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2015年3月12日 (木曜日)

事前研修によって故意による犯罪を防止することは可能か?

公費の不正利用等が社会問題化している。

不正利用の中には,過失による不適切な処理の場合と故意による詐欺等の犯罪行為の場合とがある。

前者については,知識の補充や自覚の喚起によって発生率の低下を期待できないわけではないので,事前研修の効果を期待することもできるかもしれない。

しかし,故意による犯罪の発生を防止する効能はゼロだ。

犯罪者は,ありとあらゆることを考える。特に詐欺のような知能犯の場合にはそうだ。

事前研修には,故意による犯罪発生を阻止する機能がない。

にもかかわらず,故意による犯罪発生防止の目的で国がそれを強要することがあるとすれば,それは憲法違反となり得る。目的・効果の関係から考えて,効果を全く期待できないことを強要することはできない。

では,過失による誤処理の発生阻止の目的の場合はどうか。

手段の相当性というものを考えなければならない。

周知徹底は必要だろうと思う。しかし,試験の受験を強要するのは相当性に欠けており,態様いかんによっては憲法違反となると考える。

セミナーの受講程度でとどめておくのが妥当で,あとは,現場におけるオンジョブの適正化を励行するほうがずっと効果がある。

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