Arthur R. Miller, Assault on Privacy - Computers, Data Banks and Dossiers
仕事の関係で下記の書籍を必要な部分だけ読んでいたのだが,全部読みたくなり,Amazon経由で中古本を購入した上で,時間をかけて読んでみた。
Arthur R. Miller
Assault on Privacy - Computers, Data Banks and Dossiers
The University of Michigan Press (1971)
ISBN-13: 978-0472655007
出版年である1971年という時代を考えてみると,当時としては非常に画期的な書籍だったのではないかと思う。
個人データ主体という観念は明確ではないが,データ管理者の適正な管理義務というようなものを重視し,また,データベースではデータ管理者が公権力の介入(諜報機関や警察等による通信傍受)を阻止するための努力を尽くさないと,結局,個人データ主体のプライバシーを守ることができないというメカニズムを明らかにしている。
現代では当然のことかもしれないが,このような理論的解析的な検討の積み重ねの上に現在の個人データ保護法制が存在している。
なお,日本の幾つかの論文で同書が引用されている。どうも妙な引用だと思っていたので調べたいという気持ちもあった。推測のとおりだった。中には,原書の目次しか読まないで内容を誤解しているのではないかと疑われる日本語論文もある。
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