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2015年5月 8日 (金曜日)

就業場所で従業員がコンテンツを違法ダウンロードした場合,その使用者も著作権侵害による法的責任を負うことになるか?

下記の記事が出ている。

 Who's liable for illegal downloads in the workplace?
 HC Online: 22 April, 2015
 http://www.hcamag.com/hr-news/whos-liable-for-illegal-downloads-in-the-workplace-199425.aspx

使用者も共犯者だと認定できる場合には故意による著作権侵害の罪により刑事処罰もあり得るけれども,そういう事例は滅多にないだろう。大学の学生の間で,他の学生に依頼して特定の教授の講義を無許諾で録音・録画してもらうような事例では共犯関係を認定しやすいので刑事責任を問い得るが(特定の教授が他の特定の教授の講義内容をスパイしたりその講義内容をデッドコピーして自分の講義で使用するために自分のゼミ生に録音・録画を依頼するような場合を含む。受験予備校等の依頼により実行する場合も同じように考えることができる。),企業の就業場所で使用者が従業員に対して著作権侵害行為を依頼するような状況が生まれる確率は比較的低いのではないかと思う(企業ぐるみで海賊版を製造・提供している場合や他の企業に対する産業スパイを実行しているような場合は異なる。)。

しかし,過失(共同不法行為)による損害賠償責任は,企業の場合でも大学の場合でも,常に問題となり得る。

使用者の場合,何をもって注意義務としてとらえ,その注意義務違反行為を証拠によって認定することができるかどうかが問題となるだろう。事実上の推定は働きにくいのではないかと思われる。

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