内部統制システム
内部統制システムは,単なる手法の一つに過ぎない。
それ自体として,善でも悪でもない。善の目的にも悪の目的にも用いることができる。
ISMSのようなマネジメントシステムでも全く同じだ。
このことは,何度も繰り返して書いてきたとおりだ。
例えば,企業などの組織の場合,トップが悪であれば,内部統制システムは悪の完遂のために効果的に機能する。その代表例は,企業等の粉飾決算や脱税だ。粉飾決算や脱税は,組織のトップが関与することなしには決して成功することがない。
それゆえ,内部統制教やマネジメントシステム教のような盲目的な崇拝についても厳しく戒めてきた。
結局,手段は手段に過ぎないので,その手段を用いて組織を統括する「人」の問題なのだ。
知能指数が高く,立派な家柄で,誇るべき学歴や経歴を有する者であっても,脳の中には必ず「神」と「悪魔」が共存している。
そして,トップに至るための出世競争に勝ち抜くタイプの者の場合,一般に,「悪魔」の要素が多くなければ勝ち抜くことができないので,そのようなタイプのトップは,基本的に「悪魔」の要素が優勢な者だと考えるべきだろう。
それゆえ,古来,中国では,繰り返して懇願されてもそれを固辞し続ける賢者や武将等に対し,三拝九拝して拝み倒し,トップの座についてもらうというのが理想とされてきた。
しかし,それは,現実にはあり得ないことなので,形式上だけ,そのような体裁をとったという歴史的事例しかない。
それゆえ,単なる形式の問題に過ぎないのかもしれないが,せめて体裁だけでもそうすべきなのではないかと思う。
行き過ぎた競争社会は,「悪魔」の要素を多く含むような支配者を増産するための生産システムを是とする社会であるかもしれない。
以上についてはこれまでも繰り返し書いてきたことなのだが,批判が多かった。今でも多い。
真理の言葉は棘で刺すようなひどい痛みを伴うものだからだろうと思っている。しかも,馬鹿につける薬はない。
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