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2015年2月12日 (木曜日)

Alan Westin & Stephan Salisbury (eds.), Individual Rights in the Corporation

Amazon経由でThurmanbooksに注文していた下記の書籍が届いたので読んだ。古書なのだが,新品同様で,かなり得をした感じがした。

 Alan Westin & Stephan Salisbury (eds.)
 Individual Rights in the Corporation
 Pantheon Books (1980)
 ISBN-13: 978-0394507156

内容的には,今読んでも非常に興味深く,文章も比較的平易だったので,一気に読んでしまうことができた。

1980年代から30年以上経っているのに,何ひとつ問題が解決されていないどころか,悪い方向に向かっていることを理解することができる。

しかし,これは,企業のせいではない。

世界情勢が悪すぎるのだ。

第二次世界大戦後の一時的な平和な時代(Pax A,mericana)は,既に存在しないと考えた方が良いだろう。

プライバシー論においても,環境変数のようなものを考えなければならない。しかし,数学的には解決不可能ということで有名な環境変数を社会科学や人文科学の領域で解決可能だとは全く思われない。そこらへんに,理想と現実とのギャップがあるのだが,理解している人は極めて少ない。

それはさておき,通読してみて思ったことは,この書籍に含まれている幾つかの論文を参照・引用している日本の法学論文の中で,あからさまに「インチキ」のものがあるということだ。どうやっても全く救いようがない。

きっと,原典を読まないで,孫引きのようにして論文を書いたのに違いない。

哀れむべきかな・・・

(追記)

この書籍中において「情報への権利(The Right to Information)」の部分は,最後のほうの415頁~423頁のところにA.W. Clausenの分担執筆として掲載されている。この章それ自体としては非常に優れたものだと思う。内容は,ディスクロージャーに関するもので,米国の民事訴訟法に精通していない人には少しわかりにくいかもしれない。その後,連邦証拠規則が改正になっているので,少し改善はあるかもしれない。しかし,本質的な問題は何も解決されていない。私見では,眼のつけどころが悪いから解決できないのではないかと思う。米国人気質とドイツ人気質の相違のようなものを感ずる。

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