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2015年8月21日 (金曜日)

米国:Ashley Madisonの利用者データには多数の政府職員の氏名が含まれている?

下記の記事が出ている。

 Ashley Madison subscribers include hundreds of government workers
 ars technica: August 21, 2015
 http://arstechnica.com/security/2015/08/ap-ashley-madison-subscribers-included-hundreds-of-government-employees/

オスはメスを欲しがり,メスはオスを欲しがる。雌雄が異なる生物では当たり前のことなのだが,人類は性欲が異常に発達している(というよりも,大脳の発達により,生物における普通の繁殖とは無関係に脳内で繁殖類似の興奮を再現できる機能をもっている)ので,繁殖期等とは無関係に,常に,オスはメスを欲しがり,メスはオスを欲しがる。

古来,社会の指導者はそういうことを十分に理解していた。それと同時に,自分だけが性欲を独占することによる優越感を維持したいという欲望の強い者が社会の指導者になることが多かった(古来,中国においては,妾を多数もつことは皇帝のみに認められた特権だとされている。『呂氏春秋』など多数の古典的書籍の中にそのようなことが書いてある。)。それゆえ,宗教や倫理という社会規範の形式をとって,性の自由を抑圧してきた。そうしなければ,自分が望むような社会秩序を維持することができなくなってしまうからだ。

現代社会では,そのような意味での宗教や倫理といった社会規範による束縛が事実上崩壊してしまっている。

その結果,建前と本音との乖離が著しいものとなっている。

このような状況に対する反動もある。

例えば,ISISによる男性の絶対的優位と女性の性奴隷化という社会的枠組みの公定という動きは,そのような反動の一種だと考えることは可能だ。復古的な意味での「勝者による捕獲したメスの分配」というルールの再構築とみることができる。インドでは集団レイプ犯罪が大きな問題とされてきたし,日本や米国のような国々でも同様の集団レイプ犯罪は存在する。これらも同様の復古的な考え方に基づくものと理解することが不可能ではない。

そして,「自由な性交渉」を求める人々を陥れ,社会的な生命を絶つという攻撃も激化しているのではないかと考えられる。昨今の某ゴシップ的な弁護士傷害事件がそういう流れの中の一つかどうかは分からないが,少なくとも,この事件に対する世評を見ていると被害者であるはずの者に対する侮蔑や名誉棄損が著しいように思えるので,その意味では,直接の加害者ではない多数の集団的な加害者による精神的暴力行為が継続的になされていると評価することは可能ではないかと思う。このような心理は,純粋なものとそうでないものとを含め,世界に共通するものではないかと思う。とりわけ,キリスト教的倫理感の強い人々ではそうだろう。そういう見地から考えてみると,Ashley Madisonの事件もまた,上記のような意味での反動の一種だと理解することが可能な部類に属するものかもしれいないとの可能性を捨てきることができない。

あるいは,貧富の差の拡大に起因して,社会的に成功したエスタブリッシュメントに対する無制約の攻撃という心理現象が世界規模で大規模に発生していると考えることも可能ではなかろうか。

なお,公表されてしまった氏名リストの中には虚偽のものも含まれているのではないかとの解釈がかなり広範に存在する。

その中には,真実の氏名なのだけれども虚偽であるとして隠蔽したいという心理に基づく宣伝工作のようなものが含まれている可能性は否定できない。

しかし,より高い可能性の問題としては,他人の氏名や電子メールアドレスを用い「なりすまし」によって行動していた利用者が存在する可能性がある。貧乏人よりもエスタブリッシュメントのほうがモテるのは当然のことなので,そのように装おうとする心理はむしろ自然なものだと言えるだろう。

他方で,特定のエスタブリッシュメントを狙って虚偽の情報流布をする場合があり得る。これは,名誉棄損罪や業務妨害罪等に該当し得る立派な犯罪行為だ。しかし,これだけ大量に利用者情報が流布されてしまうと識別が非常に難しいという困難性が生じていることは否定しようがない。

いずれにしても難しいことになってきたものだと思う。

なお,下記のような記事も出ている。

 Ashley Madison: Who are the hackers behind the attack?
 BBC: 20 August, 2015
 http://www.bbc.com/news/technology-34002053

 Hackers release new Ashley Madison data targeting site's CEO and operators
 Guardian: 20 August, 2015
 http://www.theguardian.com/technology/2015/aug/20/hackers-new-ashley-madison-data

 Ashley Madison hackers keep on going, post even BIGGER trove of data
 Naked Security: August 21, 2015
 https://nakedsecurity.sophos.com/2015/08/21/ashley-madison-hackers-keep-on-going-post-even-bigger-trove-of-data/

 Why AshleyMadison should be the one to pay for getting hacked
 Mashable ASIS: August 20, 2015
 http://mashable.com/2015/08/20/ashleymadison-hack-security/

[追記:2015年8月22日]

関連記事を追加する。

 Infidelity website Ashley Madison's hackers say 'nobody was watching': report
 REUTERS: August 21, 2015
 http://www.reuters.com/article/2015/08/22/us-ashleymadison-cybersecurity-idUSKCN0QQ2D820150822

 US military says it will discipline Ashley Madison users
 Register: 21 August, 2015
 http://www.theregister.co.uk/2015/08/21/us_military_to_discipline_ashley_madison
_users/

[追記:2015年8月23日]

関連記事を追加する。

 Ashley Madison hackers leave footprints that may help investigators
 ars technica: August 23, 2015
 http://arstechnica.com/security/2015/08/ashley-madison-hackers-leave-footprints-that-may-help-investigators/

[このブログ内の関連記事]

 Ashley Madisonから奪われた利用者データの悪用が急速に広まっているらしい
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/ashley-madison-.html

 国際的な出逢いサイト(Dating Site)Ashley Madisonがハックされその利用者情報流出した事件は更に被害の深刻さを増している?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/dating-siteashl.html

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