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2015年1月26日 (月曜日)

三上次男『満鮮原始墳墓の研究』

下記の書籍を読んだ。

 三上次男
 満鮮原始墳墓の研究
 吉川弘文館 (1961/2/20初版・1977/3/1再版)

私が読んだのは昭和52年に再版されたものなのだが,内容的には初版と全く同じと書かれている。

緻密な考察と解析を基礎とするもので,とても勉強になった。

ところで,一般に,朝鮮式支石墓なるものが議論されることがしばしばある。

しかし,私見によると,「朝鮮式」という独自の様式は存在しない。

中国大陸や日本にも同様のものがあり,様式としては少しも変わらない。

無論,微細な部分は異なる。しかし,正しいモデリングまたは抽象化の能力のある研究者からみれば,何が基本形でどの部分が変異なのかを見極めることは可能だと思う。

細部の微細な相違にこだわり過ぎ,独自性を強調したいという欲望に負け,科学的客観性を度外視して強引に独自の論理をふりまわすようなタイプの書籍は,単なるゴミだ。

目下,揚子江流域~南部にある古代の墳墓に着目している。

おそらく,ほぼ同一のルーツをもつものだろうと思う。

そして,それは,更に抽象化され変形されて,古代の日本における信仰にもつながっている。

大事なことは,その系統を正しく見極めることだろうと思う。それが,失われた歴史を発掘するための旅のはじまりともなり得る。

とりわけ,敗者には歴史がない。消去されてしまう。

それゆえ多種多様な仮説が提出されることになる。それぞれ非常に面白い。その中から最も合理的な仮説を探しだし,検証し,適切な仮説が存在しなければ自分で考えることが学問なのだろうと思う。

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