ということができるから,もし契約内容を確定することができるのであれば,契約に基づく何らかの履行請求や損害賠償請求をすることができるかもしれない。しかし,これは,原告訴訟代理人(弁護士)が考えるべきことで,裁判所が考えるべきことではない。当事者主義の原則により,何を訴訟物(審理の対象)とすべきかを考え決定すべき権利と義務は原告(及びその訴訟代理人)にある。
ちなみに,Bitcoinのようなものを含め,純粋にネットワーク型の電子マネー等については,関連法令の専門家と自称する法学者等の間で正しい理解が全くできていないことが多いということはこれまで何度も様々なところで述べてきたし,論説等にも書いてきた。「処理」それ自体や関係性を考察対象にしなければならないのに,固定的な電磁的記録や実体性にこだわるからまともな解釈論ができない。まともな解釈論をすることのできない人々なので,私の意見を理解することもできない・・・とまあ,そんな感じだ。今後もそうだろう。キャパの問題があるので仕方がない。
なお,刑事的な問題についてはまた別の考察が必要となることがある。この点については既に別の記事で触れている。
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