スミレ
自然と野生ラン2015年2月号84頁に「日本列島のスミレ『マンジュリカ』人類が持ち込んだのか!?そのルーツを探る」という記事があり,面白いことが書いてあった。
その著者は,化学の専門家で,現在の日本において最も優れたスミレ科植物栽培者・研究者だと思う。直接の面識があり,いろいろとお世話になっている。ラン栽培におけるフミン酸の効能についての提唱者で,この分野でフミン酸について全く知らない人はもぐりだとされている。
さて,記事によれば,遺伝子解析の結果、スミレ(Viola mandshurica W. Becker)は、フィリピン系(南方系)のノジスミレ(Viola yedoensis Makino)と外国の正体不明の種(耐寒性種)との自然交雑ということなのだ。
そこで,野生種のノジスミレ(Viola yedoensis Makino)が存在していたところに稲作文化と一緒に外来種が入ってきて,自然交雑が発生し,スミレ(Viola mandshurica W. Becker)が成立したことになる。
スミレ(Viola mandshurica W. Becker)は朝鮮半島にも存在しているが,遺伝子解析の結果,朝鮮半島の稲作は古代の日本からも伝来したものだということがわかっている。
記事の要旨は以上のとおりだ。
朝鮮半島は寒いのでので,ノジスミレ(Viola yedoensis Makino)の自生がない。
この記事に書いてあることが正しいと前提した場合,結局,朝鮮半島のスミレ(Viola mandshurica W. Becker)も古代の日本から人間の移動と一緒に朝鮮半島に渡来したものだろうということになるだろう(他の植物についてもその可能性が高いことについては,「艸-財産権としての植物(1)」でも書いたとおりだ。)。
私見では,日本の稲作は,東南アジア~中国大陸南部を源流とするとするもので,おそらく山東半島あたりから(朝鮮半島経由ではなく)直接に日本列島に渡来したものだろうと推定しているので,スミレ(Viola mandshurica W. Becker)の交雑親の片方は,山東半島あたりを探すとみつかるのではないかと思っている。
古代の中国人は,山東半島沖にある海(現在の黄海)のことを「東海」と呼んだ。このことは四書五経の全てに共通していることなので,絶対確実なことだと思っている。倭國が東海中にあることは論理必然のことだと言える。
他方,ノジスミレ(Viola yedoensis Makino)は,台湾を源流とする人々が南西諸島伝いに日本列島に移住し,構築した芋文化圏と密接な関係があると考える。要するに,ノジスミレ(Viola yedoensis Makino)もまた帰化植物であり,環境に適応して変化したやや耐寒性のある地方変種ということになる。
一般論として,時代により変化があるけれども,ある時期において,倭國の最大版図は,朝鮮半島と日本列島の両方にまたがっていたと推定している。いわゆる三韓国は,もとは遼東半島付近(楽浪郡は遼東半島の西側)にあったのに違いない。その後の政治的な変化に伴い,それらが南下して異なる支配領域となったと考えられる。百済国の遷都(東遷)は歴史上存在せず,百済移民を倭國が引き受けて,対外的には百済として主張できる地域を朝鮮半島に設置したということなのだろう。新羅のはじまりもそのようなものだったはずなのだが,その後,傲慢になり,中国と組んで倭國を圧迫するようになり,ついには唐の手先となって朝鮮半島の支配者になったのだと思う。その新羅も滅亡して地上から消え去り,ずっとあとの蒙古系の人々が支配者となって今日に至っている。
それはさておき,今後,他の植物についても遺伝子解析がどんどん進むと思われる。
古典的なタイプの頑迷な学者がそのことを意味を理解できるかどうは知らない。
若い世代の研究者は,従来の通説であろうと何であろうと,自然科学上の知見と全く整合性のとれない理屈は全部捨ててしまうべきだろうと思っている。可能な限り若いうちにそうしないと,自分も頑迷な学者になってしまうことに留意すべきだ。
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