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2015年5月 6日 (水曜日)

困ったことにも・・・

私は,大学の講義を録音することは禁止だ・・・ということが当然の常識だと思いこんでいた。

しかし,常識ではなかったようだ。

不意打ちになるといけないので,今後は,録音を発見したときは直ちに退学または停学せることできるよう必要な手続を進めたいと思う。

厳しいと思うかもしれないが,許諾のない撮影や録音等の行為は,学術の著作物の無許諾の複製行為となるので,著作権法違反行為として服役させることができる。

私がそうしないのは,学生に対する教育的配慮による。

ただし録音物等を入手し再利用している者については,必要な処罰を考えたいと思う。

[追記:2015年5月7日]

将来法律家になろうとする者が著作権を軽視するような行動をとることはそもそも法曹としての第一歩を誤っていると考える。

無論,教授が許諾している場合には録音や録画が許される。どうしても必要な場合には許諾をとるべきだが,その場合でも永遠に記録を残して良いということはなく,授業の復習のために必要な範囲内での保存に限られるだろう。ましてや,講義内容を第三者に提供することは全く許されない。

私がこの記事を書いたのは,録音禁止が不文律だと思いこんでいた自分自身の迂闊さに呆れたからだ。

何しろ相手は学生なので,無知蒙昧で社会性に欠けているかもしれないということを予測すべきだった。

不意打ちになるといけないので,まず学生の誤った「常識」を完全に破壊し,ルールを明確化し,違反には決然として罰を加えるということを実施する必要があると考える。

また,ノートをとる行為と録音とは本質的に異なるということも教えなければならない。

ノートは,講義内容を自分なりに理解し整理した結果を記録するもので,学生の思考結果の記録にほかならない。

実は,ちゃんとノートをとれる学生は既に司法試験合格レベルだと考える。まともにノートをとることができない学生は,司法試験合格レベルにはほど遠いと考える。

録音を何度も聞かないとわからないようでは,法廷でどのように行動したらよいか即断即決などできるわけがない。法律家としての適性が疑われかねない。

録音をとるとライブ1発限りという緊張感が失われ,結局,勉強の効率も著しく落ちる。

もっとも,司法試験と関係のない学生もいる。

これまでの経験によれば,司法試験と関係のない学生でもきちんとノートをとることのできるレベルの学生はそれなりにちゃんとしたところに就職し,立派に活躍しているようだ。

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コメント

ronnorさん

拝読しました。

なお,昨日の講義において,録音禁止だということを学生に周知しました。これは,著作権法とは無関係の授業規律・秩序に関する問題です。

著作権法上の解釈については異なる見解もあることを承知の上で「教育的配慮」と書いていることを忖度してもらいたいとコメントしました。忖度という言葉の意味をもっと深く理解してくただきたいと思います。

加えて,事例として2つしか掲げていないのは不適切だと考えます。

他大学で現実に発生した事例などによれば,他の大学の教授等によるスパイや監視のための手段として受講学生を手先とする録音が行われる場合,企業等が講義内容であるコンテンツを違法に商業利用するための産業スパイ的行為の場合などの事例もあります。しかも,実数としてはかなり多数頻発しているというのが事実です。

牧歌的で古典的な大学像は捨てていただいたほうがベターだろうと思います。

以上が私の感想ですが,あなたがご自身の信念を貫こうとするのはそれはあなたの自由です。もしあなたがどこかの大学で大学教授として講義を担当することになった際に,その信念のためにご自身が苦しみ悩み,あるいは,怒り狂うようなことになったとしても,それでもその信念を貫き続けることができるかどうかは存じませんが,それがあなたの信念である以上,頑張って死ぬまで貫いてください。応援します。

投稿: 夏井高人 | 2015年5月13日 (水曜日) 10時30分

私のブログにこの問題についての自分なりのまとめを書きましたので、一応ご報告させて頂きます。http://d.hatena.ne.jp/ronnor/20150513/1431442850

投稿: ronnor | 2015年5月13日 (水曜日) 00時14分

ronnorさん

行政解釋が常に正しいとすれば,裁判所は不要という解釈になりますね。そのような解釈態度は,明らかに憲法の基本構造を理解しないものであり,また,独立した個人として極めて惨めなことです。

行政解釋は文化庁としての行政活動の行動指針を示すもので,行政官としては尊重しなければなりません。しかし,裁判官や学者に対する拘束力は全くありません。それぞれ勝手にやる自由があるわけですが,最終的には裁判所だけが解釈の権限を有します。

講義の録音という問題は,本当はもっと厳しい法的課題を含んでいます。しかし,ここはブログであり論文ではないので,全部はしょりました。

私は,これまで講義の録音禁止が常識だと思っていました。しかし,そうではないということに気づいたので,この記事を書きました。

不意打ち防止のため,秩序規律としては禁止を明言し,違反者には停学または退学とする処分をすることができるようにしたいと思っています。特に司法試験をめざす学生は,録音装置に頼っているというだけで法曹適性がないと判定できるので(特に裁判官の場合には,即時的な判断が常に大量に並列的に求められます。常人程度の能力では全く仕事になりません。),適切に指導を加えた上で,どうしてもダメなときには別の人生を選択させるのが妥当だと思います。

あくまでも一般論として,合理的な理由があってどうしても講義を録音したいときは,教授から許諾をとり,合理的な範囲内でのみ録音記録を利用し,利用目的が終了したときは消去し,第三者とは決してシェアしないということとすべきでしょう。

投稿: 夏井高人 | 2015年5月11日 (月曜日) 10時17分

突然のコメントにもかかわらず、ご丁寧かつ迅速にご対応頂いた事に感謝しております。
内容面につきましては、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/07042414.htmの川瀬室長コメント(及び資料1http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/07042414/001.pdf)等を拝見した限り、後輩が先輩の依頼を受けて録音するような場合も含め、およそ他の学生からの依頼を受けて録音した場合を「明らかに」アウトとされる先生のご見解には個人的に十分に納得できてはおりませんが、少なくとも講義の録音行為が明らかに「服役」しなければならない行為ではなく、いわば「グレーゾーン」の行為である旨をご確認頂きまして、ありがとうございました。

投稿: ronnor | 2015年5月11日 (月曜日) 08時27分

ronnorさん

大学の講義の無許諾録画・録音行為が私的利用の範囲内にあるかどうかについては見解が分かれると思います。私が教育的配慮と書いたのはそういう趣旨も含みますので,忖度してください。

他の教員,学生,企業その他の外部者から委託を受けて録音・録画する場合には明らかに私的利用に該当しないことはご理解いただけると思います。

なお,下記にも関連記事を書いておきました。

http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-499d.html

投稿: 夏井高人 | 2015年5月 9日 (土曜日) 03時19分

夏井先生、初めてコメントさせて頂きます、ronnorと申します。
録音に頼るようでは勉強にならないという先生のご趣旨自体は大変ごもっともだと思うのですが、録音をする学生を著作権法違反で処罰できる、当該学生から録音をもらった学生の処罰を検討しているという部分については、正直なところ困惑しております。
著作権法30条1項の私的使用の解釈につき、映画盗撮防止法の立法経緯等に鑑みますと、映画館で自己の鑑賞のために小型カメラを持ち込んで映画を撮影することは特別法がない限り私的使用として適法と解されているようです。この趣旨を講義に類推すれば、教室で自分が聞き直すために録音機を持ち込んで講義を録音することも、私的使用となると解するべきではないのかという点につき、夏井先生のご見解をお聞かせ願えませんでしょうか。
なお、録音物等を入手し再利用している者については著作権法上これを処罰する特別の条文(30条1項3号、119条3項等参照)がない限り、処罰ができないとも思われますが、処罰を考えるというのは、どういうご趣旨か(立法論?)につきましても合わせてご教示賜りますと幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。

投稿: ronnor | 2015年5月 9日 (土曜日) 01時11分

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