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2015年2月26日 (木曜日)

高橋利昌「共同研究開発をめぐる裁判例の分析」

下記の論説を読んだ。

 高橋利昌
 共同研究開発をめぐる裁判例の分析
 判例タイムズ1407号25~46頁

OECDの共同研究開発ガイドラインを踏まえて日本の関連裁判例を総合的に整理・検討したものだ。

非常にわかりやすく論述されており,実務的な有用性が大きい。

のみならず,大学等の研究者にとっても必読の論文なのではないかと思った。

なぜなら,科研費等の公的資金の補助を受けて実施される大規模研究プロジェクトでは,共同研究方式をとるのが普通なので,その内部的な法律関係(契約関係)をきちんとしておかないと,とんでもない紛争が発生することがあり得る。特に,研究機関以外の企業等との提携による共同研究等ではそのリスクが高い。企業は企業の考えがあり,研究成果から得られる経済的利益を独占しようとするのが当然の姿勢であり,その意味で大学の研究資金と研究能力を奪うことしか考えないのは当然のことなのだが,大学の研究者はいたって呑気だし契約実務に精通している研究者は皆無に近いので,常に「あとで泣かされる」立場に追いやられることになる。企業の側にもリスクがある。立派な大学で名誉ある学位を得ており,当該学会では第一人者だとされて研究者だというので期待して共同研究プロジェクトをはじめてみても,実際にはとんでもなく無能な人間だったりすることがあり,この場合には企業が泣かされることになる。肩書きや世間的な評判等に頼りすぎ,自分の目で見て自分の頭で判断しようとしないからこういうことが起きる(えてして,真に優れた研究者に限って,嫉妬や羨望などの邪な感情によって,他の研究者から陰口をたたかれたり悪評判をたてられたりするものだ。陰口をたたくくらいの能力しかもっていないので,研究では絶対に勝つことができないのだが,本人もそれをちゃんとわかっているので,他人に対する誹謗中傷の手口は芸術的なレベルにまで精緻化されることになる。文学者になったほうがよい人材なのではないかと思う。)。

本来,どの大学でも法務部をもつべきなのだが・・・まあ,無理だろうと思う。また,仮に法務部をつくったところで,どんな状況にも迅速かつ柔軟に対応することのできるような非常に優れた法律家は稀にしか存在しないので,あまり意味がないかもしれない。

このことは,「時代を画するような優れた研究業績を出すことのできる研究者なるものは100年に1人出ればよいほうだ」ということと非常に良く似ている。

現実問題として,どんな領域においても,良い人材は,ほとんど存在しないし,育てることもできない。そのような人材を探し,発見し,資金を集中的に投入することしかできない。

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