松木武彦『日本列島の戦争と初期国家形成』
下記の書籍を読んだ。
松木武彦
日本列島の戦争と初期国家形成
東京大学出版会 (2007/1/24)
ISBN-13: 978-4130262149
2007年に出版された書籍なので,最近の考古学上の発見は反映されていない。
しかし,日本の古代を考える上で,非常に参考になることが要領よく整理されていて,とても勉強になった。
とりわけ,巻末の参考引用文献の一覧がしっかりとしたものなので,やや古い文献を探すときには非常に有用だと思う。電子的なデータベースでは,逆にこういうところが弱点となっていて,使いにくいことがある。
理論それ自体には共感できる部分が多い。何でもかんでも一律に考えてしまう単純思考ではなく,共通パターンを括りだすという当然なされるべき作業を丁寧に遂行した結果をまとめたものと思われる。
現実には,時間と手間暇のかかる整理作業をほとんどせず,思いこみだけで書いているようなものがないわけではないので,そういう意味でもこの書籍は優れた学術著作だと思う。
この書籍に書かれていることと,正倉院の御物等として今日まで伝えられた武具・防具とを比較検討してみると,かなり面白いことがいろいろとわかってくるのではないかと思う。
私も更に勉強を重ねなければならない。
[追記:2016年1月15日]
朝鮮半島から出土した甲冑について論じている部分を再度丁寧に読み直してみた。
朝鮮半島から出土したというのだが,どの国の誰が見につけたものなのかは明らかではない。
朝鮮半島の古墳では,日本の古墳と同様,基本的に墓誌というものがない(ただし,後代に抜き取られた可能性を完全に否定することはできない。)。「武寧王」の墓とされる古墳だけは例外なのだが・・・不思議としか言いようがない。
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