« 西宮観光協会のWebサイトがハックされたらしい-IS? | トップページ | 関ヶ原の合戦とキリスト教宣教師との関係 »

2015年3月11日 (水曜日)

Patrick O'Callaghan, Refining Privacy in Tort Law

Amazonに注文していた下記の書籍が届いたので読んだ。

 Patrick O'Callaghan
 Refining Privacy in Tort Law
 Springer (2012)
 ISBN: 978-3-642-31883-2

この書籍は,英国におけるプライバシー保護に関して,不法行為法の文脈の中で概説している。

「プライバシー」の概念それ自体が,時代と共に変化してきたし,また,その本質部分である私的領域が実質的にどんどん減少してしまっているという現実があり,しかも,行政法の領域に属する個人データ保護法制との整合性という課題もある。同書では,そのような時代の変化を踏まえ,プライバシー概念の実質を再評価した上で,英国における判例法の流れに即して現代的課題についての検討を行っている。

日本国の大学の法学部では,英法と米法を分けて科目設置しているところはほとんどないのではないかと思う。英米法という科目でひとくくりになっている。しかし,英法と米法とでは異なる部分があり,全く同じ判例法に従って裁判がなされているわけではない。ところが,英国の判例法について詳しく書いた書籍を探してみると日本国ではあまりないことに気づくことができる。英米法と呼ばれているものの大半は,実質的には米法だ。

そういう状況の下で,英国におけるプライバシーの概念を理解するために,本書は非常に参考になると思った。

|

« 西宮観光協会のWebサイトがハックされたらしい-IS? | トップページ | 関ヶ原の合戦とキリスト教宣教師との関係 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 西宮観光協会のWebサイトがハックされたらしい-IS? | トップページ | 関ヶ原の合戦とキリスト教宣教師との関係 »