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2015年1月14日 (水曜日)

バーバリのハンカチ

大学の専門演習(ゼミ)の受講者のうち,米国に留学した1名を除き,4年生は2014年度の初めにさっさと有名企業や公益法人等に就職を決め,3年生も既にとても良いところに行き先が決まっている。

大学の教授をやっていて,自分の子供ではなくても受講学生の将来のことがいつも心配になる。

幸いにも将来の進路を確定し,学問に集中できる状態を確保してくれているので,私なりにやれるだけのことをし,学問の真のおもしろさを伝授し,空理空論ではなく事実を直視することの大事さを認識できるになってもらおうと努力を重ねている。

昨晩,4年生から「感謝のしるし」だと言ってバーバリのハンカチセットの贈呈を受けた。

予想外のことだったので,とても嬉しい。

私は,授業を通じて,自分が伝えるべきことは全て伝えてきたつもりだ。

あとは学生がそれを咀嚼し,自分の栄養として吸収し,自分自身を自分のものとして成長させてほしいと思う。

こういうしんどい時代なので,学生だけではなく私自身も決して楽ではない。

学生達は,卒業し,就職してもそれから先が更に大変だろうと思う。

しかし,人生は一度しかないし,自分の人生は自分でしか面倒をみることができないので,工夫と努力を重ねながら生きぬき,それぞれが良い人生を送ってほしいと心から祈る。

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コメント

教え子(2002年卒)さん

気力と体力しか資本がないので・・・(笑)

人生は短いようで長く,長いようで短いです。

楽して生きてられるのは,ごく一握りの金持ちのボンボンだけです。何も苦労することなく,それゆえ深く考えることもなく,ひたすら楽しているので,きっと没落することでしょう。

みんな楽ではないからこそ真面目に考えるし,賢くもなれるんですよ。生存のためには真剣にならざるを得ません。

現状のことだけを考えるのではなく,10年後,20年後,30年後に自分が何をしているべきかをよく考え,それを目標にしてみてください。目標が明確になれば,それに達するための手段や方法を考えることができます。逆に目標が明確にイメージできないと,具体的な手段や方法を考えつくことなどあり得ないことです。

考えに詰まったら,静かに古典を読むことです。

温故知新とは本当によく言ったものだと思います。

投稿: 夏井高人 | 2015年1月15日 (木曜日) 20時33分

このところ、しょっちゅうお邪魔して済みません…

> 昨晩,4年生から「感謝のしるし」だと言ってバーバリのハンカチセットの贈呈を受けた。
> 予想外のことだったので,とても嬉しい。

気が利かない学年で申し訳なかったです…

> 私は,授業を通じて,自分が伝えるべきことは全て伝えてきたつもりだ。

素晴らしい姿勢ですね!
思えば、先生の授業は、確かにそうした気迫が感じられるものでした。
私も(あいにく法学ではありませんが…)教壇に立つ者として、先生の姿勢を志してはいますが、必ずしも今「そうしてきた」と言い切れる自信はまだありません。
講義からの帰路では、いつも後悔ばかりしています(汗)

ただ、先生が仰る「工夫と努力を重ねながら生きぬき,それぞれが良い人生を送ってほしいと心から祈る」想いも同じです。
むしろ、非常勤講師の単価を考えれば、この想いだけで教壇に立っているとも言えます(笑)
ですから、この想いが少しでも伝わるように、今後の授業も自らの工夫と努力を重ねようと改めて思い直しました。

ところで、私の場合、たまたま学部でも修士でも、ゼミの担当教授は社会人経験者でした。
このことは、私のキャリア形成において、大いにラッキーだったと今になって感じています。
アカデミックのご経験しか無い先生方が全て世間知らずだと切り捨てるつもりは毛頭ありませんが、やはり実社会で自ら身を持って実感された結果からのご指導は、その先生ならではのものです。
こうしたオリジナルなコンテンツは、特に学際領域や新規性の高い学問分野では有用だと考えています。
また、そうしたオリジナルなコンテンツとそれを通じた対話こそが真の教育だと私は考えています。

先生、改めて本当にありがとうございました。
私は決して「良いところ」に就職した出来の良い学生ではありませんでしたが、あの2年間は自分の礎となる貴重な時間でした。

投稿: 教え子(2002年卒) | 2015年1月15日 (木曜日) 17時22分

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