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2015年7月17日 (金曜日)

米国:刑事事件におけるDNA鑑定の精度について再検討の必要性があることを示す判断

下記の記事が出ている。

 Advances in DNA tech pave way for convicts to get new tests on evidence
 ars technica: July 17, 2015
 http://arstechnica.com/tech-policy/2015/07/advances-in-dna-tech-pave-way-for-convicts-to-get-new-tests-on-evidence/

日本の裁判例においても,比較的早期になされたDNA鑑定の精度に疑問が生じ,冤罪事件として再審無罪となった事例がある。

DNA鑑定に限らず,科学鑑定については,「専門家による科学的知見だ」というだけで鵜呑みにすることができない問題が常に伏在している。なぜなら,対象データを解析して得られた直接のデータだけでは何の判断もできず,そのデータを検討した主観的評価が科学的鑑定結果として示されるのに過ぎないことがしばしばあるからだ。この場合,仮にデータそれ自体が客観的なものだったとしても(←現実には測定ミスやエラーが多数含まれているのでデータそれ自体としても常に客観的であることなどあり得ない。),鑑定結果は主観的なものだということになる。

そして,「専門家であれば主観的評価が常に正しい」という法則は存在しない。

世間では,文系はダメで理系のほうが生産的だというような誤解が存在することがある。しかし,理系であれ文系であれ,所詮は人間による主観的評価がもっともらしく外界に示されているだけのことなので,それが主観的評価である限り,同等に錯誤や錯覚や捏造が含まれ得ることは当然のことだと考えるのが正しい。

企業経営でも同じで,「理系的なコンピュータ解析の結果だから信頼できる」などという法則は成立しない。解析結果として示されるものの実質をみると,誰かの主観的評価に過ぎないものが多い。

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